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(著者抄録)
本研究では、同一大学、同一学部という一つの出口から排出されてきた者を対象に、キャリアの終盤における最終的な差が何によって生じるのかを観察した。前半では、役員昇進と生え抜き・非生え抜き化の二つの分化軸間に相関が観察されることを考慮し、それらの2方向への動きを同時に取り扱いながら、大学での成績、大学への合格確率や若年期の移動が、分化に与える効果を分析した。結果、役員昇進に関しては、成績や合格確率それに30歳未満の事業所間移動回数が正で有意であることから、若年期の蓄積が影響を与えている可能性が示された。生え抜き・非生え抜き化に関しては、出向戻りを経験した者はキャリアの終盤においては生え抜きとしてとどまる可能性の高いことがわかった。後半では、分化によって、所得や満足度にどのような差異が生じるかを探った。結果、生え抜き役員と非生え抜き役員の所得が生え抜き部長と非生え抜き部長よりも高く、従業員規模などの企業属性をコントロールすれば非生え抜き化により所得が下がるわけではないことが示唆された。この結果から、先行研究における非生え抜き化にともなう所得の減少は、企業規模の小さいところへの移動によるためではないかとの議論がなされた。一方、満足度に関しては4グループ間に統計的には差が見られなかった。
(論文目次)
I 序論
II 先行研究と本稿の課題
III 推定モデルと使用データ
  1 推定モデルの説明
  2 使用データ
IV キャリアの終盤を決定する要因
  1 変数の説明と予測される結果
  2 推定結果
V グループ間比較
VI 結論

 I 序 論

 役員職は,少数者だけが手にすることのできる最終ポストである。そこへの到達は会社員にとって長い昇進競争を勝ち抜いた成功の証でもある。当然のことながら定年の延長や年収の上昇にもつながり,役員職に昇進できるかどうかは彼らにとって非常に重要な関心事である。くわえて近年不況が長引くなか,企業の向かうべき方向を的確に判断する必要性が高まるとともに経営者の能力が問われている。彼らがどのように育成されるかを明らかにすることは重要な課題となっている。
 一方,キャリアの終盤を考えるにあたっては,非生え抜き化への動きも包括して分析を進める必要がある。なぜなら,中高年従業員を雇用調整する際に日本企業は出向という手段を持っており,生え抜き役員昇進ができなかった者への次善の処遇策として出向先でより上の職位につけることがあるからである。すなわち,図1に示すように,役員昇進と非生え抜きか否かは相互に関連しており,非生え抜き役員昇進と生え抜き役員昇進を同じものとして扱うことはできない。会社員のキャリアの終盤を考える際,役員昇進と生え抜き・非生え抜きを同時に考慮する必要がある。

図1 役員昇進・未昇進と生え抜き・非生え抜きの区分

 では,このキャリアの終盤に影響を与えるそれ以前の蓄積とはどのようなものであろうか。第1にあげられるものは,教育,すなわち学力であろう。特に役員昇進がキャリアの視野に入る可能性が高いのは大卒ホワイトカラーであることを考えると,大学での教育成果がどのような効果を持っているかを確認しておく必要がある。
 第2の要因としてあげられるものは,就業後の企業内での経験や訓練である。特に,小池(1999)などに指摘されるようにOJTによる効果を考慮しなければならない(注1)。すなわち,会社内で技能を向上できるよい仕事(good job)を獲得できるか,または管理職に必要な一般的な技能を身につけられる幅広い仕事経験ができるかが重要なポイントになるだろう。
 これらの点を明らかにするには,大学時代を含めたホワイトカラーの長期にわたるキャリアを調査の対象としなければならない。そこで本稿では,ある国立大学社会科学系学部の卒業生に配布されたキャリア形成に関するアンケートの個票を利用して大卒ホワイトカラーのキャリアの終盤を決定する要因を分析する。
 本稿の構成は以下のようになる。つづくIIでは,キャリア分化やその要因の分析を試みたこれまでの研究を展望し,十分に解明されてこなかった問題と本研究が取り上げる課題を説明する。IIIでは,分析に応用する推計方法を示すとともに使用するデータを説明する。IVでは,推定結果をもとにキャリアの終盤における分化を導く要因を探る。さらにVでは,グループ間の所得と満足度を比較しキャリアの終盤の結果を吟味する。VIは,まとめである。


