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(論文目次)
I はじめに
II 納得の定義
  1 納得の定義と自発性との関係
  2 なぜ納得しないのか-仮説
III データおよび分析の方法
  1 データ
  2 分析の方法
IV 推定結果
  1 サンプル全体での推定結果
  2 パートの自発性と納得確率
  3 サブグループごとに見た推定結果
  4 納得度と賃金格差、非金銭的要因の関係
V おわりに

I はじめに

 本稿の目的は,パート労働者が正社員との間に賃金格差を認識しているとき,その格差に対してパート労働者が納得しない理由を明らかにすることにある。
 雇用者に占めるパート労働者(以下,パートと記す)の割合が増加するなか,パートと正社員(注1)間の賃金格差に注目が集まっている。パートと正社員が日常同じ仕事をしているのに,賃金が異なるのはおかしいという意見がある。その一方でパート労働は正社員に比べて時間的な拘束が緩く,仕事上の責任も少ないので,見かけ上は正社員と同じ仕事をしていても,仕事の質が異なり,賃金に格差があるのは当然という意見もある。
 パート労働の仕事自体についても二つの対立する見方がある。一つは,パート労働が「就業機会の安定性に欠け,賃金などの労働条件が低く,技能レベルなども単純なものが多く,良好な就業機会ではない」という否定的な評価である(たとえば永瀬[1995]など)(注2)。この立場には,パート労働が非自発的に選択された結果であることを問題視する研究が多い。これらの研究は,正社員として働く意欲も能力もありながら,人事制度上の要因で正社員の仕事に就くことができず,仕方なくパート労働に従事している者が存在し,それによって資源配分上の効率性が低下していることを指摘する。
 もう一つは,パート労働は「就業機会の選択肢を拡大し,かつ典型的労働に比べ『柔軟な働き方』を提供している」(佐藤[1998])と肯定的に評価するものである。佐藤[1998]は,パートのなかで「正社員として働ける会社がなかった」という消極的理由からパート労働に就いている者は多数派ではないという。大多数のパートは労働時間の自由度の高さに満足していること,就業選択に際し「自分の都合のよい時間に働ける」ということに重きを置くパートが少なくないこと等を明らかにしている。この場合,パートの増加はあくまで労働者の自発的な選択の結果であり,資源配分上の非効率性も生じないことになる(注3)。
 このような就業の自発性に関する意識とは別に,脇坂[1995]は別の観点からパート就業の問題を論じている。脇坂は「かなり高い技能,あるいは潜在能力をもちながら,それが生かされないパート」を「技能の意味での不本意」なパートと定義し,パート全体の1割以上が「技能の意味での不本意」なパートによって占められるとしている。この視点は正社員との格差に関するパート労働の問題に,技能という側面から接近している点において新しいものである(注4)。
 本稿では,これらの「選択における自発性」や「技能に関する不本意性」という観点とは別に,就職後のパートが感じるところの「賃金格差への納得性」に着目する。正社員とパートの就業選択に関する経済学的な議論(補償賃金格差の理論)では,労働者は入職段階において正社員として働く場合の効用とパートとして働く場合の効用を比較する。具体的には,正社員とパートの賃金だけを比較するのではなく,賃金と労働の拘束度(注5)の組み合わせから得られる効用を比較し,賃金と拘束度が高い正社員か,賃金も拘束度も低いパートかを選択する(注6)。そして,パートとしての効用が高ければパート労働に自発的に就職すると考える。この場合,パートと正社員間に賃金格差があったとしても,それは労働者の自発的な就業選択の結果なので,すべてのパートは賃金格差に納得すると考えられる。
 しかし,実際には正社員との賃金格差に納得できないパートが存在する。詳細は後節で述べるが,本稿で用いたデータによれば,希望してパートになった人のうち賃金格差に納得できない人が約3分の1,逆に,やむをえずパートになった人のうち賃金格差に納得している人がやはり3分の1程度存在する。これは入職前に比較したパートと正社員の効用と,入職後に比較した効用が必ずしも一致していないことを示している。
 ここに,入職後の効用に注目した「納得性」に注目する意味がある。つまり,自発性の議論が入職前の労働者の効用を比較するのに対し,「納得性」はむしろ入職後の効用に注目する点に違いがある。入職後のパートが同じ職場の正社員と比較しながら,自分の現在の労働についての効用が高ければ「納得できる」と考えることになろう。
 そこで本稿では,パートが直面している正社員との賃金格差について納得する,あるいは納得しない原因は何なのかを,厳密な計量分析を通じて明らかにしたい。
 本稿から得られる主要な結論を先取りしておく。パート労働の職務上の責任が正社員よりも軽いとパート本人が判断している場合,賃金格差に納得する確率は非常に高くなる。逆に,仕事の責任が正社員と変わらない,もしくは場合によっては重いと感じる場合,正社員より賃金が低いパートが納得する確率は著しく低下する。また配偶者の有無でサンプルを分割した場合,有配偶グループでは賃金格差の大きさそのものが納得する確率を低下させる。さらに有配偶グループ内でも,特に職務レベルが高いパートほど賃金格差の大きさそのものが納得する確率を大きく低下させている。ただ,賃金格差が納得度に影響する場合でも,職務上の責任度が軽いことや勤務時間の自由度が高いことなどは納得する確率を上昇させる。
 本稿の構成は以下の通りである。IIでは納得性の定式化を考える。IIIでは分析に用いるデータおよび推定方法を説明する。推定結果はIVで詳しく述べる。Vで結論を整理する。



