調査研究成果データベース

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全文情報
第I部 総論

序章 調査研究の目的・方法と各章の概要
 1 調査研究の目的
 2 調査の実施方法
 3 各章の概要
 第1章 既存データからみた高専の特徴
 1 はじめに
 2 学校としての高専の特徴とその推移
 3 卒業後の進路とその推移
 4 おわりに

第II部 高専卒業者の職業キャリアと職業能力形成

第2章 高専卒業社の職業キャリアパターン
 1 本章の分析課題
 2 初職への参入形態の分布とその変化
 3 現職の勤務状況
 4 転職経験
 5 地域移動
 6 キャリア類型
 7 まとめ
第3章 職業能力開発における高専の役割
 1 はじめに
 2 初職と現職における専門生と高専教育との関連度
 3 企業における継続教育訓練の方針
 4 職業キャリアと継続教育訓練
 5 職業キャリアと継続能力形成の可能性
 6 まとめ
第4章 高専卒業者の企業内地位
 1 はじめに
 2 高専卒業者の処遇
 3 高専卒業者の最高位
 4 現職の年収と週平均労働時間
 5 まとめ

第III部 教育機関としての高専

第5章 進路としての高専の位置づけ
 1 本章の分析課題
 2 高専という進路選択に至る過程
 3 進路選択過程がその後に及ぼす影響
 4 まとめ
第6章 高専在学中の学校生活
 1 本章の分析課題
 2 高専在学中の学校生活の概観
 3 学校生活と高専教育への適応
 4 学校生活と高専卒業後の進路
 5 企業実習の実態と機能
 6 まとめ
第7章 高専における就職先決定過程
 1 本章の分析課題
 2 高専における就職プロセス
 3 就職結果の規定要因
 4 まとめ
第8章 大学編入者の増加に伴う諸変化
 1 本章の分析課題
 2 大学編入の増加に伴う諸変化
 3 大学編入、編入先の規定要因
 4 高専卒業後就職者と大学編入後就職者の職業キャリアの比較
 5 まとめ
第9章 高専教育に対する卒業生の評価と意見
 1 本章の分析課題
 2 進路選択・高専教育・キャリアに対する満足度
 3 高専教育に対する評価と意見
 4 まとめ

付属資料A 調査票

付属資料B 基礎集計

付属資料C 自由記述

付属資料D 3高専のヒアリング調査結果
 (1)A高等専門学校
 (2)B高等専門学校
 (3)C高等専門学校

第I部 総論


序章 調査研究の目的・方法と各章の概要

1. 調査研究の目的

(1) 高専の位置づけと特徴

 本報告書は、高等専門学校の卒業者を対象とした質問紙調査に基づき、高等専門学校という教育機関の社会的機能について、総合的に明らかにすることを目的としている。
 高等専門学校(以下「高専」と略記)は、高度に専門的な技術教育を行う5年一貫制の教育機関として、1962年から設置が開始された。現在、全国に国立54校、公立5校、私立3校の計62校が存在し(うち国立5校が商船高専、国立3校が電波工業高専、他は全て工業高専)、約5万6千人の学生が在学している。中学卒業者全体の中で高専に進学する者の比率は1%未満であり、高専という教育機関の量的規模は確かに小さい。しかし高専は、規模的には小さくとも、日本の教育システムの中で強い個性をもつ独特な存在であり続けてきた。そして日本の学校教育制度の再検討が進められつつある現状のもとでは、高専という教育機関が備えている諸特徴は、諸改革のいわば先駆となる意義をもつものとして、改めて注目に値する。
 すなわち、高専のまず第一の特徴は、その教育年限が六三三四制の枠を超えたものであることである。義務教育修了後5年間という高専独自の教育年限により、高専の学生は、日本の青少年の大半が直面する18歳時点における進路分岐を経ずに、教育内容面で後期中等教育段階からの連続性を保ちつつ高等教育段階へと移行することが可能となっている。近年の教育改革論においては、15歳時点における高校入試の弊害を緩和するための対策の一つとして、中高一貫制の教育機関の拡充が提案されている。このような方向で従来の六三三四制の枠組の柔軟化・多様化がさらに進められるならば、中高一貫制のみならず、中等教育と高等教育を高専のような形態で結合した教育機関の意義についても、今後いっそうの関心が払われることになると予測される。
 また、高専の第二の大きな特徴は、その教育内容の専門性の高さである。高専のカリキュラムは、学年が上がるに従って専門科目の比重が増大する、「くさび形」といわれる科目編成方式をとっており、5年間の全時間数の半分以上が専門科目に当てられている。そしてこのような高専教育の高度な専門性が産業界からも高く評価されていることは、高専への求人倍率の高さや、高専卒業生の専門的・技術的職業への入職率が大卒や大学院卒よりも高いことなどからうかがい知ることができる。他方で、日本の一般の高校や大学は、専門的な職業能力の形成に対してこれまで大きな力点を置いてこなかったといわれている。しかし社会経済状況の変化とともに、そのような高校や大学のあり方に対して疑問が投げかけられ始めている。特に大学教育に関しては、その社会的有用性が昨今の大学改革の重要な論点の一つとなっており、職業的な専門性の形成機能を高める努力が大学にもいっそう求められつつある。
 このように、高専という教育機関がもつ基本的な諸特徴は、日本の学校教育制度やその労働市場との関係のあり方が大きく改変されようとしている流れの中で、先行的モデルとなりうる重要性を帯びている。しかし同時に、このような高専自体に対しても、日本の社会・経済構造の大きな変動にともなって、いくつかの変化が要請され始めている。1991年の大学審議会答申「高等専門学校教育の改善について」の中では、高専における専攻科の創設、対象分野の工業及び商船以外への拡大、実務経験等に基づく高専卒業者に対する大学院入学資格の付与、高専4年次への高等学校卒業生の編入学の促進、卒業生に対する準学士称号の付与および機関名称の検討などが提言されている。そしてこの答申に基づいて学校教育法等が改正され、すでに専攻科は97年度までに全国20校に46専攻が設置された。専攻科は学位授与機構の認定を受けており、修了者は一定の要件を満たせば同機構から学士学位を授与される。また設置基準も大綱化され、学科の新設や改組も進められている。
 そして高専をめぐるもう一つの大きな変化は、卒業後に大学に編入する者の増加である。高専の設置当初は、卒業後すぐに産業界で活躍できる技術人材の養成が目的とされていたが、卒業生の進学機会が限定されていることが問題とされるようになり、1976年には豊橋と長岡に二校の技術科学大学が創設されて3年次に多数の高専卒業生を受け入れるようになった。また近年ではこれら技術科学大学以外にも高専からの編入者を受け入れる大学が増加し、すでに高専卒業生全体の2割以上が大学等に進学するようになっている。
 以上に述べてきたように、高専とは非常に独自性の強い教育機関であり、その諸特徴は学校教育をめぐる諸改革の先行的モデルとして注目に値する。しかも高専そのものが社会経済環境の変動によりいっそう適応すべく、そのあり方を変化させつつある。
 本報告書は、このような高専という教育機関が、人材形成面で対外的にいかなる社会的機能を果たしているのか、またその組織の内部ではいかなる教育や選抜の過程が生じているのかについて、大規模な質問紙調査結果に基づき、包括的な検討を加えるものである。

(2) 既存の研究

 本調査研究の位置づけを明確にするためにも、高専という教育機関について、これまでどのようなことが研究テーマとされ、明らかにされてきているかについて、簡単に振り返っておきたい。高専を対象とする調査研究には、個々の高専のスタッフ等が独自に実施するものの他、文部省や国立高等専門学校協会などのプロジェクトとして実施された調査研究などがある。内容的にも、実態調査から教育手法に関する研究、理念的な論考など、多岐にわたっている。ここでは、本報告書のアプローチと共通する教育社会学の分野でこれまで実施されてきた実証的研究の中から、主要なもの数点を選んで、知見の概略を紹介する。
 高専教育に関する社会学的な調査研究の嚆矢といえるのは、葉柳(1973)の研究である。葉柳は、高専創設後10年間を振り返って総括するという目的意識のもとに、1971年に次のような調査を実施した。すなわち、第一期・第二期設立高専の全卒業生18,000人のうち約10%に当たる1814人に調査を実施し838人から有効回答を得るとともに、高専卒業生が3名以上就職している全事業所632社にも調査を行い、377社から回答を得ている。これらのデータの分析から葉柳が得た知見は以下の通りである。第一に、高専卒業生は企業から専門的技術能力に関して高い評価を得、それに見合った仕事や格付けを与えられており、自らの将来キャリアについても明るい見通しを抱いている。しかし第二に、一般教養や人間形成の面で高専卒業生には弱点があるとみなされている。第三に、中学卒業時という早い段階で進路が決定されることに対して、卒業生の間からは否定的評価が示されている。第四に、中学生の間での高専志願者の減少や産業界における技術者需要の高学歴化という当時の状況のもとで、5カ年の枠にとらわれた袋小路的進路のままでは高専の将来が危ういという危惧を葉柳は提示している。
 葉柳の研究後、日本社会はオイルショックを経験し、製造業を中心とした高度経済成長にも歯止めがかかったが、そのような状況下における高専のあり方に注目したのが近藤(1981)である。近藤は、1970年代後半にかけて高専の入学倍率や高専からの技術者輩出率が低下し、また高専卒業生が大企業から中小企業に進出したことを指摘し、「教育市場・労働市場において高専の地位が安定せず、かえってその存続が危ぶまれる状況にある」という現状認識を述べている。そして某高専を昭和45年度~53年度に卒業した1045名を対象に調査を行い417票を回収した結果に基づき、高専教育の現状について以下の諸点を指摘している。第一に、高専に関する情報が社会的に普及し、認知と期待の水準が一致したため、時系列的には高専教育に対する学生の適応は増大している。しかし第二に、高専に適応できるか否かにより、学生の間には2つの極端なタイプが形成されやすい。第三に、就職状況は悪化傾向にある。第四に、技能習得においては職場経験の比重が高い。第五に、高専卒業生は大卒に対して強い対抗意識を抱いている。
 近藤の分析では労働市場における高専卒業生の地位低下が強調されているが、その後1980年代から90年代にかけての統計データを分析した新谷他(1997)は、高専卒業者の第二次産業や専門的技術的職業への入職の減少は、オイルショック後の1976年から1980年頃に特徴的な現象であり、90年頃には回復していることを見出している。また新谷らは、某高専を70年、80年、90年に卒業した全卒業生398名に調査を実施し223名から回収を得た結果に基づいて、卒業生の職業と職業意識などについても検討を加えている。
 上記三つの研究はいずれも学校基本調査などの統計や卒業生調査結果をデータとしているが、それらとは異色のデータを用いた分析を行ったのが沖津(1997)である。そのデータとは、某高専のある一学年の全学生の在学中5年間の科目別学業成績と、卒業後の進路先(就職先企業、編入先大学)である。これらの分析を通じて沖津は次の知見を得ている。第一に、学生全体の6割は在学中に学業成績が上位・中位・下位の間で変動しており、これら成績変動者は、欠課時数などの点から見ても高専教育への適応性に問題をはらんでいる。第二に、学業成績の科目間構造としては、理系科目と専門科目の統合は強いが文系科目はそれらとの関連が比較的弱く、理系や専門科目への適性が成績の上位安定性をもたらしている。第三に、高専教育に対して高い適性を示す学生は、大学に編入するか、大企業に就職する傾向がある。
 これらの研究で取り上げられてきた主な論点としては、高専卒業者の企業内での評価や位置づけとその時系列的変化、高専教育を通じて学生が身につける知識・技術等の外部社会における有効性、高専学生の高専教育への適応状況、および適応状況と進路との関係などがあげられる。そして、初期の葉柳の研究以後、事例的ではなく代表性の高い調査データに基づく分析は十分に蓄積されてきていない。現在の高専教育の社会的機能を検討するには、従来の研究における問題関心を受け継いだ上で個別の論点をさらに明確化し、最新のデータに即して総合的な分析を行う必要がある。

(3) 本調査研究の課題

 以上に述べてきたような現状認識や既存の研究成果を踏まえて、本調査研究では、次の諸点を明らかにすることを課題として設定する。
 その第一は、高専の卒業者がどのような職業キャリアをたどっているのか、ということである。高い専門性を身につけた上で労働市場に登場する高専卒業者は、どのような職場でいかなる職務に就いているのか。彼らが高専を卒業して最初に就く仕事と、その後に経験する仕事群との間には、どのようなパターンが存在するのか。個々の卒業者がたどるキャリア・パターンは、いかなる要因によって規定されるのか。これらの問いを追求することにより、高専卒業者の職業キャリアの全体構造を把握することが、まず第一の課題である。
 第二の課題は、上記の高専卒業者の職業キャリアにおいて、高専の教育内容が、どの程度、またどのような形で活かされているのかを明らかにすることである。むろん、個々人の職業能力の形成は、高専の教育のみを通じてなされるわけではなく、入職後の様々な経験や継続的能力開発が寄与する面も大きいだろう。それらを含めた能力開発の機会の総体の中で、高専教育はいかなる位置づけを与えられているのか。それを検討することを通じて、職業的な専門性の高い学校教育の意義を正しく再評価することを試みる。
 第三の課題は、職場組織の内部における高専卒業者の技術人材としての相対的地位を、他の学歴と比較する形で明らかにすることである。高専の卒業者は、大学学部卒に匹敵するかそれ以上の専門的知識を身につけており、企業内での昇進等においても何ら遜色がないとしばしばいわれる。他方で、産業界における技術人材の主たる供給源はすでに修士課程修了者へと移り、高専卒の地位は下降しているともいわれている。それゆえ、高専卒という学歴が職場組織の中でどのような処遇を受けているのかについて、改めて明らかにする必要がある。
 以上の三点は、高専を卒業した後の職業キャリアに関する分析課題であり、いわば高専教育のアウトプットを明らかにしようとするものである。しかし、高専という教育機関の社会的機能を包括的に検討するためには、高専教育へのインプットとしての高専入学者の特性、および高専教育のスループットとしての学校生活についても分析の対象とする必要がある。
 そこでまず上記に続く第四の課題として設定するのは、中学卒業生にとって高専という進路を選択することがいかなる意味合いをもっているかということである。専門性が高い高専の教育内容が十分に習得されるためには、学生がその教育内容に対して関心と適性を備えていることが必要である。それゆえ、高専入学前の進路選択が、適切な形で行われているか否かが、高専教育の成否を左右する重要な要素となる。どのようなプロセスのもとに高専の受験や入学が行われているのか、そこにおいて個々の生徒の関心や適性がどれほど考慮されているのかを明らかにする必要がある。
 第五の課題は、高専に在学中の学校生活がどのような質のものであるかを検討することである。たとえ卒業後の職業等に役立つ教育が提供されていても、学校生活そのものが学生にとって充実したものと感じられていなければ、教育機関として十全なあり方とはいえない。高専を今後いっそう魅力的なものとしていくためにも、在学中の諸経験の質的吟味が必要とされる。
 第六の課題は、高専から職業への移行のミクロなプロセスと、それに先立つ高専内部の選抜過程を明らかにすることである。高専卒業者の多くは就職してゆくが、個々の学生の就職先がいかにして決定されてゆくのか、就職先の特性が就職プロセスや学校生活をめぐるいかなる要因によって規定されているのかを検討する。
 第七の課題は、先にも述べた卒業後の大学編入の増加という近年の変化が、高専教育にどのような影響を及ぼしているかを明らかにすることである。教育システムの中で、高専が完成教育を与える機関としての機能を弱め、より高い教育段階への通過点としての機能を増大させるとすれば、それは高専に入学しようとする者や高専在学生の意識を始めとして、高専教育の様々な側面に大きな影響を与えずにはおかないと思われる。その影響の内実を明らかにすることが必要である。
 そして第八の課題は、卒業後数年たった卒業者は、高専教育の全体としての得失、明暗に対してどのような評価を下しているか、そして高専教育が今後いかなる方向に進むべきかについて彼らがどのように考えているかについて検討を加えることである。高専教育とその卒業後の職業キャリアを体験してきた当事者の立場から、この教育機関に対して総合的な判定を下してもらうことを通じて、分析全体の集約としたい。

2. 調査の実施方法

 以上の諸課題を追求するためには、調査対象が次の2つの条件を兼ね備えていることが求められる。その第一は、高専卒業後に一定期間の職業キャリアを経験していることであり、第二は、高専入学前や在学中の諸経験についての記憶が鮮明であることである。またこの二点に加えて、高専が近年経験している変化の実態を把握するためには、時系列的な比較が可能となることが望ましい。これらの点から、本調査研究では、高専を1987年3月および1994年3月の二時点に卒業した卒業者を、調査対象として選定した。この二時点は、バブル経済期とその崩壊後の時期に当たっており、労働市場の状況変化が高専卒業者の職業キャリアに及ぼす影響を把握するためにも適した時期選定といえる。
 そして、事例的ではなく、全体を代表する性格を備えたデータとするためには、可能な限り全国すべての高専の卒業生を網羅することが必要である。幸いなことに今回の調査に関しては、国立高等専門学校協会の協力を得ることができたため、国立の高専に関しては同協会を通じて依頼を行い、上記2年度の卒業生名簿を提供を受けることができた。また公立および私立の高専に対しては個別に名簿提供を依頼し、公立・私立各1校ずつから協力が得られた。これらの卒業生名簿を調査対象者台帳として、以下の形で調査を実施した。
<1> 調査対象:全国56校の高専を1987年3月および1994年3月に卒業した者のうち住所が卒業生名簿に記載されていた13,378名。
<2> 調査時期:1998年2月~3月。
<3> 調査方法:郵送による自記式調査。1998年2月に調査票を発送したのち、3月に未回答者の中から4,000名をランダム・サンプリングして再度調査票を発送。
<4> 回収結果:有効回答2,019票、回収率15.1%。
<5> 主な調査項目:高専受験理由、志望順位、中学3年時学業成績、在学中の諸活動の熱心さ、教育内容・学校生活への感想、企業実習の内容、就職プロセス、大学編入動機、編入後の大学生活、最初の職場と仕事の特性、離転職経験、現在の職場と仕事の特性、処遇、職業能力開発経験、高専教育に対する評価など

