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詳細情報 F2001050123
論文題名 学歴取得と学歴効用の国際比較
−カナ題名 ガクレキ シュトク ト ガクレキ コウヨウ ノ コクサイ ヒカク
分類 職業一般
著者氏名 石田 浩
−カナ著者氏名 イシダ ヒロシ
掲載誌名 日本労働研究雑誌
−巻号 472巻
−発行年月 1999年10月
−発行元 日本労働研究機構
登録年月 2001年5月現在
内容抄録 (著者抄録)
本研究は,父親の職業,両親の学歴などの広範な社会的背景の要因が学歴達成に与える影響力と,学歴が職業的地位と所得に与える影響力に関して日米英3国の国際比較を試みる。学歴達成過程の分析では,教育機会が出身階層にかかわらずすべての社会の構成メンバーに平等に開かれているわけではなく,恵まれた社会的背景の出身者は,より良い教育機会を享受する傾向が日米英3国で確認された。社会・経済的地位の達成過程の分析では,学歴と社会的背景が職業的地位と所得の配分に果たす役割の相対的重要性を比較し,日本ではアメリカ,イギリスと比較して学歴の役割が小さいことが結論づけられた。学歴の社会・経済的効用の分析では,学歴間の職業的地位と所得の格差は,各国独自の教育訓練と労働市場の構造に影響されており,必ずしも同質なパターンを生み出すとは限らないことが推察された。

(論文目次)
I はじめに
II データ
III 学歴達成の国際比較
IV 社会的背景と学歴が労働市場の報酬に与える影響の国際比較
V 学歴効用の国際比較
VI 結 語
全文情報

I はじめに

 教育機会の平等化と学歴の社会・経済的効用は,教育と社会の接点にかかわる産業社会の重要な問題である。産業主義のテーゼに従えば,産業化の進展とともに教育システムが拡大し,教育機会がより多くの人々に開かれ,出身階層や生まれ落ちた環境の影響がますます小さくなると考えられていた。社会的資源に関しても,親の職業などの生得的要因ではなく,個人の能力・資質という業績的要因により配分されていくと考えられていた(Treiman 1970, 1990, Hout 1989, Erikson and Goldthorpe 1992)。さらに,ポスト産業化社会を主唱する研究者は,テクノロジーの進展と情報化社会の到来により知識や技術のもつ意味が増大し,その蓄積の証としての学歴が,社会的地位の配文により重要な役割を果たすと主張した(Bell 1973)。
 教育機会と出身階層の関係に関して,日本では「学歴社会論」という論議のなかで,教育機会は広く開かれており、教育を通して社会的成功を勝ち取ることができるという考えが広く普及していた(潮木[編]1980)。苅谷(1995)によれば,教育によって出生の影響を消し去り「生まれ変わり」が可能である,と戦後の日本社会では一貫して信じられてきたという。しかし,教育社会学者を中心とした実証研究は,早くから出身階層が学歴取得に与える影響を指摘してきた(たとえば,潮木 1975,江原 1984,尾嶋 1990,藤田 1990,原・盛山 1999)。さらに,欧米の研究も中等教育のタイプ,高等教育への進学などの学歴達成に出身階層などの生得的要因が影響を与えることを報告している(Featherman and Hanser 1978, Halsey, Heath and Ridge 1980, Mare 1981, Raftery and Hout 1993)。しかも出身階層の影響力が産業化の進展とともに弱まる傾向は,スウェーデンやオランダといった一部の国を除いて多くの産業諸国では確認されないことがわかっている(Shavit and Blossfeld[eds.] 1993およびErikson and Jonsson [eds.] 1996 所収の論文,Ishida, Muller and Ridge 1995参照)。
 学歴と労働市場における報酬の関係は,すでに多くの研究が指摘するところである。経済学者は,賃金の学歴間格差に焦点を当てて研究し,社会学者は学歴と職業的地位の関係に着目してきた。「学歴社会論」では,日本における学歴の社会・経済的効用の高さが暗黙の前提となっているが,実証的な国際比較研究は,日本の学歴効用がとりわけ大きいわけではないことを指摘してきた(たとえば,小池・渡辺 1979,Koike 1988,石田 1989,Ishida 1993,Tachibanaki[ed.] 1998)。
 本論は,これらの先行研究を基礎としながら,1970年代と1990年代の二つの時期に行われた日米英の全国調査を用い,(1)父親の職業,両親の学歴などの広範な社会的背景の要因が学歴達成に与える影響力と(2)学歴が職業的地位と所得に与える影響力に関して日米英3国の国際比較を試みる。さらに,1970年代と1990年代の比較,男女間の比較についてもあわせて検討することにしたい。