II 納得の定義

 1 納得の定義と自発性との関係

 まず「納得する」という概念を経済学的に考察してみる。労働者の効用関数をU(w, e, j; i)とする。wは賃金,eは仕事についての非金銭的要因,jは会社や業務の種類,iは個人の属性を表す。パートは入職後に自分の賃金および非金銭的要因(w, e)と,自分と同じ事業所で働く一般正社員の賃金および非金銭的要因(w’, e’)を把握し,それらを自分の効用関数Uに当てはめて比較するとしよう。正社員賃金はパート賃金より高いとする(w’> w)。
 このとき,パートとしての自分の賃金と非金銭的要因の組み合わせによる効用のほうが正社員よりも高いとき,正社員との賃金格差に納得すると考える。同一事業所の一般正社員に対して,自分の賃金が相対的に低いとしても,非金銭的要因の充実が十分満足を高めるならば,パートとして自分が現在置かれている状況に納得することがありうるからである。逆に,正社員とパート間で賃金格差があるのに加え,正社員の賃金と非金銭的要因の組み合わせによる効用が現在のパート労働から得ている場合よりも相当高いとき,賃金格差を納得できないと感じる。具体的には,現在パートで働いている労働者は

 U(w, e, j; i)>U(w’, e’, j; i)のとき
納得でき,                       (1)

 U(w, e, j; i)<U(w’, e’, j; i)のとき
納得できない                     (2)

と感じることになる。ここで

 Vi=U(w’, e’, j; i)-U(w, e, j; i)

とおくと,パートはVi<0のとき納得でき,Vi>0のとき納得できない。効用関数を線形で近似できるとするならば,

 Vi=α+β(w’-w)+γ(e’-e)+δj+φi+εi     (3)

と表される。ここでεiは誤差項とする。パートが納得できない状況をyi=1,納得できる状況をyi=0とすると,

 yi=1 iff Vi>0
 yi=0 otherwise

となる。このように,パートが納得しない確率は,同じ事業所の正社員との賃金格差(w’-w)および非金銭的格差(e’-e),業務の種類(j),個人属性(i)によって決定される。
 次に自発性の議論との関連をみるため,入職前の状況について考える。労働者は入職前に得られる情報から賃金と仕事の組み合わせを予想し,この予想に基づいて期待効用を最大にするような組み合わせを選ぶだろう。したがって自発的なパートは事前情報に基づいて,パート労働の賃金と非金銭的要因による期待効用が正社員のそれより高いと判断したと考えられる。つまり自発的なパートの入職前の期待効用をEU(w, e, j; i),正社員の賃金と仕事の組み合わせの予想をEU(w’, e’, j; i)とすると,

 EU(w, e, j; i)>EU(w’, e’, j; i)     (4)

となる。
 一方,非自発的にパートになったものは,正社員になったならば効用がより高くなっていたはずである。したがって彼(彼女)らの期待効用は

 EU(w, e, j; i)<EU(w’, e’, j; i)     (5)

であったことになる。このように,入職前のパートの自発性は正社員との賃金格差の予想および正社員との仕事の違いの予想によって決まることになる。
 ここで,入職前の予想と入職後の現実が全く一致している場合を考えてみよう。個人iの業務jについて入職前の予想E(w, e)と入職後の現実(w, e)およびE(w’, e’)と(w’, e’)は完全に一致する。したがって(1)と(4)より,入職前に自発的なパートは(あらゆる仕事の中で最も自分の効用を高める仕事を選んでいるので)入職後には必ず納得している。一方(2)と(5)より,入職前に非自発的なパートは入職後にも納得できる場合とそうでない場合の両方が起こりうる。非自発的なパートは経済全体の正社員と比べると期待効用が低かったかもしれないが,同じ事業所の正社員と比較すると効用が高い可能性がある(jとjの違い)。また正社員の賃金と仕事のほうが効用は高いのだが,格差は許容範囲の内と考えているかもしれない。

