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(著者抄録)
この論文は米国の年齢差別禁止法が労働市場に与えた影響に関する実証研究をサーベイする。その結論は以下の2点に要約される。まず直接的な効果であるが、実証分析の結果は一貫して年齢差別禁止法が保護対象年齢に該当する高齢者の雇用確率を引き上げたことを示している。一方、年齢差別禁止法の労働市場の効率性に対する影響であるが、ある研究は年齢差別禁止法が労働者と企業の間の長期的関係を強め、結果として労働市場の効率性を向上させたことを示唆している。その一方である研究は保護対象年齢の労働者と保護対象年齢外の労働者の解雇費用も含めた相対コストが法によってゆがみ、非効率的な分配が引き起こされたことを示唆している。よって、年齢差別禁止法が労働市場の効率性にどのような影響を与えるかはいまだに明らかではない。
(論文目次)
I はじめに
II なぜ求人における年齢制限は存在するのか?-労働経済学の諸理論
III 米国における年齢差別禁止法
IV 年齢差別禁止法の施行が高齢者の雇用に与える直接的影響
V 年齢差別禁止法の施行が労働市場の効率性に与える影響
VI 米国の事例より何を学べるか
VII むすび

I はじめに

 長引く不況のもと,多くの企業が高齢者を中心に雇用整理を行い,高齢労働者に退職を促している。これら高齢者の失職が大きな社会問題となるのは,彼らの再就職が極めて厳しいためである。高齢者の職探しの厳しさは新聞・週刊誌・テレビなどで広く報道されるところであり,たとえば朝日新聞2003年6月29日付朝刊には大手電機メーカーの希望退職に応じたものの再就職に苦労し,今では「時給700円の交通整理でも」と考えている56歳の男性生産労働者の例をはじめとして,高齢者の職探しの厳しさを物語るエピソードが数多く紹介されている。
 これらのエピソードが決して特殊な例でないことを政府統計も裏付ける。たとえば,労働力調査に基づく2002年の年齢別完全失業率を見ると35歳から44歳の失業率は4.1%,45歳から54歳は4.0%,55歳から64歳までは5.9%と55歳から64歳の失業率は高くなり,高齢者の職探しの厳しさを示している。また,清家(2001)はより直接的に新聞に掲載されている求人広告のうち年齢制限があるものを調べている。それによると,2000年7,8月の特定の2日間に読売・朝日・毎日の3紙に掲載された求人広告のうちの77.5%には年齢制限があり,この77.5%のうち87.9%の求人広告が55歳までの年齢制限をつけている。厳密には,これらの新聞の求人欄を読んでいる求職者の年齢の分布との比較をして初めてこれらの年齢制限がどの程度高齢者の雇用を制限しているかは明らかになるのであろうが,あえて年齢制限を課した上で求人を行っているのは,年齢制限を課さないと採用側の意図する年齢層以上の求職者が応募してしまい,採用作業が煩雑になると予想するからであろう。そういう意味で年齢制限が高齢求職者の職探しを阻んでいるだろうことは想像に難くない。以上に示したように失業率・有効求人倍率・求人広告の数字は高齢者の職探しが厳しいものであることを明確に物語っている。
 何ゆえに高齢者の職探しは難航するのか。長い社会・職業経験を通じて高い技能を形成してきたであろう人々の職探しが難航するのは,彼らの健康状態がより若い人々に比べて思わしくないであろうことや,身体能力の衰えを差し引いても,考えてみれば不思議な現象である(注1)。いくつかの経済学的な説明が労働経済学者より提供されてきているが,そのひとつが年齢差別の存在である。一般的な差別の定義に従うならば,年齢差別とは生産性その他労働者としての特性を一定としたときに,年齢が高いという理由だけによって高齢者が就業機会・賃金などの面で不利な取り扱いを受けることである。次節で紹介するように年齢差別が起こる理由はいくつか存在するが,この年齢差別を年齢差別禁止法の導入によって法的に解消しようという動きがかなり現実化している。すでに1994年の高年齢者雇用安定法の改正により60歳未満定年は禁止されているし,2001年の雇用対策法の改正は事業主は募集・採用において年齢による制限をしないように努力すべきことを規定している(菅野(2002))。さらに,2003年7月17日,民主党は「募集・採用における年齢差別禁止法案」(正式名「労働者の募集および採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案」)を衆議院に提出した。この法案は求職者の年齢を理由とする募集・採用における差別的な取り扱いを禁止,厚生労働大臣が勧告に従わない事業主を公表することができるとするものである(以上民主党ホームページより)。仮にこの種の法案が成立し,厳格に運用されるようになったとして,本当に高齢者の雇用機会は増えるのだろうか。労働者・企業ともにこの種の規制を無効にするように行動し,結果として高齢者の雇用機会には何の影響も与えないという可能性は十分にある。あるいは高齢者の解雇が難しくなるため,企業が逆に高齢者の雇用に消極的になるという意図せざる結果をもたらす可能性もある(注2)。次に,仮に高齢者の雇用機会を増やすとして,それは市場の達成している分配をゆがめることにより経済厚生上の損失を発生させないだろうか。これらの疑問に答えていくことは今後の政策を議論するうえで重要である。
 この論文では実際に年齢差別禁止法が1967年に成立した米国において,法の施行が労働市場に与えた影響を調べた実証研究を紹介する。米国の年齢差別禁止法そのものの紹介としては,日本語によるものとして森戸(2001)によるきわめて明快なものが,英語かつ経済学者によるものとしてはNeumark(2003)のものが存在する。また,年齢差別禁止法が労働市場に与えた実証分析をAdams and Neumark(2002)らがすでにサーベイしている。よって,この論文の目的は米国の議論を紹介することにあり,特に新しい視点が導入されるわけではない点は明確にしておきたい。また,年齢差別禁止の経済分析に関しては,日本での年齢差別禁止法導入に関する政策論議を視野に入れて,清家(2001)がすでにかなりの部分を紹介している。この論文は清家(2001)の論文を補完し,近年の米国の実証分析を紹介することで追加的な視点を提供することを目的とする。


