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(著者抄録)
本稿では、『企業の福利厚生制度に関する調査』の個票データを用いて、正規労働と非正規労働が代替関係にあるのか、それとも補完関係にあるのかを「Hicksの補完の偏弾力性」を用いて計量的に分析した。さらに分離可能性テストを行い、資本を生産関数の投入生産要素として仮定することが分析上不可欠であることを示した。その上で、資本が労働需要に与える影響についても考察した。推定結果から、経済全体では正規労働と非正規労働の間には補完関係があることが示された。そして、正規労働者数1000人以上の大企業では補完関係、30人以上100人未満の小企業では代替関係と、企業規模によって生産要素需要関係に違いがあることが明らかにされた。また、企業の非正規労働の雇用行動に資本が影響を与えている可能性も指摘された。人件費削減のために正規労働を減らしてパートなどの非正規労働の雇用を増やすということが同時進行していると言われているが、個別企業ごとに見てみると、必ずしもそうではないということを示唆する結果が得られた。
(論文目次)
I はじめに
II 推定方法とデータについて
  1 補完の弾力性の推定方法
  2 使用データについて
  3 使用データが抱える問題点
III 計測結果
  1 生産要素の分離可能性の検証
  2 正規労働と非正規労働の補完の弾力性の計測結果について
  3 資本と労働の補完の弾力性の計測結果について
IV おわりに

I はじめに

 本稿では,正規労働と非正規労働が代替関係にあるのか,それとも補完関係にあるのかを「Hicksの補完の偏弾力性(The Hicks partial elasticity of complementarity)」を用いて計量的に分析する。正規労働という用語は正社員を,非正規労働は具体的にはパート・アルバイトを指す。総務庁『労働力調査特別調査報告(1998年2月)』によると,正規の従業員・職員以外の労働力に占めるパート・アルバイトの割合は85.2%である。それゆえ,パート・アルバイトは正規労働以外の労働力の中心を成している就業形態と言える。よって,本稿ではパート・アルバイトを非正規労働として取り上げることで,正規労働と非正規労働の代替・補完関係について議論することとする(注1)。
 経済学で異なる生産要素間の代替・補完関係を論じる際,「Allenの代替の偏弾力性(The Allen partial elasticity of substitution)」(以下,代替の弾力性)と本稿で用いる「Hicksの補完の偏弾力性」(以下,補完の弾力性)の二つの概念が長年にわたって用いられてきている(注2)。代替の弾力性および補完の弾力性がこのように用いられてきた理由は,生産要素価格の相対関係を明示的にモデル内に取り入れた上で異なる生産要素間の代替・補完関係を論じることができる,という意味で厳密さを持つ概念だからである。すなわち,本稿で行う補完の弾力性を通じた分析は,正規労働と非正規労働の代替・補完関係を両者の賃金格差を考慮に入れた上で論じることを可能とするのである(注3)。
 近年,「企業は人件費削減のために相対的に賃金の高い正規雇用を減らし,その代わりに非正規雇用を増やす」という代替現象が起こっていると言われている。つまり,正規雇用と非正規雇用の関係は代替的であると考えられている。たしかに,正規雇用が減少し非正規雇用が増大するという“数量的な”代替現象を確認することができる。総務庁『労働力調査特別調査報告』によれば,1997年から99年にかけて正規の職員・従業員は3340万人から3227万人へと減少している一方で,パート・アルバイトは899万人から971万人へと増大している。しかし,以下で概観する先行研究からも明らかなように,実際に企業単位で見たときに正規労働と非正規労働の関係が代替的であるかどうかは必ずしも自明なこととは言えない。
 代替現象に関しては丁寧な事例研究が積み重ねられてきており(注4),さらに最近では経済学の伝統的な労働需要の分析手法を用いた研究も行われるようになってきている。
 事例研究の分野では主に二つの視点に基づいた研究が行われてきた。第1に,非正規労働の基幹労働力化や戦力化を強調する視点である(三山(1991),本田(1999)等)。この基幹化という視点は,非正規雇用の増大を説明することは可能だが,それに正規雇用の減少が伴うか否かまでは明らかにできていない。
 第2に,部門の業績管理のしくみという視点からの分析である。小野(2001)は,スーパーにおける部門ごとの業績管理システムが,人件費を削減し売り上げを最大化するように正規社員数を減らしてパートタイマーを増大させる圧力となっていることを明らかにした。これは,部門内の正規社員とパートタイマーが代替関係にあることを示唆する研究ではあるが,スーパーという一業態に限った現象である可能性を否定することはできず,経済全体の動きを説明するには限界を感じざるをえない。
 一方,経済学でも労働需要を分析する際に用いられる代表的な手法である雇用創出・喪失分析(石原・玄田(2003))と雇用調整関数(宮本・中田(2002))を用いた計量的な研究の成果が報告されている。
 石原・玄田(2003)では,パート雇用の増加とフルタイム雇用の減少が同時に生じている事業所の割合は1990年代を通じて経済全体の3~6%強にすぎず,実際にはほとんどの事業所で“数量的な”代替現象が起こっていないことを明らかにした。しかし,パートとフルタイムの賃金の違いを考慮に入れた上で両者の雇用量の変動を論じるときに初めて厳密な意味での代替・補完関係を論じることができるため,両者の関係が代替的であるか補完的であるかということにまでは,言及していない。一方,宮本・中田(2002)は,1994年以降の非正規従業員の急速な増大の結果,近年では正規従業員を非正規従業員で置き換えることから得られる企業収益は減少し,代替のインセンティブが弱まっていることを示唆した。
 以上から明らかなように,一企業内において正規労働と非正規労働の関係が代替的であるか補完的であるかは,事例研究からも計量分析を用いた研究からも,必ずしも一致した見解を得られていないのが現状である。また,上述した先行研究は代替・補完関係を論じる手法として,二つの問題点を抱えている。
 第1に,事例研究と雇用創出・喪失分析においては,生産要素の相対価格を明示的に分析の枠組みの中に取り入れていないため,厳密な意味での代替・補完関係を論じるには限界があるという問題点が指摘できる。なぜならば,人件費削減のために正規労働が非正規労働で置き換えられていることを論じるのであれば,両者の賃金格差を明示的に分析の枠組みに取り入れることが不可欠だからである。
 第2に,すべての先行研究に共通することであるが,正規労働と非正規労働という両者の関係からしか分析がなされておらず,生産活動に不可欠な資本と労働需要の関係を捉えていないという問題点がある。
 正規労働と非正規労働の代替現象についての研究がこのように蓄積されつつあるにもかかわらず,代替の弾力性または補完の弾力性の計測を通じた分析は今までなされていない。
 前述したように,経済学では,この代替の弾力性および補完の弾力性を用いた異なる生産要素間の代替・補完関係に関する研究の歴史は深く,技術的にも完成されている(注5)。また,代替の弾力性および補完の弾力性は,正規労働と非正規労働の賃金格差を明示的にモデル内に取り入れているという意味で,代替・補完関係を計測する上で厳密な概念である。加えて,資本と労働需要の関係についての分析も可能とする。つまり,代替の弾力性または補完の弾力性を用いることで,先行研究が抱える二つの問題点を克服することができるのである。よって,本稿は正規労働・非正規労働・資本という三つの生産要素間の補完の弾力性の計測を通じて,この分野に新たな知見を与えることを目的としている。
 本稿の構成は以下の通りである。IIでは分析手法と使用データについて説明する。IIIで,推定結果に関する考察を行う。この節から,資本を分析の枠組みに取り入れることが不可欠であることが示される。それと同時に,正規労働と非正規労働の間には企業レベルでは補完関係があることが明らかにされる。さらに,大企業では補完関係,小企業では代替関係と,企業規模によって労働の需要技術関係に違いがあることも示される。最後に,IVで結論を述べることとする。


