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(著者抄録)
近年,パートタイマーは数のうえだけでなく(量的基幹労働力化),その担当する職務の面(質的基幹労働力化)でも基幹的な労働力になりつつある。本稿では,パートタイマーの質的基幹労働力化が彼女(彼)らの職務態度にどのような影響をもたらすかを理論的・実証的に検討した。理論的には,職務特性モデルに依拠して,質的基幹労働力化がパートタイマーの職務態度にプラスの影響を与えるものと仮定された。実証的には二つのチェーンストア組織において質問紙調査が実施された。二つの組織の比較,および個人単位の分析を行った結果,質的基幹労働力化が必ずしも職務態度の改善をもたらさない可能性があるということが示唆された。つまり,同程度の量的基幹化レベルにある二つの組織のうち質的基幹労働力化の進んだ組織のパートタイマーの職務態度がより好意的であるとはいえず,基幹的な仕事を担当しているパートタイマーの職務態度がより好意的であるとも言えない。調査結果のもつ意義が検討された。

(論文目次)
I はじめに
II パータイマーの基幹化に関する概念規定と日本におけるその実態
III パートタイマーの職務態度とその理論
IV 調査の対象と方法
V 調査の結果
VI 考察と今後の課題

I はじめに

 近年パートタイマーは数のうえだけでなく,担当する仕事内容の点でも重要な労働力となっている。その背景には,正規職員の仕事を「安価で良質な労働力」(林,1991)で代替させることによって人件費コストを削減しようとするねらいがある一方,仕事の質を改善することによって労働者の働きがいを高めようとする労働の人間化施策の一環という見方もありうる。労働の質改善を通じた組織効率の向上という形で,二つのねらいが相乗的に,また同時に達成される「望ましい」可能性もありうるであろう。しかし逆に待遇の改善なしに正規職員並みの仕事を担当させることは不公正感を高め,これが労働の質改善の効果を相殺し,組織効率の低下を招くという「悪循環」も考えられる。どちらの可能性がありうるかは実態に即した,また理論的に根拠のある議論を必要としている。
 そこで,本稿はパートタイマーの基幹労働力化(以下,基幹化)が彼女(彼)らの職務態度にどのような影響をもたらすかを理論的・実証的に検討する。理論的には,社会心理学,特に組織心理学の立場に立ち,実証的には二つのチェーンストア組織における調査データ(注1)(注2)に基づいている。




II パートタイマーの基幹化に関する概念規定と日本におけるその実態

 日本では,各省庁の様々な統計調査,学会および労働組合等による調査目的に応じた異なる概念規定がなされてきたため,パートタイマーの定義は明確ではない(鈴木,1999)。そのような現状を踏まえ関連の文献をできるだけ幅広く探索するため,本稿では暫定的に「事業所が正社員以外でいわゆるパートタイム労働者的取扱いを行っている者及び一般の正社員より所定労働時間が短い者」(労働大臣官房政策調査部編,1992)という比較的広い意味でこの言葉を用い,必要な場合その都度語の意味を規定することにする。
 次に基幹化(または戦力化)の概念であるが,これを字義通り解釈すればパートタイマーが組織の中で中心的役割を占めることと考えられる。しかし,概念を実証可能なレベルまで具体的に規定しようとすると,そこには様々な意味が含まれていることがわかる。そこで,少なくとも以下五つの点から整理しておく必要があると思われる。
 まず,量的な基幹化と質的な基幹化の区別である。前者はパートタイマーの増員や雇用比率の上昇であり,後者はパートタイマーの仕事の質を向上させることである(本田,1999)。特定のカテゴリーの労働者の相対的な数(割合ないし社会的構成)が労働者の態度・行動に影響する(Kanter, 1977)ことからすれば,量的な基幹化はパートタイマーの態度への影響という点で重要である。また,組織を垂直的(ランクやレベル),放射的(中心性),円周的(職能や部署)という3次元からなると考える円錐モデル(Schein, 1971; 1980:図1)によれば,質的基幹化は組織における中心性(centrality)の変化と考えられる。この場合,基幹化は地位の変化と経験的には関連があっても,概念的に区別される。中心性は「信頼されている度合や,重要な決定に影響を及ぼすことが許されている度合」(Schein, 1980)であり,本稿でも質的基幹化をその意味でとらえることにする。ただし,そのように規定しても,質的基幹化は具体的ではなく,職場によってその中身も多様であるとすれば,正社員の仕事の質への接近ないし正社員の仕事の代替(本田,1999)を代理指標にすることも考えられる。また,職務態度への影響という点から見ると,パートタイマー自身の仕事内容だけでなく,正規職員のそれとの関係や比較が重要な意味を持つ。質的な基幹化に注目した研究としては,仕事内容や処遇,正社員との比較などを基準とする基幹型パートと補完型パートの分類(中村,1990)や,チェーンストアの店舗における正社員のキャリアとの比較に基づいたパートタイマーの基幹化のモデル(本田,1999;図2)などがある。