II なぜ求人における年齢制限は存在するのか?――労働経済学の諸理論

 本稿の主眼は年齢差別禁止法の労働市場への影響を調べた実証分析をサーベイすることにある。しかし,年齢差別禁止法が労働市場の均衡にどのような影響を与えたかを調べたのちに,その結果が労働市場の効率性に対して何を示唆するかを正確に理解するためには雇用における年齢制限がなぜ存在するのかを経済理論的に説明することが不可欠である。
 求人における年齢差別の存在はいくつかの経済理論で説明できる。まずもっとも単純な説明は雇用主が高齢者と働くのはいやだという選好を持っているという説明で,Becker(1957)による人種差別や性別差別の議論を高齢者に単純に応用したものである。たとえば年少の管理職が「高齢者は使いにくい」と感じていて,高齢者の雇用に消極的になったりするのは選好による差別の例として理解できる。この種の議論の難しさは高齢者が実際に年少の管理職の指示を聞かず,結果としてその労働者の生産性が低くなりうるといったことが十分にありえて,生産性の格差以上に処遇の格差が存在することを実証的に示すことが難しいところにある。また,人種差別や性別差別における議論と同様に,「高齢者とは一緒に働きたくない」という同僚による差別,「高齢者からは財・サービスを購入したくない」といった消費者による差別が高齢者の雇用を抑制するという説明がありうる(注3)。以上,選好に基づく高齢者差別の議論を紹介したが,高齢者の雇用機会がこのような理由で奪われているのなら,差別的な選好を持つ事業主などの効用の下落はともかくとして,高齢者差別禁止法が労働市場の効率性を損なうことは考えにくい。
 雇用における年齢制限の存在を説明するもうひとつの有力な理論がLazear(1979)による賃金後払いの理論である(注4)。彼の理論によれば,企業と労働者は若いうちに生産性以下の賃金を受け取り企業に「貯金」をし,年老いてから生産性以上の賃金を受け取るという形で「貯金」をおろすという契約を暗黙のうちに結ぶ。このような契約が結ばれるのは企業と労働者の間に情報の非対称性が存在し,企業は労働者のサボりを確率的にしか発見できないことによっている。情報の非対称性が存在する場合には労働者はサボってしまい,彼らが持っている能力をフルに発揮しなくなってしまうわけだが,企業への「貯金」をすると万が一サボりが発見され解雇された場合「貯金」を取り返すことができなくなるため,サボるコストが高くなりサボらなくなるというわけである。この契約の下では企業は労働者にしっかり働いてもらうことでより高い利潤を上げることができるし,労働者も能力をフルに発揮することによってより高い生涯賃金を上げることができるようになり,この暗黙契約が存在しない状況よりも双方ともにより望ましい状況に移行できる。また,企業と労働者は労働の不効用と限界生産性が等しいところで定年年齢を定めることも示すことができるので,情報の非対称性が存在するにもかかわらず市場で達成される分配が効率的でありうるという非常に強い結果が得られる。この賃金後払い契約のもとでは高齢労働者は生産性以上の賃金を受け取るため,あらかじめ企業・労働者の双方が契約の終了時期を合意している必要があるが,それが定年年齢である。以上のごとくLazear(1979)は定年制の存在を説明したわけであるが,年齢差別禁止法が定年年齢の設定を禁止すると賃金後払い契約を暗黙に結ぶことが難しくなろう(注5)。賃金後払い契約を結ぶことができなくなった企業は労働生産性に見合った賃金を労働者のライフサイクルを通じて払い続け,一方,労働者はサボりを罰するメカニズムが存在しなくなってしまうためサボるようになってしまう。よって定年制の禁止により労働市場は非効率的になってしまう可能性がある。
 この賃金後払い契約が現実に交わされるためには労働者の賃金の一部を「貯金」として預かっている企業が「預金者」である労働者を雇い続け,かつある年齢以上になったときにその「貯金」を返す形で生産性以上の賃金支払いをすることが必要である。そして,労働者が企業は将来的には約束を守ってくれるという確信を持つことが必要となる。企業には,いざ労働者が高齢となったときに,預かっていた「貯金」を返さずに当該労働者を解雇してしまったり,賃金を下げてしまったりする誘引があるのだが,Lazear自身はそのような企業の近視眼的な行動は企業自身の名声を傷つけ,それ以降の賃金後払い契約の締結を不可能にして自分の首を絞める結果となるため,企業は契約を裏切らないと仮定している(注6)。