II 推定方法とデータについて

 1 補完の弾力性の推定方法

 Iでも述べたように,代替・補完関係の計測には代替の弾力性と補完の弾力性の二つが主に用いられるが,両者とも2種類の生産要素間の代替・補完関係を表す概念である。代替の弾力性と補完の弾力性の違いは,3種類以上の生産要素投入を仮定する場合に,代替の弾力性は代替・補完関係を計測する2種類の生産要素以外の生産要素の価格を一定とし,補完の弾力性は要素投入量を一定としている,という点である。
 本稿は,非正規労働の需要量の相対的な変化が正規労働の需要量に与える影響について議論することを主な目的としている。であるから,計測対象ではない生産要素の投入量を一定と仮定する補完の弾力性のほうが,ここでは計測方法として適していると考えられる(注6)。よって,本稿では補完の弾力性を計測することによって,生産要素間の代替・補完関係を論じることとする。また,補完の弾力性は限界費用一定という仮定の下に導かれる概念であり,その意味で,すべての生産要素の価格や投入量の調整が十分に伸縮的であるとした場合に要素投入量が変化したときの影響を測る指標である(注3)同様,詳細については補論1を参照のこと)。



が満たされなくてはならない。また,(2)式から明らかなように,

も成り立つ。そして,本稿で実際に推定に用いる式は,(5)式をさらに変形した,

である(注7)。
 Translog型の生産関数を仮定した場合の補完の弾力性の定義は,

である(注8)。よって,(8)式を制約条件として(9)式のSeemingly Unrelated Regression(SUR)分析を行い,得られた係数とコストシェアの推定値を(10)式と(11)式に代入することで,補完の弾力性の値を導出できる(注9)。Cij, Ciiが負の場合は生産要素の関係が代替的,正の場合は補完的であることを意味する(注10)。
 推定式(9)式から明らかなように,補完の弾力性を計測するためには,生産要素量・生産要素価格・生産量のデータが必要である。具体的には,正規労働者数・非正規労働者数・資本,正規労働の賃金・非正規労働の賃金,生産量の六つのデータが企業レベルで必要となる。以下の2,3で,推定に用いたデータの概観を行う。