 2 なぜ納得しないのか――仮説

 それではパートが賃金格差に納得しないのは,どのような場合なのだろうか。仮説としては以下のような可能性が考えられる。
 第1に,補償賃金格差では説明しきれないほどの賃金格差が入職後に生じた場合である。たとえばパートとして入職したときには労働の拘束度に見合う賃金だったものが,徐々に仕事内容が複雑化したり,責任が重くなったりして,拘束度が高くなる一方,賃金は拘束度に見合うほど上昇していないという状況が考えられる。また有配偶者の場合,非課税限度額である103万円を超えぬよう就労調整している例も多く,賃金に上限があるなかで仕事の責任等のみが上昇しているという状況も考えられる。
 第2に,効用を比較する要素である拘束度を正確に測れない場合である。補償賃金格差の議論では,賃金と拘束度を正確に把握したうえで組み合わせることが前提になっている(注7)。しかし,そもそもパートと正社員間,あるいはパート内での仕事の範囲や裁量,責任などが明確に規定されていなければ,たとえ入職後であっても最適な賃金と拘束度の組み合わせを考えることは難しい。
 第3に,そもそも入職前に知りえた賃金や仕事の拘束度に関する情報が不十分で,入職後に判明した本当の情報と異なっていた場合である。このとき,事前情報に基づいて選択したパート労働でも,実は正社員よりも高い効用を得られる就業形態ではなかった場合もありうる。
 第4に,自由に就業選択できないような制約があって,そもそも入職前に効用を最大化できなかった場合である(注8)。制約は大きく分けて,パート個人に属するものとそれ以外のものがある。パート個人に属する制約としては,たとえば家事や育児が挙げられる。このような制約がある場合,労働者は正社員として働きたいという希望があっても,現実には効用の高い正社員を選択することはできず,(自発か非自発かは不明だが)パート労働に就くことになる。パート個人以外の制約としては,たとえば不況下における正社員労働市場での割り当ての存在が考えられる。この場合,希望者全員が正社員を選択することはできないので,正社員労働市場に参入できなかった者は,正社員のほうが効用が高いことを知りながらもパート労働に就かざるをえなくなる。これは前段で触れた非自発パートそのものである。
 1から3の仮説に関しては,パートが賃金と拘束度の関係のみを優先するなら,賃金と拘束度の組み合わせが入職前の希望から乖離した時点で,パート労働から退出するはずである。しかし転職に際して,職探しの費用がかかる,転職前よりも賃金が低下するなどの転職コストが発生し,そのコストが大きいと予想されるなら,パートはあえて現在の職場にとどまるだろう。また労働省[1997]によれば,パートとして働く理由として「家計の足しにするため」を挙げる労働者が61.6%(数字は女性限定,学生以外の一般の労働者,多重回答)もいる。家計の補助的収入を得ることを優先するなら,入職前の賃金と拘束度の組み合わせが希望から乖離しても,パート労働を継続している可能性が十分ある。
 以下では,上述した可能性に注目しながら,パートが賃金格差に納得しない理由を計量分析から明らかにする。



III データおよび分析の方法

 1 データ

 以下の分析では,日本労働研究機構が1999年1月に実施した「職場における多様な労働者の活用実態に関する調査」のアンケート結果を用いる。本アンケートはパート,契約社員など多様な雇用形態の労働者増加にかんがみ,その実態を把握するため行われた。そこには,正規以外の労働者が置かれている状況や,仕事に対する認識を考察するのに有用な多くの質問項目が含まれている。
 データは個人調査票と事業所調査票の二つに分かれている。分析には主に個人調査票データを使用する。
 主要な考察対象となるパートの賃金格差に対する納得度変数について説明する。アンケートでは「『一般正社員』の賃金と時間給で比較した場合,あなたの賃金との間にどのような差があると思いますか」という質問があり,「自分の方が低いと思う」と回答したサンプルに対し,さらに「その差についてどのように考えますか」と尋ねている(注9)。それへの回答は「納得できる」「納得できない」「わからない」からの選択である。この項目で「納得できない」を1,「納得できる」「わからない」を0として納得度を表す変数として用いる(注10)。
 次に納得度を説明する変数について記す。まず正社員との賃金格差の大きさを表す変数だが,サンプルのパートと同一な性別,年齢,勤続年数の正社員の平均賃金を別統計から求め,これを個人調査票に記載されているパートの年収と比較した(注11)。具体的には『平成10年賃金構造基本統計調査』(以下『賃構』と記す)第1巻第2表に示されている「性×企業規模×学歴×年齢階級×勤続年数別」の平均年収との差を対数化したものを賃金格差変数として用いる。『賃構』による年収は所定内給与を12倍したものに特別賞与を加えることで求める。
 『賃構』から計算されるセル数は906に上り,個々のパート属性に対応する正社員賃金をかなり細かく把握できるが,それでもなお同一セル内の企業間賃金格差を見ることはできない。そこで,『賃構』から求めた正社員賃金に,「当該企業の高校卒初任給/同一企業規模での高校卒初任給平均」を乗じて,企業間の賃金格差をとらえるように加工した。
 このように定義された賃金格差変数に残された問題は次の通りである。本稿では上記のようにパートの個人属性と勤務先企業の属性から正社員の賃金を計算したが,データ上はパートがどの正社員と賃金を比較し,賃金の高低を判断しているのかはわからない。たとえばパートは,同一企業内の同じような個人属性の正社員を対象と見ている場合もあるし,個人属性とは全く関係なく,隣で同じような業務をしている正社員を対象としている場合もある。結果,パートが比較対象としている正社員と『賃構』の正社員は必ずしも一致せず,観測誤差が生じ,比較対象の正社員賃金が『賃構』のセル平均賃金より高い(低い)場合,賃金格差変数の係数値には下方(上方)バイアスがかかる可能性がある(注12)。よって,もし賃金格差の係数が負値だとしても,格差が広がるほど納得できない確率が低下する,という結論を導くことには慎重でなければならない。
 正社員との仕事条件の差異である非金銭的格差を表す変数については,一般正社員と比較して(1)週所定労働時間,および所定内労働時間の長短との交差項(2)残業(3)職務上の責任(4)都合のよい時間に働ける(5)仕事を休みやすい(6)雇用が安定している(7)仕事のやりがいが大きいの7項目および正社員が自分と同じ業務に従事することがよくあるかどうか,自分の仕事が一般正社員の仕事と比較してどのレベルに当たるかを質問した項目を用いる。
 個人属性については年齢,学歴,配偶者の有無,同居する子供の有無,勤続年数,就労調整の有無などを考慮する。パートの自発性に関してもIIで説明した影響を制御するため説明変数に加える。また職種,企業規模,産業の各ダミーで推計を制御する。
 分析対象は60歳未満の女性に限定した。同一企業で働いていたとしても賃金の決定方式が異なると考えられる派遣労働者は除いたが,パート以外にもアルバイトや契約社員などの非典型労働者は分析に含める。被説明変数である納得度は,フルタイムに比べ賃金が低いと思っているパートにのみ聞いているので,自分の賃金が同一事業所の一般正社員よりも低いと思っているパートを対象とする。このようなパートは全サンプル数の4分の3以上を占めており,大部分のパートが正社員と比べて賃金が低いと認識している(注13)。
 表1に使用データの平均属性を示した。正社員との賃金格差に納得しているパートに比べて納得していないパートは年収が多く,勤続年数,週所定労働時間が長く,職務レベルが高い。納得しているパートは配偶者のいる割合が高く,就労調整をしている者,自発的にパート労働を選んだ者の割合が高いこともわかる。