このような仮定のもとでは,労働者は企業を信頼して「貯金」を十分に積むことができ,ライフサイクルのどの時点をとってみても労働者が絶対にサボるインセンティブを持たないような「貯金」の量を自由に選ぶことができる。このような状況下において賃金後払い契約は広範に採用され,また,定年の年齢は労働者の労働の不効用と限界生産性が等しくなる年齢で決定され,労働市場は効率的な分配を達成することになる。しかしながら,企業の労働者に対する裏切りが企業の名声を傷つけると仮定するときには,企業が裏切ったがゆえに高齢の労働者が解雇されたのか,高齢の労働者がサボったがゆえに(あるいは予想外の負の需要ショックを経験したがゆえに)解雇されたのかを若い労働者が判別できることが必要である。実際には情報の非対称性が大きく,非現実的とは言わないまでも,このような状況が完全に成立しているとは考えにくい。よって企業が名声を汚さないために,賃金後払い契約を確実に実行すると仮定するのは強い仮定であり,この仮定が成立しない状況では賃金後払い契約を暗黙に伴った雇用関係に入ることを躊躇する若い労働者が存在すると考えられる。あるいはこの種の雇用契約に入るものの,労働者が「貯金」を企業に十分に多く積むことを望まないため,契約期間のあとのほうでは積んである「貯金」が労働者のサボりを阻止するメカニズムを持たず,契約期間が効率的な定年年齢よりも早く終わってしまう可能性がある(注7)。これらの労働者が賃金後払い契約を伴う雇用関係に入れば,生産性も上がり,企業・労働者ともにより望ましい状態に移行できたはずなので,この状態は非効率な状態である。この労働市場の非効率性を高齢者差別禁止法は高齢者を解雇するコストを高め,賃金後払い契約に対する企業のコミットメントの度合いを高めることで解消する可能性がある。よって,Lazear型の賃金後払い契約が潜在的に存在するときに高齢者差別禁止法が労働市場の効率性を損ねるか,回復するかは先験的には明らかではない。この実証上の問題にNeumark and Stock(1999)は高齢者差別禁止法が賃金後払い契約をよりポピュラーなものとして年齢-賃金プロファイルを急なものとしているかを調べることで答えている。


III 米国における年齢差別禁止法

 米国の年齢差別禁止法そのものに関しての詳細は先述の森戸(2001)やNeumark(2003)に譲り,ここでは実証分析を行うにあたって重要な法律の変化を簡単に述べる。Age Discrimination in Employment Act(以下ADEA)は年齢に基づいた雇用の諸局面における差別を禁止する法として1967年に連邦法として成立し,1968年に施行された。この法律は採用,解雇,賃金,労働条件その他雇用のすべての面での年齢を理由とする使用者の差別行為を禁止しており,当初法律の保護の対象となる労働者は40歳から65歳の労働者であった。その後1978年の修正で法の規定する最低定年年齢は70歳に引き上げられている。法の成立当初,執行機関は労働省(Department of Labor)であったが,1979年にEqual Employment Opportunity Commission(以下EEOC)に移管され,すでに人種や性別に基づく差別のケースを多数扱ってきたEEOCの持つノウハウや人的資源ゆえに,より強力に履行確保されるようになった。また1986年の修正では保護対象年齢の上限が撤廃され,一部の例外を除き,定年退職制度は全面的に禁止されることとなった。ここでの一部例外には後述する終身雇用権を持った大学教員のケースが含まれ,1993年いっぱいまでの70歳定年制が許可されている。
 この連邦法に加えて,それぞれの州が独自の年齢差別禁止法を持っていた。たとえば一番早く年齢差別禁止法を成立させたコロラド州は1903年に18歳から60歳の労働者を年齢を理由に解雇することを禁止する法律を成立させている。コロラド州を皮切りに1968年の連邦法成立以前に24の州が独自の年齢差別禁止法を成立させている(その一覧表はNeumark and Stock(1999)に掲載されている)。
 後述するように,州ごとに異なる年齢差別禁止法が連邦法の施行前に存在したことは,年齢差別禁止法が労働市場に与えた影響を計量分析するうえで重要な意義を持つことになる。