 2 使用データについて

 本稿では,生命保険文化センター『企業の福利厚生制度に関する調査(1998年)』(以下,「福利厚生調査」)の個票データを基本的に使用した。これは,東京都区部および政令指定都市に所在地がある正規労働者数30人以上の民間企業を調査対象とした企業調査である(注11)。また,本来これは企業の福利厚生制度の現状を把握し,今後の方向性を探ることを目的として行われた調査であるが,本稿では正規労働者数・非正規労働者数・正規労働の賃金に関するデータを得るためだけに使用した。非正規労働者数とは,パート・アルバイト等で週3日以上かつ2カ月以上継続して勤務する臨時従業員数のことを指し,人材派遣会社からの派遣社員は除かれている(注12)。また,正規労働の賃金とは要素価格のことであるから,正規労働を雇用する際に発生する費用として社会保険料の企業負担分や福利厚生費等も含めるべきであるが,残念ながら「福利厚生調査」からはこれらに関する情報を得ることはできない。よって,「福利厚生調査」から得られる35歳男子の税込みの年間モデル給与額を正規労働の賃金として用いることとする。
 「福利厚生調査」を現在利用可能なその他のデータと比較した場合,正規労働者数・非正規労働者数・正規労働の賃金の3種類のデータを一つの個票から得られることと,非正規労働の定義が統一されていることの2点は,「福利厚生調査」を用いることの大きな利点である。「福利厚生調査」以外にも,有価証券報告書から正規労働者数・非正規労働者数・正規労働の賃金の三つのデータを企業単位で得られる場合もある(注13)。しかし,有価証券報告書の非正規労働に関する定義は,企業によって異なっている場合がある。一方,この「福利厚生調査」では非正規労働に関する定義が統一されているので,より厳密に分析を行うことが可能となる。以上の理由から,「福利厚生調査」を基本的に使用することとした。
 以上,ここでは「福利厚生調査」から直接得られる正規労働者数・非正規労働者数・正規労働の賃金の三つのデータについての説明を行った。補完の弾力性の計測に必要な残りの非正規労働の賃金・資本・生産量に関する三つのデータに関しては,使用データの問題点,それが推定値に与える影響とともに,次の3で説明する。

 3 使用データが抱える問題点

 2で述べたように「福利厚生調査」を用いることに大きな利点はあるものの,正規労働の賃金が過小に捉えられている可能性以外にも,「福利厚生調査」には以下三つの問題点がある。第1に,正規労働者数・非正規労働者数・正規労働の賃金が階級値でしか得られないことが挙げられる。よって,本稿ではこの中位数をそれぞれの人数として用いることとした。
 第2に,非正規労働の賃金・資本・生産量についてのデータがないことである。そこで,その他の公表データを用いて,欠けている非正規労働の賃金・資本・生産量の3種類のデータを企業ごとに補うこととした。その際には,個票に記載されている産業や企業規模・資本金等の各企業の属性情報を可能な限り利用し,その企業の情報として最も信頼性が高いと思われるもので補完するように留意した。まず,非正規労働の賃金については,労働省『平成10年賃金構造基本統計調査』の第3巻第12表に示されている「パートタイム労働者の年齢階級別1時間当たり所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」の女子労働者に関するデータを,産業別・企業規模別に年間給与ベースに加工したもので補完した(注14)。具体的には,{(「1時間当たり所定内給与額」×「1日当たり所定内実労働時間数」×「実労働日数」)+「年間賞与その他特別給与額」},で求めた。
 また,資本データとして大蔵省『平成10年4~6月期法人企業統計季報』と『平成10年7~9月期法人企業統計季報』に記載されている産業別・資本金別の固定資産を足して2で割って平均したものを用いた(注15)。そして,生産量データとして通商産業省『平成10年企業活動基本調査』の「第1巻総合統計表」に記されている産業別・従業者規模別の粗付加価値を用いることとした。ここで,本稿で使用するデータの標本分布を表1にまとめておく(注16)。