II データ

 日本のデータは1975年と1995年社会階層と移動全国調査,アメリカのデータは1973年第2次世代職業移動調査(Occupational Change in a Generation II Survey)と1996年総合社会調査(General Social Survey),イギリスのデータは1972年オックスフォード全国職業移動調査(Oxford National Occupational Mobility Enquiry)と1987年英国総選挙調査(British General Election Study Survey)である(注1)。分析の対象としたのは,一番年齢の幅が狭いイギリスの1972年調査にあわせ,20歳から64歳までとした。1970年代のデータは3国とも男性のみを対象としている(注2)。
 本研究で用いられた変数は,各国個別に測定されたものをできるだけ比較可能な形に再コーディングしたうえで,分析に用いている。第1に学歴関連の変数の生成方法について説明する。日本のデータでは,最後に通った学校の種類と卒業の有無の二つの質問を用い,アメリカのデータでは,学業修了最終学年の質問項目を用いて学歴変数を構築した。これらの質問項目から,高等学校卒業レベルと高等教育機関への進学という二つの変数を学歴取得の分析では用い,高等学校卒業レベル(高卒),4年制大学卒業レベル(大卒)の二つの変数を社会・経済的地位取得の分析では用いる(注3)。父親と母親の学歴は,日本のデータは最後に通った学校の種類をもとに教育年数に換算し直し,アメリカのデータは学業修了最終学年をもとに教育年数に置き換えた。
 イギリスの教育制度は,日本やアメリカとは大きく異なる複線的性格をもつので,学業的資格(academic qualifications)と職業的資格(vocational qualifications)の二つを区別する。イギリスの義務教育機関はおおよそ11年間で,その修了までに様々な試験を受けて学業的資格を取得できる。一般教育証書(General Certificate of Education以下GCEと略)という国家検定試験は,Oレベルと呼ばれる普通級とAまたはSレベルと呼ばれる上級,特別級に分かれ,大学入学資格を得るためには1974年以前には通常Oレベルに5科目,Aレベルに2科目以上合格することが条件となっていた。Oレベルに1科目でも合格していることは,たとえ大学に進学しない場合でも,労働市場において賃金,昇進などの面で優遇されることが多い。1980年代に導入された中等教育証書(Certificate of Secondary Education以下CSEと略)の第1グレードもOレベルと同等の資格とみなされている(注4)。そこで,イギリスの学歴格差を,(1)学歴なし,(2)GCEのOレベル(1科目以上)或いはCSEの第1グレードに合格した者,(3)高等教育機関卒業者(大卒レベル)の3段階の学業的資格に分ける(注5)。
 イギリスの教育制度は,義務教育を終了し労働市場に参入していった人々に,徒弟制度や継続教育(further education)といったシステムを通して、一般教育証書とは別の様々な職業的資格を獲得する機会を提供している。熟練技術者としての国家資格には,一般国家検定証書(Ordinary National CertificateあるいはOrdinary National Diploma)と上級国家検定証書(Higher National CertificateあるいはHigher National Diploma)などがある。一般国家検定証書に合格するためには,2年から3年の教育,実施訓練が必要で,上級国家検定証書に合格するためには,さらに2年ほどの準備が必要となる。継続教育は,City and Guilds of London Institure(CGLI)と言われる機関でも行われ,そこでも中級,上級,最上級技術者の認定証書が発行されている。さらに,専門職(教員,看護婦,会計士,弁護士など)につくためには,様々な資格が用意されている。
 そこでイギリスの学歴格差の第2の側面として,継続教育などを通して得られる資格を,(1)職業的資格なし,(2)一般国家検定証書またはCGLI発行の中級技術者認定証書の取得者(ONC),(3)上級国家検定証書またはCGLI発行の上級,最上級技術者認定証書の取得者(HNC),(4)専門職資格取得者の四つのカテゴリーに分類した。父親と母親の学歴は,1972年の調査にのみ含まれており,質問項目の制限上,(1)学歴なし,(2)中等教育を選抜された学校(selective schools)において受けた者,(3)GCEのOレベル(1科目以上)に合格した者,の3カテゴリーの変数とした。
 第2に社会・経済的地位に関連した変数の生成について説明する。本研究では,社会・経済的地位の指標として初職,現職の職業的地位スコアと所得を用いる。職業的地位を国際的に比較可能にするために,各国の職業小分類カテゴリーを国際標準職業分類カテゴリーに置き換え,それを国際標準威信スコア(Treiman 1977)に変換した(注6)。これにより3国共通の尺度で職業的地位が測定できることになる。所得は1年間の個人税込み所得の総額を、調査当時の円=ドル、ポンド=ドル換算レートでアメリカドルに換算し直した(注7)。さらに1970年代の所得は,消費者物価指数により1990年代の数値に換算した。
 最後に,社会的背景に関連した変数についての再コーディングの手続きを簡潔に述べておく。父親の職業は初職,現職と同様な形で国際標準威信スコアに置き換えた。父親が農業などの第1次産業従事者の場合を「農家出身」(0が非農林漁業,1が農林漁業)とし,きょうだい数は,なしから10人以上の11カテゴリーに統一した。父親と母親の学歴についてはすでに学歴変数のところで述べた。アメリカに関しては人種(0が非白人,1が白人)を社会的背景の変数に加えた。