表1 分析に使用するサンプリングの平均属性

 また「自発性」と「納得性」の関係を表2のクロス表に示した。希望してパートになったとしても賃金格差に納得できない人々が約3分の1,またやむを得ずパートになったが賃金格差そのものには納得している人々も約3分の1いることが表に示されている。

表2 自発性と納得性の違い

 2 分析の方法

 IIの(3)より,第l番目の労働者の納得に関する式は



と書ける。
 推定には被説明変数に納得度を設定したプロビット分析を用いる(注14)。説明変数は賃金格差(w’-w),仕事の非金銭的格差の変数(e’-e),職種,産業,企業規模など会社や業務に関する属性(j),勤続年数,就労調整の有無,学歴,配偶者の有無などの個人属性(i)である。また仕事の非金銭的格差を表す変数(たとえば残業)に関して,パートにとっては正社員より「少ない」ことだけが大きな意味を持ち,「多い」ことは重要でない可能性がある。そこで非金銭的格差に関する変数は,仕事上の負荷が「重い」ダミーと「軽い」ダミーに分けて考察する。たとえば残業の場合,「重い」ダミーは「多い」を1とし,「同じ」と「少ない」を0とする。「軽い」ダミーは「少ない」を1とし,「同じ」と「多い」を0とする。分析に用いる説明変数,被説明変数の定義は表3にまとめた。

表3 プロビット分析に用いる変数一覧

 (3)’から,賃金格差の拡大は納得確率に正の影響(正社員との賃金格差が大きいほど納得できなくなる)を持つことが予想される。また仕事の非金銭的格差の変数については正社員と比べて仕事上の負荷が「重い」ダミーは正の影響を,「軽い」ダミーは負の影響を与えることが予想される。



IV 推定結果

 1 サンプル全体での推定結果

 表4の左列は正社員との賃金格差に納得できないかどうかについてのプロビット分析の結果である。

表4 納得度に関するプロビット分析の結果

 まず賃金格差の効果を確認すると,符号は正であるが有意ではない。つまりサンプル全体で見た場合には,賃金格差の大きさそのものは納得度に影響を与えていない。ただし,前節で触れたバイアスが含まれている可能性があり,結果の解釈には慎重でなければならない。
 有意な変数に着目すると,職務上の責任が重い,仕事のやりがいが低い,正社員が自分と同じ業務をおこなうことがよくある,職務レベルが高い場合は正社員との賃金格差に納得できない確率が高くなる。他方,残業が少ないこと,職務上の責任が軽いこと,自分の都合のよい時間に働けること,所定内労働時間が短いことなどは予想通り納得できない確率を抑制している。職務上の責任については,「重い」と「軽い」がともに有意で,限界確率も大きく,納得度を強く規定していることがわかる。
 表4左列の結果では,入職前の自発性を表すパートの希望度が,入職後の納得度に対して非常に強い影響を与えている。そこで,入職前の判断である自発性の影響を除き,入職後の状況のみで納得度をどの程度説明できるかを検証した結果が表4の右列である。表右列からは,自発性変数を除いたとしても,やはり仕事の責任度や職務レベルなどが納得度を強く規定していることがわかる。表4の両結果で有意な変数のうち,残業が少ないこと,勤務時間の自由度が高いことは,自発性変数の有無により係数に大きな違いが生じており,入職前の自発性と密接な関係があることがわかる。
 表4の結果からは,入職前の自発性の影響にかかわらず,職務上の責任や正社員との仕事の類似度などの非金銭的要因が納得度を大きく左右していることが確認できる。これは,パート労働の仕事の責任度や内容について正社員との明確な区別がないことが,パートが賃金格差に納得しない要因であることを示している。