IV 年齢差別禁止法の施行が高齢者の雇用に与える直接的影響

 年齢差別禁止法に伴う定年制の禁止が高齢者の雇用を拡大するか否かはそれほど明らかではない。Lazear型の賃金後払い契約を定年制が禁止されたもとでも維持しようとする企業は,年金の支払い額を年齢に応じて変えたりすることで労働者が特定の年齢で退職するようにインセンティブづけすることは可能である。Lazear(1995)の議論は労働者の労働の不効用と限界生産性が等しくなる年齢において手にする年金額の割引現在価値が最大になるような効率年金(Efficient Pension)を企業は設計できることを示している。よって企業は定年制以外の手法を用いて労働者の自発的な退職を促すことによって,実質的な労働者の退職年齢を定年制のもとでの定年年齢と等しくすることは理論的には可能である。よって年齢差別禁止法が高齢者の雇用を促進しているかどうかは実証的な問題である。
 Neumark and Stock(1999)は年齢差別禁止法が高齢者の雇用にどのような影響を与えたかを,まず調べている。この研究が興味深いのはいわゆるDifference in Differencesという研究手法を用いて,信頼に足る政策効果の識別を行っている点である。連邦レベルでの高齢者差別禁止法が施行される前とされたあとの高齢者雇用の変化だけを観察した場合,雇用の変化は高齢者差別禁止法施行によってもたらされたと考えることができる一方,景気循環の影響や高齢者就業の長期的トレンドの影響によってもたらされたという可能性を排除できない。すなわち差別禁止法の前後での高齢者雇用率の変化は「差別禁止法の影響」と「景気循環その他の影響」の二つを合わせたものを示すことになる。つまり仮に差別禁止法が施行されなかったとしたときの高齢者雇用の動向(counter factualとよばれる)を知らないと,「差別禁止法の影響」そのものの大きさを知ることはできない。
 ここで,州ごとに異なる年齢差別禁止法が存在したことが重要になってくる。たとえばオハイオ州は1961年に年齢差別禁止法を成立させているが,隣接するミシガン州が年齢差別禁止法を成立させるのは1965年である。つまりミシガン州では1960年から1961年にかけて年齢差別禁止法に関する変化はなかった。そこで1960年から1961年にかけてのオハイオ州の高齢者雇用の変化を調べることで「差別禁止法の影響」と「景気循環その他の影響」の両者を合わせたものを推定することができる。一方で1960年から1961年にかけてのミシガン州の高齢者雇用の動向を調べることで,「景気循環その他の影響」だけを特定することもできる。仮に「景気循環その他の影響」がミシガン州とオハイオ州で共通であると仮定すれば,結果として「差別禁止法の影響」の大きさだけを推定することができる。表1にあるように差別禁止法が施行された州における法律施行前後での高齢者雇用率の差と差別禁止法に関して変化のなかった州の同時期の高齢者雇用率の差をまず計算し,それら二つの差のさらなる差をとることによって,「差別禁止法の影響」は推定される。この計算手法を経て計算された推定量はその計算手続きより「差の差の推定量(Difference in Differences Estimator)」とよばれる。また,法律を変化させた州はトリートメントグループと呼ばれ,変化させなかった州はコントロールグループと呼ばれる。表1より明らかなように,この推定法が正しく年齢差別禁止法の政策効果を推定するのは,実際に法を成立させた州において仮に法を成立させなかったとしたら実現したであろう高齢者雇用の変化(counter factual)と,実際に法を成立させなかった州の高齢者雇用の変化が一致する場合である。