III 学歴達成の国際比較

 教育機会と出身階層をはじめとした社会的背景の間の関係を示したのが,表1である。日本とアメリカに関しては,(1)高等学校卒業者の比率と,(2)高等教育機関への進学者の比率,イギリスについては(1)Oレベル相当かそれ以上の学業的資格(Aレベル,高等教育機関卒業者を含む)取得者の比率,(2)継続教育等を通した一般国家検定証書(ONC)かそれ以上の職業的資格(上級国家検定証書,専門職資格を含む)取得者の比率の二つの教育機会を検討した。これらの学歴取得を従属変数とし,社会的背景の変数を独立変数と下ロジット重回帰分析の結果を表1に示した(注8)。表1に示した全体的影響力(D)は,社会的背景のすべての要因の全体的な影響を推定したものである。すなわち,社会的背景が最も異なる2人の個人の間にどの程度の学歴取得の格差が見られるかを(オッズ比の対数値で)推計したものである(注9)。

表1 社会的背景と学歴取得

 日本の分析結果から検討しよう。1970年代,1990年代を通して男女ともに,ほとんどすべての社会的背景の変数が学歴取得に有意な影響力を与えている。このことは,教育機会は出身階層と無縁ではなく,父親の職業的地位の高い者,非農地出身者,きょうだいが少ない者,両親の学歴が高い者は、学歴達成の出発点ですでに有意な立場に立っていると言える。高等学校卒業と高等教育機関への進学という二つの異なる学歴レベルの取得に関しても,社会的背景の与える効果に違いはほとんど見られない。全体的影響力を示すD値は,1970年代,1990年代を通して一貫して高く,高等学校卒業と高等教育機関への進学という二つのレベルともに高い値を示している。表には示していないが,各変数の効果に対するワルド値を検討すると,1970年代には父学歴と農家出身の影響力が相対的に強いのに対し,1990年代にはきょうだい数,父職の重要性が増大している。
 アメリカでは,1970年代にはほとんどすべての社会的背景が有意な影響を与えているのに対し,1990年代にはいると男性では,農家出身と母学歴の影響力が優位ではなくなり,女性では有意な変数はさらに少なくなっている。特に女性の高等教育機関への進学に関しては、優位な効果があるのは父学歴のみで、他の変数は影響を与えていない。全体的影響力を示すD値でも,1990年代の数値は1970年代に比べ明らかに低く、特に高等教育機関への進学に関して変化が顕著である。このため,1970年代には社会的背景が高校卒業レベルと高等教育機関への進学レベルの双方に同程度で影響を与えていたのが,1990年代には高等教育機関進学に与える影響力のほうが明らかに弱い。表には示していないが様々な要因の相対的重要性を検討すると,1970年代にはきょうだい数と母学歴の影響が強いのに対し,1990年代には父学歴と父職という父親の属性の重要性が高まっている。
 イギリスにおいても,日本と同様に1970年代にすべての生得的要因が学歴取得に有意な影響を与えている。1990年代のデータには父職と農家出身の二つの変数しかないので,直接的に1970年代の結果と比較することはできない。そこで,1970年代のデータを上記の二つの変数に限って分析すると、表1には示していないが,全体的影響力を示すD値はOレベル資格以上で5.47、一般国家検定証書(ONC)資格以上で3.35となり,1990年代の対応するD地が4.73と2.17であるので,社会的背景の全体的影響力に減少傾向が見いだせる。この傾向はアメリカで確認されたものと同様のものである。学業的資格と職業的資格を比べると,前者のほうが後者よりも社会的背景の影響を受けやすく,その差はかなり顕著である。様々な生得的要因の相対的重要性に関しては,表には示していないが,父職ときょうだい数が学歴達成を規定する重要な要因であることがわかる。
 男女差という視点から分析結果を検討すると,日本ではどちらかと言えば、女性のほうが男性に比べ、全体的影響力を示すD値から判断すると,社会的背景から受ける制約が大きいと言えよう。特にきょうだいが多いことと母学歴が低いことは女性にとっては男性よりもより不利な立場となっているようである。これに対して,アメリカでは明らかに女性の学歴達成のほうが,生得的な要因からより自由である。すでに述べたように,女性の高等教育進学は,生まれにより決定された要因にほとんど影響されない。さらに特に興味深いのは,日本で顕著に見られる母学歴の影響が、アメリカではまったく確認されない点である。イギリスにおいてはほとんど男女の間で違いは見られないが,どちらかと言えば,女性のほうが男性よりも社会的背景の影響から相対的に自由であるように見える。特に学業的資格の取得に関しては、全体的影響力が女性の場合弱い。
 日米英3国の比較という視点から分析結果をまとめてみると,1970年代には3国の間の違いはほとんどみられないと言える。イギリスは教育制度の違いにより直接的な比較は難しいが,全体的影響力を示すD値から判断すると,日本では社会的背景が学歴所得に与える影響がアメリカ,イギリスよりも少し高めであると言えよう。しかし,その差異は小さい。1990年代のデータでは,日本の違いがより明確となっている。教育機会が出身階層などの生得的要因に影響される度合いは有意な変数の数とD値のどちらを用いても、日本はアメリカに比べ大きく,イギリスよりも(教育制度が異なるので直接的な比較は難しいが)恐らく大きいと考えられる(注10)。このことは,アメリカとイギリスでは,1970年代から1990年代にかけて,社会的背景のもつ影響力が減少している傾向が見られるのに対して,日本では同様な減少傾向が確認できないことによる。特にアメリカの高等教育機関への進学については,有意な影響を持つ生得的要因の数が少なくなるとともに,D値の顕著な減少が確認できる。日本では,対応するD値はわずかだが上昇しており,高等教育への進学機会が1970年代,1990年代を通して一貫して出生により決定される要因により規定されていることを示している。