図1 組織の3次元モデル

図2 パートタイマーの質的な基幹労働力化の概念図

 第2に,基幹化を国,組織,職場集団,個人などのどの単位でとらえるかという問題である。組織や職場集団単位で見た場合,全体としての基幹化のレベルは同じであっても,パートタイマーの一部だけ質的基幹化を進めるか(パート内での選別),全員の仕事の質を高めるか,という選択が生じる。職務分担の明確化を徹底するか,日本流の集団的な仕事の進め方の中でパートタイマーを活用するかの違い(林,1991)とも言える。たとえば,本田(1999)は上記のモデルに基づいて,店舗や職場単位での基幹化のタイプを,「作業の補助だけでなく基幹労働力化したパートタイマーも活用する」レベル1と「ほとんど全員のパートタイマーを集団的に右方面(注3)に持っていく」レベル2に分類している(図2)。また基幹化を集団単位で見た場合,正社員との分業関係の変化としてとらえることも考えられる。たとえば,スーパーにおける「青果売り場型」と「婦人服売り場型」の区別(脇坂,1986)や,「非生鮮型」「生鮮型」「対面販売型」などの分類(本田,1993)がある。
 第3に,質的基幹化を特定の一時点でとらえるか,キャリアとして考えるかという問題である。現在の仕事がどのような質を持っているか,だけでなく過去にどのような仕事をし将来どのような仕事をするかということ,つまりキャリアパターンないしキャリアパスの問題である。職務態度には過去のキャリアや将来のキャリアの見通し,特に機会(opportunity)の存在が影響する(Kanter, 1977)ことからすると,キャリアとしての基幹化をとらえることが重要であろう。
 第4に,基幹化を経営者・管理者側の視点と従業員側の視点のどちらからとらえるかという問題である。組織や職場集団単位で基幹化をとらえる場合,経営者・管理者から情報を得るのが一般的であるが,彼(女)らが人的資源管理システムについて正確に知っており,ゆがみなく外部の人間に報告するとは限らない(Rosenbaum, 1989)。他方,担当する仕事の特性についてのパートタイマーの自己報告は外部の人間による行動観察と一致しない(Steinberg et al., 1982)。これらの点からすれば,基幹化の正確な評価のためには両方からの情報を取り入れることが有効であろう。
 第5に,基幹化に限らず一般に現象の変化を実証的に検討する際の問題として,時系列的データの利用がある。キャリアとして基幹化を考える場合は,とりわけ同一組織や個人を異なる時点で繰り返し調査し比較する縦断的データが有効であるが,時間・労力等のコストを考えると,一時点で異なる対象者を比較する横断的データや回顧的データで代替することもありうるだろう。たとえば,勤続年数の異なるグループの職務内容を比較したり,同じ人に過去の仕事と現在の仕事を比較してもらうなどの方法である。
 以上のような点を留意しながら,日本におけるパートタイマーの基幹化の実態をいくつかの統計調査データに基づいて見てみる。まず量的な側面については,その拡大傾向が指摘できる。たとえば,勤務先での呼称によって調査されたパートタイマーの全雇用者中の割合は1987年の10.2%から99年の14.0%に,特に女性におけるその割合は26.1%から32.2%へと増加している(総務庁統計局編,1999)。
 次に質的な側面について,まず組織,職場単位での基幹化に焦点を当てた統計調査を見ると,1989年に製造業・卸小売業・飲食店・サービス業を対象に実施された調査で非正社員(アルバイト,嘱託なども含む)の女性を「基幹的な仕事」に配置している事業所の割合は4~5割,「責任のある仕事」の割合は2~3割見られる(日本労働研究機構,1991)。また,1998年に小売業・飲食業を対象に実施された調査で,非正規従業員(学生,フリーターなども含む)の「ほぼ全員が正規従業員とかわりなく働いている」店舗は35.0%,「優秀な場合には,正規従業員と同様に働いている」店舗が26.6%となっている(日本労働研究機構,1998)。他方,個人単位での基幹化に焦点を当てた調査では,前記1989年の事業所調査といっしょに行われた従業員調査で,非正社員の女性のうち「正社員と全く同じ仕事」を担当しているのは56.9%,「正社員と一部同じ仕事」は29.6%であった(日本労働研究機構,1991)。以上のように,質的な側面から見ても,パートタイマーの基幹化はごく一部の組織や個人に限定されない広がりを示していると言えよう。