表1 標本の分布

 このように,正規労働者数・非正規労働者数・正規労働の賃金は階級値で与えられ,非正規労働の賃金・資本・生産量は他の公表データ,すなわちこれらも階級値で補完されている。つまり,推定に用いた変数のほとんどが真の値から乖離している可能性をはらんでいる。このような誤差を含んだ変数を用いてSUR分析を行うと,変数に含まれる誤差が分散共分散行列に影響を与え,それを通じてSUR推定値にバイアスを生じさせる(注17)。しかし,SUR推定値に生じるバイアスが,上方バイアスであるか,それとも下方バイアスであるかを明確に示すことはできない。
 第3の問題点として,労働時間の取り扱いについて言及しておく。正規労働および非正規労働は,生産関数においては労働時間を考慮した労働投入量であると考えられる。前述したように,正規労働の賃金として35歳男子の税込みの年間モデル給与額を用いているため,ここでは正規労働は所定内労働時間だけ労働しているものと仮定している。また,非正規労働についても,給与を年間ベースに加工する際に「1日当たり所定内実労働時間数」を用いていることからも明らかなように,所定内労働時間だけ労働しているものとしている。本来であれば残業も含めた上での労働時間を考慮すべきであり,この仮定が正規労働の労働投入量に対してバイアスを与えると予想される。
 使用データが以上述べたような問題を抱えていることから,補完の弾力性の計測値に何らかのバイアスがかかる可能性は否定できない。しかし,II2で述べたとおり,「福利厚生調査」の使用が現段階では補完の弾力性の計測には最も望ましいと考えられるため,本稿ではこれらの変数を用いて推定を行うこととした。ただし,補完の弾力性の計測値の解釈にあたっては,ある程度の留意が必要であることは言うまでもない。


III 計測結果

 1 生産要素の分離可能性の検証

 補完の弾力性の推定結果について議論する前に,まず生産要素間の分離可能性について検証する。
 分離可能性が成り立つということは,ある2種類の生産要素間の補完の弾力性がその他の生産要素の投入レベルの影響を受けないということを意味する。言い換えると,分離可能性が成り立たない場合,ある二つの生産要素間の補完の弾力性はその他の生産要素の絶対量にも依存して決まるため,生産関数へのその生産要素の投入を仮定しなければ,正確な補完の弾力性を計測することができない。
 よって,補完の弾力性の計測を行う前に,本稿で用いるTranslog生産関数に関して,正規労働・非正規労働・資本の3種類の生産要素の間で分離可能性が成り立つか否かを,Denny and Fuss(1977)の弱分離可能性と強分離可能性の条件テストを用いて検証する(ここでの検証方法の詳細については,補論2を参照のこと)。
 強分離可能性は弱分離可能性の特殊ケースであり,弱分離可能性よりも限定的な意味でしか分離可能性を検証することができない(注18)。そこで,ここでは弱分離可能性による検証を主に行い,強分離可能性による検証は補助的に用いることとする。
 結果は,表2の通りである。表2の見方であるが,括弧でくくった二つの生産要素と残り一つの生産要素の間に分離可能性が成り立つか否かの検証結果を表している。本稿は正規労働と非正規労働の代替・補完関係の分析を主目的としているので,以下では両者と資本の間の分離可能性の検証結果についてのみ説明を行う(注19)。表2の1行目に着目すると,弱分離可能性が有意水準1%で棄却されるため,正規労働・非正規労働と資本の間には弱分離可能性が成り立たないことがわかる。すなわち,正規労働と非正規労働の補完の弾力性の計測値は資本投入量の影響を受けるので,両者の代替・補完関係を議論するためには,投入生産要素として資本を仮定することが不可欠であることが示された。

表2 分離可能性テストの結果

 次に,産業別の生産関数についての分離可能性の検証結果をみていく。表3の1行目からわかるように,サービス業だけが正規労働・非正規労働と資本の間の弱分離可能性が成り立たない。しかし,製造業・小売業では強分離可能性が棄却されることから,この二つの産業に関しても必ずしも分離可能性が成り立っていないことがわかる。
表3 産業別の分離可能性テストの結果
 最後に,企業規模別の生産関数についての分離可能性の検証を行う。正規労働者数1000人以上の企業を大企業,100人以上1000人未満を中企業,30人以上100人未満を小企業と定義する。表4の1行目から,正規労働者数30人以上100人未満の小企業では弱分離可能性が有意水準5%で棄却されることがわかる。よって,小企業の正規労働と非正規労働の補完の弾力性の計測値を解釈する際には,その値が資本の影響を受けていることにも留意する必要がある。

表4 企業規模別の分離可能性テストの結果


 2 正規労働と非正規労働の補完の弾力性の計測結果について

 II1の推定方法に従って計測した正規労働と非正規労働の補完の弾力性について考察する。まず,異なる労働力間の代替の弾力性および補完の弾力性の計測についての先行研究の結果を簡単にまとめると,そのほとんどで人的資本の多い労働(ホワイトカラー,熟練工など)と人的資本の少ない労働(ブルーカラー,非熟練工など)の関係は代替的との結果が得られている(注20)。そして,本稿で扱っている非正規労働とは,人的資本の少ない労働と仮定できる(注21)。
 繰り返しになるが,補完の弾力性の値が負の場合は代替関係が,正の場合は補完関係があると言える。過去の研究蓄積から,正規労働(人的資本の多い労働)と非正規労働(人的資本の少ない労働)の関係は代替的であるという推定結果が期待される。しかし,表5にあるように補完の弾力性が0.166と,正規労働と非正規労働の間には補完関係があることを示唆する結果が得られた。つまり,正規労働と非正規労働の相対的賃金格差を考慮に入れても,企業は正規労働を減らすときに非正規労働を増やすという行動をとるのではなく,非正規労働を増やすときには正規労働も増やすのである。

