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(著者抄録)
イノベーションの実現にとって2種類のカギとなる人々がいる。すなわち個別の要素技術の開発に責任をもつ「技術開発リーダー」とそれを製品システムへと統合していく「プロジェクト・リーダー」である。この論文はこれまで日本企業のイノベーションの競争力の議論ではあまり光が当てられてこなかった技術開発リーダーに注目する。製造業企業に対する質問票サーベイによって収集したデータに基づいて,相対的に高い成果を上げている技術開発部門のリーダーを低成果部門のリーダーと比較し,彼らのキャリアや組織的な相互作用のあり方にどのような差異があるのかを分析する。このような作業を通じて日本企業における「優れた」技術開発リーダーの姿を明らかにし,そこからイノベーションの組織能力についてのインプリケーションを引き出してみようというのがこの論文のねらいである。

(論文目次)
I はじめに
II イノベーションの知識と役割
   1 機能知識と製品知識
   2 プロジェクト・リーダー:日本企業の「統合力」の源泉
III データと方法
   1 サンプル
   2 技術開発部門のパフォーマンス
   3 キャリアと組織的総合作用
IV 分析結果
   1 キャリア
   2 組織的相互作用
V 結論とインプリケーション
   1 イメージと現実のギャップ
   2 技術開発リーダーによる統合力の「つくり込み」
   3 分化と統合の再解釈
VI おわりに

I はじめに

 いうまでもなく製品やサービスのイノベーションは技術的な知識に立脚している。たとえば半導体のイノベーションは,材料技術,回路設計技術,微細加工技術をはじめとするさまざまな技術に支えられている。普通われわれが「技術」と呼んでいるのは,このように特定の機能専門領域(functional domain)としてくくられる知識体系のことである。要素技術といってもよい。しかし,このような個別の要素技術がバラバラにあるだけではイノベーションは実現できない。製品は複数の要素技術から構成される「システム」であるから,個別の技術的な知識に加えて,それらをひとつの製品へとまとめあげる知識が必要になる。つまり,イノベーションは特定の要素技術についての機能知識(functional knowledge/domain-specific knowledge)と製品システム全体についての製品知識(product-system knowledge)という異なる2種類の知識を同時に必要とするのである。イノベーションのマネジメントの本質は,この2種類の知識を同時に創造・蓄積しながら,その組み合わせやバランスを効果的・効率的に達成することにある。
 機能知識と製品知識のそれぞれを組織において生成し蓄積していくうえで,二つのカギとなる人々がいる。すなわち,個別の要素技術の開発に責任をもつ「技術開発リーダー」とそれを製品システムへと統合していく「プロジェクト・リーダー」である(楠木,1998)。後述するように,イノベーションの組織に関するこれまでの研究は,日本企業の中核的な組織能力が機能知識よりも製品知識を基盤としており,製品知識をてこにした製品システムの「統合力」が競争優位の源泉になっているということを繰り返し強調してきた。イノベーションを支える人々という視点からみれば,機能知識の担い手である技術開発リーダーよりも,製品知識の担い手であるプロジェクト・リーダーに関心が寄せられてきたのである。
 この論文は,これまで日本企業のイノベーションの組織能力との関連ではあまり注目されることがなかった技術開発リーダーに焦点を当てている。日本企業においてイノベーションを支えている一方の重要な存在であるはずの技術開発リーダーはどのような人々なのか。この論文では,日本の製造業企業に対する質問票サーベイによって収集したデータに基づいて,相対的に高い成果を上げている技術開発部門のリーダーを低成果部門のリーダーと比較し,彼らのキャリア・バックグラウンドや組織的な相互作用のあり方にどのような差異があるのかを分析する。このような作業を通じて日本企業における「優れた」技術開発リーダーの姿を明らかにし,そこからイノベーションの組織能力についてのインプリケーションを引き出してみようというのがこの論文のねらいである。