III パートタイマーの職務態度とその理論

 組織心理学における職務態度の研究は,これまでその三つの側面つまり職務満足感,仕事への動機づけ,組織コミットメントに焦点が当てられてきた。そこで,本稿でもそれらを中心に取り上げることにするが,パートタイマーを対象とした研究は少ない。組織研究においてパートタイマーは“忘れられた人々”(Rotchford & Roberts, 1982)である。
 そのように限られた研究を見て最初に気づくことは,パートタイマーの客観的待遇の低さ(古郡,1996など)にもかかわらず,正規従業員と比べて職務態度が非好意的であるとは限らないことである。たとえば,女子パートタイマーはそれ以外の女性従業員より職務満足感が有意に高く(小野,1993),全国的サンプルを使った調査でも職業生活全体に関する満足度指数は正社員にくらべて高い(佐藤,1998)。また,女子パートタイマーの組織コミットメントはフルタイマーよりも低いが,女子のフルタイマーとは差が見られない(咸,1991)。欧米での調査のレビュー(Barling & Gallagher, 1996)でも,フルタイムとパートタイム労働者の職務態度の違いを検討した研究の結果は一貫しておらず,その原因として,両者にはパートタイム/フルタイムという雇用形態の違い以外に,職務内容,雇用形態に対する好み,人口統計学的な特徴などに違いがあることが指摘されている。したがって,それらの変数をコントロールしたうえで雇用形態の違いを検討する必要がある,ということになる。
 さらに,単純に雇用形態で労働者を二分して比較する方法は非生産的であること,むしろ雇用関係の“周辺性”(“中心性”)のより適切な定義やパートタイマーの中での態度の違いを検討する必要があること(Barling & Gallagher,1996)が指摘されている。たとえば,パートタイマーの中でも,雇用期間の定めの有無,自己の学歴や職務経験と雇用形態の一致度,人口統計学的変数(性,ライフステージなど)によって態度が異なることが見いだされている(Feldman & Doerpinghaus, 1992)。また,パートタイマーの中で,週および1日当たりの労働時間が正社員と同じ「フルタイマー」はそれ以外のパートタイマーよりも仕事意欲が高かった(佐野・若林,1995)。しかし,雇用関係の“周辺性”の本質的な意味であると考えられる仕事内容(課業)の違いが,パートタイマーの職務態度にどのような違いをもたらすかについては,ほとんど実証的な検討がなされていない。
 パートタイマーの職務態度の研究は,以上のように数が少なく十分一貫性のある知見が得られていないだけでなく,“没理論的”である(Barling & Gallagher, 1996)。つまり,多くの研究では態度を一般的に説明・予測する概念的枠組みが提示されていない。ただし,全く理論的なアプローチがないわけではなく,いくつかの試みがなされている。その一つとして,特に基幹化と態度の関係を検討するうえで有効であると思われるのが,職務特性モデル(Hackman & Oldham, 1975; 1980:図3)である。そのモデルによると,職務のもつある種の特性(五つの基本的特性)は,従業員の中に三つの「臨界的心理状態」をつくり出し,その結果様々な心理的および仕事上の成果(たとえば,高い満足感・出勤率・業績,低い転職率)が生じるとされる。五つの職務特性とは,(1)技能の多様性(職務が,仕事の遂行において,多数の異なる技能や才能を用いて様々な活動を行うことを求める程度),(2)課業の一貫性(職務が,全体的であり,かつ一つ一つを確認できる作業の完成を求める程度,つまり一つの仕事を目に見える成果を伴って最初から最後までする程度),(3)課業の有意味性(職務が当該組織内外を問わず,他人の生活や仕事に重大な影響をもたらす程度),(4)自律性(仕事のスケジュールやその実施に使われる手続きの決定において,個人に多くの自由,独立性,裁量を与える程度),(5)フィードバック(職務に必要とされる活動の実施が,遂行の有効性についての直接的で明確な情報を個人にもたらす程度),である。そして,ある職務の持つ動機づけの潜在力は,MPS(Motivating Potential Score)=(技能の多様性+課業の一貫性+課業の有意味性)÷3×自律性×フィードバック,という式によって算出される。ただし,MPS(職務の複雑さ,職務の範囲などとも呼ばれる)の高い職務が,すべての個人に同じような効果をもたらすわけではない。その効果は,知識・技能の高い人や,達成・成長に対する欲求の強い人,そして労働環境(給与,職務保障,同僚,上司など)に満足している場合により高まる。つまり,知識・技能,成長欲求,“環境”への満足が職務特性と結果の関係を調整する要因として働くという。このモデルの妥当性を検証した数多くの研究結果を集約すると,職務特性が心理的成果を向上させるという点では理論の有効性が確認されているが,調整要因の効果については必ずしも一貫した結果は見られない(Fried & Ferris, 1987; 田尾,1987)。このモデルをパートタイマーに適用した数少ない研究によると(Katerberg et al., 1979),職務の複雑さは職務態度と強い正の相関を示したものの,“環境”への満足感の媒介効果は検出されなかった。