3. 各章の概要

 本報告書は3部構成をとっている。第I部「総論」には、本章と第1章が含まれる。
 第1章「既存データからみた高専の特徴」では、高専に関するマクロ統計データを整理することにより、高専という教育機関が設立されてから現在までの動向を把握する。得られた知見は、次の諸点である。
<1> 高専の学校数はここ30年ほどほとんど変化が見られないのに対し、学科の種類についてはここ10年ほどで急激に増加している。これまで高専の中で中心的位置にあった学科が、改組により全体の中で占める比重を低下させており、結果的に高専の学科の多様化が進んできた。
<2> 高専の卒業者の進路として、ここ10年ほどで進学者が急激に増加してきた。進学者の拡大は、これまで高専卒業者の編入を中心的に受け入れてきた技術科学大学の編入増加によるものではなく、特別定員大学やその他の大学などへの編入学が増加したためである。すなわち、高専卒業者の進学先にも、多様化が生じている。
<3> 高専卒業者の就職先は、第二次産業の技術者を中心としてきたが、そのうちの大部分を占めていた最大手の企業において高専卒業者の採用が90年以降急激に減少している。このことは、就職先についても多様化が進んでいることを意味する。
 以上の三点は、高専にとって典型的な卒業キャリア、学生像、学校像を思い描くということが、次第に困難になりつつあることを示唆している。
 第II部「高専卒業者の職業キャリアと職業能力形成」では、先に挙げた諸課題のうち第一から第三までを取り上げ、今回行った調査の結果に分析を加えている。
 第2章「高専卒業者の職業キャリア」では、第一の分析課題に関して、次の諸点を見出している。
<1> 高専は、第二次産業大企業技術職の人材を典型的に養成していたが、近年の二時点で比較した場合、その割合は明らかに減少しており、第三次産業やより小規模な企業が増加している。ただし、その減少は高専全体で均一に生じたわけではなく、学科タイプによって違いがみられる。すなわち、著しく変化しているのは情報系をはじめとして新しく設置された非伝統学科である。
<2> 現職では初職に比べて製造・工事・現場以外の仕事の割合がやや増加している。
<3> 転職率は、卒業後3年間で約2割、卒業後10年間で4割弱であり、最初の勤務先規模が小さいほど転職率が高い。転職理由は、94年卒業者と比べて87年卒業者の方が、「他に魅力ある仕事があった」という積極的な理由および家事都合などのやむをえない理由が多い。全体として、転職によって企業規模や給与などの労働条件は低下しても、仕事の質そのものは向上している場合が多い。
<4> 地域移動については、高専所在地と同じ県に就職した者が4割弱、同じブロック内で就職した者まで含めると約5割であり、高専は全国とローカルという二つの次元の人材養成を担うようになってきている。
 第3章「職業能力形成における高専の役割」では、分析課題の第二に取り組んでいる。得られた知見は次のようにまとめられる。
<1> 仕事において専門が生かされている度合いが大きいのは、大企業技術職というこれまで典型的な高専卒の就職先である。また産業についても、第二次産業技術職という典型的就職先で専門が生かされている。その一方で、小企業や非技術職、第三次産業といった近年増加してきた高専就職先では、専門が生かされている割合が低く、この点からも、典型的就職先と新規就職先の間に大きな差異が生じている。また転職者について現職で専門が生かせるかどうかを卒年別に比較してみると、94年卒で専門が生かせる割合が低くなっている。
<2> 企業における能力形成の方針についても、大企業技術職で積極的である。しかし、その積極性も94年卒では低下しており、今後は大企業技術職についても積極的な能力形成が行われるとは限らない。
<3> 高専はどの職業キャリア類型の者にとっても、能力形成において重要な位置を占めている。ただし高専が十分に役割を果たしうるのは能力のうちでも「職業専門知識」の獲得に関してであり、この能力は一企業に定着して技術職のみを経験してきた者には必要性が高いが、それ以外の職業キャリアの者にとっては必ずしも重要でない場合もあることから、高専教育が卒業者全てにとって有効なものではなくなりつつあるといえる。
<4> 卒業後の高専利用可能性については、転職経験をもちながら技術職のみを経験してきた者の場合に高専が継続教育訓練の場として望まれる度合いが強い。大学進学者では、大学院などアカデミックな継続教育訓練について希望が多くなっている。このように職業キャリアによって求める内容は異なるが、何らかの形で卒業者の能力形成に高専が寄与することは可能であると思われる。
<5> 資格の取得も職業能力形成の一形態として利用されているが、取得のパターンは資格の種類によって異なっている。
 第4章「高専卒業者の企業内地位」では、分析課題の第三について検討した結果、次のことが見出されている。
<1> 高専卒業者の処遇は、全体的にみると、「賃金水準」や「昇進の可能性」といった労働条件面では、「大学工学部卒と高卒の中間」という位置づけがある一方で、「配属先の部門」や「仕事上の権限や裁量権」、「仕事と専攻との関連性」といった仕事内容では「大学工学部に類似」した処遇を受けている。このように大卒と同等の仕事をしながらも賃金などの労働条件が大卒以下であることに対する高専卒業者の不満もかいま見ることができる。このような高専卒業者に対する処遇は、これまで高専卒業者にとって典型的な就職先であった技術職、第二次産業、大企業において明確にあらわれている。一方で、高専卒業者にとって非典型的な就職先であった職場においては、高専卒業者の処遇が抑圧、もしくは曖昧なものとなっている。
<2> 現在の勤務先において高専卒業者が最高位でどの地位まで昇進しているかについては、全体的にみると、「課長レベル」という回答が多くなっている。この点についても、高専卒業者にとって典型的な職場においてはそのような明確な最高位がみられるのに対して、非典型的な職場においては、それが不明確なものとなっている。卒年別にみると94年卒業者の方が高専卒業者の最高位が低くなっている。また、転職者の場合、「勤務先に高専卒の先輩はいない」割合が高くなっていることからもわかるように、転職をした場合にはより不明確な処遇に甘んじざるを得なくなっているといえる。
<3> 年収についてみると、技術職、大企業といった高専卒業者にとって典型的な職場では年収が高くなっていること、転職経験者が定着者に比べて年収が低くなっていることなどから、高専卒業者にとって典型的な職場においては高い年収を得ることができるのに対し、それ以外の職場では低い年収に甘んじる結果となっている。もっとも、技術職の場合には平均労働時間が非技術職に比べて長くなっていることから、長時間労働を避けようとすれば、技術職を避けるという選択によって、低賃金でありながらも労働時間を減らすということも一つの選択肢として認識されているのかもしれない。
 第III部「教育機関としての高専」では、第5章から第9章までの各章が、先の第四から第八までの課題に取り組んでいる。
 まず第5章「進路としての高専の位置づけ」では、分析課題の第四を取り上げ、主な知見として以下の諸点が見出されている。
<1> 高専という進路を選択する者の特徴として、中3時の学業成績が高いこと、実際に入学した高専・学科が第一志望であった者が多いこと、専門的知識の取得や技術への興味を高専受験理由としている者が過半数を占めていること、約半数は高専受験の時点で将来の職業を何らかの程度念頭においていることなどが挙げられる。これらの特徴は、高専という進路の選択において、この教育機関の特性がかなり十分に認識されており、その上で積極的に高専への進学が選択されていることを示している。しかし同時に、中学の教師や家族など他者の勧めにより、就職の有利さや、あるいは中3時の成績が高専のレベルに合致するという理由などで、受験の間際に近くなってから高専の受験を決心している者も一部に存在する。すなわち、高専という進路の選択は全体としては適切な仕方で行われているが、中学段階での学校や家庭での指導の仕方において改善すべき点も残されている。
<2> 個々の学生がどの程度自主的に、かつ納得した上で高専の受験を決めたか、またどのような理由で高専を志望したかということが、高専在学中の諸活動への取り組みの活発さや進路変更への迷い、最終学年での教育達成などに影響している。さらに、高専入学時の動機は、高専卒業後の進路や、現時点での自らの過去に対する満足度をも左右している。特に、外在的・表面的な理由からではなく、高専の教育内容そのものへの自発的な興味・関心に基づいて高専に入学した者において、高専教育やその後のキャリアに高い適合性が見出される。
<3> 質問紙の自由記述では、高専入学前の中学時点の進路指導だけでなく、高専在学中に実際に進路の転換を無理なく行うことができる制度的柔軟性が必要であるということが多く指摘されている。ただ、他の進路への転換をスムーズにするために、高専の教育内容の専門性そのものを薄めることは、高専の独自性をも失わせる結果になりかねないため、専門性の高さと進路転換の柔軟性を両立させるための何らかの工夫が必要とされる。
 続く第6章「高専在学中の学校生活」は第五の分析課題に取り組んでいる。この章で見出された知見は、以下の諸点である。
<1> 高専の教育内容の中では、人文・社会系の一般教育が、量的にも少なすぎ、内容的にも充実していないという声が強い。このような不満は、女子や大学編入者の間で特に大きい。逆に就職者の間では、専門科目の実験・実習が少なすぎたという意見が多い。
<2> 高専の学生は全般的に、専門科目、特に実験・実習に非常に熱心に取り組む傾向がみられる。他方で人文・社会系の一般教育や、学生自治会などインフォーマルな学校生活への積極性は低く、特に二時点間で比較すると、後者はいっそう低下している。卒業後大学に編入した者は、教育内容の諸側面に熱心に取り組む傾向がある。
<3> 高専の長所として、大学受験を気にせずのびのびと学校生活を送れるということを大半の者が挙げているが、同時に、交際範囲の狭さ、学業の中だるみ、施設設備の不備を指摘する声も過半数に達している。特に「のびのび」と「中だるみ」は、いずれも後の世代で増加している。大学編入者は、中だるみが少なく、個人指導を受ける機会にも恵まれているという点で、より良好な学校生活を送っている。
<4> 高専在学中に留年する比率は小さいが、学生の4人に1人は、主に高専の第3学年頃に、進路の変更を考えた経験がある。低学年では普通高校への転校を考える者が多く、学年が上がるに従って大学に移ることを考える者が増えており、これら同年代の若者にとって「一般的な」進路への変更に、高専学生の一部は誘引を感じている。
<5> 高専在学中の教育達成の度合いを示す指標である第5学年時の学業成績は、教育内容への取り組みの熱心さによって左右される。そして大学編入者の中には、高専5年時の学業成績が高い者が非常に多い。高専5年時の成績に対しては、在学中の学校生活だけでなく、高専入学の動機や中学時の成績も影響を及ぼしている。
<6> 学校生活への取り組みの熱心さや教育達成は、就職か大学編入かという進路分化だけでなく、就職者の内部での就職先企業規模、大学編入者の内部での編入先大学類型などの分化をも規定している。
<7> 高専では半数以上の学生が企業実習を経験しており、しかも二時点間で比較すると増加傾向にある。実習の経験率は情報系など新しいタイプの学科で高いが、実習の量的質的充実度は、むしろ航空・商船系や土木・建築系など伝統的な一部の学科で高い傾向がある。
 以上の知見から得られるインプリケーションとして、同章では次のような議論が展開されている。
 第一に、高専のカリキュラムを再検討する必要性である。高専のカリキュラムの根幹をなす専門教育に関しては、全般的に学生からの評価が高く、取り組みも熱心であるが、人文・社会系の一般教育や卒業研究には、量的・質的に改善の余地があると思われる。
 第二に、フォーマルなカリキュラム以外の側面を含む、学校生活全体のアメニティを高めると同時に、それを外部にアピールし、高専そのもののイメージを高めることの必要性である。
 第三点目は、高専の学生内部の多様性の問題である。今回の分析では、卒業後に大学編入する者と就職する者との間に、学校生活に関する様々な点で違いがみられた。学生の内部に分化が生じており、それぞれに異なった学習ニーズ等が発生していることについて、高専としての何らかの組織的対応が必要な段階に来ているのではないかと思われる。
 第四に、企業実習の意義についてである。特に高専のように専門性が高い教育機関の場合、職業の場と教育との有機的な統合が重要となるため、企業実習が全体として有効に機能していることは注目される。
 第7章「高専における就職先決定過程」は、第六の分析課題に取り組んでいる。この章での知見は、次のように集約される。
<1> 高専卒業後に就職することを決めた時期は、高専入学前の場合と高専高学年になってからの場合とに二極分化している。後者の中には成績が高く、大学編入と就職との間で迷った結果、決心が遅れた者が含まれる。具体的な就職先の決定は、高専5年の春から初夏にかけて急速になされる。
<2> 多くの学生は、経済的自立や仕事への関心など積極的理由から就職を選択しているが、大学に編入するには成績が十分でないという消極的な理由で就職する場合も一部にみられる。早期から就職を決心していた者には前者の理由が、進路の決断が遅れた者には後者の理由が多く見られる。
<3> 就職先を決定する際の諸条件は、「労働条件」「仕事内容」「規模・安定性」「雇用管理」という四つの要素から構成されており、卒年や性別、高専5年時成績などにより、各要素の重視度が異なる。また就職先を選ぶ際には自分の適性や学業成績も考慮されており、成績が高い者ほど、それに見合った就職先を選ぼうとする傾向がある。
<4> 高専からの就職においては、応募1社目で決定したケースが約7割を占めており、就職の成功率は高い。その背景となっているのは、多くの者が「高専に来た求人」や「高専の教授の薦め」で企業に応募しており、また8割近くは学校からの推薦を携えて応募していることなどにみられるように、就職-採用において学校が関与・仲介する度合いが高いことである。これは大学の理工系学部や高校からの就職と類似の就職プロセスである。
<5> 進路決定が遅れた者ほど、就職に際して企業に関する情報をもっと集めておくべきだったとする反省が多い。
<6> 就職先企業規模は、就職経緯や就職先決定理由、高専5年時成績などの影響を強く受けており、これらの変数は、高専在学中の諸活動の熱心度や、さらに遡って高専入学理由などに規定されている。高専教育の内容的特徴を重視して入学してきた者ほど、在学中の生活や就職プロセスに関する諸変数を経由して、大企業に就職する可能性が高い。また最初に就く職種や就職後の転職も、高専入学時、在学中、就職時の諸変数に影響されている。
 以上の諸知見から得られるインプリケーションとして重要な点は、高専からの就職プロセスが、学校-企業間の組織的ネットワーク・モデルに近いということである。そしてこのモデルにおいては、高専在学中の諸活動の積極性や学業成績が高い者が、企業規模を主たる指標とする、いわゆる「優良な」就職先の獲得において成功を収めがちである。しかしながら、その過程を詳細に検討するならば、このモデルにはいくつかの矛盾のようなものが見出される。その一つは、高専における教育達成が高い者は、大学編入への迷いから、就職の決心が遅れるにもかかわらず、結果としては大企業に就職するが、後から振り返ると就職の際にもっと企業について調べておけばよかったという反省が生じていることである。もう一つの矛盾は、企業規模や勤務先への定着という指標は、専門性の発揮とは時に対立する場合があるということである。高専入学時や高専からの就職時に自分の専門性を大事にしようとした者は、むしろ最初の就職先から転職することによって適職を求める傾向がある。
 第8章「大学編入者の増加に伴う諸変化」では、分析課題の第七について検討を加え、次の諸点が見出されている。
<1> 高専から大学に編入する者は、87年卒時点では卒業者の約1割であったのが94年卒では2割を超えるまでに拡大している。大学編入増加の速度は性別や学科、高専所在地域などによって異なっている。大学編入者の増加に伴って、高専5年時の成績が「上位」の者だけでなく「中の上」の者にまで進学機会の裾野が広がっているが、それ以下の層では拡大していない。
<2> 大学編入の増加により、編入先大学は技術科学大学だけでなく他の多様なタイプの大学へ、また編入先学部も工学部からそれ以外の理系学部へと多様化を遂げている。特に、工業系の単科大や、一般の国公立大学で高専からの編入者受け入れが大幅に拡大している。工業系単科大では工学部以外に情報系の学部が一定の比率を占めている。
<3> 高専からの進学機会が拡大したことは、中学生の間でも認識されるようになっており、この点を高専への入学動機とする者が増加している。しかし実際に大学に編入する者の中で、高専入学当初から大学への進学を意図していた者は一部にすぎず、高専の高学年になって進学を決意した者が多い。進学の動機には、より高度な専門知識を取得することに加えて、高専在学中の成績がよかったことや教授に勧められたことなども含まれている。
<4> 学生の間での進学志望の増加に対して、高専側も大学編入への支援を積極的に提供するようになっている。その積極性には高専の所在地域などによっても違いがみられる。
<5> 大学編入後には、高専と大学との間には語学の点で大きなギャップがあり、逆に専門教育は重複しているという点で、教育内容の不整合が存在する。この不整合は技術科学大学以外の大学で顕著にみられる。また編入先の多様化に伴って、学生文化面での不適応も増大する傾向にある。
<6> 高専から大学に編入した者の7割前後はさらに大学院に進学している。大学院進学率は技術科学大学でもっとも高く、また工学部で高い。さらに、高専在学中に高い教育達成をあげていた者ほど大学院に進学する傾向がある。
<7> 高専の学生が大学に編入するかどうかは、高専への入学動機や高専在学中の活動、教育達成などの要因によって規定されている。またどのようなタイプの大学に編入するかは、進学を決めた経緯や個々人の勉学・研究への志向に影響される。
<8> 高専卒業後すぐに就職した者と、大学・大学院に進学してから就職した者との間で職業キャリアを比較すると、最初の勤務先や仕事は就職した年の企業の採用状況に左右される面が大きいが、より長期的にみると、役職昇進や収入の点で進学者の方が有利になる傾向がある。
 第9章「高専教育に対する卒業生の評価と意見」では、第八の課題に関して、次のことが明らかにされている。
<1> 過去の進路選択や高専の教育内容、職業キャリアなどに対する満足度は、全般的にはかなり高い。満足度には性別や学科などによる相違がみられるだけでなく、高専卒業後にどのようなキャリアをたどったかによっても左右されている。大学に編入した者ほど、また高専卒業後に一つの企業に定着している者ほど、満足度が高い。また職業キャリアを通じて、高専で身につけた知識・技術をどれほど生かせ、自分の専門性の形成や能力発揮をどれほど実現できているかということが、満足度に大きく影響している。
<2> 高専教育に対する意見や評価には、卒業生の間でかなりばらつきが見られる。多様な意見や評価を集約すると、高専教育や卒業生の位置づけに対する「否定的評価」および「肯定的評価」、今後の高専教育の内容に関する「アカデミック」志向および「実践性」志向という4つの構成要素が抽出された。これらの4つの項目を感じる度合いは、やはり性別や出身学科によって違いがみられる他、卒業後のキャリアによっても異なっている。キャリアと意見の組み合わせから、高専卒業者の中には、高専で得た知識・技術を生かせる職業キャリアをたどっており現状肯定的な意見をもつ「典型的高専卒」、大学編入者を多く含みアカデミック志向の強い「超・高専卒」、高専教育と関連の薄い職業の者や転職経験者を多く含み、実践性志向が強い「周縁的高専卒」という、大きく3つのグループが存在していることが推察される。

〔参考文献〕
 沖津由紀,1997,「工業高等専門学校における学業成績の類型と進路」『日本労働研究雑誌』No.444.
 近藤博之,1981,「高等専門学校の展開と技術者教育の今日的課題」『大阪大学教育社会学・教育計画論研究集録』第2号.
 新谷康浩・猪股歳之・秋永雄一・片瀬一男,1997,「高専卒技術者のキャリア形成」『日本教育社会学会第49回大会発表要旨集録』.
 葉柳 正,1973,「高専制度一〇年の成果と展望」『教育社会学研究』第28集.


第1章 既存データからみた高専の特徴

1. はじめに

 本章の課題は既存データから高専の特徴を明らかにし、次章以降の課題を探る手がかりを提示することである。
 本章の分析課題は以下の2点である。第一に学校としての高専の特徴を明らかにするため、学校数や学科数、入学倍率の推移を示すこと、第二に高専卒業者の卒業後の進路を明らかにするため、進学と就職の状況の推移を示すことである。
 本章では既存データによって高専の諸特徴を概観するが、まず高専に関するデータが掲載された資料を挙げておこう。個別高専レベルの資料は各高専で分析しているところもあるが(例えば群馬工業高等専門学校,1996など)、高専全体に関するデータとして特に主要なものは、文部省『学校基本調査報告書』、文部省『全国短期大学・高等専門学校一覧』、リクルート『高専総覧』などが挙げられる。これらの資料は、高専の諸特徴について長期的なデータを提示している。また、リクルート『企業別採用状況調査』の中でも、全国の主要企業に就職した人数が学歴別に示されており、これにより高専卒業者の主要企業への就職動向の推移が把握できる。本章では、これら高専全体の傾向を把握できるデータをもとに分析をおこなうことにしたい。

2. 学校としての高専の特徴とその推移

 まず、学校数と学科数の変遷をみてみよう。図表1-1は、高専の学校数、学科種類数と、入学志願者、入学者数及び入学志願倍率を示している。なお、数値に関しては『学校基本調査報告書』を、歴史的な変遷に関しては『全国短期大学・高等専門学校一覧』をもとにしている。これによると、学校数は1962(昭和37)年に高専制度が成立した後、4年間で現在の学校数にほぼ匹敵する54校が設立されたことがわかる。その後、1967年に商船高等専門学校が5校と工業高等専門学校が1校、1971年に電波工業高等専門学校が3校設立されるが(注1)、それを除けば、その後はまとまった学校設立がみられなかった。一方、現在までに私立工業高等専門学校5校が廃止されている。そのうち4校は4年制大学への移行、1校は国立高等専門学校への移行による。現在、高専の学校数は、全国で62校となっている。
図表1-1 高専の学校数、学科種類数と入学志願倍率の推移
 高専の学科は、当初、工業高等専門学校として設立された経緯から、機械、電気、工業化学、土木、建築、などといった学科が主体となっていたが、それらの学科の割合は減少している。1991年の大学審議会答申が出された時期とほぼ相前後して、学科の種類が多様化しはじめたのである。図表1-2は、高専の伝統的な学科である機械工学科、電気工学科、工業化学科、土木工学科、建築学科の5学科について、その学科数と学級数が全体に占める比率の推移を示したものである。これによると、当初はこれら5学科だけで、9割以上を占めていたが、1989年頃からその割合が急激に低下し、現在ではこれら5学科が高専の学科数全体に占める割合は4割強に過ぎない。そのうち、建築学科は他の4学科に比べると、もともとそれほど学科数が多くなく、現在でも高専の学科全体に占める割合はそれほど変化していない。一方、他の4学科では、近年、高専の学科に占める割合が低下し、特に工業化学科や土木工学科では著しく低下している。(なお、工業化学科は全国的に、物質工学科に改組されている。)
図表1-2 高専 伝統5学科の学科数、学級数の推移
 この変化は、図表1-1の学科種類数(同一名称の学科を1つとして計算したもの)の推移と同様の傾向が見られる。1989年頃から学科種類数が急増してきたことがここからも伺える。
 次に、高専に入学する学生の質についてみてみよう。昔は高専に中学時の成績が学年のトップクラスという生徒が多数入学してきたと言われてきたが、現在ではその時代と比べれば低くなってきたと言われている(付属資料Dのヒアリング記録を参照)。もっとも、長期的には図表1-1に示したように入学志願倍率は20年以上ほぼ2倍台で推移しており、入学志願者数で見ても2万人台で推移していることがわかる。このことから、高専は現在でもある一定の層に受け入れられているということができるのではないだろうか。