 II 先行研究と本稿の課題

 先述のように,誰が役員に昇進できるかは極めて重要な問題であるが,実はそこまで視野に入れた昇進分析は限られている。浦坂・西村・平田・八木(2002)は3私立大学の経済学部卒業生を対象に数学能力がキャリアに与える影響を分析する際に,経営者・役員を一つの職位区分として扱い分析の範囲に含んでいる。また,松繁(2002)も同様に,国立大学の社会科学系大卒者を対象に英語力と昇進および所得の関係を分析するなかで役員をカテゴリーとして職位に含んでいる。これらは,大学での成績と昇進の間に正の相関があることを発見した。ただし,両研究とも特に役員昇進に焦点を絞っているわけではない。また,縦の移動のみを考察しており就業後の横の移動や生え抜き・非生え抜きの問題は扱ってはいない。その他の昇進をあつかった研究も,部長までのキャリアや役員間の差のみを分析したものであり,部長と役員の分かれ目に焦点を絞った研究はこれまで行われていない(注2)。
 生え抜き・非生え抜きの重要性を指摘している研究としては,まず小野(1989,1997,1998)の一連の研究があげられる。そこでは,生え抜きは非生え抜きより昇進スピードが早いことや上位職位へ登用される確率が高いことなどが明らかにされている。また,野田(1995)も,大企業では勤続が,中小企業では外部経験年数が,大きく影響することを発見し,これは大企業では内部昇進が支配的であり中小企業では出向役員が多いことの反映であるとしている。また,出向を正面から取り上げた社会経済生産性本部(1996)は,出向により職位は1ランク上昇し満足度も上がるが,賃金は低下するという興味ある事実を示している。ただし,その原因については分析がおよんでいない。
 つぎに,キャリアの終盤の結果を説明する要因に関する議論を振りかえってみよう。まず,教育の効果である。教育に関する変数の効果を推定する際に留意しておくべきは,古くから指摘されている個々人の能力や生来の才能を把握できないために,成績,学歴,訓練などの変数の効果を推定しようとする際に生じる能力バイアス(ability bias)の問題である(注3)。この問題への根本的対処は極めて難しいが,一つの対処方法としてはできるだけ分析対象の能力に関係する属性を同一にすることである。
 先述の浦坂・西村・平田・八木(2002)も,「……特定大学・学部出身者の分析対象を絞り込むことによって,数学以外の知識や能力のかなりの部分を統制……することが可能となる」としている。また,松繁(2002)も同様の理由から,ある大学の特定学部卒業生のみを分析対象として選んでいる(注4)。したがって,本研究でもこれらの先行研究と同レベルの分析対象の絞り込みを行う(注5)。
 また,同じ変数であっても大学間で意味が異なる場合がある。特に大学教育の成果として成績を指標とするような場合は,成績の付け方や学生のレベルが大学間で異なっていることを考えなければならない。この意味でも,同一大学・同一学部に調査対象を限定したほうが望ましい。また,こうすることで労働市場への出口を統一でき,まず初期状態を絞り込んだ後に,以後キャリアが拡散していく過程を観察することになるという利点もある(注6)。
 企業内の移動経験に関する研究は,「キャリアの縦と横」の議論を中心に,小池(1991),小池・猪木編(1987)に代表されるような,数多くの研究がある。たとえば海外においては,Forbes(1987)が,従事してきた仕事の数と昇進には正の関係があることを示しているし,Sheridan et al.(1990)も,同様の研究を行っている。日本国内では,村上(1997)が,早稲田大学の卒業生を取り上げ,技術者の課長への昇進スピードと移動の関係を分析し,経験職務の数(職務間異動回数)が多いほど,課長への昇進スピードは早いことを発見している。今野(1991)も,技術者の分析において,部長昇進している者は他の者よりも,勤続5年目前後と勤続15~16年目に業務変更を伴う移動を多く経験していることを明らかにした。また松繁(1995)も,ある企業内のキャリアデータを分析し,単なる移動回数ではなく,移動の時期と移動の種類が昇進を分析する際に重要であるとしている。さらに永野(1992)は,ホワイトカラーの出向を包括的に調査し,中高年層で多い出向と若年層で多い出向があること,さらにその内容にも差があることを示した。
 なかでも前掲のOhashi and Teruyama(1998)や松繁(1995)は,下位職位の昇進を分析の対象にし,若い時期の事業所間移動が昇進に影響することを発見した。幅の広い移動が技能と経験の幅を広げていることを検証するとともに,従業員間の能力差の顕在化とそれによる処遇の違いがかなり早い段階で生じている可能性を指摘している。
 以上の先行研究の示唆を踏まえ,本研究ではキャリアの終盤まで分析範囲を延ばし,それまでの移動経験,特に若年期の移動の効果に注目する。