図3 職務特性モデル(Hackman & Oldham, 1980)とパートタイマーの質的基幹労働力化

 以上のような点からすると,このモデルはその一部に妥当性の問題があるもののパートタイマーの基幹化と職務態度の関係を検討するうえでも有効であろうと思われる。つまり,基幹化は職務内容の五つの特性の改善をもたらすと考えられるからである。そして,基幹化が職務の複雑さを高めるとすれば,モデルに見られるようにパートタイマーの内的動機づけや職務満足感,組織コミットメントの改善をもたらすであろう。また,調整要因の効果も検討の余地があろう。
 次にパートタイマーの職務態度への理論的アプローチとして有望なのが,準拠枠(frame of reference)の理論(Goodman, 1974; Feldman, 1990; Feldman & Doerpinghaus, 1992)である。この考え方によれば,自分の置かれた状況に対する個人の評価は誰(準拠他者,準拠集団)を比較対象とするかによって左右される。たとえば,パートタイマーが同一組織内の待遇のよいフルタイマーを準拠集団に選ぶと,パートタイマーを選んだ場合より大きな不満を抱くだろう。実証調査ではパートタイマーの職務態度の違いに準拠集団の変数の影響は見られなかった(Feldman & Doerpinghaus, 1992)が,まだ実証例は少なく,パートタイマーの基幹化と職務態度の関係においても準拠集団の変数の調整要因としての働きを検討する余地がある。つまり,パートタイマーが基幹化した場合,自分の置かれた状況を正規従業員と比較するようになると思われるが,その場合は不満が大きくなるかもしれない。
 基幹化に対するパートタイマーの反応を説明・予測するための三つ目の理論は,従業員の価値観(欲求や好み)と労働環境との一致・不一致を重視する考え方である(Barling & Gallagher, 1996)。関連すると思われる価値観の一つはパートタイム雇用を選んだ理由が自発的かどうかである。自発的に選んだ人と正規雇用を望みながらやむなくパートタイムを選んだ人とでは基幹化に対する反応が異なると予想される。二つ目は「中心的生活関心」(Dubin et al., 1975)が仕事・家庭・趣味等のどこにあるかという点である。中心的な関心が仕事にある場合には基幹化は好意的な反応をもたらすが,家庭や趣味にある場合には影響をもたらさないかもしれない。
 以上のような理論的検討に基づいて,本稿では質的基幹化がパートタイマーの態度に及ぼす影響を説明するためのモデルを設定した(図3)。つまり,1)質的基幹化は職務特性の改善を通じて職務態度(職務満足感,仕事への動機づけ,組織コミットメント)を高めるであろう,2)質的基幹化が職務態度にもたらす影響は,知識・技能,成長欲求の強さ,“環境”への満足度,比較対象,パートタイム雇用選択理由,中心的生活関心によって調整されるであろう,と考える。そして,このモデルを二つの組織における調査によって実証的に検討することにした。




IV 調査の対象と方法

 調査対象組織は,宮城県に本部を置くA生協および東京都内に本部を置き,首都圏に店舗を展開しているB社である。A生協については,文書資料調査,幹部職員・労組役員・正規・パート職員へのインタビュー調査を実施し,その結果に基づいて正規・パート全職員を対象とする質問紙調査を1997年9~10月に実施した。正規職員615人,パート2345人から有効回答が得られ,パートのうち店舗に所属する1832人(全員女性:平均年齢45.2歳)の回答を今回の分析対象とした。B社では,幹部職員へのインタビューを実施するとともに,A生協とほぼ同じ内容の質問紙調査を1997年11月に実施した。11店舗の正規職員146人,パート125人から有効回答が得られ,パート職員全員のデータ(全員女性:平均年齢47.3歳)を分析対象とした。
 質問紙は,フェイスシート項目(職務内容等を含む),人的資源管理制度の認知に関する項目,職務態度に関する項目からなる。基幹化,知識・技能,成長欲求の強さ,“環境”への満足度,待遇の比較対象,パートタイム雇用選択理由,中心的生活関心,職務態度(職務満足感,仕事への動機づけ,組織コミットメント)の各変数の測定項目は以下の通りである。

1)基幹化:二つの項目を用いた。一つは,「あなたの仕事は何ですか」という問いで25種類(B社では23種類)の仕事(表1の「仕事の内容」)から主なものを五つまで選んでもらった。二つ目は,担当する仕事について,「自分の仕事は正規職員とほとんど同じである」という文章への同意度を5段階で評定してもらった。

表1 質的基幹労働力化の組織間比較

2)知識・技能:勤続年数を代理指標とした。

3)成長欲求の強さ:「あなたは仕事をする上でどのようなことを重視したいと思っていますか」という問いについて以下から三つ選んでもらった。「1.変化があっておもしろいこと 2.上司にめぐまれること 3.やりがいのある仕事であること 4.解雇される心配がないこと 5.自分の裁量で仕事ができること 6.仕事仲間に恵まれること 7.自分の能力が発揮できること 8.給与水準が高いこと 9.昇進の可能性があること 10.福利厚生が充実していること 11.仕事を通して新しいことが学べること 12.仕事を通じてメンバーや地域に貢献できること 13.その他」。このうち,1,3,5,7,11の5項目からの選択数を成長欲求の指標とした。