II イノベーションの知識と役割

1 機能知識と製品知識

 まずはじめに,機能知識と製品知識という二つの知識が相互に異なる性質をもっているということを確認しておこう(Kusunoki, 1997)。
 あらゆる製品はシステムである。たとえばファクシミリという製品は,物理的に区別可能(physically distinctive)な要素部分に分解すれば,スキャナー,モデム,プリンターというように複数のコンポーネントによって構成されているシステムである。それぞれのコンポーネントは特定の要素技術を体現しており,要素技術の「島」であるとみることができる。このようにファクシミリは複数の異なる技術体系から構成されているシステムであるといえる。機能知識とは,このような技術専門領域ごとに発達する知識を意味している(Henderson and Clark, 1990;延岡,1996;Aoshima, 1996;青島・延岡,1997)。製品がシステムである以上,イノベーションを単一の機能知識で実現することは一般に不可能であり,複数単位の機能知識が必要となる(Rosenberg, 1976;Clark, 1985)。ファクシミリの例でいえば,読取走査,情報圧縮,記録,伝送,制御,実装,制御ソフト,試作,テスト,プロセス・エンジニアリングといった数多くの機能知識がイノベーションのインプットとして必要になる。
 機能知識とは特定少数の変数によってそのパフォーマンスを把握できる程度にまで定式化された因果関係についての知識,すなわちknow-whyである(Garud, 1996;楠木,1997)。たとえばファクシミリの場合,どの情報圧縮の方法を採用すればどの程度情報圧縮の効率が向上するか,といった知識がこれに当たる。機能知識は因果関係が明確になる程度まで操作化された知識であるので,個々の機能知識の相互依存性は低い水準に抑えられる。この意味で特定の製品に対応した複数の機能知識は準分解可能システム(nearly decomposable system)として理解される(Simon, 1969)。
 システムを構成する機能知識だけでは製品イノベーションを実現できない。機能知識を製品というシステム全体に統合する知識,すなわち製品知識を必要とする。製品知識とはイノベーションの内部統合(internal integration)や外部統合(external integration)に必要とされる知識の集合を指している。内部統合に関連する製品知識は,たとえば個々の機能知識のリンケージについての知識(architectural knowledge)や製品開発プロセスに必要な各機能間の調整についての知識が含まれる(Henderson and Clark, 1990; Clark and Fujimoto, 1991)。一方の外部統合に関連する製品知識は,ターゲット・マーケットや補完的もしくは競合製品の中での自社製品の位置づけについての知識である(Urban and Hauser, 1980; Kotler, 1980; Clark and Fujimoto, 1991)。
 製品知識の中核となるのが製品コンセプト(product concept)である(Nonaka and Takeuchi, 1995)。製品コンセプトは内部統合(コストダウンのための設計変更など)と外部統合(ターゲット・マーケットや価格ポジションなど)に関連するさまざまな製品知識を圧縮したものであるといえる。製品コンセプトに典型的にみられるように,製品知識はさまざまな変数を暗黙のうちに含んでおり,不特定多数の次元を包括した「プロトタイプ」として把握される(Jaikumar and Bohn, 1986)。製品知識とは製品システムや組織システムのコンテクストの中で意味づけられた知識であり,「システム知識」といってもよい(青島・延岡,1997)。機能知識の中味がコンテクストから相対的に独立した因果関係についてのknow-whyであるのに対して,製品知識はコンテクストに依存しており,とりわけ内部統合にかかわる製品知識は経験を通じて初めて獲得されるknow-howの性格をもっている。また外部統合にかかわる製品知識は,そもそも「その製品が何であるのか」「その製品はどうあるべきか」というknow-whatであると理解できる(Garud, 1996;楠木,1997;Kusunoki, 1998)。