 III 推定モデルと使用データ

 1 推定モデルの説明

 先に述べたように,キャリアの終盤を分析するには,キャリア形成の同時期に起こる役員昇進と出向などの非生え抜き化を一括して扱う必要がある。これらの相互に関連する事象を被説明変数として同時に分析するには,そのような分析に適したbivariate probitを使用する必要がある7)。はじめに,推定に使用されるモデルを以下で説明する。



 対数尤度関数は,



 分析の目的は,ρ≠0と成績変数の係数βj成績≠0と移動変数の係数βj移動≠0を検証することである。まず,ρ≠0が棄却されないケースにおいては,役員昇進と出向などの非生え抜き化を一括して扱うことが統計的にも支持されることになる。さらに,βj成績≠0であれば大学での成績が,またβj移動≠0であれば移動がキャリアの終盤に影響を与えていることになる。

 2 使用データ

 ここでの分析に使用されるデータは1998年にある有名国立大学社会科学系学部(以下A大学B学部とする)の卒業生に配布されたアンケート調査を基に作成されたものである。アンケートは約6000名に郵送され,郵送により回収された。回収率は約20%であった。
 分析では,部長から役員への昇進を見るために職位は部長以上の者を選択し,世代や年齢背景をできるだけ統一するために彼らのうち年齢が50~65歳の者に限った(注9)。また,生え抜き昇進や出向を議論するために,その対象とはなりにくい自営業主もしくは家族従業員を排除した。各人のキャリアに関する情報は回想法にて収集されている。
 このデータの持つ利点は以下のようにまとめられる。
1.これまであまり分析されなかった部長から役員への昇進を扱うことができる。
2.同時に生え抜きか否かを区別することができる。
3.学部在学中の成績や当該学部への合格確率に関する情報を利用できる。
4.単なる移動回数が把握できるだけではなく,移動の種類と時期を区別し,キャリアの終盤との関係を捉えることができる。
5.特定大学の特定学部卒業生から得られたものであるため,学歴や学校歴あるいは専攻の違いによる属性の差異が存在せず,能力や教育背景がかなりコントロールされている(注10)。
 すなわち,これまで同じ調査でデータセットを作成することが困難であったゆえに試みられなかった役員昇進・生え抜きと移動や成績の関係を包括的に分析することが可能となる。