IV 社会的背景と学歴が労働市場の報酬に与える影響の国際比較

 本節では,社会的背景と学歴が労働市場の報酬分配に与える相対的な影響力を国際比較することを目指す。すなわち,個人間の職業的地位と所得の違い(分散)は,人々の学歴の違いを反映したものなのか,それとも各個人が生まれ落ちた家庭環境の違いが影響したものかを検討する。表2は、個人の社会的背景,学歴,就業経験の三つの要因がそれぞれ職業的地位と所得の違い(全分散)をどれだけ説明できるかを示したものである。表2の数値は,職業的地位と所得を従属変数とした重回帰式に,就業経験,社会的背景,学歴の三つをこの順番に独立変数として導入した結果,それぞれの独立変数が説明する全分散中の割合をRスクエア(決定係数)値であらわしたものである。

表2 社会的背景と学歴によって説明される職業的地位(初職と現職)と所得の分散の割合と学歴優位率

 社会的背景は表1に示した父職,農家出身,きょうだい数,父学歴,母学歴の五つの変数を含み,アメリカは人種を加えてある(注11)。学歴は日米の分析では,(1)高卒以下,(2)高卒,(3)大卒の三つのレベルを用い,イギリスの分析では(1)学業的資格なし,(2)Oレベル以上の学業的資格,(3)高等教育機関卒業の三つのレベルと,継続教育などを通して得られる職業的資格を、(1)職業的資格なし,(2)一般国家検定証書取得者(ONC),(3)上級国家検定証書取得者(HNC),(4)専門職資格取得者の四つのカテゴリーであらわした(注12)。職業的地位と所得は,就業経験とともに上昇し,就業経験をコントロールしないと学歴の効用が過小評価されることが知られているので,現職と所得の分析には就業経験を加えた(注13)。表2に示した学歴により説明される割合は,社会的背景により説明された後の影響力であり,これは社会的背景から独立した学歴の効果を示す。
 本分析の中心的課題は,学歴と社会的背景が職業的地位と所得の配分過程で果たす相対的重要性を検討することにあるので,学歴により説明される分散の割合と社会的背景により説明される割合の比率をとったものを,「学歴優位率」という形で示した。たとえば,日本の1990年代男性のデータでは,初職の全分散のうち社会的背景によって12.1%が,学歴により残りの9.7%が説明される。この二つの数値の比率が0.80であり,社会的背景より学歴によって説明される分散が小さいために,学歴優位率は1より小さくなっている。学歴優位率は数値が大きいほど,学歴の相対的重要性が大きいことを示している。
 学歴優位率に着目しながら分析結果を見ると,日本では学歴優位率は1.3かそれ以下であり,1990年代にはほぼ1.0以下という水準になっている。このことは,おおむね学歴の相対的重要性は社会的背景に比べ低いということになる(注14)。初職と現職については,社会的背景と学歴の影響がほぼ同程度であるが,所得に関しては,社会的背景と就業経験の比重が特に男性の場合学歴よりも圧倒的に高い。1970年代と1990年代を比べると,学歴優位率に際だった変化は見られない。あえて言うならば,優位率は若干減少しており,学歴の相対的重要性が低下傾向にあると言える。
 アメリカでは,学歴優位率はすべて1.0以上であり,1990年代にはすべて2.0以上である。学歴により説明される分散の割合は男性の場合,初職では30%,現職でも20%強と言う高い水準になっている。さらに1970年代と1990年代を比較すると,学歴の相対的重要性が明らかに上昇していることがわかる。特に所得決定に関しては,優位率は1.09から2.53と2倍以上に跳ね上がっている。このようにアメリカ社会では,学歴は社会・経済的地位達成にとって重要な役割を果たしており,その重要性は増大傾向にあることが分析結果から示唆される。
 イギリスにおいては,学歴優位率はおおむね1.0以上の値を示しており,特に現職の地位決定には、学歴は全分散の20%以上を説明し,大きな影響力を持っていると言えよう。1970年代と1990年代は,社会的背景の変数が異なるので,表2の数値を直接的に比較をすることはできないが,1970年代のデータを1990年代と同じ変数を用いて分析し直すと,学歴優位率は現職が2.59,所得が2.19となり,1990年代の対応する数値が4.42と4.25であることを考慮すると,明らかに学歴の相対的重要性が高まっていることがわかる。
 学歴優位率の男女差に着目すると,日本の場合はほとんど違いがないが,アメリカでは女性のほうが若干高い数値を示している。イギリスではその逆で,男性の値が女性に比べかなり高い。しかし,これらの違いは学歴の説明力だけでなく,社会的背景の説明力の男女差に影響されていることに注意する必要がある。学歴の説明力(学歴により説明される分散の割合)だけに着目すると,日米英3国を通して男性のほうがほぼ一貫して女性よりも高い。すなわち,学歴により職業的地位と所得が配分される仕組みは,男性のほうが女性よりも顕著であると言えよう。
 最後に日米英の3国比較の視点からまとめると、日本は米英に比べ学歴の相対的重要性がかなり小さいことが結論できよう。特にアメリカと比較した場合,日本の学歴優位率はアメリカの半分近い値となっている。イギリスとの直接的な比較は、教育制度と社会的背景の変数の違いから難しいが、大枠としてイギリスのほうが日本より学歴の優位性がより顕著であることは推察できる。さらに,1970年代と1990年代の比較を考慮すると,アメリカとイギリスでは学歴の相対的重要性が明らかに上昇しているのに対し,日本ではほとんど変化が見られず,どちらかと言えば減少傾向にある。この趨製は,表1で見た学歴取得の国際比較とちょうどパラレルな関係にあると言える。