2 プロジェクト・リーダー:日本企業の「統合力」の源泉

 以上で考察してきたように,機能知識と製品知識のそれぞれには相互に異なる特性が一貫したパターンをもって組み込まれている。この2種類の知識はいずれもイノベーションに必要なものであり,機能知識と製品知識を同時極大化した場合にイノベーションの成果はもっとも高くなると仮定できる。しかし本質的に相反する性質をもっているので,機能知識と製品知識の同時極大化は現実の製品開発の文脈では容易ではない(Clark and Fujimoto, 1991)。そこでこのような本質的に異なる二つの知識の間にどのようなインターフェイスを組み,どのようなバランスを構築するかという問題が製品開発マネジメントに対する基本的な要請になる(青島,1997)。
 イノベーションの組織に関するこれまでの研究は,日本企業の中核的な組織能力が製品知識を基盤としており,製品知識をてこにした製品システムの「統合力」(integrity)が競争優位の源泉になっているということを繰り返し強調してきた。すなわち,複雑なシステムを構成する機能知識のリンケージやインターフェイスをうまくとりながら,異なる機能知識をコーディネーションやコミュニケーションを通じて部分を全体へとまとめあげる能力である。ここで重要な役割を果たしているのがプロジェクト・リーダーである。
 たとえば,Clark and Fujimoto(1991)は自動車産業の製品開発プロジェクトの詳細な国際比較を通じて,日本企業の組織能力として「重量級プロダクト・マネジャー構造」(HWPM: Heavyweight Product Manager Structure)の重要性を明らかにしている。これは開発にかかわるさまざまな技術部門や製造部門,マーケティング部門を横断的に管理するプロジェクト・リーダーに製品コンセプトの構築を含む幅広い強い権限をもたせる組織デザインであり,複数の異なる機能専門的なサブシステムを全体システムとしての製品に統合するメカニズムである。このような組織デザインのもとでプロジェクト・リーダーを中心に創造・蓄積される製品知識が日本企業の製品開発パフォーマンスを高めているということを彼らの分析は示している。
 Henderson(1991)は,製品システムを構成する機能知識のリンケージを組み替えることによって起こるイノベーション(アーキテクチャル・イノベーション)に注目して,そこでの日本企業の優位を半導体製造装置の事例研究を通じて強調している。そもそも特定の機能知識についてのイノベーションが「見えやすい」のに対して,それらのリンケージ,すなわち製品知識にかかわるイノベーションは「見えにくい」(subtle)性質をもっている。アーキテクチャル・イノベーションは,機能知識のリンケージやインターフェイスについての注意深い洞察を必要とするけれども,それは組織の構造や問題解決のルーティン,計画・管理システムに埋め込まれている(embedded)ので,普通は非常に困難になる。しかし,日本企業はプロジェクト・リーダーを中心とする機能横断的な問題解決によって製品知識に関する注意を喚起するメカニズムをもっている。これがアーキテクチャル・イノベーションの機会をとらえ,それへと開発活動を統合していく組織能力になっているというのがHendersonの議論である。
 日本企業のイノベーションとの関連で注目されてきた製品知識は,いいかえれば「システム複雑性」(system complexity)に対処する知識である。従来の組織論が明示的または暗黙のうちに考えてきたシステム複雑性とは「点」と「線」の問題として理解できる。全体システムを構成する機能知識(点)の種類が多く,その間に網の目のように相互依存的な関係(線)が発達している場合に,システム複雑性が高くなる。このような場合に,個別の機能知識を製品システムの中で意味づけたり組み合わせたりする製品知識が決定的に重要になる。日本企業は自動車やエレクトロニクスのような複雑な製品システムで特徴づけられる領域で製品開発の競争力をもつが,化学製品や医薬品のような特定の「点」の勝負になるような領域ではそれほどでもないという一般的な傾向を考えると,製品知識を日本企業の中核的な組織能力として強調する従来の議論はそれなりの説得力をもつ。
 このように,日本企業の統合力を強調するこれまでの議論は,製品知識を創造し蓄積するプロジェクト・リーダーが日本企業のイノベーション・プロセスにおいて重要な役割を担っていると考えてきた(Nonaka and Takeuchi,1995)。彼らはプロジェクト内部に対しては機能横断的な調整を進める統合者であり,プロジェクトの外部に対しては製品コンセプトを顧客のニーズと結びつけ,それを具体的な製品という形にするコンセプト・チャンピオンである。製品知識にはknow-howの側面が強いので,プロジェクト・リーダーにとっては特定の技術専門分野における高度な知識やoff-the-jobのトレーニングよりも,経験の幅と豊かさが重要になる。プロジェクト・リーダーはそのキャリアにおいてさまざまな機能部門を移動しながら,相対的に浅くではあっても,幅広い仕事経験をもつ必要がある。上であげたClark and Fujimoto(1991)は自動車産業で成功している製品開発プロジェクト・リーダーの特徴として,「現場のエンジニアとの頻繁かつ直接的なコミュニケーション」「顧客との直接的な接触」「さまざまな機能部門の人々と円滑にコミュニケーションする能力」などをあげている。

3 技術開発リーダー

 これに対して技術開発リーダーは機能知識の担い手である。プロジェクト・リーダーとは異なり,優れた技術開発リーダーは特定の技術専門領域における組織内専門家(organizational professional)として,次のような特徴をもった人々であると考えられてきた(Allen, 1977; Larson, 1977; Katz and Allen, 1985)。

 ・高度な専門的教育のバックグラウンドをもつ
 ・特定の専門分野でのキャリアの一貫性を追求する
 ・自分の専門分野での仕事に高度に専門化したスペシャリストである
 ・幅広い仕事経験を積むというよりも,仕事の経験は特定の機能に集中している
 ・仕事を遂行するうえでは高い自律性と自由度を望む
 ・社内の関連する部門の人々との相互作用よりも,外部の専門家のコミュニティーとの相互作用を積極的に行う
 ・パテントや論文といった組織の文脈から独立した成果を求める