表5 補完の弾力性

 これについては,正規労働の仕事を必ずしも非正規労働がこなせるわけではないから,との解釈が可能であろう。複数の業態でパートタイマーの基幹労働力化(注22)が進行していることが確認されている。だが,基幹型パートの仕事の内容は,キャリアの浅い正規労働とほぼ同程度であると言われている(脇坂(1995))。よって,パートとキャリアの浅い正規労働は代替可能であるかもしれない。しかし,一般に勤続年数を重ねるにつれて労働者の能力も上昇し,仕事内容も高度化すると考えられる。そのような勤続年数の長い労働者とパートの代替は難しいであろう。つまり,一部の未熟練な正規労働と非正規労働の代替は可能であっても,正規労働の仕事を非正規労働が完全に代替することは難しいことの現れであると考えられる。
 次に,産業によって正規労働と非正規労働の関係に違いがあるかを確認する。表6からわかるように,製造業における両者の補完の弾力性は0.081,小売業は0.251,サービス業は0.204であり,3産業とも補完関係にある。そして,補完の弾力性の絶対値の大きさから,小売業とサービス業は製造業と比べてより補完的であることがわかる。一方,卸売業のみ代替関係にある(補完の弾力性は-0.0009)。

表6 産業別の正規労働と非正規労働の補完の弾力性

 最後に,企業規模別の正規労働と非正規労働の補完の弾力性についてみていく。ここでは正規労働者数が1000人以上の大企業と30人以上100人未満の小企業に的を絞って考察していく。
 表7の1行目から,大企業の補完の弾力性は0.091で正規労働と非正規労働の間には補完関係が,一方小企業の補完の弾力性は-0.549で両者の間には代替関係があることがわかる。このように企業規模によって異なる生産要素需要関係が見いだされたことに関しては,以下四つの解釈が可能である。

表7 企業規模別の補完の弾力性

 第1に,小企業のほうがトレーナビリティ(注23)の低い労働者が多いのかもしれない,ということである。小企業に関しては,採用力に限界があるため,そもそも正規労働としてトレーナビリティの低い労働者しか雇えないことが示唆されている(注24)。そのため,小企業ではトレーナビリティの低い労働者の割合が高くなり,正規労働者の仕事を非正規労働者が代わって行うことがより容易であるため,両者の関係が代替的になっている,との解釈が可能であろう。
 第2に,大企業のほうが正規労働・非正規労働ともに,より多くの余剰人員を抱えていて,両者とも削減する必要に迫られているのかもしれない,ということが考えられる(注25)。
 第3に,組織の規模が大きくなるほど分業体制がとられやすくなり,異なる質・能力の労働者が作業を補完しあって行うようになる,との解釈もできる。
 そして第4に,小企業のほうが需要変動への対応力が弱いため,雇用保障の要請度の低い非正規労働を正規労働に代えて雇用する傾向がある,とも考えられる。

 3 資本と労働の補完の弾力性の計測結果について

 次に資本と労働の関係をみていく。補完の弾力性の計測に関する先行研究の結果から(注26),人的資本の少ない労働と資本の間には代替関係の存在が期待される。しかし,表5にあるように,人的資本の少ない労働である非正規労働と資本の関係は補完的であり(補完の弾力性が0.433),先行研究とは異なる結果が得られた。
 従来,資本投資は機械などへの設備投資を指していた。そして,設備投資が進んでいくと,例えば生産に直接従事しているような生産労働者が主に機械にとって替わられ,対して機械や設備の保守・点検・管理等の仕事を行う非生産労働者はより必要とされるようになっていった。すなわち,人的資本の少ない労働が資本と代替され,人的資本の多い労働は資本の増大とともに必要度が増すという補完的な関係がみられたのである。
 しかし,1990年代に入ってからの資本投資はIT化が中心となり,80年代までの大型機械設備投資やME化といった資本投資とは性質が変わってきている。つまり,非正規労働と資本の間に補完関係がみられるのは,資本がパソコンやインターネットの整備等も意味するようになり,仕事が定型化された結果であるとの解釈も可能であるかもしれない。
 また,一般に大企業ではIT化が進んでいる(注27)。大企業の非正規労働と資本の補完の弾力性と小企業のそれを比較してみると,表7の2行目から,前者は0.907,後者は-1.096と,大企業では補完関係,小企業では代替関係となっており,企業規模によって要素需要関係に違いがあることがわかる。このことは,大企業の非正規労働雇用がIT化による仕事の定型化の影響を受けていることを示唆していることの現れかもしれない(注28)。さらに,このような資本の性質の変化が,III2で述べた正規労働と非正規労働の関係に影響を与えている可能性も考えられる。
 しかし,本稿で使用している資本データからはIT設備の比率などを知ることはできない。よって,ここでの議論は推測の域を出ないことを強調しておくとともに,今後の研究の進展を期待したい。