 IV キャリアの終盤を決定する要因

 1 変数の説明と予測される結果

 分析の対象となる50-65歳のキャリアの終盤にいる者たちは,役員昇進と生え抜き・非生え抜きの2軸で選別されるので,図1のように,生え抜き役員,非生え抜き役員,生え抜き部長,非生え抜き部長の四つに分けられる。このようにともに関連しあう役員昇進と非生え抜き化を同時に分析することを可能とした上で,4グループに分化をもたらす要因について分析したい。
 なお,4グループは以下の基準で分類されている。まず,役員と部長の区別であるが,調査時において取締役以上を役員とし,他は部長とした。生え抜きは出向も転職も経験していない者,もしくは出向経験があったとしても元の会社に戻ってきている者と定義した。つまり,調査時に元の会社に勤務している者である。非生え抜きは出向したまま元の会社に戻ってこなかった者と転職していった者である。
 被説明変数は,この分類の2軸にそってつくられた役員ダミー変数と生え抜きダミー変数である。すなわち,前者は取締役以上であれば1,それ以外であれば0の値を,後者は生え抜きならば1,それ以外ならば0の値をとる。これら二つの分化は同時に生じる可能性があるために,分析には,先述のようにbivariate probitを使用する(注11)。
 説明変数としては,まず教育に関する変数があげられる。具体的には,学部時代の「優」の割合を聞いた(注12)。これは大学教育における教育の蓄積またはそこで測られた能力を表す変数であり,人的資本理論等の議論から予想される昇進に対する効果は正である。ただし,生え抜きか否かに対する効果は定かではない。
 また,大学以前の進路指導でのA大学B学部への「進路アドバイス」に関する設問もある。進路アドバイスはいわば大学入学の前段階までの教育の蓄積を示す変数であり,昇進には正の効果を持つと推測される。この変数は,大学入学以前にどのようなアドバイスを得たかを5段階で数値化したもので,「合格する確率はかなり低い」とアドバイスを受けた者は1,「低い」なら2,「五分五分である」なら3,「高い」なら4,「かなり高い」なら5,となっている。成績と同様に,昇進への効果は正と予想される。生え抜きか否かに対する効果は明らかではない。
 次に,キャリアの各段階での移動である。何歳のときのどのような移動経験が昇進や生え抜きにどの程度影響を与えるのであろうか。そのために,年代別に事業所内の部内異動回数,事業所間異動回数をとる。特に,本研究の興味から30歳以下での移動に注目したい。また,出向戻りダミーも利用する(注13)。これらの変数の係数は正とも負とも予想される。
 さらに,現在働いている会社の従業員数である。先にも述べたように,永野(1992)や社会経済生産性本部(1996)によれば,出向元よりも規模の小さい出向先に移動した場合,職位が1ランク上昇することが示されている。また従業員数が少ないということはそれだけ競争相手も少ないということであり,昇進がより容易になるとも考えられる。したがって,予想される企業規模の昇進への効果は負である。生え抜きか否かへの効果は,出向の流れが一般に大企業から中小企業であることを考えれば,小規模企業ほど非生え抜きの割合が高く,逆に大企業ほど生え抜きの割合が高くなる。よって効果は,正になると考えられる。
 最後に年齢である。歳とともに経験を積み重ねることにより生産性を高め,そのことが昇進にも役立つと考えられる。よって昇進への効果は正であろう。一方生え抜きか否かへの効果は,年齢を重ねるごとに出向や転職を経験する者は増加するために負と考えられる。

 2 推定結果

 推定結果は表1に示されている。(I)はキャリアの終盤に影響を与えると思われるすべての変数を含んだ結果であり,(II)は尤度比検定により有意ではない可能性の高い変数を落とした結果を示している。以下では,統計的精緻化後の(II)の結果について説明する。

表1 BivariateProbitによる推定
表A-1 表1で使用された変数の基本統計量

 まず,役員昇進と生え抜き・非生え抜きの動きが相互に関係するかどうかをみてみよう。尤度比検定の結果,ρ=0は棄却される。すなわち,役員昇進と生え抜き・非生え抜き化は相関を持ち,役員昇進と生え抜きか否かは同時に推定されるべきであることがわかる。
 次に,どの説明変数がキャリアの終盤に影響を持つかを見てみよう。特に注目するのは,教育変数である。役員への昇進に対する結果から見てみよう。大学での成績および受験時の進路アドバイスは正の効果を持つことが示された。結果は予想どおりであるが,同一大学・同一学部に学歴を統一しても卒業生の間には差が生じており,大学での成績や大学進学前の学力という人生の早い時期の教育に関する変数がキャリアの終盤における結果と相関を持つ事実は注目に値する。
 続いて,移動に関する結果である。30歳未満の事業所間異動回数が正で有意となった。先行研究の議論にそうと,事業所間の移動は仕事の幅を広め,昇進に必要な能力を高めていることになる。特に,若年期の移動の差がキャリアの終盤にまで影響を与えている。キャリアの早い時期にのちのちまで影響を及ぼす差異が観察されることを意味している。
 従業員数は負の効果を持つ。従業員数が多いほど競争が激しく,昇進が難しいことを示していると考えられる。年齢の効果は正である。経験を積むことで能力を高め,それが昇進の機会を増していると考えられる。
 次に,生え抜きか否かの推定結果を見てみよう。成績の係数は負であった。ひとつの解釈として,成績の高いものがキャリアの初期時点で専門的職種に転職をしている可能性がある(注14)。しかし,残念ながら本研究の使用データからは,この結果に十分な説明を与えることができない。今後の課題としたい。
 出向戻りダミーが正で有意となった。過去に一度出向した者はキャリアの終盤においては生え抜きとしてとどまる可能性が高い。かつての出向を通じて蓄積した技能や構築した出向先との関係が元の会社で役立つと思われる。最後に,従業員数と年齢は予想通りそれぞれ正で有意,負で有意という結果を得た。
 以上,主な推定結果をまとめると,まず役員昇進については,教育に関連した変数として大学時代の成績と大学への進路アドバイスが役員昇進に対して有意に効果があることが確認された。また,企業内の移動経験の変数では,特に30歳未満の移動経験のみが役員昇進に対して有意であり,30歳以降の移動は有意にならないことが確認できた。この二つの推定結果より,役員昇進に対して若年期の蓄積がキャリアの終盤まで効果を持ち続けることがわかる。つぎに,生え抜き・非生え抜きについては,成績の効果は負であった。成績が高いほど非生え抜き化するといえる。また,企業内の移動経験の変数では,出向戻りダミーが正で有意である。