 前述した日本企業のイノベーションにおける統合力を協調する議論は,プロジェクト・リーダーがイノベーション・プロセスで中核的な役割を果たすのに対して,特定の要素技術の担い手である技術開発リーダーはそれほど強い存在ではないという主張を暗黙のうちに含んでいる。重量級統合者に対する「軽量級スペシャリスト」といってもよい。全体(製品システム)への統合を所与の目的にすれば,個別の機能知識をフリーハンドで追求できなくなる。常に機能知識間の相互依存関係とその向こうにある全体システムをにらみながら機能知識を掘り下げていくことになるので,そうでない場合と比較して機能知識についてのイノベーションがある程度まで犠牲にされるわけである。
 これまでの理論はこのようなトレードオフの解決が機能と製品をクロスするマトリックス組織的なメカニズムを通じて解決されると考えてきた(Galbraith, 1973; Knight, 1976; Katz and Allen, 1985; Allen and Hauptman, 1987)。プロジェクト・リーダーの強い影響力のもとに製品知識に基づく統合力を追求する一方で,技術開発リーダーのイニシアティブを通じて機能知識の蓄積をも追求するというHWPM構造は,部分と全体のバランスをとろうというマトリックス組織の発想に基づいている。しかしそこで製品知識を重視する分だけ機能知識に制約が加わることには変わりがない。たとえばエンジン,トランスミッション,ブレーキといったコンポーネント・レベルのイノベーションでは技術開発リーダーが相対的に強い力をもつ傾向にあるヨーロッパの高級車メーカーが依然として優位にある(Clark and Fujimoto, 1991)という現象はこのようなトレードオフ問題の存在を示唆している。「日本企業の技術者は技術専門能力が弱い」というようなより一般的な指摘もこの延長線上にあるものとして理解できる。
 このような日本企業の技術開発リーダーに一般的な図式が妥当なものであるかどうか,経験的データに基づいて検討してみようというのがこの論文の発想である。より具体的にいえば,ここで問題とする論点は以下の三つである。

 ・日本企業が相対的に競争力をもつ領域で仕事をしている技術開発リーダーを,彼らがリードしている技術開発部門のイノベーションの成果に注目して高成果グループと低成果グループに分けて比較した場合,これまでのキャリアや現在の組織的な相互作用のパターンにどのような違いがあるのか。つまり日本企業における「優れた」技術開発リーダーはどのような人々なのか。

 ・イノベーションにおける機能専門的知識の担い手である技術開発リーダーは,特定技術領域に専門化し,そこでの機能知識を一貫して追求する「スペシャリスト」であると考えられてきた。日本企業においても技術開発リーダーは実際に特定の技術領域に専門化した「スペシャリスト」なのか。

 ・日本企業の製品知識に基づく統合力を強調するこれまでの議論では技術開発リーダーはあまり注目されていなかった。日本企業における技術開発リーダーは統合力を追求するうえで二次的な存在なのか。それとも彼らもまた日本企業の統合力にとってなんらかの重要な役割を果たしているのか。果たしているとすればそれはどのようなものなのか。



III データと方法

1 サンプル

 データは上場している日本の大規模製造業企業に対する郵送質問票調査を通じて収集された。調査対象企業が属する産業分野としては,製品イノベーションが競争にとって重要な意味をもっている,(1)エレクトロニクス,(2)一般機械,(3)輸送用機械,(4)精密機械,(5)医薬品の5分野を取り上げた。
 質問票は次の二つのステップを経て回答者(技術開発リーダー)に配布された。まずこれらの産業に所属する上場企業564社の研究開発担当の最高責任者に質問票を郵送し,その企業の主要な製品にかかわる主要な要素技術を開発する任意の「技術開発部門」ひとつを選択してもらった。「技術開発部門」の定義は「研究開発部門全体の中で製品にかかわる主要な製品要素技術(製造工程や量産化にかかわるプロセス技術は除く)の開発を継続的に進める部門ないしグループ」である。次にそれぞれの企業で選択された技術開発部門のリーダーに,研究開発担当の最高責任者を通じて質問票を配布してもらった。ここで「リーダー」とは「技術開発部門ないし製品開発プロジェクトでの開発業務に実質的に責任をもち,その遂行をリードしていく人」と定義されている。その技術開発部門が形式的・公式的にトップ・マネジメント(たとえば研究開発本部長などの研究開発部門を代表する役員)によって統括されていたとしても,ここではそのひとつ下のレベルで実質的に開発活動を統括しているミドル・マネジャーを選択してもらっている。こうした手順で質問票が届けられた技術開発リーダーに質問票への回答を依頼し,回答された質問票は回答者から直接(研究開発担当の最高責任者を通さずに)郵送で回収した。
 調査対象企業の産業分野別の分布と回収率は表1の通りである。回収したサンプル企業の分布をみるとエレクトロニクス,一般機械,輸送用機械が全体の90%程度を占めている。これらはいずれも日本企業が歴史的に競争力をもってきた産業である(Porter, 1990)。医薬品は相対的に日本企業の競争力が低い産業であるが,全体のわずか5%にすぎないので,ここでのサンプルはおおむね日本企業が競争力をもつ領域で構成されているといってよいだろう。