IV おわりに

 本稿では,『企業の福利厚生制度に関する調査(1998年)』の個票データを用いて,正規労働と非正規労働が代替関係にあるのか,それとも補完関係にあるのかを,補完の弾力性の計測を通じて分析した。その過程で分離可能性についての検証を行い,正規労働と非正規労働の補完の弾力性を計測する際には,明示的に資本をモデルに取り入れることが不可欠であることを明らかにした。これに基づき,正規労働・非正規労働とともに資本も投入生産要素としてモデル内に導入して推定を行った結果,経済全体でみたときには,企業ベースでは正規労働と非正規労働の間には補完関係があることが示された。
 さらに企業規模別にみてみると,従業員規模1000人以上の大企業では正規労働と非正規労働の間には補完関係があるものの,30人以上100人未満の小企業では代替関係となっていることが示された。大企業において両者の間に補完関係があるという結果は,1990年代後半の正規労働者数1000人以上の百貨店・スーパーにおいて代替のインセンティブが弱まっていることを指摘した宮本・中田(2002)と整合的な結果である。また,非正規労働と資本の関係は大企業では補完的,小企業では代替的であることも示された。これは,資本投資が従来の大型機械やME化といった設備投資からIT設備投資へと変化し,仕事が定型化したことの影響を受けているからかもしれない。
 本稿では以上の事実確認がなされたものの,以下4点の改善すべき点が挙げられる。第1に,最も重要な問題点として,推定に必要なすべての変数データを一つの個票から得ることができず,『賃金構造基本統計調査』等の公表データを用いて補完したことが挙げられる。さらに,個票からのデータも階級値でしか得ることができなかった。このことは,推定に用いたデータに初めから誤差が含まれていることを予想させ,変数誤差が計測値にバイアスを生じさせている可能性を否定できない。この点については,将来のデータ入手・作成といった点も含めて解決策を探っていきたい。
 第2に,本稿で扱った非正規労働はパート・アルバイトしか含んでおらず,派遣社員,請負等の外部労働力が含まれていない。パート・アルバイトが非正規労働の中核を成す存在であるとはいえ,近年非正規労働の就業形態は多様化しており,それらが企業の雇用行動に与える影響を無視することはできない。よって,パート・アルバイトのみの分析には限界があると言えよう。
 第3に,福利厚生費などの労働費用を扱うことができなかった。よって,正規労働を雇用する費用を過小に扱っている可能性は否定できない。
 そして第4に,企業ごとの異質性の取り扱いが不十分であることが指摘できる。産業別・企業規模別に推定を行うことで,これらのグループ間の差異を分析することはできた。しかし,各産業内・各企業規模内の企業ごとの異質性についてまでは分析を行うことができなかった。よって,以上4点の改善を今後の課題としたい。
 このように改善すべき点はあるものの,本稿では正規労働と非正規労働の相対的賃金格差と資本を明示的に分析の枠組みに取り入れた上で,企業レベルでは両者の間に補完関係があることを見いだした。「企業は,人件費削減のために相対的に賃金の高い正規労働者の雇用を減らし,非正規労働者の雇用を増大させている」という見方があるなかで,各企業レベルでみた場合はそうではないことが起こっている可能性があることを示唆できたとすれば,本稿の意義も認められるであろう。

 補論1 補完の弾力性とq-補完・q-代替について
 本補論では,q-補完・q-代替と,q-補完・q-代替である条件を規定する補完の弾力性について説明する。ここでの説明はSato and Koizumi(1973)に拠っている。また,用いる表記は基本的にはII1に従うものとする。
 最初に,企業の生産要素の需要技術関係がq-補完およびq-代替である場合の条件を述べておくと,補完の弾力性が正であるときをq-補完,補完の弾力性が負のときをq-代替であるという。
 企業は生産費用を最小とするような比率で何種類かの生産要素を組み合わせて需要する。このとき,企業が需要する生産要素の相対量を変化させたならば,それに伴って生産要素の相対価格も変化する。補完の弾力性とはこの変化の度合い,すなわち2種類の生産要素の相対的な投入量の変化によって両者の相対価格が何%変化するかを表す指標である。そして,生産要素iとjの存在を仮定したとき,両者の補完の弾力性Cijは,以下の(12)式で定義される。

 wiとwjは,生産要素iとjの要素価格を表す。また,Cijは,限界費用が一定かつ生産要素iとj以外の生産要素の投入量を一定という仮定の下で定義されている。さらにこの仮定の下で,(12)式を以下のように変形することができる(注29)。