3. 卒業後の進路とその推移

 次に卒業者の進路についてみてみよう。図表1-3は高専卒業後の進路の推移を示したものである。これも『学校基本調査報告書』をもとに作成したものである。これによると、1980年代後半から卒業者の進路に占める進学の割合が急激に高くなってきたことがわかる。たしかに、70年代の議論の中では、高専の袋小路としての問題が取り上げられてきた(葉柳 1973)。それが77年の技術科学大学の設立へとつながったのは周知の通りである。だが、高専卒業者の進路に関して急激な変化が見られるのはむしろここ10年ほどのことであり、その間に高専卒業者に占める進学者の比率が10%程度から20%以上へと急激に高まってきたのである。
図表1-3 高専卒業後の進路の推移
 では、高専卒業者は、いったいどこへ進学したのか。これに関してより詳細なデータが掲載されている『全国短期大学・高等専門学校一覧』をもとにして、高専卒業者の進学先の推移を見ていこう。
 図表1-4は、高専を卒業した者のうち、大学編入者数の推移を、編入学受入大学のタイプ別に示したものである。現在、高専卒業者を受け入れる大学は大別して3つのタイプに分けることができる。1つは、豊橋と長岡の「技術科学大学」である。2つめは、高専卒業者を受け入れるための定員をあらかじめ設定している「特別定員大学」である。3つめは、定員外で高専卒業者の編入を受け入れている「上記以外の大学」である。
図表1-4 編入学大学別高専卒大学編入者数の推移
 図表1-4に示しているように、編入学者数は増加の一途をたどっていくが、その増加は大きく4つの時期に分けることができよう。まず、第一期は高専卒業者に対して何ら特別の進学先が設定されていない時期である。この時期の卒業者が編入学できたのは、特別の定員枠を持たない「上記以外の大学」だけであった。第二期は1971年度から76年度までであり、この時期に高専卒業者を編入させる定員を定めた「特別定員大学」が編入学者を受け入れ始めた。第三期が1977年度以降であり、「技術科学大学」への編入が開始された。その後10年ほどは高専卒業者の編入先は過半数が「技術科学大学」であった。その構成比に大きな変化が見られるようになったのは、先に示した編入学者数が急増し始めた1990年度頃である。この年、「上記以外の大学」への編入学者が1年で100人以上増加し、結果として「特別定員大学」への編入も含めた「技術科学大学」以外への編入学者数が「技術科学大学」への編入学者数を上回ったのである。このように進学先の多様化が見られるようになった1990年度以降を第四期と呼んでいいだろう。1995年度卒業生では「特別定員大学」への編入学者が862人と「技術科学大学」の684人や「上記以外の大学」の590人を上回っている。
 このような進学率の上昇は、進路としての進学が容易になってきたこととも結びついているといえよう。技術科学大学への編入が開始された1977年度には、編入学希望者に占める実際の編入学者9割合は64.8%に過ぎなかったが、1981年頃からその割合は8割程度で推移するようになった。1991年の大学審議会答申に基づいて高専に専攻科が設置されたこととあわせて考えれば、現在、高専卒業後に進学を希望する者は専攻科まで含めればほぼ確実に進学できる環境が整っているといえよう。
 では「特別定員大学」、及び「上記以外の大学」というのはどのような大学であったのか。個別大学名が把握できるデータは1989年度以降しか掲載されていないため、近年のデータからこれを示すことにする。図表1-5は、編入学受け入れ大学数と一大学あたり編入学受け入れ人数、及び編入学受け入れ学部の中で工学部が占める割合を「特別定員大学(技術科学大学を含む)」と「上記以外の大学」について示したものである。
図表1-5 編入先別 学校数と一大学あたり編入学受け入れ人数、工学部の比率
 まず「特別定員大学」についてみてみよう。1989年度の13校(長岡、豊橋の技術科学大学を含む)から1996年度には34校に増加した。そのうち工学部に定員がついている大学が1989年度の10校(76.9%)から96年度には29校(85.3%)に増加した。このことから「特別定員大学」の入学者の拡大は、その制度を設ける大学の増加であったが、そこでは工学部の比率が高まってきていると言える。
 次に、「上記以外の大学」ではどうなっているのか。大学数は同期間に52校から80校に増加している。その中でも私立大学での編入学受け入れ校が19校から34枝へと増加が著しい。ただしその内訳を学部別にみると、工学部で受け入れている大学数は43校前後で推移しており、結果的に定員外の受け入れを行う大学数の増加は、工学部以外での受け入れ大学の拡大であったといえる。
 このように、近年の高専卒業者の大学編入の拡大を支えてきた「特別定員大学」と、「上記以外の大学」に着目すると、前者が工学部への進学者を特化して受け入れる場所、後者が工学部以外への多様なルートを拡大する場所になっているといえる。
 このように、進学者の増加のみならず、進学先の多様化もみられた。では次に、就職先はどのように推移してきたのであろうか。まず、『学校基本調査報告書』により、基本的な就職先の推移をみてみよう。これについては、以前、新谷他(1997)が行っているがそれと同様の方式で計算してみよう。
 図表1-6は、高専卒業後に就職した者のうち、産業別就職先で第二次産業(鉱業、建設業、製造業の合計値)に就職した者の比率と、職業別就職先で技術者になった者の比率の推移を示したものである。これによると、新谷他(1997)が示したように、1980年をボトムに第二次産業比率、及び技術者の比率が低下しているが、その後は回復していったことがわかる。もっとも、第二次産業の比率は、当初8割以上を占めていたものが現在では6割台にすぎない。一方、技術者の割合は現在でも9割前後で推移している。第二次産業の比率の減少は、産業構造の変動による部分もあるが、いずれにせよ現在でも、高専卒業者にとって主要な就職先は第二次産業で技術者であることに違いはない。
図表1-6 高専卒就職者の第二次産業、技術者比率の推移
 もっとも、これだけでは、どのような企業に就職したのかわからない。そこで、これを分析するのに適した情報を提供してくれるのがリクルートの資料である。
 まず、リクルートの『高専総覧』によって、高専卒業者の就職をめぐる状況の推移を見ておこう。図表1-7は、高専卒業者の就職動向の推移をみるため、求人倍率、就職内定率、県外就職率の推移を示したものである。これらのデータは、全国規模のものではリクルートの『高専総覧』によるものがもっとも妥当なものであると言えよう。
図表1-7 高専卒業者の就職動向の推移
 まず、求人倍率をみてみると、76年から79年までかなり低下している。これは先に示した低下の時期と一致している。近年の求人倍率に目を転じれば、1995年の求人倍率は、70年代後半に匹敵するほど低くなっていることが分かる。なお、調査サンプルとなった87年卒業者の求人倍率は12.7倍と高い水準で推移していたころである。94年卒業者の求人倍率も11.9倍とほぼ同様であるが、その前年まで20倍をこえていたことからみると、94年卒は求人倍率が急激に低下した年次であったことが分かる。
 それにもかかわらず、高専卒業者の就職内定率はかなり高くなっている。最も就職内定率が低かった75年卒は87.5%にとどまっていたが、その頃を除けば95%以上、調査対象となった87年と94年では98.5%と99.2%と、就職希望者はほとんど就職していたのである。
 また県外就職率は、87年卒では73.5%、94年卒では64.1%となっている。この割合は、高専設立当初の8割以上が県外就職となっていた頃と比べると低くなっているが、それでも県外就職者の方が主体であることには違いない。
 もっとも、どのような企業に就職したかということまでは、これだけではわからない。各高専ごとにどの企業に何人就職したかというデータ、及び高専卒業者の中で多数が就職した企業がどこであったかということは『高専総覧』の中に掲載されているが、その推移をみるには、採用する側が高専卒業者を何名就職させたのか、それがどのように推移していったのかを見た方がより具体的な姿が浮かび上がってくると思われる。
 そこで、『企業別採用状況調査』からこれを明らかにしていきたい。なお、これもリクルートが行っている調査であるが、これは主要企業に対して毎年各学歴の者を何名就職させたか尋ねたものを掲載している。そのうち、1986年まで長期的なデータが整っている企業894社について、1968年から1986年までの一覧表が作成されている。ここでは、その中に掲載されている企業について、現在までその企業に高専卒業者が毎年何名就職したのかというデータから、高専卒業者が就職した企業の性格を浮き彫りにしていきたい。
 そこでまず、高専卒業者の主要就職先が第二次産業であったことから、第二次産業に就職した者の中で『企業別採用状況調査』に掲載された企業にどの程度就職したかを見てみることにする。なお、ここに掲載されている企業が大企業の全てというわけではない。しかし、約30年間にわたって同一企業における学歴別の採用人数がわかる点を考慮すれば、その変化を見ることで大企業への就職者の割合の変化を把握することができるだろう。
 では、実際に第二次産業に就職した者のうち、これらの企業に就職した者はどの程度いたのであろうか。第二次産業就職者数全体の値は『学校基本調査報告書』の中の値を用いた。また掲載されている企業894社のうち第二次産業に該当する450社に入社した人数を算出し、先に示した第二次産業就職者全体に占めるこれらの企業への就職者数の割合を求めた。図表1-8は、その割合の推移を示したものである。(1970年はデータ未掲載)これによると、オイルショックの影響を受けた1976年にこれらの企業に就職した割合は急激に減少しているが、その年を除けばほぼ30~40%で推移していたと言える。リクルートのデータに掲載されない大企業もあることを考慮すれば、高専卒業者にとって、大企業はもっとも主要な就職先であったといえよう。それが、90年をピークに近年はこれら大企業に就職する割合が急激に低下していることがわかる。
図表1-8 リクルートデータ掲載企業就職率の推移
 では、特にどのような企業で高専卒業者の採用が減少したのであろうか。97年卒業者が採用された企業において企業規模順に企業を3分し、それぞれ規模が小さい方から規模1から規模3と名付けた。また97年卒業者が就職しなかった企業についても、それを1つのタイプに分類した。図表1-9は、それら企業規模タイプ別に、高専卒業者の採用者数の推移を示したものである。これによると、規模3、及び97年高専卒就職者なし企業において、採用者数に大きな変動があったことがうかがえる。オイルショックの影響を受けた76年の採用の急激な変化や、90年以降の大幅な採用者数の減少は、これらの企業において特に著しくあわられていることがわかる。
図表1-9 第二次産業 規模別就職者数
 規模3の企業は、平均従業員数からみる限り、最大手の企業とみなしてもよい。そうすると、高専卒業者の就職先は、これら最大手が主体となっていたのであり、また近年、そのような最大手における採用が急激に低下してきたのである。調査時点である87年卒業者はまだ最大手の採用が大多数を占めていた時期であり、一方、94年卒業者はこれら最大手の採用が急激に減少していった時期であることがここからうかがえる。

4. おわりに

 本章から導き出された知見は以下のとおりである。
 まず、第一に、高専の学校数はここ30年ほどほとんど変化が見られないのに対し、学科の種類についてはここ10年ほどで急激に増加してきたことがわかる。これまで高専の中で中心的位置にあった学科が改組によって次第に高専の学科全体に占める割合が低下しており、結果的に高専の学科の多様化が進んできたのである。
 第二に、高専卒業者の進路については、ここ10年ほどで進学者が急激に増加してきたことが指摘できる。この進学者の拡大は、これまで高専卒業者の編入を中心的に受け入れてきた技術科学大学への編入学の増加によるものではなく、「特別定員大学」や「上記以外の大学」など、それ以外の大学への編入学が増加したためである。このことから、高専卒業者の進学についても、かなり多様化が進んできたといえよう。
 また、就職についても、第二次産業、技術者が高専卒業者の中心的な就職先であることには違いないが、そのうちの大部分を占めていた最大手の企業で高専卒業者の採用が90年以降急激に減少している。この点においても、就職先が必然的に多様化せざるを得なくなる状況が生まれてきている。
 つまり、高専卒業者にとって典型的な学校像、学生像、卒業キャリアを思い描くことができなくなってきたのである。このような多様化の進展は、その後の職業キャリアにどのような影響を与えているのであろうか。また、このことが高専教育の在り方にどのような問題点を投げかけているのであろうか。いずれにせよ、既存データからみる限り、高専は現在急激な変化を遂げつつある。この変化が「職業的レリバンス」の高い教育機関の性格を如何に変容させるのか、あるいはその性格のどの部分が残っていくのか。次章以降で調査データを用いた分析を進めていくことにしよう。


(1) 図表1-1では、1968年に高専の学校数が6校増加しているが、これは1967年に設立された高専の認可が6月であったためである。

〔参考文献〕
 群馬工業高等学校専門学校実態調査委員会,1996『第4回群馬工業高等学校専門学校実態調査報告書(入学生、在校生、退学者、卒業生及び保護者に関する調査)』
 葉柳 正,1973,「高専制度一〇年の成果と展望」『教育社会学研究』第28集
 新谷康浩・猪股歳之・秋永雄一・片瀬一男,1997,「高専卒技術者のキャリア形成」『日本教育社会学会第49回大会発表要旨集録』



第II部 高専卒業者の職業キャリアと職業能力形成


第2章 高専卒業者の職業キャリアパターン

1. 本章の分析課題

 序章でもふれたように、高専は日本の教育機関の中で最も職業的レリバンスの高い教育であるといえよう。このような職業的レリバンスの高い教育の利点と問題点を探るためには、まずその教育を受けた学生がどのような職業キャリアをたどっているのかを明らかにする必要がある。
 そこで、本章では、以下の諸点を分析課題とする。まず、高専卒業者の入職パターンとその後の職業キャリアの実態を明らかにする。とくに高専卒業者については、卒業生の入職動向に着目した研究は散見できるが(近藤 1981、葉柳 1973など)、職業キャリアまで分析したものはこれまでほとんど行われてこなかったことから、その実状を把握すること自体が重要な課題である。さらに、その職業キャリアが、卒年や性別、専攻学科などによってどのような特徴があるかを示す。これにより、高専を一面的に把握するのではなく、より詳細なレベルで教育と職業の連関を明らかにすることが可能となる。そこから職業キャリアパターンを類型化し、以下の章の分析枠組みを示す。これらの課題を分析するため、以下、2節では高専卒業者の初職への参入形態について、3節では現職の勤務状況について、4節では転職経験について、5節では地域移動について考察し、それらをもとにして6節において次章以降で用いる職業キャリア類型を提示する。
 なお、本章で分析するのは、調査対象者2019名のうち、高専卒業後、就職した者1513名である。

2. 初職への参入形態の分布とその変化

(1) 就職時期

 就職先決定過程については第7章において分析するので、本節では、初職の就職先にいつ入職したのか、その初職がどのようなものであったのかを明らかにしたい。
 まず、高専卒業後、就職した人について、彼らが卒業後直ちに初職についた割合がどのくらいいたのかをみてみよう。ただし、それを検討する前に、ひとつ注意しなければいけない点がある。それは、本調査が1987年卒業者と1994年卒業者を調査対象としているが、その年次以外に卒業したと回答している者がいる点である。これは対象者の誤記によるものか、サンプリングの段階で調査対象となった前後の学年も調査対象に含まれてしまったのか定かではないが、このように回答上で卒業年次がばらついているため、卒業後すぐに就職した人がどのくらいいるのか2時点の卒業年次というようにまとめた場合、見当がつかない。そこで就職者1513名について最初に就職した年次から対象者が回答した卒業年次を引いた値を算出すると、差が0年となっていたものが96.9%を占めていた。また、就職月についても、4月就職者が83.0%を占めていたことから、高専卒業後、就職した者はほとんど全ての者が卒業後直ちに初職についていると考えてよいだろう。ちなみに、年次の差0年の回答に比べて、4月就職者の割合が小さいのは、ひとつには初任者研修などの形で企業に入っていったと考えられる3月を就職月と答えたものが5.0%を占めていたこと、もう一つは商船学科では卒業月がずれているため10月就職者が1.3%いたこと、また無回答が8.3%いたためである。また、卒年や性別による違いはほとんど見られなかった。これらの点から、高専卒業者のうち就職した者は、ほとんど全てが卒業後直ちに就職したとみなすことができよう。

(2) 初職の業種

 高専における人材養成は、学科構成がほとんど工学になっていることからもわかるように、製造業や建設業といった第二次産業従事者が典型的なものであった。事実、高専設立当初の卒業生は、第1章でも示したように、ほとんど第二次産業に就職していた。その後、高専卒業者の就職先に占める第二次産業の割合は70年代に急激に低下した。これについては、高専の大学工学部に対する相対的地位低下(近藤 1981)といった解釈もなされたが、一方でその低下は単に70年代後半の不況の影響であり、またその影響の仕方は学科によって異なっているという指摘もある(新谷他 1997)。本研究では、これらの議論の時期を対象としているわけではないが、社会情況の変化により第二次産業の比率が変化しているという知見は、評価すべきであろう。この観点を念頭において、バブル期とポストバブル期に卒業した高専卒業者の就職先業種がどのようになっているか、またそれが、性別、学科によってどう違っているのかを検討しよう。
 図表2-1は初職勤務先の業種を12の選択肢からひとつ選んでもらったものを、業種を建設業、製造業、第三次産業、公務、その他の5つにまとめ直し、それを全体および卒年別、男女別、学科系統別に示したものである(注1)。これによると、全体では、製造業が44.8%で最多となっており、建設業の15.1%をあわせた59.9%が第二次産業に従事しているといえる。このように工学教育に合致した就職先であるとみなせる第二次産業の割合が最多となっているが、この割合は、高専設立時に比べると確かに低下している。特に調査対象となった2時点を比較すると、製造業が約17%も減少している。94年卒はその減少分が建設業や第三次産業、公務、その他の産業といった業種に分散している。
図表2-1 初職(産業)
 では、このような変化は性別、学科別に異なる傾向を示しているのであろうか。まず図表2-1の性別で比較してみると、女性の方が初職で製造業に就く割合が低いことがわかる。ただし、これは高専において女性がもともと男性と異なる業種に就職する割合が大きかったというわけではない。図表2-2は男女別に初職産業を卒年別に比較したものであるが、これによると87年卒業者では性別による製造業の割合にほとんど差がなかったことがわかる。先に示した性別による差は、女性の方が94年卒の製造業の割合が87年卒に比べて低下しており、しかも卒業者がこの2時点の間に急増していることによる。すなわち、この結果は、性別による差異が、もともと初職の業種に関してはほとんど見られなかったが、近年、高専卒業生に占める女性の割合が増加し、しかもその増加が非製造業で顕著に増加してきたために生じたとみなすことができるだろう。
図表2-2 初職(産業*性別*卒年)
 次に、学科別に比較すると、また特徴的な結果があらわれている。なお、学科については自記式で回答してもらったために、回答がばらついており、そのままでは分析が困難である。そこで学科を2つのやり方でタイプわけした。ひとつは同じような教育内容をもつものを6つにまとめたもの(以下学科系統と呼ぶ)と、もう一つは歴史的経緯から高専設立当初からあった学科とそれ以降新たにつくられた学科に分けたもの(以下学科タイプと呼ぶ)である。前者については教育内容が同じような学科においては就職先についても同じような傾向が見られるのではないかということから学科を類型化した。また後者については、新たにつくられた学科は社会的ニーズの変化などを受けて新たにつくられたことから、伝統的な高専卒業者の就職先とは異なる労働市場に参入している可能性があるために、伝統学科と非伝統学科に区分した。
 図表2-1に戻って、学科系統別に初職の業種構成をみてみると、土木・建築系、航空・商船系、情報系で製造業の比率が低くなっている。もっとも土木・建築系の場合、建設業の方がより教育内容に合致した業種であることから製造業の比率が結果として低くなっているのである。当初あまり高専卒業生が就職しなかった第三次産業への就職者が多いのは、上述の航空・商船系、情報系、及び電気・電子系である。また、図表には示していないが、これを卒年で比較すると、就職者に占める初職製造業の比率はどの学科系統でも減少しているが、特に情報系で著しい減少を示している。すなわち、87年卒では60%〔N=25〕であったのが、94年卒では30%〔N=100〕に低下している。
 これは図表2-3の学科タイプ別初職の業種構成の変化で見るとその変化の違いがより顕著である。情報系の学科系統は、新設されたものや従来の学科の改組によってできてきたものであるが、このような新しく設置された非伝統学科と従来から高専に設置されていた伝統学科では、近年の初職の産業構成の変動パターンに大きな違いが見られるのである。すなわち、伝統学科においても非伝統学科においても製造業の比率が低下しているが、その低下の度合いは非伝統学科で著しいことがわかる。これは非伝統学科が高専卒業者の就職先における製造業減少の受け皿となっており、結果的に伝統学科の製造業減少を低く抑えているととらえることができるのではないだろうか。しかも、非伝統学科は87年卒ではむしろ伝統学科以上に製造業の比率が高かったことから、非伝統学科も改組や新設などによって学科ができた当初から製造業以外の就職者が多かったというわけではなく、伝統学科並みに、あるいはそれ以上に製造業への就職者を輩出しており、学科としては非伝統的であっても人材養成という点では伝統的な人材養成を行ってきたと言える。それが近年、非伝統学科が非製造業への就職者の増加を担う形で人材養成の非伝統化がすすんできたといえるのではないだろうか。これは学科によって、特に伝統学科と非伝統学科によって養成される典型的な人材が分化しつつあり、そのことが高専の人材養成の在り方に多様性をもたらしているのではないだろうか。
図表2-3 初職(産業*学科タイプ*卒年)

(3) 初職の企業規模

 では、次に初職の企業規模について考察しておこう。高専卒業生の就職先の企業規模が近年小さくなってきているという指摘がある(国立高専協会・厚生補導委員会 1996)。だが、この研究については、高専卒業生が多数就職している企業の規模について分析しているため、高専卒業生の就職先全体を網羅した上での指摘であるとは言い難い。さらに、前節の分析から明らかになったように、企業規模についても学科の差異によって変化のパターンが異なっていることも十分考えられる。
 企業規模については、前者の常用雇用者数について、9つの選択肢から選んでもらった。図表2-4はその結果である。調査対象全体で見ると、「5000人以上」が最多で28.8%となっている。もっとも、この割合も、高専設立当初のほとんどが大企業に就職していたという値と比較すれば低いということもできる。
図表2-4 初職(企業規模)
 ここでも、以下の分析枠組みをつくるために、企業規模の類型化をする必要がある。そこで、企業規模についての回答をほぼ3等分できるようにして、それを小企業、中企業、大企業としてまとめた(注2)。以下の分析はこの3等分の規模構成を卒年別、男女別に比較していく。
 まず、図表2-5は初職の企業規模を卒年別、男女別に示したものである。まず卒年別にみると、94年卒では就職者に占める小企業の割合が増加し、中企業、大企業の割合が減少している。このことから近年、たしかに高専卒業者の就職先の小規模化が進んでいるといえる。では、就職先の小規模化は高専卒業生全体にあらわれているのであろうか、それとも一部にあらわれているのであろうか。
図表2-5 初職(企業規模)
 まず、性別による違いを比較してみよう。図表2-5で初職の企業規模を男女別に比較すると、女性の方が初職就職先に占める小企業の比率が高く大企業比率が低いことがわかる。ただし、これを卒年別に比較すると特徴的な結果が示されている。図表2-6は初職企業規模の構成の変化を男女別に示したものである。これによると、いずれの卒年でも、女性の方が小企業に就職する割合が高いのであるが、その割合が男性では増加しているのに対して女性ではむしろ減少しているのである。これは、高専卒の就職先がもともと男性では大企業、女性では小企業が多かったのが、近年、男性の就職先に占める大中企業の比率が低下し小企業が増加してきたのに対して、女性はもともと小企業の比率が高かったことから変化がほとんど見られないということになるのではないだろうか。
図表2-6 初職(規模*性別*卒年)
 また、図表には示さないが、企業規模について、学科タイプによる違いは見られず、伝統学科、非伝統学科ともに小企業の比率の増加がみられた。