表1 高齢者差別禁止法が保護対象年齢の労働者の雇用確率に与える影響のDD推定

 実際に彼らは法律を変化させた州の法律の保護の対象となる年齢層の労働者をトリートメントグループ1とし,保護の対象から外れた年齢層の労働者をトリートメントグループ2として,法律を変化させなかった州のすべての労働者をコントロールグループとして扱い,上述の差の差の統計量を回帰分析を用いて計算している。彼らが用いたデータは全米の1940年,1950年,1960年,1970年,1980年の人口センサス個票の1%あるいは0.5%サンプルである。また,性別や人種に基づく差別を救済するための法制度の影響を取り除くため,白人男性のみをサンプルに含めている。保護の対象にならない年齢層をもトリートメントグループに含めて分析を行っている理由は,保護の対象にならない年齢層の労働者も高齢労働者と若年労働者の代替などを通じて年齢差別禁止法の影響を受ける可能性があるためである。彼らの結論は年齢差別禁止法は法が保護の対象としている年齢層の労働者の雇用確率を引き上げており,ことに60歳以上の労働者の雇用確率を6~7%引き上げたというものである。
 Neumark and Stock(1999)の研究は10年に1度行われる人口センサスに基づいた実証分析であったため,10年の間の法律の変化が10年の間の高齢者雇用にどのような影響を与えたかを調べたものとなっている。10年の期間は長く,高齢者雇用に影響を与える「その他」の要因もその期間に大きく変化したことが考えられる。差の差の推定量を用いて影響を取り除くようにはしているが,より直接的な解決方法は毎年のデータを用いることであろう。そこで,毎月行われている現況人口調査(Current Population Survey)を用いて問題を乗り越えようとしたのがAdams(2003)である。
 Adams(2003)は1964年から1967年のクロスセクションデータを用いてこの期間に高齢者差別禁止法が施行された州の高齢者雇用が施行されなかった州に比べてどのように変化したかを調べている。
 彼が用いたサンプルはCurrent Population Surveyの March Supplement: Annual Demographic Filesより得られた白人男性である。このサンプル期間の4年間に五つの州が新たに年齢差別禁止法を施行し,一つの州が保護対象年齢を拡大したため,これら六つの州の法律の変化があった年がトリートメントグループとなり,残りの44州ならびに6州の法律の変化の見られなかった年がコントロールグループとなっている。また,CPSが2年間のパネルデータとしての性質を持っていることを活かして,1年前の雇用状況と今年の雇用状況を比較し,年齢差別禁止法が新規雇用と退職にどのような影響を与えたかをも調べている。
 彼の推定結果は,年齢差別禁止法が法律の保護対象年齢となっている労働者の雇用確率を高めており,60歳以上の労働者に関しては雇用確率を3~4%ポイント高めるとしている(注8)。また,保護対象年齢に該当する高齢労働者の新規雇用には影響がなかったとし,その一方で退職確率を1%ポイント前後減少させる影響を持ったと結論している。
 ADEAの1986年における修正は定年制を全面的に禁止したわけであるが,終身雇用権を有する大学教員に関しては1993年12月31日まで例外的に70歳定年制を維持することを許可していた。よって彼らに関しては1994年に70歳定年制が廃止されたわけであるが,Card and Ashenfelter(2002)はその前後で70歳以上の大学教員の退職行動に変化があったかを1万6000人の大学教員のデータを用いて検証している。
 定年退職制度が存在したころには70歳に達した教員の75%,71歳に達した教員の60%以上がそれぞれ1年以内に退職していたのだが,定年退職制度が廃止されるとそれらの退職確率は30%未満まで減少した。この結果は,1994年以前に70歳定年制を廃止した学校と1994年まで廃止しなかった学校の比較でも,同じように得られている。また,学校や個人の属性をコントロールして個人ベースで退職ハザードをロジスティック推定した結果もほぼ同様の推定値を示した。さらには学校ごとに賃金以外の勤務条件が異なり,それが70歳の教員が多い学校と相関する可能性を考慮して学校レベルの固定効果を許す推定を行ってもいるが推定結果はほとんど異ならなかった(注9)。
 彼らの推定結果はきわめて頑健であるといえ,定年制の廃止が大学教員の退職年齢を遅らせたのはほぼ確実だといえよう。推定されたハザード関数に基づくシミュレーションによれば,定年退職制度の下では70歳時点でまだ働いている教員が73歳になっても働いている確率は6.3%であったが,定年退職制度がない場合では39.4%にはねあがるという。以上の推定結果が示すように70歳での退職確率が低くなっていることに加え,1970年までの大学の急拡大に合わせて主に1960年代に新たに採用された大学教員が70歳に近づきつつあるという事情もある。よって著者らは米国の大学における教員の高齢化は今後進んでいくだろうと指摘している。