である。繰り返しになるが,Cij>0であれば生産要素iとjの関係はq-補完であり,Cij<0のとき生産要素iとjの関係はq-代替にある。
 生産関数は1次同次関数であるという仮定を置いているため,Q, Qi, Qjは常に正である。よって,(13)式からCijの符号はijの符号に依存して決まることが明らかである。このことから,q-補完というのはQij>0のときに成り立つことがわかる。つまり,生産要素需要の技術関係がq-補完である企業においては,生産要素iを増やすためには生産要素jも増やす(注30)。逆に,q-代替はQij<0のときに成り立つので,生産要素需要の技術関係がq-代替である企業では,生産要素iを増やすためには生産要素jを減らすのである。
 繰り返すと,ある2種類の生産要素がq-補完であるということは,片方の生産要素の投入量を増やすときにもう片方の生産要素の投入量も増やす生産要素需要技術であることをいう。そして,ある生産要素の投入量を増やすときにもう片方の生産要素の投入量を減らす生産要素需要技術のことをq-代替という。

 補論2 分離可能性の検証方法について
 ここでは,本稿で用いたDenny and Fuss(1977)の弱分離可能性と強分離可能性の検証方法について説明する。また,用いる表記は補論1と同様に,II1に従っている。
 II1のTranslog生産関数を以下に再掲する。

 このTranslog生産関数(14)式は,γij=γjiかつII1の(6)式と(7)式が満たされていると仮定されている。このような性質を持つTranslog生産関数は,任意の1次同次生産関数を展開点X*=(1,1,1) の近傍で2次近似した関数のことである(注31)。
 ここで,

が(14)式において満たされるのであれば,(14)式は任意の弱分離可能な生産関数,

の2次近似と言える(注32)。このことを弱分離可能性が成り立つという。
 一方,(14)式において,

が満たされるならば,(14)式は任意の強分離可能な生産関数,

の2次近似と言える(注33)。この場合を強分離可能性が成り立っているという。
 強分離可能性は弱分離可能性の十分条件であるので,強分離可能性が成り立っているときは必ず弱分離可能性も成り立つ。
 III1では,弱分離可能性が成り立っているか否かを検証するために,(15)式を帰無仮説とし,(α1/α2)≠(γ13/γ23)を対立仮説としてWald検定を行った。同様に,強分離可能性についても(17)式を帰無仮説とし,γ13≠0かつγ23≠0を対立仮説としてWald検定を行った。

表8 コストシェア関数のSURの推定結果
表9 産業別のコストシェア関数のSURの推定結果
表10 企業規模別のコストシェア関数のSURの推定結果
表11 コストシェア関数の推定に用いたデータの記述統計量
表12 産業別のコストシェア関数の推定に用いたデータの記述統計量
表13 企業規模別のコストシェア関数の推定に用いたデータの記述統計量

*本稿を執筆するにあたって,東京大学社会科学研究所助教授・玄田有史氏の丁寧なご指導を受けました。深く感謝いたします。そして,東京大学社会科学研究所教授・佐藤博樹氏,同助手・佐野嘉秀氏から草稿の段階で貴重なコメントを頂戴しました。加えて,本誌の匿名レフェリー2名からも,論文改善のための懇切かつ有益なコメントをいただきました。どうもありがとうございました。また,東京大学社会科学研究所附属日本社会研究情報センターSSJデータアーカイブから「企業の福利厚生制度に関する調査(1998年)」(生命保険文化センター)の個票データの提供を受けました。ここに謝意を表します。
1)ただし,先行研究・アンケート調査等で使用されている呼称はそのまま用いることとする。また,官庁の名称は1998年当時のものを用いる。
2)例えば,Griliches(1969)等が挙げられる。
3)補完の弾力性の詳細については補論1を参照のこと。また本稿の推定結果から論じることができる代替・補完関係とは,「q-代替」・「q-補完」のことである。q-代替・q-補完についても補論1を参照されたい。
4)佐藤(2002)を参照のこと。
5)Griliches(1969)等数多くの研究がなされており,Hamermesh(1993, Chapter 3),駿河(1991, pp. 49-50)で詳細なサーベイがされている。また,1990年代後半以降の研究としては,Mocan(1997),Diamond and Fayed(1998),Juhn and Kim(1999),三谷(2001)等がある。
6)代替の弾力性と補完の弾力性のその他の相違点として,前者は生産量一定を仮定しているが,後者はそれを仮定していないことが挙げられる。
7)この推定式の導出は,三谷(2001, pp. 385-387)によるところが大きい。資本に関するデータを使用すると推定値に問題が生じることがある(Griliches(1969)等)。しかし,(9)式のように変形すると,資本に関するデータの使用を最小限に抑えることができるという利点がある。
8)Hamermesh(1993, pp. 40-42)を参照のこと。