(4) 初職の職場の状況

<1> 勤務形態
 ここまでみてきた業種や企業規模は、高専卒業者にとって、就職先で担当する仕事内容を規定する大きな要因であるとはいえ、それだけで全てきまっているわけではないことも事実である。そこで、より具体的にどのような仕事にたずさわっているのかというレベルまで掘り下げた研究が必要となるだろう。業種や企業規模では2時点間でかなり変化がみられたが、この間に仕事内容自体も変化しているのであろうか。
 図表2-7は初職の勤務形態を卒年別に示したものである。これによると87年卒で92.7%、94年卒で88.3%が一般社員となっている。一見、一般社員の割合が減少したかのような印象もあるが、それは94年卒で無回答の割合が大きいためであり、パートなどの非正規雇用に従事する者は高専卒業者の初職についてはほとんどいない。また図示はしないが性別による違いもほとんど見られなかった。このことから、初職については、ほとんどすべてが一般社員として就職していると言える。
図表2-7 初職(勤務形態)
<2> 勤務場所
 次に勤務場所についてみてみよう。図表2-8は、初職の勤務場所を卒年別、男女別、学科系統別に示したものである。これによると、就職者全体では、初職の勤務場所として最も多かったのが工場・現場の36.0%であり、次いで本社・本庁(27.2%)、支社・支所・営業所(19.6%)となっていた。卒年による違いは有意ではなかった。次に男女別では、女性のほうが本社・本庁の比率が高く、工場・現場の比率が低くなっている。これは、技術者になるとしても、性別によって配置される勤務場所が異なっているためであろうか。また、学科によっても、初職の勤務場所に大きな違いがあることがわかる。すなわち、情報系や土木・建築系、航空・商船系といった学科出身者で初職の勤務場所が工場・現場という割合が低くなっている。このように、卒年による違いが見られず、その一方で、性別や学科別で主要勤務場所がある程度決まっているかのようである。勤務場所については、社会状況の変化にかかわらず、性別や学科系統によってあらかじめ典型的な勤務場所があり、それが大きく変化することはないということであろう。
図表2-8 初職(勤務場所)
 なお、勤務場所で回答が多かった工場・現場と、本社・本庁、および支社・支所・営業所の割合を、企業規模別に比較すると、小企業では本社・本庁の割合が大きいのに対して、大企業では支社・支所・営業所や工場・現場の割合が多くなっている(図表2-9参照)。このことから、勤務場所は企業規模によって異なっていると言える。
図表2-9 初職(勤務場所*規模)
 では彼らは、具体的にどのような部門に配属されたのであろうか。図表2-10は初職の配属部門を卒年別、男女別、学科系統別に示している。就職者全体では、最も多いのが製造・工事・現場部門の36.5%であり、それに次いで開発・設計部門の30.0%となっている。高専卒業者の配属部門は、これら2つの部門が中心となっていることがわかるが、その傾向は近年少し変化しつつあるようである。卒年別に比較してみると、94年卒で開発・設計部門の割合が7%程度減少しており、その結果、高専卒業者の配属部門における製造・工事・現場部門のウェイトが大きくなってきているのである。次に、男女別では、女性が男性に比べて製造・工事・現場部門の割合が低くなっている。これは図表2-8に示したように、性別による配属部門の差異があるためであろうか。また、学科系統別では、いずれの学科系統でも製造・工事・現場部門が最多となっている。ここからも、高専卒業者が主として現場の人材を養成していることが伺える。もっとも現場と並んで開発設計部門もほぼそれに匹敵する割合を占めているが、科学系では製造・工事・現場部門に次いで研究部門が2番目に多くなっている。これは、このデータだけで即断するのは問題があろうが、高専卒業者が担当する部門が学科系統、ひいてはその対応した業種によって異なっているためではないだろうか。
図表2-10 初職(配属部門)

(5) 初職の職業

 では、実際の仕事についてみてみよう。当初の高専制度設立の目的が中竪技術者の養成であったことからもわかるように、高専卒業者にとって技術職は今でも典型的な職業である。では、実際に高専卒業後すぐに技術職に就いた者はどのくらいいたのであろうか。第1章でも示したように、70年代後半から80年代前半の不況期には、高専卒業者の技術者就業率の低下が見られたが(近藤 1981、新谷他 1997)、それと同様の傾向が近年の不況においても見られるのであろうか。
 なお、以下の分析に用いる職業区分は、就職者の初職のうち、主な仕事ひとつを28の選択肢のなかから選んでもらったものである。その選択肢については、あらかじめ技術職、技能職、専門職、事務職、営業・販売職、その他にプレコードしており、それをもとに技術職の比率を分析した。
 図表2-11は、初職の職業を卒年別、男女別、学科系統別に示している。まず、就職者全体では、技術職が7割近くを占めており、それに次いで技能職が1割弱となっている。卒年別では、94年卒で技術職の割合が若干減少している。次に男女別では、男性に比べて女性の技能従事者が少ないことがわかる。また学科系統別にみてみると、航空・商船系で他の学科系統よりも技術職の割合が少ないことがわかる(注3)。ここからわかるとおり、性別や学科系統によって技術職に就く比率が異なっている。では、卒年別で示した技術職の減少がどこで見られたのであろうか。学科系統別にこの比率の変化をみてみよう。図表2-12は初職職業の変化を学科系統別に示している。これによると、情報系で技術職の割合が著しく減少している。図表2-3の学科タイプ別の業種構成の変化においても同様の変化のパターンが見られたが、初職の職業についても、情報系の学科において二時点間で初職に著しい変化が見られることがここからもうかがえた。すなわち、技術職への就業比率が情報系をはじめとする非伝統学科で著しく減少しているのである。
図表2-11 初職(職業)
図表2-12 初職(職業*学科系統*卒年)
図表2-3 初職(産業*学科タイプ*卒年)
 では、これまで分析枠組みとして用いてきた職業と企業規模、産業を組み合わせて、初職の構成の変化を見てみよう。なお、職業については、これ以降、技術職と非技術職に2分したものを用いる。1つの枠組みは、企業規模と職業を組み合わせたもの(以下職規模とよぶ)、もうひとつは業種と職業を組み合わせたもの(以下産職とよぶ)である。
 図表2-13は、初職の職規模別構成の変化を示している。これによると、大中企業技術職が減少し、小企業技術職が増加している。図表2-11にも示したように非技術職が若干増加しているが、それ以上に著しい変化をしているのが、初職技術職就職先企業の小規模化であったといえよう。
図表2-13 初職(職規模*卒年)
 次に、図表2-14は、初職の産職別構成の変化を示している。これによると、二次産業技術職が著しい減少をしている。それに対して二次産業非技術職や三次産業技術職の割合はあまり変化していない。これらのことから高専卒就職者に占める二次産業、及び技術職の減少は、高専卒業者にとって典型的な職業であった二次産業技術職の急激な減少が見られたためであり、その周縁部である二次産業非技術職や三次産業技術職では減少していないのである。これらのことから、高専卒業者の初職については、職規模では技術職における小規模化、また産職では伝統的な二次産業技術職からそれ以外へと多様化が進んできたといえよう。
図表2-14 初職(産職*卒年)
 もっとも、このような変化は、高専全体に均一に生じたわけではない。図表2-15は、初職構成の変化を学科タイプ別に示している。これによると、たしかに、いずれの学科タイプにおいても、二次産業技術職の割合が低下しているが、その度合いが大きいのは非伝統学科である。これは非伝統学科がこの間に新しい就職先を積極的に開拓し、高専の典型的就職先であった二次産業技術職以外に従事するようになった結果ではないだろうか。見方を変えれば、高専卒業者に求められる二次産業技術職からの転換を非伝統学科が積極的に行うことで、伝統学科における二次産業技術職の減少が緩和されたということもできるだろう。
図表2-15 初職(産職*学科タイプ・卒年)

3. 現職の勤務状況

 では、次に現職について見ていこう。ここでは、就職者のうち現在も働いている人について検討していく。なお、本章の分析対象者のうち現在も働いている者は、就職者の86.6%である。このうち、卒年別では、87年卒の88.7%、94年卒の84.8%が現在も働いている。また男女別では男性の88.7%、女性の71.8%が現在も働いている。もっとも、87年卒の女性では現在も働いている割合が39.0%に低下しているが、これは現在主に家事をしている人が48.8%いるからである。
 図表2-16は現職の勤務形態を卒年別、男女別に示したものである。これによると、94年卒では84.8%が一般社員、職員である。一方、87年卒では、一般社員、職員は62.1%に減少し、係長、主任レベルの役職に就くものが22.2%となる。ただし役職に就くのはほとんど男性である。男女別にみてみると、女性で現在係長、主任レベルになっている者は1.1%に過ぎず、男性の12.1%とは対照的である。
図表2-16 現職(勤務形態)
 次に、図表2-17は現職の勤務場所を卒年別、男女別に比較したものである。ここで、まず就職者全体をみてみると、現職で主要な勤務場所となっているのも、図表2-8で示した初職と同様に本社・本庁と工場・現場である。これを勤続年数が長く、配置転換が行われている割合が高いと考えられる87年卒について、初職と現職の勤務場所の構成比を比較してみると、初職に対して現職では本社・本庁が増加し、工場・現場が減少している。このことから、工場・現場に配置された者の一部が本社など別の場所に移っていることが予想できる。次に、性別でも、初職と同様の傾向がみられる。すなわち、現職においても、男性が工場・現場に多く配置されており、女性が本社・本庁で多くなっている。
図表2-17 現職(勤務場所)
図表2-8 初職(勤務場所)
 この傾向は配属部門においても同様であった。図表2-18は現職の配属部門を卒年別に示したものである。配属部門についても図表2-10の初職と同様に開発・設計と製造・工事・現場部門が主体となっていることがわかる。これを先ほどと同様に87年卒について初職と現職の構成比の変化をみると、初職に比べて現職で製造・工事・現場部門が減少している。このことから、卒業後10年経過した時点で、現場で働いている割合が減少しているといえる。また、男女別でも、現職と初職には同様の傾向が見られた。すなわち、女性は、製造・工事・現場部門の割合が現職においても少なくなっているのである。
図表2-18 現職(配属部門)
図表2-10 初職(配属部門)
 では、つぎに現職の職業についてみてみよう。図表2-19は現職の職業を卒年別に示したものである。これによると87年卒では68.1%が技術職である。これは図表2-11の初職に比べると技術職の割合が4.7%減少している。このことから、卒業後10年たった時点でまだ大多数は技術者として就業しているが、その割合は現職の方が、若干減少しているといえる。これを性別で見てみると、この減少が著しかったのは、女性であったことがわかる。現職ではその減少分が、事務職や専門職などに転換したといえよう。
図表2-19 現職(職業)
図表2-11 初職(職業)

4. 転職経験

(1) 転職率の変化

 この節では、転職について考察していく。高専卒業後就職した者は、どの程度同一企業に定着し、あるいは転職しているのであろうか(これ以降、転職と言った場合、離職後再就職しなかったものも含む)。これについては、87年卒が就職後約10年、94年卒が就職後約3年を経過しており、同一に扱うには困難が伴う。そこでこれ以降の分析は基本的に卒年別に結果を示していく。
 まず離職率をみてみよう。高専卒業後就職した者のうち、離職経験者は94年卒、つまり就職後3年で21.1%、87年卒、つまり就職後10年で38.9%が離職している。この割合は他の学歴と比べると低い値である。労働省が1998年5月に行った学歴別の就職後3年目までの離職率の調査によると、大卒で27.9%、短大等卒37.5%、高卒43.2%となっている。もっとも、理工系に限定すれば、大卒者の方が離職率が低いことから、大卒理工系よりは離職率が高いといえる。
 では高専卒業者のうちどのような人が転職しているのであろうか。図表2-20は初職の職規模別に転職率を示している。これによると、小企業ほど転職率が高く、小企業技術職では94年卒で32%が、87年卒では60%もの人が転職している。これに対し、大企業技術職に就職した者は、転職率が94年卒では12.8%であり、87年卒でも25.1%にすぎない。なお、非技術職は中企業技術職と同程度の転職率となっている。では、技術職と非技術職では、産業によって転職率に違いがあるのだろうか。図表2-21は初職の産職別に転職率を示している。これによると、卒業後10年を経た87年卒業者については、高専卒業者の典型的就職先であった第二次産業技術職において転職率が若干低くなっているが、94年卒業者については産識別にほとんど違いがみられない。図表2-20で示した企業規模別の転職率に比べれば、産識別ではほとんど転職率に差がないといってもよいだろう。このことから、転職率は企業規模によって大きく異なり、小企業ほど高い転職率となっていることがわかる。
図表2-20 転職率(初職規模*卒年)
図表2-21 転職率(初職産職*卒年)

(2) 転職理由

 では転職経験者は、なぜ転職したのであろうか。転職理由についてみてみよう。転職理由は、16の選択肢についてあてはまるものを全てあげてもらった。なお、これ以降の分析の母数として用いるのは、実際に転職した者420名である。図表2-22は転職理由を回答数が多かった順に配置し、それを初職の職規模別に示したものである。全体的に転職理由として最も多くあげられているのが、「より魅力のある勤務先、仕事が他にあった」というものであり全体で4割近くを占めている。この割合が給与や労働時間といった労働条件面を上回っていることからもわかるように、高専卒の転職経験者にとって主要な転職理由となっているのは仕事内容であったと考えられる。また職規模別では、大企業技術職で他に比べて「結婚・出産・介護など家事都合」という理由が多くなっており、やむを得ない転職が多くなっているのに対して、非技術職では「専攻や資格がいかせない」などが他を上回っており、職規模によって転職理由に明らかに差異がみられる。
図表2-22 転職理由(初職規模別)
 次に図表2-23は転職理由を卒年別に示したものである。ただし、87年卒は転職した時期が94年卒よりも長期にわたっているため、それを一括することには無理があると考えられる。すなわち、87年卒のうち、早期に離職した者については、早期離職としての特徴と、バブル期の離職という経済状況時の離職という特徴があるのに対して、長期間勤続した後に離職した者については、長期勤続後の離職という特徴とバブル崩壊後の離職という特徴を持ち合わせている。そこで、これを区分するために、87年卒のうちで、92年以前に離職したものを「87年早期離職」、93年以降に離職したものを「87年長期離職」、として区分し、これを「94年離職」と比較した。これによって、「87年早期離職」と「94年離職」との比較は、卒業年次による早期離職者の比較、すなわちバブル期とポストバブル期の同一年齢層の早期離職の比較であるのに対して、「87年早期離職」と「87年長期離職」の比較は、同一世代の離職時期の違いによる比較とみなせるのである。これによると、「87年早期離職」は「94年離職」よりも「より魅力のある勤務先、仕事が他にあった」などの積極的理由が大きく上回っており、家事都合などのやむをえざる理由なども同様の傾向を示している。それに対して、「94年離職」者では、「87年早期離職」者よりも「仕事以外のやりたいことをするため」など仕事以外の側面を重視する人が増えているのみならず、「仕事がつまらない」や「職場の人間関係の問題」などの不満もこれを上回っている。また「87年早期離職」と「87年長期離職」を比較すると、長期離職の方が「会社の経営方針の問題」など会社におけるやむをえざる事情による転職理由で大きく上回っている。このようにみてみると、転職理由は明らかに転職タイプによって異なっていることがわかる。「87年早期離職」はいわゆるバブル期の転職であり、積極的な理由が多くなっている。一方、ポストバブル期の転職では、やむをえざる転職や会社・仕事に対する不満による転職など、消極的な転職が多くなっていると言えよう。また、ポストバブル期の転職についてもう一つ注目すべきは、「仕事以外にやりたいことをするため」という仕事以外の価値を重視する人が多くなっている点である。これは、教育と職業が特に密接に関連した高専教育を享受した者にとっても、仕事以外の価値観が大きな価値を持ちつつあるということであろうか。
図表2-23 転職理由(転職タイプ別)

(3) 転職結果

 次に、転職の結果どうなったかをみてみよう。図表2-24は、高専卒業後就職した者のうちで転職を経験した者全体について、転職後の変化を示したものである。これは、図表に示した14項目について、それぞれ前の勤務先と比べてどのように変化したかを3段階で評価してもらった。図表2-24の値は、良くなったという回答を1点、変わらないという回答を0点、悪くなったという回答を-1点として、その平均を算出したものである。これによると、企業規模や給与などの労働条件は低下しても、仕事の質が向上しているという回答が多くなっている。これを初職の企業規模別に比較してみると、「規模」や「安定性」「給与」の変化については規模が大きいほど転職の結果が悪くなっており、一方、小企業では転職の結果これらが良くなったという回答が多くなっている(図表2-25参照)。なお、その他の項目については初職タイプによる有意な違いがみられなかった。
図表2-24 転職の結果
図表2-25 転職の結果(規模別の分布)
 もう一点指摘できるのは、初職が非技術職だった人にとって、転職が技術職への移動機会の拡大としての有効性をもっていた点である。図表2-26は、転職経験の有無別に、初職と現職の技術職の比率を比較したものである。ここで初職から現職への職種の流動をみてみると、転職経験者は、定着者と比べて技術職から非技術職への流出、および非技術職から技術職への流入ともに多くなっている。このように、初職が技術職であれ、非技術職であれ、転職は別の職種に就く機会を高めていることがわかる。このことは、初職で非技術職に就いた人にとっては、技術職に就こうとした場合、同一企業で定着しつづけるより、転職した方がより技術職に就きやすいといえよう。
図表2-26 定着・転職別、技術職からの流出と技術職への流入
 これらのことから、彼らにとって転職は教育内容に合致したやりがいのある仕事に移動するための積極的な意味合いを持っていることがわかる。

5. 地域移動

 高専への進学、また高専卒業後の就職は、必然的に学生の地域移動を引き起こす。これは高専の人材養成が、地域とどの程度結びついているのかを考えていく上で見落とすことができない。そこでここでは、高専への進学、及び高専卒業後の就職の二時点における地域移動を分析する。なお、ここでは、地域移動といった場合、それは都道府県間(内)の移動である。
 高専への進学の際の地域移動については、就職者1513名についてみると、79.1%が同一県内からの進学であり、同一ブロック(注4)まで含めると92.3%が同一ブロックからの進学となっている。これらのことから、高専は高校に比べるとローカリティが低いが、大学に比べるとローカルな存在であるといえよう。
 次に、就職時における地域移動をみてみよう。初めて就職した県については、高専所在地と同一県が就職者全体のうち35.6%、同一ブロックヘの就職者が51.6%となっている。ところで、企業の本社所在地都道府県と初職の都道府県が53%しか一致していないことから、半数近くは本社所在地以外の都道府県で従業していたことがわかる。初職の本社所在地は東京都35.7%、大阪府10.0%となっており約半数はこのような大都市に本社を持つ企業であるといえる。
 このことから、就職時における地域移動はかなり全国的なものとローカルなものに二分されていることがわかる。就職先についても、全国型の就職先一辺倒からローカルと全国の二極化へと変化しているのである。

6. キャリア類型

 では、ここまでの分析を踏まえ、次章以降で用いるキャリア類型をつくっていこう。これまで見てきたように、特に職種(技術職と非技術職)と企業規模によって職業類型に大きな差異が見られた。また、転職経験によっても大きく差異がみられた。このことからこの3つを中心に用いてキャリア類型をつくる。
 ただし初職と現職だけでは、その間に職種の移動が含まれている場合もあり、厳密ではない。そこで職種の経験についてはこれまで経験した全ての仕事の結果を用いて、これまで技術職のみを経験した者と技術職以外を経験した者に分けて、キャリア類型に用いることにした。
 その結果、図表2-27に示したように、ひとつは転職経験と非技術職経験の有無を卒年別に分けた8類型、もうひとつは図表2-28に示した勤務先規模と非技術経験を卒年別に分けた12類型を以下で用いることにしよう。
図表2-27 キャリア類型1(卒年*転職経験*非技術経験)の分布
図表2-28 キャリア類型2(卒年*企業規模*非技術経験)の分布

7. まとめ

 本章の主な知見は、以下のとおりである。
 まず、第一に初職の変化である。高専は、二次産業大企業技術職の人材を典型的に養成していたが、近年の2時点で比較した場合、その割合は明らかに減少しており、周辺部の職業が増加している。ただし、その減少は高専全体で均一に生じたわけではなく、学科タイプによって違いがみられる。すなわち、著しく変化しているのは情報系をはじめとして新しく設置された非伝統学科である。
 第二に、現職が初職に比べて非現場の割合が高くなっていることである。これについては、就職後の能力形成のところでもより詳細に検討するが、高専で身につけたものがどの程度長期的に有効であるかを考察する手がかりとなるであろう。
 第三に、転職については、かなり積極的な意味を持っているということがいえる。
 第四に、地域移動については、ローカルな学生を全国に供給するという役割から、全国とローカルという二つの次元の人材養成を担うようになってきているといえる。