 2 パートの自発性と納得確率

 前段では自発性の納得確率への強い影響が確認された。IIでの議論を考慮すると,納得確率を分析するうえで非自発的なパートとそれ以外のパートに分けて分析することで,パートがどのような場合に賃金格差に納得でき,どのような場合に納得できないのかをより明確にできると考えられる(注15)。以下ではサンプルを非自発的に入職した労働者とそれ以外の労働者に分けてプロビット分析する。
 表5左列から,まず自発的な労働者では自分の都合のよい時間に働けることが納得する方向に,仕事のやりがいが低いことが納得できない方向に影響を持つことがわかる。自発的なパートは勤務時間の自由度を重視してパート労働を選択したが,仕事のやりがいの点では入職前の予想が正確でなかったことが示唆される。

表5 パートの自発性から見た納得度に関するプロビット分析の結果

 次に非自発的なパートについて考える。これらの労働者は,自発的な労働者に比べて納得している可能性が低い。このような労働者にのみ有意な変数を表5右列から確認すると,所定内労働時間が短いこと,欠勤の自由度が高いことなどが納得する方向に有意となっている。他方,正社員との仕事の類似度は納得できない方向に有意である。
 また自発,非自発に共通して,職務上の責任の軽さが納得する方向に,職務レベルが納得できない方向に有意である。
 以上,自発的にパート労働を選択したかどうかで,納得確率に及ぼす影響を比較した。自発的なパートは,職務上の責任が軽いことや勤務時間の自由さを理由に賃金格差に納得してパート労働を選択するが,仕事のやりがいが低いことや職務レベルが上がることで納得できない確率が高くなる。
 入職前に賃金格差に納得しているはずの自発パートが入職後に格差に納得できなくなるのは,これらの非金銭的格差に関する情報が入職前後で異なっているのが一因である。たとえば,自発パートは自分の都合のよい時間に働けることを予想して入職している。だが,分析データによれば,入職後に勤務時間の自由度が正社員より高いと感じている自発パートの割合は約5割にすぎず,他方,勤務時間の自由度に正社員との差がない,あるいは自由度が低いと感じている自発パートがそれぞれ約25%ずついる。これら25%ずつの労働者は,入職前の予想より拘束度が高くなったため,自発的にパート労働に就いたものの賃金格差には納得できないパートとなる可能性が高い。
 一方非自発的なパートは,もともと納得する確率は小さいが,職務上の責任が軽いことと,所定内労働時間が短いことで,正社員との賃金格差に納得することがわかる。
 また表4で観察された残業の少なさや職務上の責任が重いことの有意性は,自発的かどうかでグループ分けした場合,その効果が小さくなった。

 3 サブグループごとに見た推定結果

 IV1の分析結果で特に重要なのは,仕事の責任や勤務時間の自由度などの非金銭的格差が納得度の変化に大きく影響している点である。では,これらの非金銭的格差の効果はどのようなパートにも共通して観察できるのだろうか。また勤務時間などの非金銭的要因の評価に差があると考えられる有配偶者と無配偶者では,賃金格差への納得度を規定する要因にも違いがあるのだろうか。また,IV1では職務レベルが高いほど納得しないという結果が示されていた。その結果からは,職務レベルが高いグループは,そもそも納得する確率が低いという予想が立つ。では職務レベルが高いグループではどのような条件がそろえば納得度が改善されるのだろうか。
 そこで本段では,IV1の分析サンプルをサブグループに分け,納得度と賃金格差,非金銭的格差との関係をさらに細かく分析する。
 まず納得度と労働の拘束度との関係を検証するため,配偶者の有無でサンプルを分割して推計した結果を表6に示した。