 V グループ間比較

 前節では,キャリアの終盤の分化を導く要因について分析した。続けて本節では,所得と満足度に関して4グループ間の比較をおこなう。特に生え抜き部長と非生え抜き役員の差異には注意を要する。所得と満足度は重要な変数であり,それらに関してグループ間にどのような差が生まれるかを確認しておくことは,キャリアの終盤での差異の意味を考えるうえで重要である。
 分類軸の一つは生え抜き・非生え抜きであり,非生え抜き化した場合,会社を変わるわけであるから,4グループ間の所得と満足に関する序列は自明ではない。先述のように,この問題に関する実証研究は社会経済生産性本部(1996)だけであり,この調査では出向により非生え抜き化することは賃金を低下させるが,職位を1ランク上昇させ満足度も上昇することを示している。これは,本稿の4グループに対応させると,生え抜き部長から非生え抜き役員への動きに対応する(注15)。社会経済生産性本部の結果が当てはまるとすると,生え抜き部長と非生え抜き役員を比較した場合,所得では前者が,満足度では後者が高くなるはずである。はたしてその通りの結果が得られるであろうか。
 まず,推定で使用される所得と満足度の変数について説明しよう。所得は前年度の年間税込所得である。満足度は,「あなたは現在就いている仕事にどの程度満足していますか」という質問に対し「かなり不満がある」と答えたものを0,「あまり満足していない」と答えたものは1,「まあまあ満足している」と答えたものは2,「とても満足している」と答えたものは3と数値化した。
 表2には,それぞれの年齢,年間所得,満足度および現在勤めている会社の従業員数が記述されている(注16)。年間所得の平均値に関しては,生え抜き役員,非生え抜き役員,生え抜き部長,非生え抜き部長の順に高い。すなわち,社会経済生産性本部(1996)の結果に比べると,非生え抜き役員と生え抜き部長の順番が逆である。また,満足度に関しては,生え抜き役員,生え抜き部長,非生え抜き役員,非生え抜き部長の順になり,ここでも非生え抜き役員と生え抜き部長の順番が逆になっている。さらに,従業員数に関しては,役員においても部長においても非生え抜きのほうが少なくなっている。これは出向の流れが,大企業から中小企業であることを示すものと考えられる(注17)。

表2 役員・部長,生え抜き・非生え抜きに関する基本統計量

 さて,単純に平均の差を見るだけでなく,他の事情をコントロールしたうえでも各グループ間に統計的に有意な差が観察されるだろうか。以下ではこの点を確かめる。グループ間での差を見るために所得と満足度の推定式に,生え抜き部長ダミー,非生え抜き役員ダミー,生え抜き役員ダミーを含み,それらの係数間に差があるかどうかを検定する(注18)。基準となるグループは非生え抜き部長である。また,基準グループを建設業とした産業ダミーと(注19),その他所得と満足度に影響を与えると考えられる説明変数も含む。くわえて,通常所得は企業の従業員規模に大きく影響を受けるため,所得の推定においてのみ(生え抜き部長ダミー×従業員数),(非生え抜き役員ダミー×従業員数),(生え抜き役員ダミー×従業員数)といった従業員数との交差項も使用する(注20)。
 表3は,年間所得の自然対数を被説明変数として推定を行った結果である。推定(I)は使用可能な説明変数をできるかぎり含んで推定した結果であり,推定(II)は(I)においてP値の高かった変数を除去して同様の推定を行った結果である(注21)。注目に値するのは,生え抜き役員ダミーと非生え抜き役員ダミーは若干P値が高くなったが,正の効果を示していることである。係数の値を比較すると生え抜き役員ダミーのほうが高い。ただし,両方の係数が等しいとする帰無仮説はF検定の結果,P値=0.55となり棄却されない。つまり,他の条件をコントロールすれば生え抜き役員と非生え抜き役員の所得の間に差はない。また(非生え抜き役員ダミー×従業員数)の係数が正で有意である。つまり非生え抜き化しても,そこでの企業規模が大きければ所得はよりいっそう増加すると解釈できる。