(1) 業種のまとめ方は以下のとおりである。
 建設業:建設
 製造業:電機・機械製造業 化学・鉄鋼等素材製造業 食品・繊維等消費材製造業
 第三次産業:卸売・小売業、飲食店 金融・保険業 運輸・通信・電気・ガス ソフトウェア・情報処理 教育 その他のサービス業
 公務:公務
 その他:その他
(2) 小企業は499人以下、中企業は500人~4999人以下、大企業は5000人以上、及び国家公務、地方自治体の合計値である。これにより小企業379名(25.0%)、中企業512名(33.9%)、大企業480名(31.8%)となりほぼ同じ割合に分割できた。
(3) 航空・商船系ではその他が25.9%となっているが、これは海技従事者などその学科に対応した職種が選択肢に入っていなかったためである。
(4) 地域ブロックは以下のようにまとめた。
 北海道、東北、関東、中部(三重県を含む)、近畿、中国、四国、九州

〔参考文献〕
 国立高専協会厚生補導委員会,1996「高専卒業者の就職状況について」
 近藤博之,1981,「高等専門学校の展開と技術者教育の今日的課題」『大阪大学教育社会学・教育計画論研究集録』第2号
 新谷康浩・猪股歳之・秋永雄一・片瀬一男,1997「高専卒技術者のキャリア形成」『日本教育社会学会第49回大会発表要旨集録』
 葉柳 正,1973,「高専制度一〇年の成果と展望」『教育社会学研究』第28集


第3章 職業能力開発における高専の役割

1. はじめに

 高専教育における職業的レリバンスを問題にする際に、高専教育と職務内容とがどの程度関連性があるのか、またその際に継続教育訓練とはどのような関連があるのか、それら3者の関係の中で、高専教育の位置づけが明らかになると思われる。それによって、高専教育が技術者養成における教育訓練の中でどこを担っているのか、あるいはどこを担うことが、今後可能であるのかを示すことができるだろう。
 そこで本章での課題は以下の5点である。まず、第一に、高専教育と初職、現職において必要とされる専門分野との関連を明らかにする。第二に、高専卒業者が就職後にどの程度継続教育訓練を受けることが可能であるかを探るために、企業における継続教育訓練の方針を見ていく。第三に、職業キャリアタイプ別に、高専や職場の研修などを含めた継続教育訓練機関がどの程度利用されているのかをみることで、高専が卒業者に対してどの程度継続教育訓練を行っているのか、その際にどの部分を担っているのかという実態を明らかにする。第四に、今後継続教育訓練を行おうとした場合に高専がどの部分を担うことが可能であるかを見るために、高専、大学・大学院をどの程度利用したのか、またどの程度利用しようとしているのかという意見をみることで、高専の継続教育訓練機関としての可能性を探る。第五に、能力形成のひとつの手段である資格がどの程度利用されているかをみることで、資格が継続教育訓練としてどの程度有効性をもっているのかを探る。
 これらの課題を検討するため、以下2節では初職と現職における専門性と高専教育との関連度を、3節では企業における継続教育訓練の方針を、4節では職業キャリアと継続教育訓練の利用の実態を、5節では職業キャリアと継続教育訓練の可能性と資格の有効性を検討していく。

2. 初職と現職における専門性と高専教育との関連度

 高専のカリキュラムにおいて、専門教育が圧倒的な比重を占めている以上、卒業後の職業生活においてその専門がどの程度生かされているかが高専教育をはかる上でもっとも重要であるといえよう。そこでまず、初職と現職について、高専で身につけた専門教育がどの程度生かされているかをみてみよう。なお、本章でも分析対象者は高専卒業後に就職した1513名である。
 まず、初職で配属された仕事に必要な専門分野が、どの程度高専での専攻と合致していたのかをみてみよう。図表3-1は卒年別に初職の仕事と専門分野の関連度を示している。これによると、全体では最初に配属された仕事に必要な専門分野が、「高専での専攻を含む複合的な専門分野」であると回答した者が最も多く、半数近くを占めている。さらに「高専での専攻と対応した専門分野」が必要と回答した者を含めて約6割が、直接的、間接的に高専の専攻と結びついた初職に従事していることになる。だが言い換えれば、4割が「高専での専攻と異なる専門分野」の仕事、あるいは「特に専門分野を必要としない」仕事に従事しているのである。
図表3-1 卒年別 初職の仕事と専門分野の関連度
 ではどのような人たちが高専での専攻を生かしているのであろうか。94年卒業者では「高専での専攻と対応した専門分野」が必要と回答した者の割合が若干減少し、「特に専門分野を必要としない」と回答した者の割合が若干増加している。このことから近年高専卒業者の専攻を生かせる比率が若干低下してきたことが伺える。
 次に、職規模(この変数の定義は第2章2節5項を参照のこと)別に専門を生かせる割合を比較してみよう。図表3-2は初職の卒年・職規模別に仕事と専門分野との関連度を比較したものである。これによると、技術職では「高専での専攻を含む複合的な専門分野」が必要であると回答した者が多くなっているのに対して、非技術職では「特に専門分野を必要としない」という回答が多くなっている。このことから、非技術職では専門を生かせない割合が高くなっていることがわかる。また、卒年別に比較すると、小企業技術職と非技術職では「高専での専攻と対応した専門分野」と「高専での専攻を含む複合的な専門分野」の合計値、すなわち直接的、間接的に高専での専攻を生かしている割合が94年卒業者で減少している。一方、大中規模企業の技術職では、その比率が増加している。このことから、高専卒業者にとって典型的な就職先であった大中規模企業の技術職では、現在でも高専での専攻が直接的・間接的に生かされ続けているのに対し、近年就職者の比率が増加してきた小企業技術職や非技術職では、あまり高専での専攻が生かされていないといえよう。
図表3-2 卒年・職規模別 初職の仕事と専門分野の関連度
 また、図示はしないが、初職を現職と比べると、現職の方が技術職で「高専での専攻を含む複合的な専門分野」の割合が上回っていることから、高専卒業者は長期的に高専での専攻と関連した専門分野を必要とする仕事をしているといえるだろう。
 次に、図表3-3は、初職の仕事と専門分野との関連度を産職別(この変数の定義は第2章第2節5項を参照のこと)に示したものであるが、これによると、第二次産業の方が第三次産業より高専での専攻と関連した専門分野が必要とされているといえる。とはいえ非技術職では二次産業と三次産業の違いがさほど大きくなく、両者ともに高専での専攻に関連した専門分野があまり求められていないといえよう。これは、専門分野と関連度が高くなるのが、製造業や建設業といった産業によってではなく、むしろ技術職に就いているかどうかという職業によっているためであろう。言い換えれば、第二次産業という工学を専攻した者にとって関連性が強い産業で働いている場合でも、非技術職に従事した場合にはあまり高専で身につけた専門を生かすことができないということができよう。
図表3-3 産職別 初職の仕事と専門分野の関連度
 では、次にどの学科の人が専門を生かすことができたのかをみてみよう。図表3-4は初職の仕事と専門との関連度を学科タイプ別(この変数の定義は第2章2節2項を参照のこと)に示している。これによると87年卒業者では学科タイプによる違いがほとんど見られなかったのに対し、94年卒業者では非伝統学科において高専で学んだ専門教育を生かせる割合が低下している。これは、伝統学科卒業者が現在でもその学科で身につけた専門性を生かせる職に就く割合が多いのに対し、非伝統学科を卒業した人が高専の専攻とは異なる新しい分野の職業への転換を担わされるようになってきているという学科間の棲み分けが、この点においてもあらわれているためではないだろうか。
図表3-4 卒年・学科タイプ別 初職の仕事と専門分野の関連度
 では、視点を変えて、転職者と定着者を比較して、どちらが初職で専門を生かしていたのかをみてみよう。例えば「専門を生かせないから転職した」というように、このデータから専門を生かせないことと転職経験を因果関係で結びつけることは難しいが、ここから転職理由という意識レベルと違って、実際にどの程度生かしていたのかというレベルから考察することができる。図表3-5は初職のキャリア類型別に仕事と専門分野の関連度を示している。これによると、卒年によって転職経験の有無による差異が逆の結果になっている。すなわち、87年卒業者では転職経験者の方が初職において専門を生かしているのに対して、94年卒業者では転職経験者の方が専門を生かしていないのである。
図表3-5 キャリア類型別 初職の仕事と専門分野の関連度
 このように、卒年によって逆の結果が出たのはなぜだろうか。仮説として考えられるのは、第2章第4節で示した卒年による違い、すなわち世代や転職時期の違いによって転職の意味が異なっているためではないかということである。それを検討するために、転職の結果、すなわち現職で専門がどの程度生かされているかを見てみよう。現職について転職経験の有無別に専門を生かせる割合を比較してみると、初職よりも顕著な結果がみられる。図表3-6は現職のキャリア類型別に仕事と専門分野との関連度を示している。これによると、87年卒業者では職業経験によって違ったパターンがみられる。すなわち、技術のみ経験者では転職者の方が専門を生かしているのに対し、非技術経験者では定着者の方が専門を生かしているのである。また94年卒業者では、非技術職の経験の有無にかかわらず、転職経験者の方が専門を生かせない割合が大きい。これは、転職者の中でも87年卒業者で技術のみ経験者の場合は、専門を生かすための積極的な転職であったのに対して、94年卒業者では転職によって専門を生かせなくなっている消極的な転職であったといえよう。だが87年卒業者の中でも非技術職経験者の場合は転職者の方が専門を生かしていないということから考えてみると、必ずしも87年卒業者が全て専門を生かすための積極的な転職であったということはできないだろう。
図表3-6 職業キャリア類型別 現職の仕事と専門分野の関連度
 では、これは、卒年の違いというより、転職の質の違い、すなわち転職タイプ(この変数の定義は第2章4節を参照のこと)によって専門の生かされ方が異なるためではないだろうか。転職タイプ別にどの程度専門が生かされているかを比較してみよう。図表3-7は現職の仕事と専門分野の関連度を、転職者について転職タイプ別に示したものである。これによると卒年別では明らかに87年卒業者の方が専門を生かしているといえる。ここからみる限り、転職タイプによる違いはほとんどみられず、卒年による違いがより大きいといえよう。
図表3-7 転職タイプ別 現職の仕事と専門分野の関連度

3. 企業における継続教育訓練の方針

 高専卒業者が技術者として就職する場合でも、高専で身につけた知識・技術だけで通用するわけではない。高専での教育訓練だけでは不十分であることから、なんからの形で卒業後にも継続教育訓練が必要になってくる。その場合、企業内における教育訓練も1つの手段といえる。ではまず、就職先企業においていかなる教育訓練が行われていたのかをみてみよう。
 図表3-8は初職の職場における高専卒業者の育成方針を職規模別に示したものである。これは育成の方針について調査票の中に示した9項目についてあてはまるものを複数回答してもらった結果の中で、職規模別に有意な差のある7項目について図示している。これによると、ほぼどの項目でも、大企業技術職で育成に熱心であることがわかる。すなわち、初職の職場では「日常業務の中で幅広い経験が積めるよう配慮されていた」「配属後に研修の機会が多く用意されていた」「初任者研修に力を入れていた」などの項目にあてはまるという回答の割合が、大企業技術職で他を大きく上回っているのである。これに対して、非技術職や小企業技術職では、「特に育成についての方針はなかった」という割合が他を上回っている点から、そこでは高専卒業者に対する育成があまり熱心に行われていないといえよう。このことから、大企業技術職という、これまで高専卒業者にとって典型的であった就職先では、現在でも高専卒業者の能力を長期的に活用するために積極的に継続教育訓練の機会が設けられているのに対して、近年高専卒業者の就職が増加してきた小企業技術職や非技術職では、高専卒業者の能力を長期的に活用する機会をあまり積極的に提供していないことがわかる。
図表3-8 職規模別 初職における高専卒の育成方針
 ではこのような職場における育成方針は卒年によって違いが見られるのであろうか。これらの項目の中で、卒年別に有意な差異があったのは、「初任者研修に力をいれていた」や「日常業務の中で専門性が身につくよう配慮されていた」の項目であったが、両者ともに94年卒業者であてはまるという回答が減少している。この点から企業における教育訓練の方針が一部では近年消極的になってきているといえるだろう。図表3-9はその変化がどこで見られたかを明らかにするために、上記の2項目について卒年別に職規模ごとの構成比を示したものである。これによると、大中規模企業の技術職で、これらの項目を挙げる割合に著しい低下が見られる。このことから、以前から積極的に高専卒の継続教育訓練を行ってきた大企業技術職では、今でも確かに積極的な継続教育訓練を行ってはいるが、その割合は近年低下が見られており、最近では必ずしも大企業技術職で継続教育訓練が積極的に行われているとは言えなくなってきているといえるだろう。
図表3-9 卒年・職規模別 初職における高専卒の育成方針

4. 職業キャリアと継続教育訓練

(1) 職業キャリアの認識

 前節では、企業における継続教育訓練の機会がどの程度あるのかを見てきたが、継続教育訓練は企業内の職場研修だけで行われるわけではない。本節では、さまざまな継続教育訓練の機会がどの程度高専卒業者に利用されてきたのか、またその継続教育訓練機関が担っているのはどの部分の能力形成であるのかを検討していきたい。もっとも、ここまで見てきたように、高専卒業者を一元的に捉えることはもはや不可能であり、職業キャリアによって継続教育訓練の機会がまったく異なっていることが予測できる。そこで、まず高専卒業者が自分自身の職業キャリアをどのように認識していたのかみてみよう。図表3-10は自分自身の職業キャリアをどのように認識しているかに関する13の質問項目のうち、該当するものを複数回答してもらった結果を、その割合が大きい順に並べたものである。これによると、「最初の担当業務と同じ分野をずっと経験してきた」、「最初の担当業務の関連分野を経験してきた」、「学校時代の専門知識・技術を生かせる業務を経験してきた」という回答が多くなっている。これらのことから、一見高専卒業者は学校での知識や最初の業務と関連のある職業キャリアを経験しているかのようにみえるが、「特に学校での知識や技術を必要としない業務を経験してきた」割合も「学校時代の専門知識・技術を生かせる業務を経験してきた」割合に匹敵している。また、もっとも多い「最初の担当業務と同じ分野をずっと経験してきた」者でも全体の4割に満たない。このことから職業キャリアにおいてそれまでの経験や技術を生かすことができる人がいる一方で、それをまったく生かすことができない人もいるという二極化が生じているといえるだろう。
図表3-10 職業キャリアに対する認識
 では、どのような人が学校での知識や技術を生かせる職業キャリアを歩んできたのであろうか。まず、性別による比較をしてみよう。図表3-11は、先の13項目のうち、性別によって有意な差がある3項目について、あてはまると回答した者の割合を示している。これによると、女性は「パートやアルバイトだけで生活していた時期がある」人や「1ヶ月以上の無業経験がある」人が男性に比べて多くなっている。この両項目は図表3-10では比較的回答数の少ない項目ではあったが、性別で比較した場合、明らかに女性の方が無業やパートアルバイトといった職業生活の中断や非正規化がみられる。また、「幅広い業務を経験してきた」割合では、男性の方が女性より多くなっている。この点は、第2章でも触れたように、性別によって担当する部門などに差異が見られることとも関連していると思われる。
図表3-11 男女別 職業キャリアに対する認識
 次に、卒年別に比較をしてみよう。図表3-12は卒年別に有意な差があった7項目についてあてはまると回答した者の割合を示している。これによると、業務の経験については87年卒業者の方が「幅広い業務を経験してきた」、「最初の担当業務の関連分野を経験してきた」、「学校時代の専門知識・技術を生かせる業務を経験してきた」という回答が94年卒業者のそれを上回っており、一方94年卒業者では「最初の担当業務と同じ分野をずっと経験してきた」割合が87年卒業者のそれを上回っている。もっとも、これらのほとんどは職業生活の年数の差によって説明できるだろう。ここで特徴的なのは、「学校時代の専門知識・技術を生かせる業務を経験してきた」割合が87年卒業者の方が上回っている点である。これは長年の職業キャリアの中でその機会が増加したのか、それともそのような業務に従事できる機会が近年減少しているのか、このデータからだけではわからないが、注目に値する結果であろう。
図表3-12 卒年別 職業キャリアに対する認識
 また転職に対する認識でも、「特にキャリア形成に結びつかない転職を経験してきた」割合が87年卒業者の方が大きい一方で「転職しながら、自分の専門分野を形成してきた」割合も87年卒業者が94年卒業者の回答を上回っている。このことは前節でも示したが、同一卒年グループの中でも職業キャリア形成に関して積極的な転職と消極的な転職があったことを示している。ではこれは、転職時期による差異が反映されているためであろうか。転職タイプによってこれを比較してみよう。図表3-13は転職タイプ別に有意な差がある項目について、職業キャリアに対する認識の比率を示したものである。これによって87年早期離職と87年長期離職を比較してみると、87年長期離職者の方が「学校時代の専門知識・技術を生かせる業務を経験してきた」、「最初の担当業務と同じ分野をずっと経験してきた」、「最初の担当業務の関連分野を経験してきた」という回答が多くなっている。87年早期離職では「転職しながら、自分の専門分野を形成してきた」割合が大きくなっているが、これは裏返せば学校知識や最初の業務と関連ないところに転職したために、転職により専門を別の形で身につけざるを得なかったことであると思われる。
図表3-13 転職タイプ別 職業キャリアに対する認識
 このように、転職タイプで比較してみると、仕事で必要とされる専門分野をどこで身につけたかが明らかに異なっていることがわかる。87年長期離職の場合は、学校や初職と関連した仕事を続けていることから、高専の教育や企業の研修などがある程度有効であると考えることができるのに対して、87年早期離職の場合は自分自身で専門分野を身につけていかざるをえず、結果として高専や企業の研修がそれほど有効とはいえないのではないだろうか。以下でその有効性を検討していこう。

(2) 職業キャリア類型と継続教育訓練

 前項で見たように、転職者の中には高専教育とは結びつかない職業キャリアを送っている者も多数いることがわかった。では、その人達はこれまで高専教育を生かすことができなかったのであろうか。また、今後どのようなかたちで高専を生かすことができるのであろうか。これは、職業キャリアによって生かし方が異なると思われるため、職業キャリア類型別に継続教育訓練の利用の実態を探ることが必要であろう。
 まず、さまざまな能力・技能をどこで身につけたのかをみてみよう。身につけた場所は調査票の中で10項目示した。それを調査票に示した8種の能力ごとに身につけた場所をひとつ選んでもらった。図表3-14はそれぞれの能力を身につけた場所についての回答と、その比率の各能力全体の平均値を示している。これによると、能力や技能を身につけた場所は、高専、職場の研修・研究会、自学自習に大きく3分されていることがわかる。そのうち、高専で身につけた能力や技能として回答が多いのは「専門分野に関する工学的知識」や「物理・数学などの理論的な知識」、「英語などの語学力」などである。
図表3-14 能力を身につけた場所
 次に図表3-15はその8種類の能力のうちで、職務上特に重要なものを複数回答で挙げてもらった結果を示している。これによると、「専門分野に関する工学的知識」「情報収集力・ネットワーク」「企画・アイデアなどの創造力」が重要であるという回答が多くなっている。
図表3-15 職務上特に重要な知識・能力
 では、重要なものをどこで身につけたのであろうか。特に、主な教育訓練として図表3-14に示した高専、職場の研修、自学自習で、重要な能力をどの程度身につけることができるのであろうか。図表3-16は、キャリア類型別にその3種の教育訓練における職務遂行上の意義を重みづけ指標を用いて示したものである。ここで示した重みづけ指標とは、各能力が職務上重要であると答えた比率に、その能力を当該教育訓練で獲得したと答えた者の比率をかけた総和であり、この値が大きいほど、当該教育訓練機関が重要であるとみなされ、また実際に利用されているということになる。これによると、どのキャリア類型においても、高専で高い有効性が示されている。また、職場研修は、定着者と転職者で大きな格差が見られ、転職者で低くなっている。転職・非技術経験者では自習自学の果たす役割が大きいことがわかる。
図表3-16 キャリア類型別 教育訓練の職務遂行上の意義
 では、職場で重要とされる知識・能力には何らかの類似性が見られるのであろうか。そこで先に挙げた8つの能力について特に重要なものをあげてもらった設問について、主成分分析をおこなったところ、2つの主成分が抽出された(図表3-17)。なお、この能力の種類は大卒者について行われた調査(日本労働研究機構 1995)をもとにしている。主成分分析の結果も、その調査結果と同様の主成分が抽出されたことから、同じ名称を用いることにした。第一主成分は「知識拡張性」であり、第二主成分は「職業専門知識」である。前者には「幅広い供用」「データ処理、事務処理のノウハウ」「英語などの語学力」「企画・アイデアなどの創造力」「情報収集力、ネットワーク」の項目が該当する。これは先の調査報告書(日本労働研究機構,1995 p266-267)によると、「情報獲得の範囲、考慮の幅、また知識をコミュニケートする範囲、における対立軸を反映」したものとされる。また、後者には「専門や生産工程についての知識」「専門分野に関する工学的知識」「物理・数学などの理論的知識」の項目が該当する。これは「職業に関する専門知識の存在と、その職務の遂行上の緊急性」に関する対立軸を反映したものであるとされる。
図表3-17 職場で特に重要とされる知識・能力に関する主成分分析結果
 では、この2つの主成分はどのような職業キャリアの人が重視しているのであろうか。図表3-18は、この2つの主成分について、キャリア類型別に因子得点をプロットしたものである。これによると、定着者で「職業専門知識」が高く、また技術のみ経験者で「知的拡張性」が低くなっている。このように、キャリア類型の違いによって重視される能力の種類に差異が見られることがわかった。
図表3-18 キャリア類型別 職場で重要とされる知識・能力
 また、図表3-19はそのうち「定着・技術のみ」について、企業規模別の重視の度合いについて因子得点をプロットしたものである。これによると、小企業で両者の要求水準が低くなっていることがわかる。
図表3-19 「定着・技術のみ」類型における企業規模別職務能力
 では、高専は、その知識のうち、どちらの取得に有効であり、また他の継続教育訓練ではどちらの能力取得に有効なのであるのか。図表3-20は、主要3種の教育機関別に、「職業専門知識」と「知的拡張性」がどの程度提供されているのか、どの程度重視されているのかをみるために、重みづけ指標(図表3-16の注を参照)を示したものである。これによると、高専は「職業専門知識」を提供する教育機関として大きな意義を持っているが、「知的拡張性」の獲得には高専だけでは不十分であり、職場研修や自学自習などによって離学後の継続的研鑽が必要であるという傾向がうかがえる。さらに、図表3-19と図表3-20でも示したように、高専が十分に提供できる「職業専門知識」は、技術職、大企業、定着者にとって重要であるが、非技術経験者、小企業、転職者にとっては「職業専門知識」がさほど重要でないとみなされていることから、高専の「職業専門教育」が高専卒業者全てに有効なものとはなっていないということができよう。
 このような結果は、高専教育への評価にも多分に反映されていると思われる。次節でそれをみてみよう。
図表3-20 職務上必要な知識・能力の取得における各教育訓練の意義
図表3-16 キャリア類型別 教育訓練の職務遂行上の意義