表1 調査対象企業の分布と回収率

 表1にあるように回答者数は216名であった。回答者と所属している企業および技術開発部門のプロフィールを要約したものが表2である。

表2 回答者のプロフィール

2 技術開発部門のパフォーマンス

 比較分析を行うために,彼らがリードしている技術開発部門のパフォーマンスに注目して技術開発リーダーを高成果グループと低成果グループに二分した。ここでは技術開発部門のパフォーマンスの指標として,「革新性」(innovativeness)と「完成度」(integrity)の二つを取り上げた。前者は狭い意味でのイノベーションの成果であり,その技術開発部門の開発成果における技術的な新規性や独創性の程度に注目している。後者は技術そのものの革新性よりも,技術的な完成度や実用化のタイミングの早さ,ユーザーニーズへの適合性に注目したパフォーマンス指標である。
 質問票ではそれぞれの指標について,関連する複数の質問項目を設定し,項目ごとに「計画や周囲の期待をどの程度満たしているか」について1(0%)から5(100%)の5点尺度で回答者の認知を測定している。その上で質問項目群をそれぞれ確認的な因子分析にかけ,その第1因子の標準化された因子スコアを「革新性」および「完成度」の指標としている。表3は個別の質問項目と因子分析の結果である。

表3 パフォーマンス指標ごとの因子負荷量

 この二つのパフォーマンス指標は,その技術開発部門の規模や技術領域の開発環境,さらには企業規模によっても影響されると考えられる。そこでこのような要因の影響をコントロールするために,「革新性」および「完成度」のそれぞれを従属変数,「技術開発部門の開発費」「技術開発部門の人数」「開発環境」「企業規模」を独立変数にした回帰分析を行い,その残差を技術開発部門ごとにプールした(注1)。分析に使用されたコントロール変数は表4に要約してある。最終的に技術開発リーダーを部門の開発成果でグループ分けする際には,このような手続きで求められた「革新性」および「完成度」の残差を使い,それぞれの中央値で高成果グループと低成果グループに二分した。

表4 コントロール変数

3 キャリアと組織的相互作用

 比較分析で取り上げる次元には大きく分けて,(1)技術開発リーダーのキャリアと,(2)開発プロセスでの組織的相互作用の二つがある。キャリアに関連する分析の対象となったのは表5にある11の変数である。

表5 キャリアの変数

 技術開発リーダーの組織的な相互作用のあり方に注目した変数としては,表6の4変数を取り上げた。これらの変数はパフォーマンス指標と同じように,確認的な因子分析で導出された因子スコアである。質問票にある個別の質問項目は,相互作用の大きさを「月平均の会議・ミーティングの回数」で測っている。表にあるように,四つの変数はその相互作用の相手が社内なのか社外なのかという軸と,その部門が開発している技術領域にかかわる相互作用なのか技術開発を超えた機能横断的な相互作用なのかという軸の組み合わせで分類されている。

表6 相互作用の変数

 このそれぞれの変数について,高成果グループと低成果グループとの間に差異があるかどうかを検定するために,ここでは分散・共分散分析を用いた。技術開発リーダーのキャリアや組織的相互作用のパターンに影響を与えうる変数として「企業規模」「年齢」「当該部門のリーダー経験」「当該部門のメンバー経験」「技術開発部門の開発費」「技術開発部門の人数」「開発環境」の7変数を共分散項として用いている。したがって,比較分析の結果はこれら共分散項の影響をコントロールしたものである。
 本稿の分析は技術開発リーダーが担当する技術開発部門のパフォーマンスに注目しているから,技術開発リーダーの能力と開発成果の間には分析レベルのギャップがある。さらに影響関係の方向も特定できない。つまり,技術開発リーダーの能力が開発成果に影響を与えているのか,逆に高い成果を出すポテンシャルをもった開発部門に優秀な技術開発リーダーが配置されているのかは一概には決められない。おそらく両方の影響経路があるだろう。このようにここでの分析枠組みは一定の制約がある。しかし,いずれの影響経路があるにしても,技術開発リーダーを高成果グループと低成果グループに分けて比較してみれば,おおまかにではあっても相対的に「優れた」技術開発リーダーがどのような人々なのかを探ることはできるだろう。これが分析の狙いである。



IV 分析結果

1 キャリア

 まずはじめに大学教育のバックグラウンドについての分析結果をみてみよう(表7)。「革新性」と「完成度」のいずれの指標でも,技術開発リーダーの受けた教育の水準には高成果グループと低成果グループの間に有意な差は認められない。高等教育のバックグラウンドが優れた技術開発リーダーの条件になっているとはいえないだろう。

表7 学位の分布

 表8は企業に入ってからのキャリアに関する分析結果である。優れた技術開発リーダーほど企業間の移動経験が多く,一方であまり部門間移動を経験せずに,特定の技術開発部門で技術専門性を追求していく,というのがこれまでの「スペシャリスト」のイメージであった。「取得特許」や開発成果の革新性に注目した場合の「基礎研究経験」についての発見事実は,このようなスペシャリストのイメージに合致しているといえる。つまり,高成果グループの技術開発リーダーの方が,より多くの特許を取得しており,また基礎研究業務の経験も豊富である。