表3 所得分析

 他の属性をコントロールした後の所得に関する結果を図1の区分に従ってまとめると,

  (A)生え抜き役員=(B)非生え抜き役員
 >(C)生え抜き部長=(D)非生え抜き部長

となる。これは,出向により職位が上がっても所得が下がるという社会経済生産性本部(1996)の結果と異なる。最も可能性の高い理由は,従業員規模の差による所得差であろう。表3の(II)では従業員数の係数は正である。すなわち,従業員規模が大きく(小さく)なれば所得が上がる(下がる)。表2に示されるように生え抜き部長の企業の平均従業員数は8648.8人であり,非生え抜き役員のそれは1090.3人と後者のほうが著しく少ない。この差により,非生え抜き化した場合に所得の減少が起きていると考えられる。
 他方,満足度に関する推定結果は表4に示してある。被説明変数は満足度を表す0から3までの質的変数であるので,オーダードプロビット推定を行った。説明変数の選択手順は表3と同様である。ただし,所得と異なり満足度に関してはグループダミーの効果が従業員数の差によって変化するとは考えにくいので,グループダミーと従業員数の交差項は推定に含めなかった。(I)でできるだけ多くの説明変数を用いて推定を行い,ついで(II)で不必要な変数を落とした(注22)。なお説明変数として入れられた所得の対数値は,表3の(II)から得られた予測値である。

表4 満足度分析

 表4の推定において,生え抜き部長ダミー,非生え抜き役員ダミー,生え抜き役員ダミーは有意ではなかった。このことは,満足度に関しては四つのグループ間で有意な差が見いだされないことを意味している。この結果も,出向により満足度が上がるという社会経済生産性本部(1996)の結果とは異なる。
 表3と表4の結果は,非生え抜き役員化する場合,企業規模が大きく減少することで所得が下がる可能性を示している。一方,仕事の満足度はかならずしも減少するわけではないことがわかった。
 両者の結果の違いは,データの性質の差による可能性もある。社会経済生産性本部の研究は移動した本人に前職と比較して満足度や所得がどのように変化したかを聞いている。したがって,本人の属性はコントロールされた上で仕事が変わったことの効果を捉えている。しかし,企業規模の差や産業の違いを十分に考慮できていない。一方,本稿では異なるグループ間の比較にすぎないために正確に本人の属性をコントロールしきれない欠点を持つが,従業員規模や産業などの変数は推定に含めているという違いがある。今後,パネルデータなどを整備し,本人属性がコントロールされかつ移動によって生じる環境変数の変化も考慮された分析を行う必要がある。


 VI 結 論

 本研究では,ある大学の卒業生に配布されたアンケート調査を利用して,以下の三つの点に焦点を絞り,キャリアの終盤を決定する要因を分析した。第1に,部長から役員への昇進を分析するだけでなく,「生え抜き」か「非生え抜き」かの区別を同時に考慮して問題を考えた。第2に,キャリアの終盤に起きる分岐に大学時代の成績が与える効果を測定した。第3に,企業内移動経験の効果を測るために,いつ,どのような種類の移動が生じたのかという問題と後の役員昇進の関係を見た。
 本稿の前半では,キャリアの終盤において,生え抜き役員,非生え抜き役員,生え抜き部長,非生え抜き部長の4グループに分化する要因を推定した。推定結果をまとめると,役員昇進に関しては,成績や対象学部への受験に関する進路アドバイスが影響を与えることが明らかになった。また,30歳未満の事業所間異動回数も影響を与える。要するに,若年期の企業内移動経験が影響を与え,高齢に達したときの移動経験は影響を与えない。さらに,生え抜き・非生え抜きに関しては,成績が負で有意である。以上の推定結果から,キャリアの終盤における分岐がかなり若い時期の蓄積に影響を受けていることがわかった。特に,企業内キャリアの最終ポストである役員への昇進に対して若年期の教育経験や仕事経験が影響を与えるといえる。
 さらに本稿では,この4グループ間で所得と満足度の比較を行った。推定結果は先行研究と異なるものであった。まず所得については,生え抜き役員と非生え抜き役員の間に差異がないこと,また生え抜き部長と非生え抜き部長の間にも差がないことがわかった。しかし,前者の2グループすなわち役員は,後者の2グループすなわち部長よりも所得が高いことが確認された。ただし,非生え抜き化により企業規模が著しく小さくなるようなときは,所得が下がる可能性が示された。
 一方,満足度に関しては4グループにおいて統計的には全く差が見られなかった。また,非生え抜き化に伴って企業規模が小さくなった場合でも,仕事の満足度が減少するわけではないことが確認された。
 本研究の発見は,1大学1学部卒業生を対象にした分析結果である。このサンプルは,属性が調整されているという大きな利点を持つ反面,結論の汎用性において問題があることも事実である。今後,調査対象を広げた同種の事例研究が進められる必要があるだろう。また,それにより,それらの差異すなわち学校歴によるキャリアの違いを分析する作業に移ることが可能となる。先行研究からも学校歴は差異を生み出す最も大きな要因の一つと予測され,その効果を測ることによって本稿で取り扱ったキャリアの終盤の結果を決定する過程のかなりの部分が解明される。今後取り組まれるべき極めて重要な課題である(注23)。