5. 職業キャリアと継続能力形成の可能性

(1) 高専教育の評価

 まず、高専教育がどの程度評価されているのかを見てみよう。調査票に挙げた7項目についてそれぞれ「とても役立った」「やや役立った」「あまり役立たなかった」「全然役立たなかった」の4段階で評価してもらった。そして「とても役立った」に4点、「全然役立たなかった」に1点と1点刻みのスコアをつけた。
 図表3-21は、大学進学者438名も含めて1845名について、転職経験、非技術職経験の有無別に、高専教育が卒業後の職業生活においてどの程度役立ったかについてのスコアの平均を示している。これによると、全体的に専門科目や理科系の一般科目など、高専のカリキュラムの中で中核を占めているものに対しては高い評価がなされている。その一方で、人文社会系の一般科目や学生自治会・寮運営活動などに対しては、あまり職業生活で役立っていないという評価がなされている。また、大学進学者と卒業後すぐに就職した者を比較すると、大学進学者は専門科目や理科系の一般科目、卒業研究など高専のカリキュラムの中核部分となる教育内容に対して、より高い評価を与えている。その中でも注目すべきは、卒業研究に対する評価である。これは、就職者にとってはむしろ否定的な評価(2.5がスコアの中間であることから、これより小さな値の場合には否定的な評価がなされているとみなすことができる)が与えられているのに対して、大学進学者にとっては、卒業研究がどちらかといえば高い評価を与えられているといえる。このように、高専の教育は主にカリキュラムの中核をなす専門科目などで高い評価がなされており、特に高い評価を与えているのが大学進学者であることがわかった。
図表3-21 規模・職種別 高専教育の評価
 では、就職者の中では、高専の教育に対して評価が分かれているのであろうか。職業キャリア別に高専教育の評価を比較してみよう。図表3-22と図表3-23は、高専の教育が卒業後の職業生活にどの程度役立ったかを尋ねたもののうち、キャリア類型別に有意な違いの見られた「専門科目の座学」と「クラブやサークル等の活動」について、職規模別にどの程度役立ったかの評価を示している。これによると、非技術経験の有無に拘わらず、企業規模が大きいほど役立った(「やや役立った」と「とても役立った」の合計)と考えている割合が大きいこと、また、「専門科目の座学」については、技術職のみ経験者の方が非技術職経験者よりも役立ったと答える割合が多いことがわかる。それ以外の高専教育の項目については、キャリア類型による違いは有意ではなかった。このことは、高専教育が、大企業のほうが、技術のみ経験者の方が評価が高いということからもわかるように、これまでの高専卒業者に典型的な職業キャリアを歩んできた者には高い評価をされている一方で、非伝統的な職業キャリアを歩んでいる者には高専の教育がそれほど評価されていないということができよう。特に「専門科目の座学」などは、もともとが職業生活での有効性を念頭において実施されているとすれば、それが職業と結びつかない場合には評価が低くなる可能性があり、非伝統的な就職先が増加する中で評価されない割合も高まってくることが予想される。
図表3-22 職規模別 高専教育の評価 専門科目の座学
図表3-23 職規模別 高専教育の評価 クラブサークル活動

(2) 継続能力形成における高専利用の可能性

 では、彼らは高専を今後生かそうと考えているのか。大学進学者も含めて職業キャリア別に卒業後の高専の利用経験と今後の利用希望の割合を比較してみよう。利用経験については、どのキャリア類型においてもかなり少ない。就職者全体の高専の利用率を示すと、専攻科への再入学が1.2%、研修生として派遣が0.5%、公開講座への参加が2.6%、技術相談が5.6%、共同研究が1.1%に過ぎない。だが、今後の利用希望については、職業キャリア別に差異が見られる。図表3-24の高専の利用希望によると、まず共同研究や技術相談といったアカデミックな活動については、大学進学者の希望が多くなっている。また高専卒業後就職者の中では、転職・技術職のみ経験者が、ほとんどの項目で他の職業キャリア類型の者より多くなっている。これは、転職・技術職のみ経験者が、高専に対して継続能力形成の場として強く期待している結果であろう。たしかに転職・技術職のみ経験者にとっては、図表3-16でも示したように職場研修の機会が少ないことを考慮すれば、高専が技術職に関する教育訓練を行いうるもっとも身近な機関であることには違いない。
図表3-24 高専の利用希望
図表3-16 キャリア類型別 教育訓練の職務遂行上の意義

(3) 継続能力形成における大学・大学院の可能性

 では高専以外の大学、大学院での能力形成について、どのような形態での参加が望まれているのか。図表3-25は大学・修士課程・博士課程について、利用希望の割合と希望者についてその形態を尋ねた結果を示している。これによると、大学では44.5%、修士課程では29.5%、博士課程では20.2%が何らかの形で学びたいと答えている。また、学びたいと答えた者のうちで希望する形態が最も多かったのは、いずれの教育機関に対しても職場からの長期派遣である。その希望を職業キャリア別に比較すると、大学に対する希望では、キャリア類型による差異は有意ではない。修士に対する希望形態は、定着者の場合、職場からの派遣を求めている割合が多くなっている。また博士課程に対する利用希望形態は、転職経験者の場合に、私費による就学が望ましいという回答が多くなっている。
図表3-25 キャリア類型別 大学・大学院の利用希望者の割合とその希望形態

(4) 継続能力形成における資格利用の実態

 就職後の能力形成のひとつとして、資格も見逃すことができない。ここでは、高専卒業者がどの程度資格を利用しているのかみてみよう。調査票の中では、9種類の資格を取り上げ、それぞれについて受験したかどうか、受験した場合には合格したかどうかを尋ねている。もっともこの9種類の資格は高専卒業者が多数受験していると想定されるものであったが、その9種類だけでは全ての資格をカバーしたことにはならない。そこでその他の資格として先の資格と同様の項目を尋ね、その資格の名称を記述してもらった。
 図表3-26は資格を受験した者及び資格を取得している者の割合を性別、卒年別、転職経験別、キャリア類型別に示している。これによると、高専卒業後、就職した1513名のうちで、上述の資格の種類(その他を含む)の中で何か1つ以上、資格を受験した経験のある者は55.6%にのぼっており、何らか1つに合格した者も全体では42.4%もいる。
 では、いったい高専卒業者の中でどのような人が資格を受験し、取得しているのか。まず、性別で比較すると、受験経験では性別による違いがほとんど見られないが、資格取得率では男性の方が女性を上回っている。また、卒年別では、受験経験、資格取得率ともに87年卒の方が94年卒より10%ほど上回っているが、これは、卒業後の職業経験の年数に違いがあるため、単純な比較はできない。次に転職経験別に比較してみると、87年卒転職経験者で受験経験、資格取得率が大きくなっている。その中でも、転職者を転職タイプに分けてみた場合、87年長期離職者の方が大きくなっている。これは、資格の取得が、学卒後すぐに求められているというより、学卒後一定年数を経たときに必要とされているためではないだろうか。それをみるために、キャリア類型別にこれを比較してみよう。資格取得率で見ると、87年卒、94年卒ともに、定着・非技術経験者と転職・技術のみ経験者の比率が高くなっている。このようなパラドクシカルな関係は、企業規模別でもみられる。技術のみ経験者では小規模ほど受験経験、資格取得率が高くなっているのに対して、非技術経験者では大規模ほどその比率が高くなっている。これは、技術職における資格と、非技術職における資格の役立ち方が異なっているためであろうか。この点を考えていくためには、さらに資格の種類に踏み込んだ分析が必要となるだろう。
図表3-26 資格受験者、資格取得者の比率
 そこで、調査票で挙げた9種類の資格について、学科系統別にどの程度受験経験や資格取得率があるかをみてみよう。
 図表3-27は学科系統別にそれぞれの資格の受験経験率を示している。これによると、まず学科系統によって資格の受験経験に傾向性がみられることがわかる。電気・電子系や土木・建築系では複数の種類の資格に分散しているのに対して、情報系や化学系などはひとつの資格に特化してるといってもよい(もっとも、調査票で挙げた資格の種類が、電気・電子系に合致する資格と土木建築系に合致する資格に集中していたことも無視できない)。なお、航空・商船系でその他の割合が大きいのは、海技従事者の割合が多いためである。その他の欄の中に海技従事者に該当する資格を記入した者が、87年卒業者では航空・商船系学科卒の就職者のうち17.9%、94年卒業者では10.5%を占めていた。また、同一学科系統を卒年別に比較すると、87年卒の方が大きく上回っているものが散見できる。まず機械系や電気・電子系において、情報処理技術者の資格の受験経験者が94年で減少している。また、土木・建築系における建築士1級や土木施工管理技士の受験経験者も減少している。もっとも土木・建築系の減少は、受験資格としての実務経験の年数の問題があるためと思われる、では、同一学科系統において、情報処理技術者の資格の受験経験率が、卒年によって異なるのは何故なのか。
図表3-27 学科系統別 資格受験率
 これを考えるひとつの手がかりとして、キャリア類型別にこれらの資格の受験率を比較してみよう。図表3-28は職業経験・規模別、卒年・転職経験別、転職タイプ別に、資格の受験率を有意な差のあるものについて示したものである。まず規模・職業別にみてみると、資格を2つのタイプに分けることができる。ひとつは電気主任技術者や電気工事士、危険物取扱者の資格で、大企業ほど受験経験率が高く、また非技術経験者の方が受験経験率が高くなっているものである。もうひとつは、土木施工管理技士や測量士・測量士補の資格で、小企業ほど受験経験率が高く技術のみ経験者の方が高くなっているものである。これと類似した傾向が見られるのが宅地建物取引主任者の資格で、小企業ほど、非技術経験者の方が高くなっている。前3者の資格は、職種に特化された資格というより、特に大企業において能力証明や能力形成の手段として用いられているとみなせるだろう。一方、後3者は職種に特化した資格であるとみなすことができよう。これを卒年・転職経験別に比較してみると、電気主任技術者などの大企業で受験率が高い資格は、定着者の方が受験率が高いことから、企業内における評価として用いられているのかもしれない。一方、宅地建物取引主任者や土木施工管理技士は特に87年卒では転職者の方が受験率が高いことから、小企業で受験率が高い資格は転職者に多く利用されていることがわかる。この点から考えると、情報処理技術者の資格は、転職者の方が受験率が高いことから、後者と類似した資格の性格をもっているのではないだろうか。先に示した学科系統別に情報処理技術者の受験経験率の卒年による違いは、転職者に多く利用されている資格であるということが影響しているのかもしれない。
図表3-28 規模・職業別、卒年・転職経験別、転職タイプ別、資格受験者

6. まとめ

 以上の知見は以下の5点である。
 第一に、仕事をする際に専門が生かされている度合いが大きいのは、大企業技術職という高専卒業者に典型的な就職先においてであった。また、産業別でも、第二次産業技術職という高専卒業者の典型的就職先で専門が生かされていた。その一方で、小企業や非技術職、第三次産業といった、近年高専卒業者が多数就職するようになってきた職場では、専門が生かされている割合が低く、この点からも、典型的就職先と新規就職先の間に大きな差異が生じていた。また転職者について現職で専門が生かせるかどうかを卒年別に比較してみると、94年卒業者で専門が生かせる割合が低くなっていることから、近年の卒業者にとって転職が必ずしも専門を生かす手段とはなっていないといえるだろう。
 第二に、企業における継続能力形成の方針についても、大企業技術職で積極的であることがわかる。だが、その積極性も94年卒業者では低下しており、必ずしも大企業技術職で積極的な継続教育訓練が今後も行われるとは限らないと思われる。
 第三に、継続教育訓練の意義を職業キャリア別に比較すると、高専はどの職業キャリア類型の人にとっても能力形成で重要な位置を占めている。ただし高専が、十分に能力形成を果たしうるのは能力のうちでも「職業専門知識」の獲得に関してであり、その能力は定着・技術のみ経験者に高く求められているが、それ以外の職業キャリアの者にとっては必ずしも重要とは言い難いことから、高専が卒業生全てに有効なものとはなりえなくなってきたと言えるだろう。
 第四に、ただし、卒業後の高専利用可能性については、転職・技術のみ経験者にとって高専が継続教育訓練の場として望まれている。また、大学進学者にとっては、アカデミックな活動について希望が多くなっている。このように職業キャリアによって求める内容は異なるが、何らかの形で卒業後も卒業生の能力形成に高専が果たす役割を継続することは可能であるといえよう。ゆえに、高専を継続教育訓練の場として活用しようとする場合には、典型的な就職先の卒業生に対しては現在でも十分有効な能力形成を果たしうる可能性があるが、それ以外の職業キャリアの卒業生に対しては十分な継続教育を提供するためにはより多様な形態が求められるだろう。
 第五に、資格の取得も能力形成の一形態として利用されているが、その利用形態が資格の種類によって異なっており、それを踏まえた分析が必要である。

〔参考文献〕
 日本労働研究機構,1995「大学教育と職業の知的構造-理論的枠組み」『大卒者の初期キャリア形成-「大卒就職研究会」報告-』調査研究報告書No.64、第4部第4章


第4章 高専卒業者の企業内地位

1. はじめに

 高専は中学卒業後5年間で、大卒に匹敵する専門教育をおこなう教育機関として設置された。高専設立当初には、技術者の需要増もあり、大卒並み、あるいはそれ以上との評価を高専は受けてきたのである。だが現在では、高専レベルの教育だけでは不十分であるという意見も聞かれるようになってきている。だとすれば、高専卒業者の処遇にもこれが反映されているのではないだろうか。そこで、本章では、高専卒業者が現在、企業内でどのような処遇を受けているのかを見ていくことにする。なお、国立高等専門学校協会厚生補導委員会(1992)が高専卒業者の処遇に関する調査を以前おこなっているが、その調査は企業に対して行われたものである。本報告書で取り扱うデータは卒業者に対して行われた調査であることから、企業における処遇の認識とは別の視点から高専卒業者の処遇が明らかになると思われる。
 本章の課題は以下の3点である。
 第一に、企業における高専卒業者の処遇が個々の企業レベルにおいてどういう状況にあるかを明らかにする。ただし、高専卒業者の中にも、仕事上で高い評価を受け、その結果、高い地位に昇進している者もいると思われる。そこで、第二に、本人と同じ職場に勤めている高専卒業生の中で最高位に到達した人が、どの程度の地位まで昇進したのか、そのように高専卒業者が昇進している企業がどのような企業であったかを見ていく。第三に、高専卒業者の処遇として年収と労働時間を分析する。
 以下、2節では最初の課題について、3節では2番目の課題について、4節では3番目の課題について分析していく。なお、本章でも分析対象者は、高専卒業後に就職した1513名である。

2. 高専卒業者の処遇

 現在の勤務先において、高専卒職員の処遇はどのようになっているのであろうか。現在の勤務先において、高専卒業者が同一年齢層の他学歴と比較したときにどの学歴に近い処遇を受けているのかみてみよう。なお、現在の勤務先における処遇をみるのは、初職よりも現職の方が、調査対象者にとってより明確に認識できると思われるからである。
 まず、図表4-1は調査票の中で示した処遇の5つの側面である「賃金水準」「昇進の可能性」「配属先の部門」「仕事上の権限や裁量権」「仕事と専攻との関連性」について、高専卒業者の処遇がどの学歴に類似しているかを尋ねたものに関する回答結果を示している。これによると、「賃金水準」や「昇進の可能性」といった労働条件面では「大学工学部卒と高卒の中間」という回答が半数程度を占めているのに対し、「配属先の部門」や「仕事上の権限や裁量権」、「仕事と専攻との関連性」といった仕事内容に関しては、「大学工学部卒に類似」しているという回答が多くなっている。このように現在、高専卒の企業内地位は、労働条件面では大卒を下回っているものの、仕事内容においては大卒に匹敵する仕事を行う地位にいることがわかる。
図表4-1 高専卒業者の処遇
 このような傾向は、自由回答からもうかがうことができる。
 「大企業では、(大卒社員と?)高専卒社員との賃金、昇進格差が大きい。その割(に)は仕事量・責任が同等で理解に苦しむ。」<94年卒 男子>
 「賃金では、大卒にかなわないが、仕事では同レベルのことを求められる。」<94年卒 男子>
 「現在の私の職場では、特に大卒、修士との権限等に差異はないが、やはり、賃金面での不満があります。」<87年卒 男子>
 以上、( )内は筆者加筆
 ここで注目すべきは、高専卒業者がこのような処遇に不満を持っている点である。とくに、仕事内容は大卒並みの仕事を求められながらも労働条件が大卒以下であるという点に不満が集約されているといってもよいであろう。
 では、このような高専卒業者の処遇は、職業キャリアによってどの程度違いが見られるのであろうか。まず、卒年別に比較してみよう。図表4-2は高専卒業者の処遇を卒年別に示したものである。これによると、「賃金水準」や「昇進の可能性」「仕事上の権限や裁量権」で、94年の方が「大学工学部卒と高卒の中間」という回答が上回っている。87年卒業者では、「大学工学部に類似」と「その他」の割合が94年卒業者を上回っている。これは、回答者本人のことについてではなく回答者の勤務先における一般的な処遇について尋ねたものであるから、このような卒年による差異がみられるのは、近年高専卒業者の就業先に占める処遇の低い企業の割合が増加してきたためであるとみなすことができるだろう。その一方で、「配属先の部門」や「仕事と専攻との関連性」では、有意な差が見られない。このことから、仕事内容ではさほど変化が見られないが、労働条件面では大きな変化があらわれてきたといえるだろう。
図表4-2 卒年別 高専卒業者の処遇
 次に、図示はしないが、学科タイプ(この定義に関しては第2章2節2項を参照のこと)別にみると、伝統学科と非伝統学科との間には高専卒の処遇に関して有意な差はみられなかった。第2章でみたように、初職に関しては非伝統学科卒業生がこれまで高専卒業者があまりいなかった分野に就職している割合が大きかったが、現在の処遇に関しては、違いがないといえる。
 次に、現職職業別に比較してみよう。図表4-3は高専卒業者の処遇を現職職業(技術職、非技術職)別に比較したものである。これによると、技術職では、図表4-1で示したような高専卒全体と同様の傾向が見られる。すなわち、「賃金水準」や「昇進の可能性」といった労働条件面では「大学工学部卒と高卒の中間」という回答が非技術職における比率を大きく上回っており、「配属先の部門」や「仕事上の権限や裁量権」、「仕事と専攻との関連度」といった仕事内容では「大学工学部卒に類似」しているという傾向がより強く現れている。一方、非技術職では、「高卒に類似」や「その他」の割合が多くなっている。このことから、技術職については、高専独自の処遇が存在しているのに対し、非技術職については高専独自の処遇が存在しておらず、そのために高専卒業者の処遇が、高卒程度に抑えられているか、あるいは不明確なままであるということができるだろう。
図表4-3 現職職業別 高専卒業者の処遇
 次に現職産業別に高専卒業者の処遇を示したものが図表4-4である。これによると、第二次産業で、図表4-1で示した高専卒業者全体の傾向と類似した結果が見られるのに対して、第三次産業では第二次産業に比べて「高卒に類似」や「その他」の割合が高くなっている。このことから、産業別に見た場合でも、これまであまり高専卒業者が就職していなかった第三次産業において、高専卒業者の処遇の高卒並みへの抑圧、または不明確な処遇がみられる。
図表4-4 現職産業別 高専卒業者の処遇
 自由回答の中でも、以下のような意見が見られる。
 「昔から高専卒を採用している企業は、高専卒の評価は高いと思う。」<94年卒 女子>
 このように、高専卒業者が多く就職していた典型的な職場においては、その処遇が明確になっているのに対して、これまであまり高専卒業生が就職しなかった職場では、高専卒業者の処遇が抑圧されまたは不明確なままであるといえるだろう。それが、非技術職や第三次産業における高専卒業者の処遇の抑圧と不明確さにもあらわれていると思われる。今後、このような非典型的な職場への就職者がさらに増加するとすれば、結果として高専卒業者の処遇がさらに低下し、もしくは不明確なままである人を増加させることにつながっていくかもしれない。
 次に企業規模別に高専卒業者の処遇を比較したものが、図表4-5である。これによると、「賃金水準」や「昇進の可能性」といった労働条件面では中企業・大企業において「大学工学部卒と高卒の中間」という回答が多くなっているのに対して、小企業ではそれに比べて「高卒に類似」や「その他」が多くなっている。
図表4-5 現職規模別 高専卒業者の処遇
 また、「配属先の部門」や「仕事上の権限や裁量権」、「仕事と専攻との関連度」では、中企業・大企業では「大学工学部に類似」が多くなっているのに対して、小企業では、「その他」が多くなっている。このように、大企業や中企業において高専の企業内地位が明確に存在しているのに対して、小企業では高専卒の地位が低い、または不明確であるということができよう。
 もっとも、このような傾向は、自由回答における企業規模と処遇の関係についての記述とは食い違っている。
 「高専卒の位置づけは、大企業では高卒、中小企業では大卒扱いとなる場合が多いようです。」<94年卒 女子>
 「大企業でない限り、大卒との差は生じないと考える。」<94年卒 女子>
 このように、高専卒業者の間では、大企業で高専卒の処遇が低いのではないかという認識があるのに対し、調査データからみる限りでは、大企業の方が高専卒業者の処遇がより高いという傾向が見られる。このようなギャップがなぜ生じているのかについては、今後検討すべきであろう。
 次に、図表4-6は、卒年・転職経験別に高専卒業者の企業内地位を比較したものでである。これによると、卒年にかかわらず、定着者で高専卒業者全体と同様の傾向がみられる。一方、転職者では、「その他」の割合が定着者に比べて高くなっており、転職した場合、その処遇はより不明確になるといってよいだろう。
図表4-6 卒年・転職経験別 高専卒業者の処遇