4)“環境”への満足度:「上司との関係に満足している」「仕事仲間との関係に満足している」「今の給料に満足している」という三つの項目への同意度を5段階で回答してもらった。また,3項目の合計点を“環境”満足度とした。

5)待遇の比較対象:「あなたはA生協での自分の待遇が公平かどうかを判断する際何と比較しましたか?」という質問に対して以下から一つ選択してもらった。「1.同じ部門のパート 2.同じ店や事業所のパート 3.地域の生協以外で働い
ているパート 4.自分のこれまでのパート経験5.正規職員 6.その他」。このなかで,1,2を選んだ場合,パート比較群とし,5を選んだ場合,正規比較群とした。

6)パートタイム雇用選択理由:「あなたがパートで働くことを選んだ理由は何ですか」という問いに対して以下から二つまで選んでもらった。「1.正社員の仕事がなかったから 2.家が近いから
3.いつでも休めるから 4.いつでも辞められる
から 5.短時間の仕事だから 6.簡単な仕事だから 7.勤務時間や勤務日を自分の都合に合せられるから 8.家事・育児・介護など家庭の事情で通常の勤務時間で働けないから 9.その他」。このうち,2~7を選んだ場合を自発的選択群,1か8を選んだ場合を非自発的選択群とした。

7)中心的生活関心:「現在のあなたの生活を次の四つに分けて考えた場合,それぞれはどのくらいの重みを占めていますか。合計100%になるようにわりふってください」という問いへの回答で,「A 仕事や職場での生活 B 家庭,家族との生活 C 個人的な趣味,余暇生活 D 居住地域での生活」のうち「A 仕事や職場での生活」にわりふられた数字を「仕事中心性」指数とした。

8)職務態度(職務満足感,仕事への動機づけ,組織コミットメント):職務満足感は,全般的な仕事満足,仕事内容の満足の2項目,仕事への動機づけは,仕事へのやる気,仕事中時間が知らぬ間にすぎていくという感じ,仕事を完全にやりとげたい気持ち,仕事のやりがいや達成感,という4項目,組織コミットメントは,生協の使命や理念(経営理念や社風)の受け入れ,積極的意欲,組織残留意思,組織依存,他者への就職の推薦,という5項目(表2)。各項目への同意度を5段階で回答してもらった。5段階の評定値の合計を,職務満足感,ワークモティベーション,組織コミットメントの尺度値とした。

表2 職務態度の組織間比較

 分析は,組織単位と個人単位で行った。組織単位では,主に項目ごとの単純集計結果を用いて二つの組織(店舗部門)全体としての基幹化レベルと職務態度を比較した。個人単位では,A生協のデータについて,加工された変数ないし尺度値を用いて,個人の基幹化レベルと職務態度の関係を検討した。




V 調査の結果

 1 二つの組織の比較

 公式の文書資料によるとパートタイマー数(8時間換算)を全従業員数で割ったパート化率は,1997年度の場合,A生協67.7%に対してB社65.0%とほぼ同じ水準である。ただし,この数字には今回の比較対象の店舗部門以外に所属するパートタイマー,特に生協の場合,共同購入部門のパートタイマーが多く含まれている。また,聞き取り調査によるとどちらの組織でも店舗部門のパート化率が高い。以上の点からすると店舗部門のパート化率は両組織とも先の数字より高く,特にA生協ではより高めになろう。それでも,パートタイマーの基幹化の量的側面に関して両組織間に大きな差はないと考えてよいであろう。
 次に,質問紙調査データに基づいて質的基幹化を比較すると(表1),まず「品出し」や「値付け・包装」など定型的作業ではA生協よりもB社のほうが担当しているパートが多く,「売価変更」や「定番発注」などやや裁量のある作業ではA生協のパートのほうが多く担当している。また,A生協では「受付」や「レジ」も多く担当している。さらに,非定型的作業では,B社のパートはほとんど担当していないのに対し,A生協では「売り場づくり・計画」や「企画・スポット発注」などをパートの10%以上が担当している。ただし,作業分担の調整や教育・訓練など管理的業務には両組織ともまだパートタイマーは進出していないようである。また,表中の合計欄を見ると,回答者1人当たりが担当している仕事の種類もA生協のほうが多い。正規職員の仕事との比較でも「正規職員とほとんど同じ」という回答がA生協に多い。
 人事担当者からの聞き取りによるとA生協のパートタイマーの組織内キャリアの幅と深さは限定されている。正規職員への登用制度は存在するが実績はほとんどなく,パートのまとめ役と教育・訓練役を公式に認定する「パートリーダー制度」も現在は指定される人がいない。店舗間や部門間の移動はほとんどない。また,時給は勤続年数に応じた上積みがあるだけで,能力業績に応じた差はつかない。一方,B社のパートタイマーには基準時給に資格手当と役職給を加えて時給を算定する「キャリアパート制度」が1995年に導入されたが,その適用はごく限定されている。また,一般のパートタイマーにも考課がなされ,能力業績に応じた時給の差が生じる。以上の点からすると,キャリア管理の面でB社のほうが多少制度上の配慮があるが,実態としてはどちらの組織とも正規職員のそれとは区別されており,担当する仕事の内容の実態からすると,B社よりもA生協のほうが質的基幹化が進んでいるといえるだろう。
 次に,二つの組織の店舗部門のパートタイマーの職務態度を比較すると(表2),職務満足度ではB社のほうが高く,仕事への動機づけでは大きな差がない。組織コミットメントでは,「生協の使命や理念(経営理念や社風)は自分に合っている」や「人に働くことを薦める」という点ではA生協,「残業や休日出勤はすすんでひきうける」という点ではB社で同意率が高い。
 以上の結果をまとめると,組織(店舗部門)単位で見た場合,A生協のほうが質的基幹化は進んでいるが,仕事への動機づけに大きな差が見られず,職務満足感がむしろ低いなど,職務態度は必ずしも好意的でないことが指摘できる。