*本稿は,3名の平等な貢献を基に作成された。名前は年齢の逆順である。日本経済学会(2001年5月),日本教育社会学会(2001年10月)の参加者,中でも村上由紀子氏(早稲田大学)からは有益なコメントをいただいた。また匿名のレフリー2名からも有益なコメントをいただいた。記して感謝を表したい。本稿における誤りは筆者の責任である。
1)小池(1999)では仕事経験を通しての技能形成と経験の違いによる個人格差を議論している。
2)今田・平田(1995),大竹(1995),竹内(1995),冨田(1992),松繁(1995)はそれぞれ1社の,Ohashi and Teruyama(1998)では2社の企業内昇進に関するデータを利用して部長までの昇進を分析している。一方,役員のみを対象とした分析としては,野田(1995),橘木(1995),柿澤・松繁・湯浅・片倉・中谷(2002)がある。
3)Griliches(1977),Wills(1986),Card(1999)等を参照。
4)その他,分析対象を同一大学や同一学部に限定するというアプローチをとったものとして,梅崎(2000),大谷(2003),大谷・梅崎・松繁(2003),竹内編(1995),村上(1997)がある。
5)一方,広範囲な調査を利用した研究はいくつか存在する。竹内(1990),日本労働研究機構編(1996)や黒澤・玄田(2001)は,教育水準の高いものほどよりよい仕事に就けることを示している。ただし,これらの研究では,大学教育に対する詳細な情報とキャリアへの効果は分析されていない。苅谷(1991,1993)は入職までを主に分析しているが,就業後のキャリアまでは分析範囲が延ばされていない。竹内編(1995)や松繁(2000)では,就業後のキャリアも分析範囲に含まれているが,役員昇進にまで延長されているわけではない。
6)浦坂・西村・平田・八木(2002)では対象となった3大学のいずれにおいても,学業成績を,「上位」「中の上」「中位」「中の下」「下位」の5ランク階で測っている。同じランクであっても大学間に差異が生じる可能性があるが,その調整はなされていない。
7)より詳細な議論についてはGreene(1997)を参照のこと。
8)後述のように,分析対象は50歳から65歳に限られる。たとえば現在50歳の者と59歳の者は50歳代になってからの経過時間が異なるために当然異動経験が異なる。したがって,完全に外生変数として用いることのできるのは,40歳代までの異動であり,それらを説明変数として用いる。
9)全役員および部長を対象とした場合であっても,平均年齢や年齢分布は本研究の分析で使用された50~65歳のそれとおおむね一致している。また,65歳定年制度の存在を考えて上限を65歳とした。この年齢層で部長とそれ未満の者はかなり属性が異なる可能性があり一括して扱うことはできない可能性がある。したがって,後者は割愛し部長と役員とを比較することとした。
10)広範囲な大卒を対象とした調査の場合,十分な数のサンプルが回収された大学・学部に関しては,野田(1995)や松繁(2000)が行ったようにダミー変数を使用することで大学・学部間の相違をある程度コントロールすることが可能である。しかし,このような処理を行っても,切片項および交差項をとった場合はそれらを含む一部の調整を行っているのみで,その他の変数にかかる係数は大学間または学部間で同一であるという制約を課している点で限界がある。一方,本稿のように同一大学・同一学部を対象に調査を行えば,サンプル属性をできるだけ統一することができる。この場合,推定に厳しい前提を置くことにはならないという長所があるが,他の場合も同様の結果を生む保証がないという短所を持つ。したがって,結果の一般性を確保していくには,同様の作業を他の対象でも行っていくことが求められる。すなわち,これらの二つのアプローチはそれぞれの長所と短所が裏返しになっており,補完的な作業であるといえる。
11)本研究のような分析を行うためにはmultinominal logitも使用できるように思われる。ただし,本研究の分析ではIIA(independence from irrelevant alternatives:無関係な選択肢からの独立性)の条件が成立していない(Greene(1997),牧・宮内・湯花・〓田(1997))。