V 年齢差別禁止法の施行が労働市場の効率性に与える影響

 Adams(2003)は年齢差別禁止法が法律で保護される年齢層より高齢の労働者の雇用にどのような影響を与えたかを調べている。
 彼の問題意識は企業が法律を遵守するため保護対象年齢に該当する労働者の雇用を増やそうとする一方で,かわりに保護対象から外れる年齢層の労働者の雇用を減らすのではないかというものである。州によって保護対象年齢は異なるが,多くの場合その下限は40歳であり,上限は60から65歳のケースが多い。とすると同じ保護対象外といっても40歳未満と66歳より上のグループでは保護から外れた影響は異なると考えられ,ことに保護対象年齢の上限を超えるグループの労働者に関して,保護対象年齢となっている労働者との代替性が大きいと考えられる。
 この問題意識に基づいてAdams(2003)は前述の差の差の推定量により年齢差別禁止法が保護対象年齢以上の労働者の雇用確率に与える影響を推定している。推定結果は年齢差別禁止法が保護対象年齢以上の労働者の雇用確率をおよそ3~4%ポイント低くすることを示している。また,保護対象年齢以上の労働者の退職確率は1.5%ポイント上昇している。この結果は,保護対象年齢以上の労働者の雇用のうち,雇用を続けるのが望ましいケースがあるものの,年齢差別禁止法が保護対象年齢の労働者の雇用を促進する効果を持つために,保護対象年齢より上の労働者がクラウドアウトされてしまったことを示している。
 この発見は解雇のコストをも含めた雇用のコスト,ことに年齢ごとの相対コストが政策により人為的にゆがめられた結果,資源配分がゆがめられたことを示唆しており,同法が労働市場の効率性を損ねた可能性を示唆している。
 一方Neumark and Stock(1999)は「定年制の廃止は賃金後払い契約を不可能にし,市場の効率性を下げるのではないか」という疑問に,年齢差別禁止法が年齢-賃金プロファイルに与えた影響を調べることで答えている。
 彼らの実証分析の戦略は,年齢差別禁止法が施行されたあとに労働市場に入った若年コーホートをトリートメントグループとし,年齢差別禁止法が施行されていない州のすべての労働者をコントロールグループとして,DD推定を行うというものである。トリートメントグループに若年コーホートのみを含めたのは,これらの労働者のみが,年齢差別禁止法のもとで新しくLazear型の賃金後払い契約に入っていくことができたという想定をしているためである。用いられているデータは前述のセンサスデータである。彼らの推定結果はコントロールグループの1年当たりの賃金上昇率が3%であるところ,トリートメントグループの賃金上昇率は0.26%ポイント高いというもので,年齢差別禁止法が年齢-賃金プロファイルの傾きを有意に急にしたことを示している。彼らは州や産業・職業ダミー,年齢ごとに異なる年次ダミーを導入したりしつつ,結果の頑健性を調べているが,それらの結果は上述の結論をより強めていくもので,トリートメントグループの追加的な賃金上昇率はより大きなものとして推定されるようになる。
 また年齢差別禁止法が,生涯の雇用保障が得られると思った若年労働者の当該州への移住をもたらすことで,若年層の賃金を低下させ賃金プロファイルを急にしたのではないかという可能性を,センサスに含まれる5年前には別の州に住んでいたかという質問項目を使って検証している。その結果,年齢差別禁止法のある州での施行はその州への高齢者の移住を強くもたらすことを発見している。その一方若年層の移住は減るかあるいは変化がない。このような高齢者の移住は当該州の高齢者の賃金を下げる可能性こそあれ,若年者の賃金を下げることは考えにくい。よって,年齢差別禁止法の施行が賃金プロファイルの傾きに与えた影響は過小評価されている可能性こそあれ,過大評価されている可能性は考えにくいとしている。
 以上の実証分析の結果より,Neumark and Stock(1999)は年齢差別禁止法が,企業の裏切り行為を抑止することによりLazear型の賃金後払い契約をよりポピュラーなものとして,労働市場の効率性を逆に向上させた可能性を指摘している。この結論はLazear(1979)の当初の予測とは逆のもので興味深いものだといえよう。また,この実証分析の結果は政策評価の観点のみならず,経済理論の実証分析としての観点からも意義深い。
 すなわち,企業はその名声が汚れることをおそれて労働者との暗黙の契約を約束を破らずに実行するというメカニズムの持つ力は,法律が高齢者の解雇に伴うコストを高めるという直接的な効果にくらべて,あまり強くないことを実証的に示しているといえる。またこの結果は,中馬(1998)の主張する,解雇規制は企業の機会主義的な労働者の解雇を抑制し,企業特殊的な人的資本投資を促進し,ひいては効率性を向上させうるという主張とも一致するものである点には注意が必要である。
 Neumark and Stock(1999)らも彼らの結果は必ずしもLazear型後払い契約が盛んになったということにだけ帰着させられるとは限らないと限定をつけており,企業と労働者の間の長期的関係に関する信頼が高まることにより,企業特殊的な人的資本の蓄積が促進されたという解釈も可能であるとしている。中馬(1998)の結論に関しては常木(2002)などその結論に一定の留保をつけるべきであるという主張もあり,常木(2002)自身が主張するように最終的には実証的に決着がつけられるべき問題である。よって,この部分に関しては訓練参加のデータを用いて,年齢差別禁止法が施行された州で若年層の訓練参加がより盛んになったかをDD推定するなど,より直接的な分析が待たれるところである。