V 学歴効用の国際比較

 本節では,学歴が職業的地位と所得に与える影響を国際比較することを目指す。表3は,重回帰分析の結果から,日米英の職業的地位と所得の学歴間格差を示したものである。学歴間格差とは,特定の学歴を取得した際に,それより1段階低いレベルの学歴との間に生じる職業威信スコアと所得(ドル表示)の違いを表す。たとえば,日本の1990年代男性サンプルの場合,初職の全効果は,高卒が4.72,大卒が9.00であり,これは中卒者と高卒者の間の平均威信スコアの格差が4.72で,高卒者と大卒者の格差が9.00であることを示している。

表3-1 学歴の職業的地位(初職,現職)と所得への影響

表3-2 学歴の職業的地位(初職,現職)と所得への影響

 全効果とは,就業経験をコントロールした後の学歴間格差を表す(注15)。因果効果とは,就業経験,社会的背景を同じくする者の間の学歴間格差を言う。特権的な家庭の出身者はより良い学歴を得るチャンスが高く,その獲得した学歴がより良い社会・経済的地位に結ぶつくチャンスが高い。すなわち,高学歴者がより高い地位につく理由の一部は,彼らの特権的出身階層のためであり,彼らが獲得した学歴のためとは言い難い。そこで学歴取得者の出身階層,社会的背景をコントロールすることにより,出身が同じ者の間の学歴の社会・経済的効用を推定したのが因果効果に当たる。言わば生得的要因から独立した学歴の純粋効果と言える。表3のカッコ内の数字は,全効果を100%としたときの因果効果の割合を表す。
 因果効果に着目しながら分析結果を見ると,日本では高卒,大卒学歴が1970年代,1990年代を通して一貫して威信スコアと所得の上昇を生み出したことがわかる。1990年代男性では,高卒の学歴は現職の威信スコアを7ポイント,大卒の肩書は9ポイント上昇させた。所得に関しては,高卒,大卒の肩書はそれぞれ1万5000ドルほど年収を増加させた。アメリカでも学歴間格差は明白だが,大卒学歴の収益が非常に高く,男子の場合,高卒の少なくとも2倍の値を示していることが特徴を言えよう。高卒の肩書だけでは職業的地位と所得の上昇は限られており,アメリカの大学教育による収益率がことのほか大きいことを示唆している。イギリスでは,Oレベルと大卒は所得と特に職業的地位の上昇に大きく貢献した。継続教育を通して獲得できる様々な職業的資格の中では,専門職資格がOレベル,大卒に匹敵する効用があることがわかる。
 日米を比較すると,高卒学歴の社会・経済的効用は日本のほうがアメリカよりも若干高い。しかし,大卒者と高卒者の間の格差は,アメリカのほうが日本よりも明らかに大きい。アメリカの大卒の収益は,日本だけでなくイギリスと比較してもかなり大きいと言えよう。イギリスでは,Oレベル,大卒という学業的資格だけに着目すると,日米の高卒・大卒との比較では,その社会・経済的効用は必ずしも大きいとは言えない。しかし,様々な職業的資格が職業的地位と所得の上昇を生み出し、その効用は学業的資格に勝るとも劣らないことを考慮すると,複線的教育の結果獲得できる学歴資格総体の効用は,かなり大きいと言えよう。このように国際比較の視点から見ると、日本の学歴の社会・経済的効用がとりわけ大きいとは決して言えない。