表8 キャリアの分析結果(分散・共分散分析)

 しかし,その他の分析結果が示唆している優れた技術リーダーの姿は,従来のイメージとは相当に異なっている。日本の大企業を調査対象としているため,サンプルとなったマネージャーの中で企業間移動を経験した人はそもそも例外的であるが,技術開発リーダーの「転職経験」には高成果グループと低成果グループとの間で有意な差はない。この結果は「革新性」と「完成度」といういずれの開発成果についても同じである。一方でいずれのグループも企業内では平均して2回から3回の部門間移動を経験している。興味深いのは,「完成度」でみた場合,高成果グループの方がより多くの部門間移動を経験しているという事実である。
 「技術開発経験」や「論文」に差がないことからもわかるように,高成果グループの技術開発リーダーだからといって,特定の技術専門領域での仕事経験が特に豊かなわけではなく,また論文の形にまとまるような成果を追求しているわけでもない。高成果グループの技術開発リーダーの特徴は,「プロジェクト経験」や(「完成度」に注目した場合の)「製品開発経験」の分析結果に現れているように,むしろさまざまな技術領域にまたがる製品開発の仕事経験が豊富だということなのである。
 このことを端的に示すのが「経験多様性」の分析結果である。開発成果の中味にかかわらず,高成果グループの技術開発リーダーの方が多様な領域での仕事経験をもっている。以上の発見事実を統合すれば,日本企業における優れた技術開発リーダーのキャリアは特定の技術専門領域に限定されておらず,製品開発(プロジェクト)を中心とするさまざまな開発業務にわたる経験の多様性の方がむしろキャリア形成のカギとなっているといえるだろう。

2 組織的相互作用

 表9は四つのタイプに分類した組織的な相互作用のパターンについての分析結果である。技術的相互作用をみると,内部・外部ともに高成果グループと低成果グループとの間で有意な差はない。社外の大学・研究機関の研究者や技術コンサルタント,他者の技術者といった人々との「外部技術的相互作用」は組織内専門家としての技術開発リーダーの重要な役割であると考えられてきた。しかしここでの発見事実は,高成果グループの技術開発リーダーだからといって,このような外部専門家との接触をより頻繁に行っているわけではないということを示している。

表9 組織的相互作用の分析結果(分散・共分散分析)

 内部・外部との機能横断的な相互作用についての分析結果は,従来の技術開発リーダーの役割のイメージから逸脱した結果が出ている。「内部機能横断的相互作用」については,低成果グループよりも高成果グループの方が活発である。これらは内部統合についての製品知識と密接にかかわる相互作用であり,これまでの議論ではHWPMのモデルにあるような製品開発のプロジェクト・リーダーが集中的に果たしていると考えられてきた役割である。「完成度」で高成果グループと低成果グループを分けた場合,「外部機能横断的相互作用」は高成果グループの方が有意に高い値を示している。サプライヤー,ユーザー,流通業者など技術専門領域に含まれない組織外部の人々との相互作用は,製品レベルでの外部統合の基盤と考えられてきた。
 日本企業の優れた技術開発リーダーは,このような組織行動を通じてある程度まで製品知識を保有しているということをこの発見事実は示唆している。優れた技術開発リーダーは特定の技術専門領域での機能知識を追求するスペシャリストというよりも,実際は技術専門領域を超えて製品システムの内部・外部統合に踏み込んだ開発活動の担い手であるといえるかもしれない。



V 結論とインプリケーション

1 イメージと現実のギャップ

 比較分析から得られたさまざまな結果のエッセンスを一言で要約すれば,従来の議論が想定してきた「機能知識のスペシャリストとしての技術開発リーダー」という図式と現実の日本企業の技術開発リーダーの姿との間にはかなりのギャップがある,ということになるだろう。技術開発リーダーは,その定義からすれば,特定の技術専門領域の開発をリードする立場にあるスペシャリストである。しかし分析から得られた発見事実は,日本企業における優れた技術開発リーダーはこれまでの「スペシャリスト」のイメージに必ずしも合致しないということを示している。ここでの分析によれば,日本企業で相対的に高い開発成果をもたらしている技術開発リーダーは次のような特徴をもつ人々である。

 ・必ずしも高度な専門的教育のバックグラウンドはもっていない
 ・特定の専門分野での仕事に専門化せず,さまざまな領域での多様な仕事経験をもっている
 ・自分の技術専門領域のみならず,さまざまな機能知識を必要とする製品開発業務や製品開発プロジェクトでの経験がキャリア形成にとって重要な位置を占めている
 ・自分の技術領域に限定されない,機能横断的な相互作用を組織の内外の人々と積極的に行う