表6 配偶者の有無から見た納得度に関するプロビット分析の結果

 表4のサンプル全体の結果との最も大きな違いは,有配偶グループで賃金格差の係数が正に有意,つまり格差が大きいほど納得できなくなっていることである。その他,職務上の責任や勤務時間の自由度など,サンプル全体の結果で見られた特徴も確認できる。
 他方,無配偶グループでは賃金格差変数が負で有意になっているが,これはIII1で述べたバイアスが生じている可能性があり,結果の解釈には一定の留保がつく。その他の変数では,職務上の責任が軽いと納得し,正社員との仕事の類似度が高い,あるいは職務レベルが高いと納得しなくなる。有配偶グループに比べて,非金銭的格差の有意性が低い反面,仕事の類似度と職務レベルに大きく影響される傾向が確認できる。
 上記のサブグループごとの結果,および表4のサンプル全体の結果からは,パートの納得度を左右する重要な要因の一つは,仕事の非金銭的格差の「重さ」や「軽さ」であることがわかる。すなわち,正社員と比べて勤務時間が自由であること,あるいは職務上の責任が軽いことは,賃金格差に対し納得度を高める方向に効果を持つ。逆に,職務上の責任が重いこと,あるいは職務レベルが高いことなどは,納得できない確率を上昇させる。
 加えて,有配偶グループでは賃金格差の大きさそのものが納得できない確率を上昇させる。同グループで賃金格差変数が正で有意な理由は二つ考えられる。一つは,II2で見たように,就業を自由に選択できず,入職前から低賃金を不満に感じているパートが多く含まれている可能性である。もう一つは,補償賃金格差で説明できないほどの格差が入職後に生じ,入職前後で賃金と労働の拘束度の関係が変化した結果,賃金格差に納得できなくなっている可能性である。入職後に賃金と労働の拘束度の関係が変化する理由としては,II2で触れたように,就労調整による賃金の上限があるなかで仕事の責任度だけが重くなる,あるいは仕事内容の高度化・複雑化に見合うだけの賃金上昇がないなどの状況が考えられる(注16)。
 そこで以下では,表4,5,6で一貫して納得度に有意な影響を与えていた職務レベルに着目する。具体的には,有配偶パートを職務内容の高低で分割し,職務レベルが高い(低い)パートはどのような状況で賃金格差に納得する,あるいはしないのかを検証してみた。
 表7左列を見ると,表6の有配偶パートで賃金格差変数が正で有意なのは,主に職務レベルが高いパートでの効果によるものであることが確認できる。有配偶パートでも職務レベルが低い場合には,賃金格差の大きさそのものは納得度に有意な影響を与えていない。有配偶パートの中でも特に職務レベルの高いパートは推計に用いたサンプルのうち約45%(=501/1129)ほど存在しており(注17),入職後に賃金格差と労働の拘束度との関係が変化した(=補償賃金格差で説明できない格差が生じた)パートが少なくないことを示唆している。

表7 職務レベルから見た納得度に関するプロビット分析の結果(配偶者ありのサンプルに限定した場合)

 4 納得度と賃金格差,非金銭的要因の関係

 前段までの分析で,有配偶,なかでも職務レベルの高いパートでは賃金格差が大きくなるほど納得できない確率が上昇すること,そしてどのサブグループでも一貫して,職務上の責任が軽いことが納得できない確率を抑制していることが明らかになった。ただ,どの程度の賃金格差があればどのくらい納得しなくなるのか,あるいはサブグループごとに職務上の責任の効果がどの程度異なるのかは,表中の限界確率からだけでは判別しにくい。
 そこで以下では試みに,責任度の高低が納得度に及ぼす影響についてシミュレーションした結果を示す。つまり,他の説明変数がすべて平均的な値をとったときに,仕事の責任が正社員より軽い場合と同じ場合で,納得できない確率がどのくらい変化するかをグループごとに計算し,比較する。結果を図1に示した。

図1 サブグループ別に見た納得できない確率の変化

 まず,自発パートは責任が軽かった場合,12%の人が納得できないだけなのに対し,非自発パートでは責任が軽くても4割の人が格差に納得できない。さらに責任が正社員と同じ場合では,非自発パートの4人に3人は格差に納得できなくなる。
 次に配偶者の有無で見た場合,そもそも納得する確率が低いのはむしろ無配偶者である。しかし,有配偶者のうち職務レベルが高いグループでは,責任度が軽い場合でも同じ場合でも,無配偶者より納得できない確率が高くなる。有配偶で職務レベルが高いと,仕事の責任が軽いとしてもそもそも3分の1の人が納得しておらず,責任が同等の場合には7割以上の人が納得しなくなる。過去の事例研究では職務上の責任と処遇のバランスが重要であることが指摘されているが(注18),ここでの計量分析の結果からも,どのようなパートであっても責任の軽さが賃金格差への納得度を大きく左右することが確認できる。
 なお,図1のどのサブグループ内でも,正社員と職務上の責任が同等以上と回答したパートが少なくとも5割程度存在する。図1から明らかなように,職務上の責任が同じパートは責任が軽いパートに比べ納得できない確率が著しく高い。つまり,どのサブグループにおいても,その半分以上は,賃金格差に対して納得できない確率が高いパートによって構成されている。