 男女差について簡単に触れておくと,日本では初職,現職については学歴効用に際立った違いが見られない。しかし,学歴間の所得格差に注目すると,明らかに男性のほうが女性よりも大きく,学歴を取得することのメリットに男女差がある。アメリカについても同じような傾向が見いだせる。学歴間の職業的地位の格差は男女でそれほど違いはないが,所得格差に関しては,男性のほうが女性よりも大きい。イギリスでは男女間で学歴の所得への影響に顕著な違いは見いだせない。ただ,学業的資格の効用は男女ともにほぼ同程度であるが,職業的資格については全般的に男性のほうがリターンが高いそうである(注16)。このように,3国において,学歴を得ることによる社会・経済的メリットは,男性のほうが女性より大きい傾向がある。
 表3のカッコ内に示した因果効果の割合を検討すると,その割合は全般的にどの国においても高く,このことは学歴の職業的地位・所得に与える影響が,おおむね社会的背景からは独立していることを示唆している。しかし,いくつかの例外が指摘される。日本における男子大卒者の所得効用は,因果効果の割合がとりわけ小さい。つまり,学歴による所得格差は社会的背景をコントロールすることにより,かなりの程度減少すると言える。高卒と大卒の平均所得格差は全効果で見ると,1990年代には2万2000ドル以上,1970年代には1万2000ドル以上であるのに,因果効果では1万5000ドルと8000ドルほどに落ちこんでいる。日本の男子大卒の肩書による所得上昇の3分の1程度は,実は大卒者の恵まれた出身階層に起因していることがわかる。大卒者はもともと高卒者に比べ特権的な階層出身者(特に両親の学歴と父親の職業的地位が高い者)が多いために、大卒、高卒の所得格差が生じた側面があり、大学を卒業したことから生じる純粋な効用は全効果に示されている数値よりもはるかに小さいと考えられる。
 アメリカでも社会的背景をコントロールすることにより,男子高卒者とそれ以下の学歴の者の間の現職威信スコアと所得の格差が,かなり減少することがわかる。特に1990年代の減少は顕著である。このことは,高校を卒業できない者が恵まれない家庭出身者である場合が多くなってきたことを示唆していると言えよう。しかし一方では,高卒者と大卒者の間の格差は,因果効果が90%以上を占め,出身階層をコントロールすることで格差の変化はほとんどない。このことは,アメリカの4年制大学を卒業する結果得られる社会・経済的地位の上昇は,出身階層からはおおむね独立した純粋効用であることがわかる。
 イギリスでは,因果効用の割合は80%以上であり,社会的背景をコントロールすることによる減少は限られている。アメリカと同様に,大卒の社会・経済的効用は,因果効果の割合が86%以上と高く,大卒学歴を得ることによる職業的地位と所得の上昇は,大卒者の出身階層にほとんど影響されないことがわかる。また大卒に近い効用がある専門職資格の取得に関しても,特に男性の場合,社会的背景からは独立した純粋効用であることがわかる。このようにアメリカとイギリスでは,大卒レベルの学歴を得ることは,大卒者の生まれ落ちた社会的背景にかかわらず,社会・経済的地位達成に大きな影響を与えている。これに対して,日本の大卒者の所得効用は,社会的背景を考慮に入れないと,大卒の肩書が出身階層,背景と独立して所得を上昇させる,言わば大卒の純粋効用を過大に評価することになる。