VI 米国の事例より何を学べるか

 Neumark(2003)が指摘しているように年齢差別禁止法が労働市場に与えた影響に関する研究は,各種の労働政策の影響に関する実証分析が盛んに行われている米国においてすら極めて少ない。この状況は性別差別や人種差別に関する実証分析の分厚い蓄積と極めて対照的である。よって,米国におけるこれまでの実証研究の結果はあくまでも示唆的なものであるととらえられるべきであり,断定的な結論が得られたとはまだとらえられるべきではない。その意味で,日本における年齢差別禁止法の導入を議論するに当たっては今後ともに米国における実証研究の成果を丹念にフォローしていく必要があろうし,また米国以外の諸外国における実証分析にも目配りをしていく必要があろう。
 以上のような限定がついているものではあれ,暫定的に得られている米国での実証分析の結果よりわれわれは何を学ぶことができるだろうか。ポイントは以下の二つに要約できるのではないだろうか。

1 年齢差別禁止法の導入は保護対象年齢の雇用確率を引き上げる可能性が高い。
 仮に日本でもADEAのように定年退職の禁止を法律で規定するならば,おそらくは法律の保護対象年齢の雇用確率を大幅に引き上げるだろう。これは主に定年退職制度の禁止による高齢者の退職確率の減少によるものとなろう。現に清家(2001)がサーベイしているように日本でも多くの研究が定年退職経験が高齢者の就業確率を大きく減退させることを明らかにしている。また,仮にEEOCのような強力な履行機関を設けずとも,法の中で定年退職制度を設けてはならないという強行規定が設けられるならば,現実に定年退職制度を維持することはほとんど不可能になるのではないかと思われ,その意味でも影響は大きいだろう。

2 年齢差別禁止法が労働市場の効率性に与える正の影響はあまり期待できない。
 年齢差別禁止法の導入,そしてそれに伴う定年制の禁止が,高齢者の就業継続を促すとすると,それが労働市場の効率性に対して持つ含意はなんだろうか。もし仮に,Lazear型の賃金後払い契約が想定するように,高齢労働者が生産性以上の賃金支払いを受けているとするならば,労働の限界生産性を労働の不効用が上回っているものの高賃金ゆえに就業を継続する高齢労働者が多数現れるものと思われる。このような非効率性を回避するためには定年制の禁止と同時に,現在多くの企業が行っているような「再雇用」制度の下での処遇の変更といった雇用条件の変化が認められる必要があろう。また,日本で将来,仮に年齢差別禁止法が成立するとするならば,保護対象年齢の上限を設ける形で漸進的に法律が導入されていくものと思われるが,その際にはAdams(2003)が指摘したような保護対象年齢以上の労働者の雇用が奪われる可能性がある点にも留意が必要である。

 以上の点は年齢差別禁止法の導入が潜在的に労働市場の効率性を損ねる可能性を指摘する。しかし,Neumark and Stock(1999)が指摘するように,年齢差別禁止法が企業と労働者の間の長期雇用に関する信頼を醸成し,Lazear型の賃金後払い契約をより広範なものとすることを通じて労働市場の効率性を向上させる可能性も否定できない。ではこのようなメカニズムが日本で働く可能性はあるだろうか?この可能性を考えるにあたっては米国が,デフォルトでは解雇自由の国であるという点に注意が必要である。ことにNeumark and Stock(1999)が分析の対象とした白人男性に関しては,年齢差別禁止法による保護がない場合,その原則が貫徹すると考えられる(注10)。
 ひるがえって日本では「解雇権濫用法理」により,労働者の解雇にはきつい縛りがかけられている。よって,年齢差別禁止法の成立が企業と労働者の長期的な関係を今以上に担保するという効果はあまり強くないのではないかと予想され,彼らが発見した効率性向上の効果は日本ではあまり期待できないのではないかと思われる。これは究極的には実証上の問題であるが,彼らが行ったように賃金プロファイルの変化を観察するという実証分析の戦略では法律の施行後,相当年数がたってからしか評価が行えないという欠点があり,何らかの工夫が必要となろう。