 HWPMのモデルに典型的にみられるように,これまでの日本企業のイノベーションの組織能力をめぐる議論は,製品知識に基づいた統合力に注目しており,それゆえに技術開発リーダーよりも統合者としてのプロジェクト・リーダーの役割の重要性を強調してきた。しかし分析からわれわれが得た日本企業の優れた技術開発リーダーの姿は,技術専門領域での開発活動に専門化した人々というよりも,むしろこれまで議論されてきたプロジェクト・リーダーの姿と重なる部分が多い。日本企業における技術開発リーダーとプロジェクト・リーダーの役割は,従来想定されていたような単純な二分法で片づけられるものでなさそうである。

2 技術開発リーダーによる統合力の「つくり込み」

 あらためて確認しておくが,ここでいう「優れた技術開発リーダー」とは,製品レベルでの開発成果ではなく,あくまでも要素技術レベルでの開発成果に優れた人々であるということである。にもかかわらず,高成果グループの技術開発リーダーほど「スペシャリスト」より「統合者」のイメージに近いキャリア経験と相互作用パターンをもっているのである。技術開発リーダーの開発活動の対象である機能知識とか要素技術といっているものの中身が,日本企業においては従来想定されていたものとはそもそも異なっているとも考えられる。
 本稿の分析結果が示す「優れた技術開発リーダー」の姿は,イノベーションの統合力を支えている組織能力の実態がHWPMモデルとは相当に異なっているということを暗示している。日本企業の組織能力を製品知識に基づく統合力に求めてきたこれまでの議論との関連でいえば,プロジェクト・リーダーのみならず技術開発リーダーもまた日本企業の組織能力の構築に重要な役割を果たしているのではないか。これは従来見過ごされてきた論点である。
 技術開発リーダーはその組織的な位置づけから表面的には特定の技術領域に専門化しているようにみえる。しかし分析結果から推測して,彼らはこれまでの仕事経験や相互作用を通じて製品知識の一部分を取り込んだうえで技術開発を進めているといえるだろう。そうであればプロジェクト・リーダーの役割とされてきた統合問題は相当程度まで個別の技術開発部門のレベルでつくり込まれていると考えられる。このようなイノベーションの統合力のあり方を「つくり込み」モデルと呼ぶことにしよう(Kusunoki and Numagami, 1998)。
 「つくり込み」モデルにおける技術開発リーダーは,HWPMモデルとは異なって,特定の技術専門領域における機能知識の創造と蓄積に集中しているわけではない。日本企業で優れた開発成果を上げている技術開発リーダーはこれまでのキャリア経験や組織内外との機能横断的な相互作用を通じて相当の製品知識を蓄積している。機能部門の開発活動の直接の対象はある技術専門領域に対応しているけれども,その背後では技術開発リーダーを通じて製品知識のある側面が事前に個別の技術開発部門に取り込まれているのである。この「取り込まれた製品知識」を活用することによって,実際の製品開発においては従来想定されていたよりもずっと早いタイミングで製品統合が意図されている可能性がある。そうであるとすれば,個々の技術開発部門がアウトプットとして提供する機能知識(要素技術やコンポーネント)は,あらかじめ相互依存関係にある他の機能知識と統合されるような方向であらかじめ開発されているのであり,他の機能知識との事後的な調整を必ずしも必要としなくなる。統合力が技術開発リーダーによって開発活動の内部に「つくり込まれている」というのはこのような意味である。