 2 A生協パートタイマーの個人単位での分析

 組織単位での比較では組織全体の基幹化レベルと職務態度の関係に注目したが,そこで用いられたのは個人単位の回答を集積したデータである。したがって,当然のことながら回答者1人1人を見れば,その職務内容は基幹化している場合もそうでない場合もある。また,職務態度には,人間関係や組織の政策など職務以外の組織変数(Katz & Van Maanen,1977)や性・年齢・学歴などの個人変数など様々な変数が影響するが,今回の組織間比較では,これらの変数はコントロールされていない。したがって,組織間に態度の差が見られたとしても,それを基幹化レベルとすぐに結びつけるのは危険である。そこで,より厳密な統計的分析を行うため,データの多いA生協パートタイマーについて,個人単位での分析を行うことにした。
 まず,個人単位で基幹化を見る場合,組織間比較の場合と同様に担当する仕事の内容を「定型的―非定型的―管理的」(本田,1999)という既存の分類基準で測ることが考えられるが,A生協という組織に特有のより細かな基幹化の次元を探るほうがより正確な分析になるであろう。また,パートタイマーは1人当たり平均四つの仕事を担当している(表1)ことからすると,個人の基幹化レベルを探るためにはセットとしての課業(task)の基幹化を測る必要がある。そこで,パートタイマーの担当する25種の仕事の関係構造を探り,同時に構造上での個人の位置づけを行うため,数量化3類による分析を行った。第1,第2特性値(次元)によって仕事を位置づけると(図4),人員配置の調整や教育訓練などの管理的職務群,受付やレジなどの接客的職務群,作業の自己チェックや売り場接客などの一般的店舗作業群,加工や発注などの売り場準備作業群などに分類されることがわかる。また,第1次元は担当部署(職能)の違い,第2次元は職務の管理的性格のレベルを表すと考えられる。ここで,第2次元は一般的な意味での質的基幹化の一側面を表している。しかし,第1次元は「責任の大きさと重要な決定への参加度」という質的基幹化の本質的な内容に対応していない。そこで,売り場準備作業群の仕事に限定して,数量化3類によって再分析したところ,「責任の大きさと重要な決定への参加度」に対応すると思われる次元(第1次元)が見いだされた(図5)。そこで,この次元に対応する個人得点(注4)を基幹化の指標とすることにし,売り場準備作業を担当しているサンプルのみ(N=342)を以降の分析対象とした。ちなみに,この基幹化の指標は「自分の仕事は正規職員とほとんど同じである」程度の5段階評定値(注5)とr=.30(p<.01)の相関を示しており,ある程度の信頼性を持っていると思われる。

図4 仕事内容の数量化3類による分析

図5 仕事内容の数量化3類による分析:売り場準備関係のみ

 次に,職務特性理論に基づくモデルを検討するため,まずモデルに含まれる全変数の相関行列を求めた(表3)。相関の値は全体に低く,有意なものが少ない。基幹化と職務態度の相関も有意ではなかった。さらに,六つの調整変数の効果を検討するため,階層的重回帰分析と下位グループ分析(Katerberg et al., 1979; 田尾,1991)の二つを行った。階層的重回帰分析は,職務態度を基準変数,基幹化と調整変数の二つを説明変数として投入した後で,基幹化と調整変数の相互作用項を投入した結果有意な説明力の増加が見られれば,調整変数の効果が見られると判断される。分析の結果,全体にモデルの説明力が低く,相互作用項の投入によって有意な説明力の増加が見られたのは三つだけであった(表4)。つまり,仕事の動機づけにおける成長欲求の調整効果,組織コミットメントにおける比較対象および自発性の調整効果である。下位グループ分析は,調整要因のレベルによってサンプルを下位グループに分割して,おのおののサンプルごとに基幹化と職務態度の相関を見るもので,グループ間に相関の有意差が見られれば調整効果が確認される。分析の結果,有意な差が見られたのは三つである(表5)。つまり,下位グループ分析の結果仕事の動機づけにおける成長欲求の調整効果,組織コミットメントにおける自発性の調整効果,職務満足感における仕事中心性の調整効果が確認された。このうち最初の二つは重回帰分析の結果と一致する。三つの調整効果の方向については,まず成長欲求が低い場合,基幹化は仕事への動機づけと関係がないが,成長欲求が高い場合,仕事への動機づけと正の関係が見られる。第2に,自発的にパートを選んだ場合,基幹化と組織コミットメントは関係がないが,非自発的に選んだ場合,組織コミットメントと負の関係がある。第3に,仕事中心性が高い場合,基幹化は職務満足感と関係ないが,仕事中心性が低い場合,職務満足感と負の関係がある。