3. 高専卒業者の最高位

 高専卒業者がどの程度評価されているのかをみる際に、どこまで昇進しているのかという点から考察することもできるだろう。そこで、本節では、高専卒業者が、最高でどこまで昇進したのかをみてみることにする。
 図表4-7は、高専卒業者が現在の勤務先で最高位でどこまで昇進しているのかを示した結果である。これによると、まず全体では、「課長レベル」まで到達しているという回答が最も多く、3割近くを占めている。それに次いで「勤務先に高専卒の先輩はいない」「係長、主任など」が多くなっている。ここからみる限り、高専卒業者の最高位に関する回答はかなりばらついているといえる。では、このように回答がばらついているのはなぜであろうか。
図表4-7 高専卒業者の最高位
 まず卒年別に比較してみると、94年卒の方が、最高位で「一般社員・職員」、あるいは「係長・主任など」という回答が87年卒の回答を上回っており、94年卒の方が高専卒の最高位でもあまり高くない企業にいることがわかる。
 次に、卒年・転職経験別でみると、全体の傾向として最も大きな割合を占めていた「課長レベル」という回答が、定着者で多くなっている。それに対し、転職者では、「勤務先に高専卒の先輩はいない」という回答が最も多くなっている。先に全体の傾向で示したばらつきは、定着者にとっては課長レベルが高専卒の最高位として認識されている一方で、転職者の場合、転職先にほとんど高専卒業者がいないことを反映しているといえるだろう。
 また、現職の職業別、産業別でも、高専卒の典型的な職種・産業であった技術職、第二次産業において課長レベルという回答の割合が上回っていることから、高専卒業者の最高位についても、高専卒の典型的な就職先においては、ほぼ明確な昇進の最高位のレベルがあるといえるだろう。
 次に、企業規模別では、大企業や中企業において、高専卒業者の最高位が「課長レベル」や「部長レベル」という回答が、小企業のそれを上回っている。それに対し、小企業では、「勤務先に高専卒の先輩はいない」という回答が圧倒的に多くなっている。ここからみると、大企業の方が小企業より昇進に有利であるということができる。
 また、キャリア類型(この定義は第2章6節を参照のこと)別では、「技術のみ経験」であっても転職者の場合には、「課長レベル」や「部長レベル」という回答が定着者よりも少なく、「勤務先に高専卒の先輩はいない」という回答が最も多くなっている。
 このように、高専卒業者の最高位においても、高専卒業者に典型的な職場においてはほぼ明確な基準があるということができるのに対して、非典型的な職場においてはあまり高い地位に昇進できないという結果がでているのである。

4. 現職の年収と週平均労働時間

 以上の節までで、高専卒業者に典型的な職場における処遇や最高位が、非典型的な職場のそれに比べて高くなっていることを示してきた。だが、高い処遇を受けていることは、言い換えれば労働条件が厳しくなっていることも同時に予想できる。そこで、本節では、労働条件に関する考察を行う手がかりとして、年収と労働時間を検討していく。
 図表4-8は、本章での分析対象者1513名のうち、年収と労働時間について、その平均値と標準偏差を比較したものである。
図表4-8 年収と週平均労働時間
 まず、平均年収から見てみよう。これは、現職(現在働いていない場合は最近までの勤務先)の年収について昨年の税込み諸手当込みの年収を記入してもらった結果を、記入があるものについて平均値と標準偏差を出したものである。これによると、卒年別では、87年卒の平均年収が527.5万円、94年卒の平均年収が368.3万円となっている。性別では、男性の平均年収が87年卒が540.7万円、94年卒が380.5万円、女性の平均年収が87年卒で285.2万円、94年卒で315.5万円となっている。高専卒という同一の学歴であるにもかかわらず、性別によって大きな開きが見られる。しかも、94年卒の女性では標準偏差が男性に比べてかなり小さくなっている。94年卒では女性でも現在家事に専念している人も少ないということが予想されることから、女性の場合、平均年収の散らばりもかなり小さく、ほとんどの人の年収が低いといえるのではないだろうか。
 次に卒年・転職経験別では、いずれの卒年においても定着者の方が平均年収が高くなっていることがわかる。第2章の転職結果の中で示した転職者の給与が少なくなったという結果と同様の傾向が、ここにもあらわれている。もっとも、標準偏差では、卒年によって異なる傾向が見られる。87年卒では、転職者の方が平均年収の散らばりが大きく、87年卒全体では転職者の方が平均年収が低くなっている一方で、転職者の中での賃金格差が大きくなっていることがわかる。それに対して、94年卒では、転職者における標準偏差がかなり小さくなっている。これは、94年卒の転職者の賃金格差がほとんど見られず、転職が有無をいわず賃金の低下を招いていることをうかがわせる。次に、現職の職業別では、87年卒では技術職の方が非技術職より50万円程度平均賃金が高くなっている。また、現職の企業規模別でも、企業規模が大きいほど平均賃金が高くなっている。このことから、高専卒の典型的な職種であった大企業技術職においては、全体的に平均賃金が高くなっていることがわかる。
 次に、週平均労働時間についてみてみよう。これも平均賃金と同様に、回答者に残業を含む週平均労働時間を記入してもらったものについて平均と標準偏差を出したものである。卒年別では、87年卒の方が平均労働時間が長くなっている。また性別では、男性の方が平均労働時間が長くなっている。87年卒の女性は週平均労働時間が40時間にも満たない。これは女性の標準偏差が大きくなっていることも合わせて考察するなら、女性の場合、正規雇用で労働している割合が低いことからこのような結果が出てきたのではないだろうか。卒年・転職経験別では、卒年別では平均で2時間程度の差が見られるが、同一卒業年における転職経験の有無による違いはそれほど明確ではない。現職の職業別では、技術職の方が3時間ほど労働時間が長くなっている。企業規模別では、大企業で労働時間が短くなっている。
 ここまでのデータからみてみると、高専で学んだ知識を生かすことができると考えられる技術職に従事している場合には、確かに技術職に比べて平均年収が高くなっている。だが、それと同時に平均労働時間も長くなっている点を見逃すことができない。一見高い処遇を受けているかのようにみえるのは、長時間労働という労働条件の厳しさを伴ったものであるといえよう。

5. まとめ

 本章の知見は、以下の3点である。
 まず、第一に、高専卒業者の処遇は、全体的に見ると、「賃金水準」や「昇進の可能性」といった労働条件面では、「大学工学部卒と高卒の中間」という位置づけがある一方で、「配属先の部門」や「仕事上の権限や裁量権」、「仕事と専攻との関連性」といった仕事内容では「大学工学部に類似」した処遇を受けている。このように大卒と同等の仕事をしながらも賃金などの労働条件が大卒以下であることに対する高専卒業生の不満もかいま見ることができる。
 このような高専卒業者に対する処遇は、これまで高専卒業生にとって典型的な就職先であった技術職、第二次産業、大企業において明確にあらわれている。一方で、高専卒業生にとって非典型的な就職先であった職場においては、高専卒業生の処遇が抑圧、もしくは曖昧なものとなっている。卒年別の比較から、94年卒業者の方が高専卒業者の処遇の低い企業で就業している割合が増加していることを考えれば、高専卒業生が今後、非典型的な就職先に多数就職するのではないか、そうなれば高専卒業生に対する処遇がさらに一層低下、もしくは不明確なものになりうるのではないかという可能性を秘めているといえよう。
 第二に、現在の勤務先において高専卒業生が最高位でどの地位まで昇進しているかについては、全体的にみると、「課長レベル」という回答が多くなっている。もっとも、この点についても、高専卒業者にとって典型的な職場においてはそのような明確な最高位が見られるのに対して、非典型的な職場においては、それが不明確なものとなっている。卒年別で示したように、94年卒業者の方が高専卒業者の最高位が低くなっていることからも、高専卒業生をとりまく状況は悪化しており、高専卒業生があまり昇進できない企業に就職する割合が今後も高くなっていく可能性がある。また、転職者の場合、「勤務先に高専卒の先輩はいない」割合が高くなっていることからもわかるように、転職をした場合にはより不明確な処遇に甘んじざるを得なくなると言ってもよい。
 もっとも、高専卒業者にとって企業における処遇が高いことが必ずしも望ましいものとは一概には言い切れない。処遇の高さは労働条件の厳しさともつながっているのである。第三に、それを示すために年収と労働時間についてみてみると、技術職、大企業といった高専卒業者にとって典型的な職場では年収が高くなっていること、転職経験者が定着者に比べて年収が低くなっていることなどから、高専卒業者にとって典型的な職場においては高い年収を得ることができるのに対し、それ以外の職場では低い年収に甘んじる結果になっている。もっとも、平均労働時間で見た場合、技術職の場合には平均労働時間が非技術職に比べて長くなっていることから、長時間労働を避けようとすれば、技術職を避けるという選択によって、低賃金でありながらも労働時間を減らすというのもひとつの選択肢として認識されているのかもしれない。
 今回の調査では、処遇の高さと労働条件のどちらを重視したいかというような点については触れていない。だが、この結果からみる限り、その両者は高専卒業者にとって大きな選択肢のひとつであるかもしれないことがここから推察できる。

〔参考文献〕
 国立高等専門学校協会厚生補導委員会,1992『高等専門学校卒業者の活動状況とその処遇に関するアンケート集計結果』



第III部 教育機関としての高専


第5章 進路としての高専の位置づけ

1. 本章の分析課題

 高専という教育機関の大きな特徴は、義務教育を修了した直後から高度な専門教育を施すことである。学生の立場から言えば、中学を卒業した15歳という段階で、専門的な道に飛び込むことになる。この「進路の早期決定」という高専の特徴は、専門性の形成にとって有効である反面、10代前半という若い年齢段階では適性や関心の見極めが難しく、入学後の不適応をも生じさせていると言われてきた(葉柳 1973)。しかし他方では、高専が1962年に設立されてから時間を経るに従って、高専の教育機関としての特性に対する社会一般からの認知が高まり、入学者にとって入学前の期待と入学後の現実とのギャップは縮小しているという指摘もある(近藤 1981)。
 そこで本章では、以下の諸点を分析課題とする。高専への入学者は高専という機関の特性に適した進路選択を行っているのか。高専入学時の進路選択のあり方は、その後の高専教育への個々人の適応の仕方や高専卒業後の職業キャリアにいかなる影響を及ぼしているのか。そして全体として、「進路の早期決定」に関しては明暗両面のいずれが大きいといえるのか。これらの問いを明らかにすることを本章の目的とする。
 ちなみに、今回の調査対象者が高専の第1学年に入学したのか、それともいずれかの学年に外部から編入したのかをみると、全サンプル2019名のうち、途中からの編入者は38名、1.9%にすぎない。卒年別では、87年卒の1.0%に対し、94年卒は2.4%とやや増加しているが、やはりわずかである。編入者の編入学年は、1名を除いてすべて第4学年である。
 1991年に大学審議会の高等専門学校部会が提出した答申では、「(高専への:筆者注)高等学校卒業生の編入学を促進することは、高等学校の職業学科卒業生に更に高度な専門教育を受ける機会を提供するとともに、普通科卒業生にも多様な進路選択を提供するという観点から有効であるばかりでなく、高等専門学校学生に良い意味での刺激を与え、高等専門学校教育の活性化にもつながることになる」とし、「このため、高等専門学校4年次に編入学定員枠を設定し、高等学校卒業生の高等専門学校への編入学を促進することが適当である」としている。しかし、先の編入者比率をみる限り、高専への編入学制度の普及は、少なくとも今回の調査対象者の学年に関しては、あまり進んでいないといえよう。
 以下、本章の分析は、途中の学年への編入者を除き、高専の第1学年に入学した者を対象として行う。

2. 高専という進路選択に至る過程

(1) 高専の受験を決定した時期

 まず、高専を受験することをいつ頃決めたのかをみよう(図表5-1)。全体では「中学3年の夏休みより後」が半数近くを占めており、かなり間際になってから高専の受験を決めていることがわかる。進路決定時期には卒年による差はほとんどない。性別では女子の方が決定時期がやや遅い。また学科別では、「中3の夏休みより後」の比率は航空・商船系でもっとも少なく、次いで機械系や電気・電子系、そして情報系、化学系、土木・建築系の順となっている。しかし全体として性別や学科による違いはそれほど大きくなく、統計的に有意ではない。
図表5-1 高専の受験を決めた時期

(2) 高専の受験を決めた経緯と理由

 図表5-2は、高専の受験をどのような経緯で決めたのかを示したものである。全体では、「高専のパンフレットなどを見て自分自身で」が最も多く約3分の1を占めているが、それに次いで「親や親戚の人に勧められて」が約3割、「中学の先生に勧められて」が約2割と、ほぼ半数は家族や中学の教師など、身近な他者の勧めにより高専の受験を決めている。なお「その他」の具体的内容の中では、「兄・姉が通っていたから」、「塾の先生に勧められて」などを挙げる者がそれぞれ10名前後みられた。
 卒年別にみると、中学の教師の勧めは87年卒より94年卒でやや減少し、逆に親や親戚の勧めが増加している。また性別でみると、男子は女子よりも中学の教師の勧めによる場合が多いのに対し、女子は「自分自身で」の比率が男子より高い。先の受験決定時期と合わせて考えるならば、女子は時期的にはやや遅れながらも、より主体的に高専受験を決めているようである。図表には掲載しないが学科別の違いをみると、航空・商船系で「自分自身で」の比率が47.0%と他に比べて高くなっている。
図表5-2 高専の受験を決めた経緯
 そして重要なのは、(1)でみた受験決定時期と、経緯との関係である(図表5-3)。中学の教師に勧められた場合、受験の決定時期が中学3年の夏休みより後である比率が、他の経緯と比べて顕著に多い。これはおそらく、生徒の成績に基づく受験先の割り振りの一環として教師が高専を勧めた結果であると思われるが、このような指導の仕方は本人の適性や納得の度合いに対する配慮が薄いままなされた可能性もある。この点は以下の分析でさらに検討する。
図表5-3 受験を決めた経緯と時期の関係
 続く図表5-4には、高専の受験を決めた理由を複数回答で答えてもらった結果を、全体および卒年別に示した。全体として回答が多いのは、「専門的知識が身につけられるから」「技術に興味があったから」「就職が有利だから」の3項目であり、これらはいずれも過半数の者が選択している。技術に関する高度な専門教育と、就職の有利さが、高専のイメージとして中学生にも浸透していることがわかる。なお受験を決めた理由における「その他」(7.0%)の具体的内容の記述をみると、「高校受験の模擬試験として」「入試に慣れるまで」など、試しに受けてみたというケースが10名以上みられる他、「自由な校風」も複数の者が挙げている。
図表5-4 高専の受験を決めた理由(複数回答)
 卒年別の違いが大きいのは、「大学に編入できるから」であり、これは87年卒業者では8.8%しか選択していないのに対し、94年卒では倍以上の20.0%が挙げている。高専が大学進学のルートの一つとしての意味を強めていることへの認識が、中学生の間でも広がっているといえる。逆に、学費の安さなどは理由として挙げられる率が減少している。
 また図表5-5には、学科別に1%水準で有意差が見出された項目を示した。これより、特定の技術への興味は機械系、電気・電子系、航空・商船系で強いこと、就職の有利さへの関心は情報系で強く航空・商船系で弱いことなどがよみとれる。
図表5-5 学科による高専受験の理由の違い
 そして重要なのは、高専の受験を決定した経緯と理由との関係である(図表5-6)。特に中学の教師に勧められた場合、「中3時の成績が高専のレベルに合っていたから」という理由で高専を受験した者の比率が他と比べて10%以上高くなっていることが注目される。やはり、中学の教師による進路指導は、適性や興味よりも成績による合格可能性を重視して行われる傾向があり、この点は問題である。それと対照的に、自分自身で高専の受験を決めた者は、専門的知識への関心や技術への興味、あるいは寮生活の魅力などを理由とする率が高く、高専という教育機関の特性を理解した上で進学を決めているといえる。また家族や先輩・友人などに勧められた場合は、技術への興味が比較的低い代わりに就職の有利さや身近な高専出身者への親近感など、教育内容ではなく外面的な理由が選択される傾向がある。なお大学への編入は、中学の教師よりも家族ないし自分自身の方がより強く意識している。
図表5-6 受験を決めた経緯と理由の関係

(3) 高専の志望順位

 高専入学者は、高専を進学先としてどれほど強く志望していたのか。図表5-7によれば、全体の8割以上は実際に進学した高専・学科を第一志望としており、不本意入学の比率は低いといえる。しかも卒年別にみると、87年卒よりも94年卒の方が第一志望の比率が高まっており、高専入学者は高専を積極的に志望して入学してくる度合いが増大している。性別では、女子の方が第一志望の比率が高く、先に(2)で見たように、高専ではどちらかといえば少数派に当たる女子の方が、実際に入学した高専・学科に対して明確な志望をもっていることがわかる。また志望順位は学科によっても差が大きく、情報系、電気・電子系、航空・商船系ではほぼ9割が第一志望としていたのに対し、他の学科では7割台にとどまっている。これは、学科の人気度の指標とみなせるであろう。受験の経緯別にみると、「自分自身で」決めた場合には他と比べてやや第一志望の比率が高い。中学の教師に勧められた場合も、第一志望の比率が特に低いわけではなく、納得の上で高専を受験しているようである。
図表5-7 高専の志望順位
 しかし高専入学者の中で約2割は、実際に進学した高専・学科以外を第一志望としていた。では、彼らは他のどのような進学先をもともと志望していたのか。図表5-8には、実際に進んだ高専・学科を第一志望としていなかった349名を対象として、第一志望の進路先を示した。全体の約7割までは、「同一高専の他学科」を志望しており、学科は別でも「高専」という教育機関を目指す志向そのものは強いことがわかる。それに続くのは、「普通高校」の17.5%である。卒年別では、94年卒の方がやや普通高校志向が高まっており、性別では、女子の方が同一高専他学科への志望が少し強い。また本来の第一志望先には学科別で違いがあり、情報系および電気・電子系では普通高校への志向が強く、逆に同一高専他学科への志向は弱い。先にみたように、この2学科は第一志望であった比率の高い、いわば人気のある学科といえるが、実際はそこに入学しながら第一志望としていなかった者にとっては、普通高校がオールタナティブであったことがわかる。なお、受験の経緯別にみると、家族や中学教師に勧められて現在の高専受験を決めた者の中では、本当は普通高校に行きたかった者の比率が比較的高い。
図表5-8 高専が第一志望でない者の第一志望先
 上述のように、実際に進んだ高専・学科が第一志望ではなかった者の7割は、同一高専の他学科を希望していた。そこで同一高専他学科ないし他高専他学科、すなわち高専という教育機関の中で他の学科を志望していた239名が、実際に望んでいた学科はどこなのかを、さらにみてみよう。それを示したのが図表5-9である。他学科志望者全体の約6割は、電気・電子系を志望していた。ここでも、この系統の学科の人気がよみとれる。ただ志望先学科は、個々人の属性によってかなり異なる。卒年別では、87年卒と比べて94年卒で電気・電子系の志望が大きく減少した分、情報系への志望が増大している。電気・電子系の人気はやはり強いが、情報系が第二の人気学科としてこの間に登場したことがわかる。この点は、性別でみた場合の女子の特徴としても当てはまる。女子では男子と比べて電気・電子系の志望が弱く、情報系への進学を希望する度合いが強い。
図表5-9 高専の他学科を第一志望としていた者の志望先学科
 実際の進学学科別にみると、機械系、化学系、土木・建築系に進んだ者の中では、本来は電気・電子系学科を希望していた比率が高い。化学系や土木・建築系への進学者については、機械系学科を第一志望としていた者も、電気・電子系に次いで一定の割合を占めている。電気・電子系への進学者の中では情報系への希望が強く、また実際に情報系に進学した者の中でも、同じ情報系に含まれる他の学科を志望していた比率が非常に高い。ここから、高専の学科の中に、まず情報系、次いで電気・電子系、機械系、そして他の学科という、人気のハイアラーキーが存在することが読みとれる。