V おわりに

 パート労働者が正社員との間に賃金格差が存在することを発見したとき,どのような状況ならば格差に納得するのだろうか。多様なパートタイム労働者のなかには,格差の存在に納得しているパートとそうでないパートがいる。一体,何が違うのだろうか。本稿では経済学で補償賃金格差と呼ばれる理論が成立しない状況を考え,入職後にパートが正社員との賃金格差に納得できなくなる理由を,個票データを用いた厳密な計量分析から明らかにした。
 パートが正社員との賃金格差に納得するか否かは,第一に正社員との間で仕事の内容や条件が明確に区分されていることにかかっている。賃金格差が存在するにもかかわらず,パートの職務上の責任度が正社員と事実上変わらない場合,賃金格差に対するパートの納得度は著しく低下する。
 就職段階で自発的にパートを選んだ人々は,非自発的にパートとなった人々に比べて,就業後も正社員との賃金格差に納得している場合が多い。ただし自発パートでも就職後に仕事条件が正社員と差別化されないとき,あるいは賃金と労働の拘束度の組み合わせに関する情報を入職前に完全に知りえなかった場合には,格差に納得できない可能性が高まる。
 また有配偶者,そのなかでも職務レベルが高いパートは,賃金格差が拡大するほど納得できない確率が高くなる。このようなパートは,入職後,職務内容の複雑化や高度化に見合った賃金が支払われておらず,入職前に選択した賃金と労働の拘束度との組み合わせが変化し,結果,賃金格差に納得できなくなっている。
 本稿で用いた調査を実施したパートタイム労働に係る雇用管理研究会[2000]では,正社員との職務の類似性を考慮したうえで,パートの処遇や労働条件の決定に際して正社員との均衡を考慮する必要があることを指摘した。本稿の結果は,同研究会[2000]の指摘を,個人属性の相違や選択の自発・非自発などを考慮しながら,数量的に再確認したものと位置づけられよう。


注 1)「パート」は元来短時間勤務のパートタイマーを指す言葉であるが,労働時間の長短にかかわらず正社員以外の者をパートと呼ぶ企業も多く,フルタイムで働いているが呼称はパートという労働者も少なくない。本稿で用いるデータでは,呼称パートを含む広い意味でのパート労働を考える。「正社員」の定義も「パート」同様曖昧であるが,本稿ではフルタイムで働く正規労働者を考える。

注 2)永瀬[1995]によれば,女性に関しては一部の産業で非自発的パートがそうでないパートに比べて能力の高い者であるという。また非自発的なパートの大部分は中高年層に属しているが,正社員の長期雇用契約とそれに伴う長期訓練が前提となっている日本では,訓練を行っても回収期間の短い中高年は正社員としては採用されず,非自発的にパートとして就業せざるをえなくなっているという。
 別の要因も考えられるだろう。不況期などに正社員に対する需要低下ショックが生じると,正社員市場では,正社員労働を望みながらも職に就けないという人たちが発生し,その多くはパート労働市場へ参入する(大竹[2000])。パートの職を得た労働者が正社員労働に就く手段の一つに,正社員への登用制度がある。しかし,正社員への登用制度(または転換制度)を有する事業所の割合は,労働省[1997]では42.2%,パートタイム労働に係る雇用管理研究会[2000]では33.3%といずれも過半を割っている。

注 3)この対立する二つの見方は,佐藤[1998]では契約社員や派遣社員,短時間勤務のパートタイマーなどの働き方に代表される非典型的労働の評価とされているが,パート全体にも同様な見方が当てはまる。

注 4)脇坂[1995]は,家事,育児等の家庭の責任(domestic commitments)を担っているために正社員への就業が困難なパートを,正社員への就労意欲の有無のみで判断して「自発的」なパートとすることを自発性の概念の問題点と指摘している。

注 5)本稿で用いる「拘束度」という言葉には,時間的制約に加え,職務上の責任や職務レベルなどの非金銭的要因が含まれる。

注 6)中村・中馬[1994]では,パート労働の賃金と拘束度の組み合わせについて検証し,このような選択行動が行われていることを示している。

注 7)補償賃金格差の前提や内容に関する解説としては,たとえばEhrenberg and Smith[1985]Ch.8を参照。

注 8)このほか,補償賃金理論が成り立っていない場合も考えられる。つまり,パートが就業を決定するに当たり,賃金と仕事の内容の組み合わせを全く考慮していない場合である。このとき,賃金は考慮せず仕事の内容のみで就業決定したパートは,入職後に賃金格差に納得できないと感じるかもしれない。

注 9)この前問で「あなたの職務の内容やレベルを『一般正社員』と比較すると,以下のうちどの程度に該当すると思いますか。最もよくあてはまるものに一つ○をつけてください」とあり,仕事内容が入社何年目の一般正社員(同じ事業所の管理職以外の正社員)と同レベルであるかを尋ねている。ここでの「一般正社員」はこれと同じ者を想定している。

注10)IIの納得に関する定式化ではパートの納得確率は同じ業務の正社員との賃金格差と非金銭的格差,および仕事の属性,個人属性によって決まると想定した。調査では正社員との賃金格差に納得できるかを質問しているが,パートが正社員との格差に納得するかを判断する場合,他の要因を排除して賃金格差のみを考慮するとは考え難い。IIで考察したように非金銭的格差などの他の要因も考慮するはずである。