VII むすび

 この論文は米国における連邦および州レベルでの年齢差別禁止法の施行が労働市場にどのような影響を与えてきたのかを実証分析のサーベイを通じて紹介した。いまだに実証分析の数も少なく断定的なことがいえる段階にはないといえようが,いくつかの研究は年齢差別禁止法の施行が保護対象年齢に該当する高齢労働者の雇用確率を有意に高めたことを明らかにしている。また,年齢差別禁止法が企業と労働者の間の長期的関係に関しての労働者の期待を高め,その効果を通じて労働市場の効率性を高めた可能性も指摘されている。
 これらの米国での事例より,日本でも年齢差別禁止法が成立するとその法が保護対象とする年齢層の雇用確率が上昇することが予想できる。ことに定年制が特定年齢まで禁止されることにより退職確率を減少させることを通じての効果が大きくなるものと予想できる。一方で,年齢差別禁止法が企業と労働者の間の長期的な関係に対する期待を向上させるかという点であるが,この点に関しては日本ではすでに「解雇権濫用法理」により解雇が厳しく規制されているという事情がある。よって,この点に関しては大きな効果を期待できないと考えられようが,最終的にはこれは実証分析の結果を待つしかない。
 これら米国の実証研究は経済理論・法制度・計量経済理論に関するバランスのとれた知識が政策評価の計量分析を行う上で大切なことをものがたっている。年齢差別禁止法が仮に将来の日本で成立するならば,日本の事情をよく勘案した上で,これらの方法論にのっとった影響分析が真剣になされるべきであろう。最後にこれらの米国における実証分析の多くは政府統計の個票レベルでの公開があって初めて可能となっている点を指摘しておきたい。

1)年齢と身体能力の関係に関してはPosner(1995)のCh. 4が詳細なレビューを行っている。
2)この議論は解雇規制が厳しくなると雇用自体が減り,非正規雇用が増えるという議論とパラレルである。実際Acemoglu and Angrist(2001)は1991年に成立した身障者差別禁止法(Americans with Disabilities Act)が身障者の雇用を減退させた可能性を報告している。この研究結果に対する反論がBound and Waidmann(2002)であり,この論争は解雇規制が雇用に与える影響を実証分析する際に考慮しなければいけない点を浮き彫りにしており大変興味深い。
3)人種差別や性別差別の理論の紹介としてBorjas(1999)Chapter. 10が,より専門的なサーベイとしてAltonji and Blank(1999)が存在する。
4)Lazear(1979)についての解説は清家(2003)を参照のこと。
5)もちろん企業には特定の年齢での退職が魅力的になるよう企業年金の支払いスケジュールを調整するなどして実質的な定年制を法に触れない形で残すというオプションが存在する。
6)異なる文脈でではあるが,企業がその名声を守るため労働者との契約を破らないことを,繰り返しゲームの枠組みの中で明示的に示した論文にKanemoto and MacLeod(1992)がある。
7)厳密な議論に関してはLang(1989)を参照のこと。
8)推定された雇用確率押し上げ効果がNeumark and Stock(1999)のものに比べておよそ半分になっているのは,Adams(2003)がProbitモデルの推定を行ったあとに限界効果をサンプルの説明変数(各労働者の属性)の平均値で評価しているためである。Neumark and Stock(1999)は線形回帰モデルを用いているが,Adams(2003)のデータでも線形回帰を行うと同様に大きな雇用押し上げ効果が推定される。Probitモデルは各個人の属性に応じて年齢差別禁止法が雇用確率に与える影響は異なるという仮定をおいたモデルであるが,線形回帰モデルはその影響が異ならないという仮定をおいている。よって,政策の影響を受けるグループの説明変数の平均値とサンプル全体の説明変数の平均値が乖離していると,推定される効果の大きさは変わってくる可能性がある。
9)定年年齢の廃止が退職行動に与えた影響を分析するほかに,彼らの結果は現在の賃金が退職確率に負の影響を与える一方,昨年の年金額が退職確率に正の影響を与えることを示しており,経済理論の予測と整合的な結果を得ている。また,現在の賃金の絶対額や年金額をコントロールした上でも同じ学校の教員との比較において高い賃金を得ているものが退職しにくいことを発見している。ことにこの効果は上位10%以内の賃金を得ている教員に顕著に発見されている。いわゆる「スター教授」の学校での居心地は授業負担などの面で高齢になってもよく,なかなか退職しないという米国の大学における日常的な光景がデータによっても確認されている。
10)解雇法制の国際比較に関して,山川(2002)ならびに黒田(2002)を参照のこと。もっとも米国においても“Employment-at-Will Doctorine”がユニバーサルに適用されるわけではない。“Unjust Dismissal Doctorine”とよばれ雇用者の労働者の解雇に制限をかける判例が確立していった州は70年代半ばから80年代にかけて急増しており,1992年時点で50州中46州がこのドクトリンを採用している(Autor(2003))。


参考文献

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 かわぐち・だいじ 筑波大学社会工学系講師。主な論文にHuman Capital Accumulation of Salaried and Self-Employed Workers, Labour Economics, Vol. 10, 2003など。労働経済学・応用計量経済学専攻。