表3 変数間の相関(r)

表4 階層的重回帰分析の結果:決定係数(R2)

表5 下位グループ分析の結果:基幹化度と職務態度の相関(r)

 個人単位の分析の結果をまとめると,基幹化は職務態度にほとんど関係を示しておらず,仮定された調整要因の効果も一部しか確認されなかったといえる。




VI 考察と今後の課題

 二つのチェーンストア組織のパートタイマーの調査を通じて明らかになったことは,基幹化が必ずしも職務態度の改善をもたらさない可能性があるということである。同程度の量的基幹化レベルにある二つの組織のうち質的基幹化の進んだA生協のほうがパートタイマーの職務態度が好意的であるとは言えず,A生協のパートタイマーの中で基幹的な仕事を担当しているパートタイマーの職務態度がより好意的であるとも言えない。
 結果の一つの解釈は,パートタイマーが正規職員とは異なる価値観や好みを持っているために基幹化が有効性を持たないという可能性である。これまでの全国レベルの調査で,パートタイマーには責任や権限のある仕事につきたいという希望や正社員になりたいという希望が少ないこと,消極的な理由でパートタイマーを選択した者が少ないことが繰り返し確認されている(林,1991;日本労働研究機構,1991;労働大臣官房政策調査部編,1992;日本労働研究機構,1998;本田,1999)。また,パートタイマーは仕事よりも生活を重視する傾向が強い(佐藤,1998)。今回の質問紙調査でも,「パートの担当する仕事の範囲をもっと広げるべきだ」という意見への賛成率は両組織ともに低く,特にA生協で低い(A生協:7.4%;B社:21.0%)。また,A生協のデータで見るとパートタイマーの仕事中心性は正規職員に比べて低い(正規男子:56.4;正規女子:59.0;パート:34.5)。このような点からすると,もともとパートタイム雇用を選ぶ女性たちは基幹化とそれにともなう仕事生活への関与に抵抗するような価値観を持っていると考えられる。したがって基幹化が職務態度を改善しない可能性も十分考えられる。さらに,パートタイマーの中でも仕事中心性の低い人の場合には基幹化がむしろ職務満足感を低下させる可能性があることが今回の調査で示唆されている。他方,成長欲求の高いパートタイマーには基幹化が仕事への動機づけを高める可能性も見いだされており,パートタイマーの中での価値観の違いにも目を向ける必要があろう。
 基幹化が職務態度を改善しないという結果の解釈の二つ目は,仕事の質が改善されても労働条件や待遇の整備がともなっていない,むしろ悪化しているためではないかという可能性である。今回の調査で質的基幹化の進んでいるA生協のほうが「仕事が多くて時間内に終わらない」(A生協:40.7%;B社:25.6%)や「仕事に追われている」(A生協:55.5%;B社:47.2%)という回答が多い。また,A生協の個人データで,基幹化しているパートタイマーほど,「仕事が多くて時間内に終わらない」(r=.19: p<.01; r は項目への同意度と基幹化得点の相関係数。以下同じ),「仕事に追われている」(r=.19: p<.01),「ストレスを感じている」(r=.18: p<.01)と回答している。A生協では,LSP(レーバースケジューリングプログラム)によってパートタイマーは細かく労働時間と作業割当管理が行われており,4~6時間の限定された勤務時間内で基幹化された労働を行うことは職務要求(job demand)を高め,仕事の質の改善がもたらす成果を相殺してしまう可能性がある。先にパートタイマーが基幹化を望まないのはその価値観に原因があると述べたが,それと同時に基幹化によって〈高度にフレキシブルな働き方への適応力〉プラス〈生活態度としての能力〉(熊沢,1997)が求められる現状を十分に認識しているからかもしれない。
 また,基幹化の進展が待遇の不足を意識させる結果をもたらしていることもデータによって裏付けられている。たとえば,質的基幹化の進んでいるA生協のほうが,「正規職員と同じ仕事を担当している割にそれに必要な教育訓練がなされていない」(A生協:50.0%;B社:27.2%),「正規職員と同じ仕事を担当している割にそれに応じた待遇がなされていない」(A生協:55.9%;B社:35.9%)という回答が多い。また,A生協の個人データの分析結果でも,基幹化しているパートタイマーほど,教育訓練の不足(r=.16: p<.01)や待遇の不足(r=.24: p<.01)を感じている。そして,仕事内容で測定された基幹化と待遇の(不)公平感には相関が見られないものの,仕事内容が「正規とほとんど同じである」と思っているパートタイマーほど,「自分にふさわしい待遇を受けていない」(r=.24: p<.01)と感じている。つまり基幹化(主観的に評価された)は待遇への不満を高める可能性がある。また,重回帰分析では“環境”の満足感は基幹化と職務態度の調整変数として働いていなかったが,正規職員を待遇の比較対象としているパートタイマーでは,基幹化が組織コミットメントを低下させる方向に働くという調整効果が見られた。今のところ正規職員を待遇の比較対象としているパートタイマーは少ない(6.2%)が,これから基幹化がさらに進めば,正規職員との比較で待遇の公正性が問われることになるであろう。パートタイマーの基幹化は,待遇の問題をその客観的なレベルだけでなく,組織内での公正という点でよりクリティカルなものにするであろう。
 今回の調査結果は,組織心理学の職務態度モデルを再検討する必要性も示唆している。調査では主に職務特性モデルに基づいて基幹化の職務態度への影響を検討したが,質的基幹化が職務特性を改善し,その結果として職務態度にポジティヴな影響を与えるという予測は支持されなかった。モデルの妥当性,特に職務特性と職務態度の関係の妥当性は多くの研究で確認されているが,パートタイマーという雇用形態の労働者に対しても適用可能かどうか,今後検討の余地がある。また,職務特性次元を自己報告の質問紙以外で測定した場合,職務特性が職務満足をもたらすという証拠は少ない(Spector, 1996; Spector & Jex, 1991)ことからすると,職務特性を自己報告以外の方法で測定することも重要となろう。また,調整要因の効果もその一部しか確認されなかったが,これも職務特性モデルの追試において指摘されてきた問題点であり,ここでもそれを再確認したと言える。
 最後に,今回の調査の限界と今後の課題に触れておきたい。まず,概念規定とその操作化の問題である。パートタイマー,基幹化ともにまだ明確な定義が存在しないため,ここでは暫定的にまた探索的にそれらを規定したが,今後共通の枠組みが提示されるべきであろう。また,本研究では職務特性モデルに主に依拠したが,モデルそのものを検討するためには,「質的基幹化→職務特性の改善」という前提そのものを検討すべきであり,質的基幹化とは別に職務特性そのものを測定すべきであろう。これは,質的基幹化が本当に職務特性の改善や労働の質向上をもたらすのか,という根本的な問題に答えることにもなる。第2の問題は,対象組織が二つだけに限定されている点である。比較研究の場合,ターゲットとなる変数以外はできるだけ等質化(マッチング)することが必要であるが,その点が不十分である。特に,今回の対象組織には私企業と非営利組織という大きな違いがある。また,生協組織の労働者についての個人単位の分析結果がどの程度他の組織に一般化可能か今後検討すべきであろう。第3の問題は,横断的データへの依存である。基幹化の過程やその影響は一時点での異なる組織や個人の比較ではとらえきれない,政治的・社会的・心理的ダイナミクスを含んでいる。また,因果関係の推定には一時点での相関分析では不十分である。その点で今後は時系列データの利用が求められよう。