注11)賃金格差変数に時給ベースの数字を用いないのは,個々のパート属性に対応する正社員の時給を把握することができないためである。

注12)実際には,能力の高い高賃金パートほど,『賃構』セル平均よりも賃金の高い正社員を比較対象にすると考えられるから,推計値には下方バイアスがかかる可能性が高い。

注13)その他の内訳は,「差はないと思う」が5%弱,「自分の方が高いと思う」が1.5%,「わからない」が15%であり,他は「不明」(欠損値)である。

注14)順序プロビット分析も考慮したが,今回の分析では「納得できる」または「わからない」よりも「納得できない」理由が重要であると考えたので「納得できない」に関するプロビット分析を選択した。

注15)Iで紹介したようにパート労働に関しては労働者の自発性に関する研究が多いが,自発的かどうかという概念は,実は非常に曖昧な概念である。有名な例は,シカゴで解雇された元溶接工は非自発的失業者なのか,それともカリフォルニアの農園に行けば仕事があることを知りながら,シカゴにとどまっている自発的失業者なのかというものである(Stiglitz[1993])。また自発的かどうかの判断は労働者本人に任されているので,客観的な判断とはいえないという議論もある。たとえば子供を持つ人が適当な託児所がないためにパート労働を選択する場合,希望してパート労働を選択したと答えるのか,それとも仕方なく選択したと答えるのかというものである。

注16)あるいは,就業調整等を通じて自らの賃金を意識する機会が多く,得られた賃金と仕事内容のバランスを無配偶者よりも厳しく判断している可能性もあろう。

注17)データ全体では4分の1弱である(女性,60歳未満,派遣労働者除く)。

注18)たとえば三山[1991],本田[1993]など。


参考文献

大竹文雄[2000]「90年代の所得格差」『日本労働研究雑誌』No.480,pp.2-11。
佐藤博樹[1998]「非典型的労働の実態――柔軟な働き方の提供か?」『日本労働研究雑誌』No.462,pp.2-14。
中村二朗・中馬宏之[1994]「ヘドニック賃金アプローチによる女子パートタイム労働者の賃金決定」『日本労働研究雑誌』No.415,pp.23-29。
永瀬伸子[1995]「『パート』選択の自発性と賃金関数」『日本経済研究』No.28,pp.162-184。
パートタイム労働に係る雇用管理研究会[2000]『パートタイム労働に係る雇用管理研究会報告』。
本田一成[1993]「パートタイム労働者の基幹労働力化と処遇制度」『日本労働研究機構研究紀要』No.6,pp.1-24。
三山雅子[1991]「パートタイマー戦力化と企業内教育」『日本労働研究雑誌』No.377,pp.28-36。
労働省[1996]『平成6年 就業形態の多様化に関する総合実態調査報告』。
労働省[1997]『平成7年 パートタイム労働者総合実態調査報告』。
脇坂明[1995]「パートタイマーの類型化(I)」『岡山大学経済学会雑誌』第27巻第2号,pp.263-292。
 Ehrenberg, Ronald G. and Robert S. Smith[1985], Modern Labor Economics (2nd Edition), Scott, Foresman and Company.
 Stiglitz, Joseph E.[1993], Principles of Macroeconomics, W. W. Norton & Company, Inc.(藪下史郎ほか訳[1995]『マクロ経済学』東洋経済新報社)。

*本稿で分析した「職場における多様な労働者の活用実態に関する調査」データは,執筆者の一人が参加した「パートタイム労働に係る雇用管理研究会報告」(平成12年4月)のために,日本労働研究機構が実施したものである。日本労働研究機構ならびに同調査の作成と実施の中心となった佐藤博樹東京大学社会科学研究所教授,および今田幸子日本労働研究機構統括研究員に深く感謝申し上げます。また2000年日本経済学会秋季大会(於大阪府立大学)での本稿の発表時に,コメンテーターをお引き受けいただき,懇切丁寧なご指摘をいただいた冨田安信大阪府立大学教授にあらためて感謝申し上げます。投稿に際しては,2名の匿名レフェリーから貴重なコメントを数多くいただきました。ここに記して感謝申し上げます。なお,本稿にありうべき誤りは,すべて筆者に属するものです。

〈2002年4月10日投稿受付,2002年11月8日採択決定〉


 しのざき・たけひさ 学習院大学大学院経済学研究科博士課程在学中。主な論文に「1980-90年代の賃金格差の推移とその要因」『日本労働研究雑誌』No.494(2001年)など。労働経済学専攻。

 いしはら・まみこ 城西大学経済学部専任講師。主な論文に「米国の技術革新と労働需要・賃金格差」『日本労働研究雑誌』No.475(2000年)など。労働経済学専攻。

 しおかわ・たかとし (株)労働実務『労基旬報』編集部勤務。主な論文に「パートタイマーの基幹労働力化についての考察」学習院大学大学院修士論文(2001年)など。労働経済学専攻。

 げんだ・ゆうじ 東京大学社会科学研究所助教授。主な著書に『仕事のなかの曖昧な不安――揺れる若年の現在』中央公論新社(2002年)など。労働経済学専攻。