10)注3)の繰り返しとなるが,ここでの代替とはq-代替を,補完とはq-補完を意味する。
11)調査時期は1998年6月22日から9月4日までである。ただし,農林水産業,保険媒介代理業,保険サービス業,通信業,熱供給業,水道業,その他分類不能な産業は除かれている。
12)「福利厚生調査」の質問項目では,派遣社員以外の企業とは直接雇用関係のない請負社員などの外部労働力の取り扱いについてまでは明確にされていない。
13)有価証券報告書では非正規労働に関する報告をしていない企業もある。これにより,サンプルが上場企業の,しかもその一部に限られてしまうという問題が生じる。
14)「福利厚生調査」では,正規労働の給与を年間で調査しているため,非正規労働の給与もそれにあわせて年間ベースで計算し,両者の相対賃金を年間給与で評価することとした。
15)「福利厚生調査」の調査時期が1998年6月22日から9月4日までなので,その期間を網羅できるようにこのような加工の仕方をした。
16)『法人企業統計季報』から固定資産に関するデータが製造業,小売業,卸売業,サービス業の4産業についてしか得られなかったため,分析はこの4産業に限定されている。
17)SUR推定値およびその導出については,Hayashi(2000, pp. 279-281)を参照のこと。
18)詳細についてはDenny and Fuss(1977, pp. 408-409)参照のこと。
19)正規労働・資本と非正規労働の分離可能性,非正規労働・資本と正規労働の分離可能性の検証結果については紙幅の関係上割愛せざるをえなかったが,以下の説明と同様にして検証を行うことができる。
20)Hamermesh(1993, Chapter 3)を参照のこと。駿河(1991)は,日本の生産労働者・非生産労働者・資本の間の代替の弾力性の計測を行い,同様の結果を報告している。
21)非正規労働の基幹化が進んでいるとはいえ,正規労働と非正規労働を完全に同質の労働力とみなすことは難しい(中村(1990),本田(1999)等)。実際にパート・アルバイトといった非正規労働は,正規労働と比較すると教育訓練や研修等に参加できる機会は明らかに少ない。また,一つの職場・1種類の職種に固定される傾向にあり,正規労働と比べてOJTの機会にも恵まれているとは言い難く,人的資本を蓄積する機会が少ないと考えられる。
22)ここで基幹労働力化とは,量的な基幹労働力化と質的な基幹労働力化の両方を意味する。本田(1999)に従うと,前者は非正規労働の増員や雇用比率の上昇のこと,後者は非正規労働の仕事の質が正規労働のそれへと接近することと定義される。
23)トレーナビリティとは,教育の学習効果より広範かつ一般的なもので,職場訓練の効率性を高めるような能力を意味する(石川(1991, p. 86))。
24)石川・出島(1994, p. 203)は,大企業のほうがトレーナビリティの高い労働者を採用できることを示唆している。
25)宮本・中田(2002, pp. 99-100)を参照のこと。
26)Hamermesh(1993, Chapter 3),駿河(1991)を参照のこと。
27)未来工学研究所(1996),労働大臣官房政策調査部(1999)を参照のこと。
28)阿部(2001, p. 48)でも同様のことが指摘されている。
29)導出過程の詳細については,Sato and Koizumi(1973, pp. 47-49)を参照のこと。
30)この説明と同義であるが,Hicks(1970, p. 295)では,ある生産要素がその他の生産要素の限界生産力を増大させるとき,これら両生産要素の関係はq-補完である,と定義している。
31)Denny and Fuss(1977, p. 407),Proposition 3。
32)Denny and Fuss(1977, p. 407),Proposition 4。生産関数f, Gは,投入生産要素についてのTranslog生産関数である。
33)Denny and Fuss(1977, p. 407),Proposition 5。生産関数G, Hは,投入生産要素についてのTranslog生産関数である。


参考文献

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 Griliches, Zvi (1969) Capital-Skill Complementarity, Review of Economics and Statistics, Vol.51, No.4, pp.465-468.
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脇坂明(1995)「パートタイマーの類型化(II)」『岡山大学経済学会雑誌』第27巻3号,pp. 545-573。
〈2003年2月10日投稿受付,2003年7月25日採択決定〉


 はら・ひろみ 日本労働研究機構研究員。主な論文に「人材のポートフォリオ化と企業パフォーマンス」連合総合生活開発研究所『雇用管理の現状と新たな働き方の可能性に関する調査研究報告書』2003年,など。労働経済学専攻。