3 分化と統合の再解釈

 すでに述べたように,イノベーションが「システム」を対象としている以上,分化(differentiation)と統合(integration)はイノベーションの組織論の根幹を支えるもっとも基本的な概念枠組みのひとつである(Lawrence and Lorch, 1967)。しかし,上で議論した「つくり込み」モデルは,イノベーションの組織における「分化と統合」の概念がHWPMモデルが立脚している伝統的な概念とはそもそも異なっているということを暗示している。分化と統合の再解釈の必要性を示唆しているといってもよい(楠木,1997)。
 伝統的なHWPMモデルでは,製品システム全体がどのような要素単位に分かれるのかという分化の問題は統合に先行する所与の条件であった。機能知識のカテゴリーは事前に固定されており,これが焦点化装置としてはたらき,技術開発部門による機能知識の創造をドライブしていくという図式である。プロジェクト・リーダーによる統合はこれを受けて始まる。この意味での統合はいわば複数のピース(機能知識)を所与として,機能横断的な調整を通じてそれらを組み合わせていく「ジグソーパズル」のような作業である。このように分化と統合は明確に区別できる二段階の逐次的プロセスとして考えられていた。そこで最終的に達成されるべきイノベーションの姿,すなわちジグソーパズルの「絵」は事前に製品コンセプトによって明確に描かれており,従来のHWPMモデルにおける統合は事前に計画ないし意図された収束点に向かう作業であるといえる。
 しかし技術開発リーダーを通じて個々の技術開発部門の内部に特定の製品知識が取り込まれているとすれば,機能知識のカテゴリーは必ずしも固定的ではなくなる。それぞれの技術開発リーダーは製品システム全体の中で注目している部分が異なるので,製品知識のどの側面を取り込んでいくかもまた技術開発リーダーによって違ってくるだろう。すなわち「つくり込み」モデルでは製品システムについての理解が多面的になるのである。それぞれの技術開発部門は事前に固定されたジグソーパズルのピースを担当するのではなく,それぞれが全体システムについての特定のイメージをもちながら,しかしある構成要素についての開発を進めるわけである。したがって「つくり込み」モデルにおける分化と統合は逐次的な2段階プロセスではなく,技術開発部門の開発活動の中に両者が不可分の形で含まれているともいえる。
 製品統合をあらかじめつくり込んである機能知識の組み合わせは,ピースを所与とするジグソーパズルとは大きく異なる。「つくり込み」モデルにおける統合の本質は,所与のピースをきちんと組み合わせるというよりも,それぞれの機能知識を製品システム全体の文脈の中で相互に意味づけたり,機能知識のカテゴリーを統合の過程で柔軟に組み替えることにある。統合された製品は事前に計画された収束点ではなく,むしろ統合の過程で事後的に見いだされる「落としどころ」といえる。統合が個々の要素部分の内部で分散的・自生的(sponteneous)に達成されるといってもいい。



VI おわりに

 この論文では日本企業における技術開発リーダーのキャリアと組織的相互作用の分析を通じて,機能知識と製品知識の観点から日本企業のイノベーションの組織能力について議論してきた。本稿の分析と議論が提起しているいくつかの問題のうち,理論的にもっとも本質的なものをあげるとすれば,それは組織や製品システムを構成している「部分」とは何なのか,という問いかけである。日本のイノベーションの組織にとって,特定の要素技術開発を担う部門は何のための組織単位なのか。技術開発リーダーをはじめとする要素技術開発部門の人々は,いったい何のために何をしている人々なのか。一見自明であるようにみえて,いや,自明であるようにみえるからこそ,これまでの研究の多くが素通りしてきた問題である。
 従来の組織論において,機能専門性は組織を分化する際の基準次元であると考えられてきた。「部分」とはなにかという問いかけは組織の分化に焦点を当てた問題である。この問いかけは日本企業のイノベーションの組織能力に関するこれまでの研究が注目してきた「統合」の前にくるべき問題である。分化についての正確な理解なしには統合についての考察も進まないからである。技術開発リーダーの役割が従来の「機能対製品」という枠組みに収まらないということは,日本企業におけるイノベーションの組織がそもそも伝統的な「機能分化」とは異なる分化の概念に立脚しているということを示唆している(楠木,1997)。本稿の分析はイノベーションを支える人々に焦点を当てたものであったが,その向こうにはこのようなイノベーションの組織の基本概念にかかわる問題が広がっているのである。
 実証分析として残された問題も少なくない。そもそも本稿の分析は技術開発リーダーに限られている。「プロジェクト・リーダー」と呼ばれている人々についても同様の分析が必要である。技術開発リーダーに加えて製品開発のプロジェクト・リーダーに注目した実証分析を行えば,日本企業のイノベーションの組織能力についての理解をさらに深めることができるだろう。稿をあらためて展開したい。



*この研究は筆者が参加した科学技術庁科学技術政策研究所(NISTEP)の「企業における技術知識の構造と機能に関する調査」プロジェクトで収集されたデータに基づいている。プロジェクト・リーダーの野中郁次郎氏(北陸先端科学技術大学院大学)を始め,質問票調査の事務局としてとりまとめを担当された永田晃也氏(北陸先端科学技術大学院大学)ら,メンバーの方々に感謝いたします。


注1) 回帰分析の結果は次の通り。革新性=-1.39+0.22*技術開発部門開発費+0.00*技術開発部門人数+0.19*開発環境+0.27*企業規模(Adj. R-Sq. =0.09;F=4.66(注***)。完成度=0.23+0.23*技術開発部門開発費+0.00*技術開発部門人数+0.11*開発環境-0.14*企業規模(Adj. R-Sq. =0.04;F=2.09(注*))。


参考文献
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くすのき・けん 1964年生まれ。一橋大学大学院商学研究科博士課程単位取得。一橋大学商学部および同大学イノベーション研究センター助教授。主な論文に「システム分化の組織論:イノベーションの組織論のイノベーションに向かって」『ビジネス・レビュー』Vol. 45, No. 1など。イノベーションの組織理論専攻。