VI 結語

 学歴達成過程の分析では,父親の職業,両親の学歴などの広範な社会的背景が学歴取得に影響を与えていることが,日米英3国で明らかになった。教育機会が出身階層にかかわらずすべての社会の構成メンバーに平等に開かれているわけではなく、恵まれた社会的背景の出身者は,より良い教育機会を享受する傾向が日米英3国で確認された。1970年代と1990年代のデータを比べると、アメリカとイギリスでは社会的背景が学歴取得の与える影響力に減少傾向が見られた。1970年代から1990年代にかけてさらなる産業化あるいはポスト産業化が進展したと仮定すると,生得的要因である社会的背景の変数の規定力が下降しているアメリカ,イギリスにおいては,産業主義のテーゼにほぼ従った傾向が見いだされていることになる。これに対して日本では,同様な社会的背景の影響力の減少傾向は確認できなかった。日本では高等教育機関が戦後大幅に拡大され,1980年代にも大学・短大・高専の入学者数は1980年の60万人から1992年には80万人台に上昇した。しかし,分析結果によればそれに伴う教育機会の平等化は必ずしも進展したとは言い難い。
 社会・経済的地位の達成課程に目を移すと,学歴と社会的背景の双方の要因が,職業的地位と所得の配分に重要な役割を果たしていることが日米英3国で認められた。しかし,学歴の(社会的背景と比べた)相対的重要性は,日本ではアメリカ,イギリスと比較して小さいことが結論づけられた。さらに,1970年代から1990年代の趨勢を見ると,アメリカとイギリスでは学歴の相対的重要性が明らかに高まっているのに対し,日本ではほとんど変化がなかった。少なくとも1970年代から1990年代への変化に関しては,アメリカとイギリスでは学歴達成においても社会・経済的地位の達成においても,社会的背景に代表される生得的要因の規定力の相対的比率が弱まると言う,産業主義のテーゼを支持する結果が導きだされた。
 学歴の社会・経済的効用の分析では,学歴間の職業的地位と所得の格差が日米英3国で認められた。特にアメリカでは,大学学歴に伴う収益が日本とイギリスに比較してかなり大きい。またイギリスでは,Oレベルや大卒と言う学業的資格とともに専門職資格などの職業的資格が,職業的地位と所得を上昇させている。このように学歴収益に関して,日米英3国の間では少なからぬ違いが確認された。日米英は高度に発達した産業社会と考えられているが、社会・経済的地位の配分過程は,各国独自の教育制度と労働市場の構造に大きく影響されており,必ずしも同質なパターンを生み出すとは限らないことが推察される。
 教育制度に関しては,学業的資格に重点を置いた日米の単線型システムと,学業的資格取得のためのトラックと職業的資格取得のためのトラックが並存している複線型システムを採用するイギリスの間に大きな違いが見いだせる。イギリスでは,シックスフォームと呼ばれる学業中心の高校から大学へというルート以外に,職業的資格を得るための職場体験と結ぶついた様々な継続教育制度が充実している。また継続教育を通して獲得した資格は標準化されており,どの職場でも全国的な通用力がある資格として認定されている。
 教育制度と労働市場の間の浸透性・流動性に関しては,日本と米英の間で顕著な違いのあることがわかる。アメリカでは高校を卒業後,しばらく働き大学に進学することは決して例外ではなく,いわゆる成人学生や働きながら学ぶパートタイム学生の割合は,1970年代,1980年代を通して大きく上昇した。また,ロースクールやビジネススクールのような専門大学院では,就業経験を入学の重要な要件のひとつと見なす場合も少なくない。イギリスでも,既に述べた継続教育制度は,学校体系と労働市場が分断されておらず,比較的自由な流動性のあることの証であると言えよう。たとえば,一般国家技術者検定証書を獲得するためには,通常職場に籍を置きつつ週に何日か継続教育機関で学ぶ仕組みが用意されている。
 日本では,様々な仕事と直結した資格を取得できる複線型システムが制度化されておらず,教育制度と労働市場の間に明らかな分断があるといえよう。学歴取得の機会は,単線型の学校制度をはじめて通過するときに限られ,一度労働市場に参入すると,再び教育制度の中に戻って資格を取得することは難しい。このような日本の教育制度と労働市場の構造は,日本において社会・経済的地位の配分に関して学歴の相対的重要性が米英に比較して小さく,学歴効用もそれほど大きくないことと関連していることが推察される。
 産業社会における学歴と社会・経済的地位の達成過程を分析するためには,教育制度の仕組みと労働市場の構造という,それぞれの国に独自の歴史・制度的なコンテクストを十分に配慮する作業が重要となろう。すでに最近の研究では,中等教育のトラッキングの度合い,単線型と複線型教育システムの相違,カリキュラムや取得された資格の標準化の度合いなどのコンテクストを考慮した分析が登場している(Kerckhoff 1995, 1996, Shavit and Muller [eds.] 1998)。さらに,学校から労働市場への間断のない移動,学校制度と労働市場の間の分断など,日本を特徴づける歴史・制度的コンテクストをより詳細に分析する研究も蓄積されてきた(Rosenbaum and Kariya 1989, 苅谷 1991,苅谷・菅山・石田 近刊)。今後の国際比較研究は,このような蓄積を十分に生かし,学歴と社会・経済的地位が結びつく制度的メカニズムを解明することが課題となろう。


(注1) 1975年と1995年社会階層と移動全国調査の使用に関しては,1995年社会階層と移動全国調査研究会の了解を得た(富永 1979,原・盛山 1999)。イギリスの1972年データは,オックスフォード大学ナッフィールド・カレッジのジョン・ゴールソープ(John Goldthorpe)氏から,1987年データは同じくアンソニー・ヒース(Anthony Heath)氏から入手した(Goldthorpe 1987, Heath er al. 1987)。アメリカの1973年のデータは公共テープから,1996年のデータはミシガン大学ICPSRの公共利用サイトから東京大学社会科学研究所日本社会情報センターSSJデータアーカイブを通してダウンロードした(Featherman and Hauser 1978, Davis and Smith 1996)。イギリスのデータの使用に関してゴールソープ氏,ヒース氏,ジョン・リッジ(John Ridhe)氏の助言を受けた。アメリカの1973年のデータ使用に関しては、ディビッド・フェザマン(David Featherman)氏とオーア・ソレンゼン(Aage Sorensen)氏の助言を受けた。関係者の協力に感謝したい。