12)分析に使用される主な変数の基本統計量は表A-1に示されている。学部時代の「優」の割合に関しては,平均54.6%,標準偏差26.5%,最低0.0%,最高100.0%となっており,かなりのばらつきがあり,かつ,常に「優」がとれるという評価がなされているわけではないことがわかる。
13)アンケート調査では直接的に出向戻りの有無を聞いていない。そこで,以下のどれかの条件を満たすものを出向戻りとみなした。
1.「学校卒業後初めての入社年」と「今現在の会社への入社年」が同じであり,かつ出向を経験したことがあると答えた者,
2.「学校卒業後初めての入社年」と「今現在の会社への入社年」が異なっており,「転職経験」がなく,かつ出向回数が3回以上の者,
3.「転職経験」があり出向回数が2回以上と答えた者。
14)たとえば,企業に就職後,キャリアアップのため大学に戻りその後再就職するケースや公務員試験や公認会計士試験などを受け,転職をする可能性もある。この大学の特性を考慮すると,この可能性は高いと考えられる。
15)もちろん,本稿の非生え抜き化は出向だけでなく転職も含むことに留意する必要がある。ただし,数少ない先行調査として本稿の分析結果と比較する価値はあるだろう。
16)従業員数については,9段階に分けた従業員規模数の中間値を取っている。ただし,アンケート上の最大従業員数を示す,「1万人以上」については従業員数を1万5000とした。
17)また,平均年齢は生え抜きのほうが若い。つまり同じ職位に到達するのに,生え抜きのほうが早く昇進する可能性を示している。この点は前掲の小野(1997,1998)の研究と一致する。
18)4グループへの分化は,前節では被説明変数として扱われている。そこで,それらの内生性を確かめるために表1の(II)の推計値を用いHausman検定を行った。結果,所得分析については,帰無仮説が棄却されたため以下の推定では推計値をダミー変数として使用した。一方,満足度分析については,帰無仮説は棄却されなかったため推計値ではないダミー変数を使用して分析を行った。
19)農林水産業に従事するものはいなかったのでこの分析には含まれていない。
20)ここでのダミーも表1の(II)から得られた推計値である。
21)除去された変数は,生え抜き部長ダミー,(生え抜き部長ダミー×従業員数),(生え抜き役員ダミー×従業員数),それにすべての産業ダミーである。これらの変数すべての係数が0であるという制約をおきF検定を行うと,P値=0.70となり帰無仮説は棄却されなかった。
22)排除された変数のすべてが0であるという帰無仮説はカイ2乗検定によりP値=0.80で棄却されなかった。
23)この点は,査読者より指摘を受けた。適切なアドバイスに感謝する。


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〈2002 年5月7日投稿受付,2003 年5月9日採択決定〉


 おおたに・ごう 大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程在学中。主な論文に「仕事競争モデルと人的資本理論・シグナリング理論の現実妥当性に関する実証分析――学士卒・修士卒・博士卒間賃金比較」『日本経済研究』No.47,2003年など。労働経済学・教育経済学・計量経済学専攻。gohtani@osipp.econ.osaka-u.ac.jp

 うめざき・おさむ 法政大学キャリアデザイン学部専任講師。主な論文に「職場管理職の人材配分過程における役割――製薬企業における営業所長の事例研究」『日本労働研究雑誌』No.466,1999年など。労働経済学・人的資源管理専攻。

 まつしげ・ひさかず 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授。主な論文に「社会科学系大卒者の英語能力と経済的地位」『教育社会学研究』第71集,pp.111-129,2002年など。人的資源管理・教育経済学・労働経済学専攻。matusige@osipp.osaka-u.ac.jp