(注1)この調査は著者がメンバーとして参加した「生協における仕事のあり方研究会」(1995~1998:(財)生協総合研究所)の一連の調査の一環として実施された。研究会ならびに調査対象となった組織および従業員の方々に感謝申し上げます。本研究会の調査結果全体については,「生協における仕事を問う(「生協における仕事のあり方研究会」報告書)」((財)生協総合研究所,1999)を参照されたい。ただし,本稿の文責はすべて著者にある。

(注2)調査結果の一部は,職業研究会(1999;日本労働研究機構),日本社会心理学会第40回大会(1999)にて発表された。各会メンバーの有益なコメントに対して感謝申し上げます。

(注3)同一のパートタイマーが,定型的作業だけでなく,非定型的・専門的作業も管理的作業も担当している状態。

(注4)第1特性値(第1次元)は,基幹的な仕事(売り場づくり・計画,企業・スポット発注など)が低得点(-),非基幹的な仕事(加工,荷おろしなど)が高得点(+)になる。したがって,第1特性値に対応する個人得点も基幹的な仕事の担当者が低得点(-),非基幹的な仕事の担当者が高得点(+)になる。そこで,個人得点をそのまま基幹化の指標として用いると得点の大小(+-)と基幹化の高低が逆になり,直感的に理解しにくくなるので,以下の分析では+-を逆転させた得点を用いている。

(注5)正規職員の職務との比較(一致度)を基幹化の指標として行った分析の結果については,小林(1999)を参照のこと。



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こばやし・ゆたか 1954年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。東北学院大学教養学部教授。主な論文に「日本企業の人的資源管理と公正性:社会心理学の視点から」(『応用心理学研究』23,9-18,1997)など。産業・組織心理学専攻。