(注2) 本研究でイギリスというのは,イングランドとウェールズ(England & Wales)を指し,スコットランドは含まない。また,アメリカというのは,アメリカ合衆国を指す。

(注3) 日本のデータで高卒レベルとは新制高校,旧制中学・実業学校・師範学校卒業のレベルを指し,高等教育機関とは新制短大・大学,旧制高校・大学を意味し,大卒レベルは新制・旧制4年制大学卒業を指す。アメリカのデータで高卒レベルとは学業修了最終学年が12年以上のもの,高等教育機関進学者とは13年以上のもの,大卒レベルとは16年以上のものを指す。

(注4) Oレベルと同等の資格としては,中等教育証書(CSE)の第1グレードのほかに,GCEのOレベルとCSEを最近統合した中等教育一般証書(General Certificate of Secondary Education)のAからCグレード,古い教育システムの学校証書(school certificate or matriculation)などが含まれる。Aレベルと同等の資格としては,古い教育システムの上級学校証書(higher school certificate)などが含まれる。

(注5) 高等教育機関は4年制の大学だけでなく,現在は大学に格上げされたポリテクニクス(polytechnics)などを含む。

(注6) 国際標準威信スコアは,本研究に用いた六つのデータでは,最低値が12最高値が78であった。なお,アメリカ,イギリスの職業小分類を国際標準職業分類カテゴリーに置き換える作業について,ウテリヒ大学のハリー・ガンズブーム(Harry Ganzeboom)氏の助言を受けた(Nieuwbeerta and Ganzeboom 1996)。記して感謝したい。

(注7) イギリスの1972年の調査では,個人の税込み所得は仕事による収入の総額であり,副収入,臨時収入などを含まないため,個人収入の意味が他の調査とは若干異なる。

(注8) イギリスの1987年のデータには,父職と農家出身の二つの社会的背景の変数しか含まれていない。なお本研究の表では,1990年代男子,1990年代女子と言うラベルを用いているが,正確にはイギリスのデータは1987年の調査による。

(注9) この計算には,父親の職業的地位が66ポイント(最低値と最高値の違い)差のある者,農家出身者と非農家出身者,きょうだいがいない者と10人以上の者,父・母学歴が最低値(学歴なし)と最高値(日米では16年の教育年数,イギリスではOレベル以上の学業的資格)の者の間の学歴取得格差を推定した。アメリカはさらに人種(非白人と白人)の差を付け加えた。統計的に有意でない場合には,推定の計算からその変数を除いた。

(注10) イギリスは二つの社会的背景変数しかデータにないので,表1の値を日米と直接比較することはできない。そこで,イギリスと対応した二つの変数に限った分析を日米のデータで行うと,日本の高等教育機関への進学に関して,明らかに全体的影響力を示すD値が他国と比較して高い。

(注11) イギリスの1990年代のデータでは,生得的要因は父職と農家出身の二つしかない。

(注12) それぞれ一番低いレベル(1のカテゴリー)を基礎とし,他のカテゴリーを0-1のダミー変数として,重回帰分析に用いた。これにより,各学歴段階の非線形的効果が抽出できる。

(注13) 就業経験は,日本のデータでは調査時の年齢から初職についた年齢を引いたもので推計し,初職についた年齢が不詳の場合は年齢から教育年数と6を引いたものを用いた。アメリカのデータでは,年齢から教育年数と6を引いたもので推計し,イギリスのデータでは,年齢から教育修了年齢を引いたもので推計した。

(注14) 本研究で考慮した社会的背景の変数は限られており,より広範な要因を分析に加えれば当然社会的背景により説明される分散の割合は上昇する。また,学歴についてもより精緻な測定を施せば,学歴により説明される分散は上昇することになる。たとえば,高校間,大学間格差や高校内のトラッキングを考慮すると学歴の説明力は上昇する(Ishida 1993, 1998, 近藤 1997, Lucas 1999)。表2に示された値はあくまで本研究で用いられた変数の限りにおいての結論ということになる。

(注15) 初職については,就業経験をコントロールしない学歴間格差を表す。

(注16) 女性の高等技術者証書の取得に伴う職業的地位と所得の上昇については,この資格をもっておる女性が極めて少ないために,推計値が不安定であり,それを解釈することは控える。


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いしだ・ひろし 1954年生まれ。ハーバード大学大学院社会学部Ph. D.。東京大学社会科学研究助教授。主な著書にSocial Mobility in Countemporary Japan (Macmillan Press and Stanford University Press,1993)など。比較社会階層論専攻。

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