(4) 中学3年次の学業成績

 中学3年生の進路を大きく左右するのは、言うまでもなく学業成績である。高専入学者の中3時の学業成績を、学年内における5段階の位置づけという形で回顧してもらった結果を図表5-10に示した。全体では「上位」と「中の上」がそれぞれ4割強で、ほぼ9割までがこの上位2段階に含まれている。高専入学者の「質の低下」がしばしば指摘されるが、入学者の実際の学業成績は、現在でも非常に優秀であると言える。しかも卒年別にみると、87年卒より94年卒の方が、わずかではあるがこれら上位2段階の比率が高まっている。この中3時学業成績にも、やはり進学先の高専学科によって違いがみられる。「上位」の比率がもっとも高いのは電気・電子系と情報系であり、先に見た学科の人気度と対応している。
図表5-10 中学3年時の学業成績
 受験の経緯別に見ると、「上位」の比率は中学教師に勧められた者がもっとも高く、次いで「自分自身で」受験を決めた者が高い。中学の教師は進路指導の際に、成績優秀者に高専という進路を勧める傾向があるようである。この点は、高専受験理由との関係にも表れている。中3時成績を「上位」=5点、「中の上」=4点…という形でスコア化した平均点を、受験理由の中で「中3時の成績が高専のレベルに合っていたから」という項目を選択した者としなかった者の間で比べてみると、この項目を選択した者では平均4.43点、選択しない者では平均4.29点と、前者の方が1%水準で有意に学業成績が高い。ここから、中学時の成績がより優秀な者において、高専が自らに「ふさわしい」進路先として選び取られる傾向があるといえる。

(5) 進路選択時の職業志望

 高専という進路や学科を選択した際に、将来の職業についてはどの程度考えられていたのだろうか。図表5-11をみると、全体の中では「特に将来の職業は考えていなかった」者が約半数を占めているが、「だいたいの方向は決めていた」者も4割以上に達しており、「はっきりした希望があった」者と合わせるとちょうど半数に当たる。職業について考えていなかった者と、漠然とでも考えていた者がほぼ半数ずつにわかれるという結果は、どのように評価されるべきだろうか。高専という高度に専門的な教育を施す教育機関に進学するに当たってその後の職業について考えていなかった者が半数に及ぶということからは、中学3年、15歳の時点でこのような選択を行わせることに無理があるという含意が得られる。しかし、他の半数の者は職業を念頭においた上で高専に進んでいるのであり、中学における進路指導や情報提供のあり方によって、職業に関する志望をもった上で進学する者の比重を増大させうる余地は十分あるとも考えられる。
図表5-11 進路選択時の職業志望
 属性別にみると、卒年による職業志望の違いはほとんどなく、性別では男子の方がやや明確な展望をもった上で高専に入学している。学科別では、特に航空・商船系における職業志望の強さが際立っている。航空・商船系は、「将来やりたいこと」を具体的に思い描いている者が主体的に選択することを特徴とする学科であるといえる。受験の経緯別にみると、「自分自身で」高専の受験を決めた者の中では、職業の志望をもっていた者が6割と多いのに対して、他者の勧めや影響で受験を決めた者の中では職業について考えていなかった者の比率が相対的に高い。
 また、職業志望の強さを、「はっきりした希望があった」=3点、「大体の方向は決めていた」=2点、「特に将来の職業は考えていなかった」=1点という形でスコア化し、高専受験理由との関係をみたものが図表5-12である。この図表には、1%水準で有意差が見いだされた項目のみを示した。「専門的知識の取得」「技術に興味があった」「大学に編入できる」などの入学理由に該当する者は、それぞれについて該当しない者と比べて、職業について考えていた度合いが有意に高い。それに対して、「中3時の成績が高専のレベルに合うから」という理由で高専の受験を決めた者は、そうでない者よりも職業志望が曖昧である。これまでの分析と合わせるならば、中3の夏以降になって教師の勧めにより成績と入試レベルとの対応に基づいて高専を決めた者は、高専の教育の中身や自分が将来何をしたいかなどを十分に考えずに高専に進学する傾向が強いといえる。このような過程で高専に進んだということが、個人にとってその後どのような意味をもってくるかについては、次節で検討することにする。
図表5-12 高専受験理由と職業志望

3. 進路選択過程がその後に及ぼす影響

 以上では、高専の入学に至る過程を多面的に検討してきた。志望順位や中3時の学業成績などからみて、高専は明確に積極的な意味合いをもつ進路先として受けとめられているといえる。しかし、受験の決定時期や経緯、職業展望などからは、高専という教育機関の特性や自分の職業志望、適性などを必ずしも十分に考慮せずに高専を選択した者も一部に存在することがうかがえる。
 本節では、このような高専入学時の進路選択過程が、高専入学後の教育への適応や高専卒業後の進路等にどのような影響を及ぼしているかについて検討しよう。

(1) 進路選択過程と高専教育への適応

 まず高専という進路を選択する際の自発性に関して、経緯と志望順位という2つの変数を組み合わせることにより、次のような類型を作成した。
 自発タイプ:「高専のパンフレットなどを見て自分自身で」高専の受験を決めた者(全体の33.2%)。
 非自発・納得タイプ:「自分自身で」以外の経緯で受験を決めたが、進学した高専・学科が第一志望であった者(全体の48.3%)。
 不本意タイプ:「自分自身で」以外の経緯で受験を決め、進学した高専・学科が第一志望ではなかった者(全体の12.2%)。
 この3タイプ別に、高専在学中の諸活動をどれだけ熱心に行ったかを集約した活動熱心度スコア(算出方法については第6章参照)の平均を示したものが、図表5-13である。この図表に明らかなように、高専在学時の諸活動における熱心さは、自発タイプ>非自発・納得タイプ>不本意タイプの順となっている(1%水準で有意差)。高専への入学を自発的に決めたかどうか、その決定に納得しているかどうかが、在学中の活動の活発さを大きく左右していることがわかる。この活動熱心度スコアは7つの活動項目に関する熱心度から構成されているが、この7項目の中でも、図表5-13でみた入学の自発性別の違いを特に大きく左右しているのは、「専門科目の実験・実習」における熱心度である。「専門科目の実験・実習」に対して「とても熱心にとりくんだ」者の比率は、自発タイプでは37.2%にのぼるのに対し、非自発・納得タイプでは31.0%、不本意タイプでは29.6%である。高専のカリキュラムの中で最も重要な柱ともいえる「専門科目の実験・実習」への取り組みに対して、入学の経緯が強い影響を及ぼしているといえる。
図表5-13 高専入学の自発性と高専在学時の諸活動の熱心さ
 また、図表5-14は、上記3タイプ別に、高専在学中に別の教育機関などへの進路変更を考えたことがあるかどうかを示したものである。進路変更を考えたことがある者の比率は不本意タイプで31.7%と最も多い。高専の受験を自分自身ではなく他者の勧めで決め、しかも本来は他の学校や高専・学科を第一志望としていた者は、高専に入学した後も、他の進路に移ることを考える傾向が強いことがわかる。
図表5-14 高専入学の自発性と高専在学時の進路変更希望
 以上は高専入学に際しての自発性の類型別の検討であるが、続いて高専受験を決めた理由による違いを検討しよう。図表5-15、図表5-16には、高専受験理由の各項目の該当者と非該当者の間に差が見られた結果を示した。高専在学時の活動の熱心さについては(図表5-15)、「専門的知識の取得」や「技術に興味」など、高専の教育内容に即した受験理由を選択していた者の方がそうでない者よりも熱心さが強くなっている。それと対照的に、「中3時の成績が高専のレベルに合う」という理由を挙げている者は、そうでない者よりも活動への取り組みが熱心でない。そして、高専在学時の進路変更希望については(図表5-16)、「技術に興味」という受験理由に該当する者では該当しない者よりも少ないのに対し、逆に「大学に編入できる」ことを受験理由としていた者はそうでない者よりも進路変更を考えた率が高い。前者は、高専を受験した理由と高専の教育内容が適合しているがゆえに、進路変更を考える度合いが少なかったものと思われる。後者は、大学への進学を第一目的としていたために、高専の第3学年を終えた時点で大学受験を考えた者が多いことを反映している。やはりここでも、受験理由と高専在学中の勉学生活や意識が密接に関係していることが表れている。
図表5-15 高専受験理由と高専在学時の諸活動の熱心さ
図表5-16 高専受験理由と高専在学時の進路変更希望
 そして、高専受験理由と高専第5学年時の学業成績との関係をみたものが図表5-17である。1%水準で有意差が見出されたのは「専門的知識の取得」「技術に興味」「大学に編入できる」という3項目であり、いずれも該当者の方が非該当者よりも高専最終学年における教育達成が高くなっている。「専門的知識の取得」「技術に興味」の2項目に関しては、興味・関心と教育内容の合致が、高い教育達成をもたらしたと考えられる。また「大学に編入できる」という項目に関しては、教育内容もさることながら、進学への志向が達成への動機付けとなっていると思われる。高専入学時と高専第5学年の間には5年間が経過しているが、諸活動への熱心さなどを経由しつつ、入学時の意識は5年という長い時間を超えて影響を及ぼし続けていることがわかる。なお、入学の自発性と高専5年時の学業成績との間には有意な連関はみられなかった。
図表5-17 高専受験理由と高専5学年時の学業成績

(2) 進路選択過程と高専卒業後の進路

 では、高専入学時の自発性や高専受験理由は、高専卒業後の進路や意識にも影響を及ぼしているのだろうか。まず、自発性の3タイプ別に高専卒業後の進路(就職/大学編入/専攻科進学/その他)の違いをみたところ、明確な違いは見出されなかった。しかし、高専受験理由との間には関連がみられた(図表5-18)。「就職が有利」という理由で高専を受験した者は8割以上が高専卒業後に就職しており、「大学に編入できる」という理由で高専を受験した者は約半数までが実際に大学に編入している。高専卒業後の特定の進路を念頭におきつつ高専に入学した者は、それを実現する度合いが高いといえる。
図表5-18 高専受験理由と高専卒業後の進路
 この点以外には、高専入学時の進路選択過程が、最初の勤務先企業規模や職種など卒業後の職業キャリアに関する客観的な指標に影響を及ぼしているという結果はみられない。しかし主観的な指標、すなわち高専入学から現在に至るまでの諸点に関する満足度に関しては、進路選択過程が影響している。図表5-19には、高専受験理由の項目への該当・非該当によって有意な差がみられた満足度項目のスコアを示した。やはりここでも、「専門的知識の取得」「技術に興味」など高専教育に適合的な理由で高専に入学した者は、そうでない者よりも全般的に満足度が高い。それに対して、「就職が有利」であるという理由で高専に入学した者は、そうでない者よりも、高専卒業後の進路選択や職業キャリアに対する満足度が低く、有利な就職をするという当初の期待が必ずしも満たされなかったことが表れている。また、「中3時の成績が高専のレベルに合う」という理由で高専に入学した者は、そうでない者よりも、その選択に満足している度合いが低い。「就職が有利」という実利的な理由、あるいは成績本意の振り分け的な理由で高専という進路を選んだ場合、そのようなプロセスは、個々人の人生の後々まで影を落とすことになるといえよう。中学3年生が高専という進路を選ぶ場合、高専の教育内容そのものに対して興味・関心や適性をもっていることが、あくまでも重要である。また、そのような選択を促すような中学の指導と高専に関する情報提供が必要とされる。
図表5-19 高専受験理由と満足度

4. まとめ

 本章の主な知見は、以下のようにまとめられる。
1) 高専という進路を選択する者の特徴として、中3時の学業成績が高いこと、また実際に入学した高専・学科を第一志望としている者の比率が高いこと、専門的知識の取得や技術への興味を理由としている者が過半数を占めていること、約半数は高専受験の時点で将来の職業を何らかの程度念頭においていることなどが挙げられる。これらの特徴は、高専という教育機関が、その特性を十分に認知した上で積極的に選択される進路であることを示している。しかし他方で、中学の教師や家族などの勧めにより、就職の有利さや、あるいは中3時の成績が高専のレベルに合致するという理由などで、受験の間際に近くなってから受験を決めている者も一部には存在する。すなわち、高専という進路の選択は全体としては適切な仕方で行われているが、中学段階での学校や家庭での指導の仕方において改善すべき点も残されている。
2) 高専の受験にあたって、どの程度自主的に、かつ納得の上で受験を決めたかということ、またどのような理由で高専を志望したかということが、高専在学中の諸活動への取り組みの活発さや進路変更への迷い、最終学年での教育達成などに影響を及ぼしている。さらに、入学時の動機は、高専卒業後の進路や、卒業後数年経った現時点で過去を振り返った上での満足度をも左右している。これら、在学中や卒業後の生活や意識において、高専教育に高い適合性を示すのは、高専入学時において、外在的・表面的な理由ではなく、高専の教育内容そのものへの自発的な興味・関心を示していた者である。
 以上の知見は今回の調査データの分析結果に基づくものであるが、その分析を補完する資料にも言及しておく必要があろう。
 その一つは、質問紙調査の自由記述の内容である。高専教育や高専卒業生のキャリアについて自由な意見を求めた結果(本報告書の巻末に付属資料Cとして掲載)の中には、高専入学時の進路選択に関して否定的な意見がしばしば見出された。いくつかの例を示そう。
 「中学3年の段階で、将来を決めるのは難しいと思う。方向を変えようとしても受験に対応した学習をしていないため、(特に文系の大学には行けず)、そのまま流れにのってだらだらと就職して中途半端な人生を送っている人は少なくないと思う。自分で何とかするしかないと思うが、方向転換を考えさせるのも若い学生に対しては、学校の重要な責務ではないか。自分もそういう意味で人生失敗したかなと思う一人です。(以下略)」<87年卒、男性>
 「中学在学時に既に将来の進路を設定するような形になるので入学してからも、将来について不安を感じたり、卒業して就職した後も不安を感じる人達が出てくるのではと感じる。(以下略)」<94年卒、男性>
 「中学校3年時に自分の将来を決定することは不可能。専門教育よりも幅広い教育をするべき。(以下略)」<87年卒、男性>
 またもう一つの資料は、高専を中退する者の存在である。今回の調査は高専卒業者を対象としているため、中退者の動向は把握できていないが、実際には高専中退者はかなりの比率にのぼっている。たとえば学校基本調査に基づいて、1990年における高専入学者と1995年における高専卒業者の人数を比較すると、前者は11,127人、後者は10,189人であり、その差は938名、すなわち当初の入学者の1割近くが高専を中退していることになる。彼らは、高専という進路に適合できずに、教育年限半ばで他の道を選択した人々であり、このような人々が無視できない比重で存在していることは、やはり「早期の進路選択」の問題点として重要である。
 これらの補足資料が示しているのは、高専入学前の中学時点の進路指導だけでなく、高専在学中に実際に進路の転換を無理なく行うことができる制度的柔軟性が必要であるということである。ただ、他の進路への転換をスムーズにするために、高専の教育内容の専門性そのものを薄めることは、高専の独自性をも失わせる結果になりかねない。高専教育の専門性を維持しつつ、それに適応できない者に対して値の進路への転換の可能性を保証するためには、たとえば進路転換者のための移行教育の場を設定するなどの工夫が必要とされるだろう。

〔参考文献〕
 近藤博之,1981,「高等専門学校の展開と技術者教育の今日的課題」『大阪大学教育社会学・教育計画論研究集録』第2号.
 葉柳 正,1973,「高専制度一〇年の成果と展望」『教育社会学研究』第28集.


第6章 高専在学中の学校生活

1. 本章の分析課題

 高専は、教育年限の面でも、教育内容の面でも、またそれ以外の教育環境の面でも、日本の他の学校教育機関と比べて非常に特色ある存在である。まず教育年限については、高専は後期中等教育と短期高等教育を一貫した形で行う唯一の5年制の教育機関であることは言うまでもない。15歳から20歳までを一つの教育機関の中で過ごすということは、一方ではじっくりと腰を据えて専門性を養うことに役立つ反面、他方で5年間の中頃に勉学の「中だるみ」をも生じさせるとも言われる。
 また教育内容に関しては、基礎的な一般教育と密度の高い専門教育とを両立させるために、低学年に一般教育の時間数を多く配分し、学年が上がるほど専門科目の比重が高まる「くさび形」のカリキュラムが提供されていることが特徴的である(注1)。そしてむろん、カリキュラム全体の中で専門科目の占める比率が、他の教育機関と比べて非常に高いことも高専の大きな特徴である。
 これらの諸点は、高専での学校生活に関して、さらにいくつかの固有な特徴を派生させていると思われる。たとえば、5年間という長期の教育年限に加えて、個々の高専の学生数が大学等と比べて少なく、さらには通常、各学科1学年1クラスで編成されており、クラス替えもないことから、交際範囲や人間関係が閉鎖的になりがちであるとも言われる。また、高専には専門教育のために、実習工場や実験室、コンピュータ室などが設置されているが、そのような物質的環境の整備の度合いも、教育の成果を大きく左右するだろう。さらに、教育内容の専門性の強さや水準の高さは、一部に「落ちこぼれ」る学生をも生み出しているかもしれない。
 このような様々な要素は、高専の学校生活の充実の度合いや教育成果と、不可分の関係にある。高専の教育内容は、それを学習する者にとって質的・量的にどれほど満足のゆくものであるのか。高専の学生は、フォーマルなカリキュラムだけでなく、課外活動など学校生活のインフォーマルな諸側面にも、どれほど積極的に関与しているのか。学校生活における個々の学生の活動状況は、高専での教育達成や、ひいては卒業後の進路などにどれほど影響しているのか。本章では、高専の学校生活をめぐるこれらの問いを、総合的に検討することを課題とする。
 また、近年社会的関心が高まりつつある、在学中の企業実習の実態と機能についても、高専での学校生活の一側面として、本章で検討を加えることにする。

2. 高専在学中の学校生活の概観

(1) 教育内容の量と質

 図表6-1は、高専の教育内容を5項目に分け、それぞれの量と質について、卒業生に評価してもらった結果である。「人文・社会系の一般教育」「専門科目の実験・実習」「卒業研究」の3項目について、時間数が少なすぎ、内容的に充実していないという回答の比率が相対的に高くなっている。中でも人文・社会系一般教育については、内容が充実していると答えた比率(9.0%)を、充実していないと答えた比率(34.9%)が大幅に上回っており、この点についての改善が求められている。
図表6-1 高専の教育内容の量と質に対する評価
 特に男子よりも女子において、人文・社会系一般教育が時間的に少なすぎるという回答が多く(男子31.8%、女子47.2%)、また内容的に充実していないという回答が多い(男子33.7%、女子44.7%)。これは、女子の方が男子よりも人文・社会系一般教育に熱心にとりくむ比率が高い(「とても熱心」+「やや熱心」の比率は男子29.1%、女子44.7%)ことと関係していると思われる。すなわち女子の方がこの種の学習に強い関心をもち、熱心であるがゆえに、その期待が充足されない不満が量や質への評価の低さとなって表れていると考えられる。
 また学科別にみた場合に特徴的なのは、航空・商船系の学科において、専門科目の実験・実習の時間数が少なすぎるという回答が45.5%と、他の学科では20~30%であるのと比べて突出して多いことである。高専の専門分野の中でも特に職業と直結している航空・商船系の学科では、現状以上に実践的な教育内容が求められているといえる。
 さらに、この教育内容の量と質への評価は、学生が高専卒業後にどのような進路を選ぶかによっても大きく左右される。図表6-2は、中でも差が顕著であった2項目について、高専卒業後の主な進路である就職者と大学編入者それぞれの結果を示したものである。人文・社会系一般教育に関しては、時間的に少なすぎ、内容的にも充実していないと感じている比率が就職者より大学編入者に多い。それに対して専門科目の実験・実習に関しては、時間数が少なすぎると感じる率は就職者の方が大学編入者よりも多く、内容的に充実していると感じる比率は就職者より大学編入者の方が多い。このように、大学編入者は人文・社会系の一般教育に不満を感じ、就職者は実験・実習に不満を感じる傾向がある。これは、各自の卒業後の進路にとって必要性が高い教育内容に関して、質的・量的な拡充の期待が強いことを意味している。
図表6-2 卒業後の進路別 高専の教育内容の量と質に対する評価
 なお、教育内容の質と量に関する評価には、卒年による差は小さい。

(2) 諸活動への取り組み

 では、学生自身は、高専教育の諸側面にどれほど熱心に取り組んでいるのだろうか。今回の調査では、(1)でみた5項目の教育内容に、「クラブやサークル等の活動」「学生自治会や寮運営の活動」という2つのカリキュラム外の活動項目を加え、それぞれに対する取り組みの熱心さをたずねている。その結果が図表6-3である。図表に明らかなように、「とても熱心」と「やや熱心」を合わせた比率は「専門科目の実験・実習」でもっとも多く約8割に達している。それに続いて「専門科目の座学」、「卒業研究」、「理科系の一般教育」の順に熱心さの度合いが高い。ここには、高専の学生がもっとも重視しているのが専門的な教育科目、特に実験・実習であることが、明確に表れている。熱心さの度合いが低いのは、「学生活動や寮運営の活動」および「人文・社会系の一般教育」である。
図表6-3 高専在学中の諸活動への取り組み
 この活動の熱心さについては、いくつかの項目で卒年によって1%水準で有意な差が表れている(図表6-4)。人文・社会系一般教育に関しては、87年卒よりも94年卒の方がむしろやや取り組みの熱心さが増しているのに対し、2つのカリキュラム外活動に関しては、87年卒と比べて94年卒の方が熱心でなくなっている。この二点のうち前者に関しては、女子や大学編入者の増加が関係していると思われる。また後者に関しては、学生にとって高専が、フォーマルなカリキュラム以外でも全人格的に深く関与する場としての性格を弱めていることがうかがわれる。
図表6-4 卒年別 活動への取り組みの熱心さ
 そして、活動の熱心さには、やはり高専卒業後にどのような進路を選ぶかによって違いがある。図表6-5には進路別に1%水準で有意差がみられた項目を示したが、これをみると、一般教育のみならず、専門教育の実験・実習や卒業研究などに関しても、大学編入者が就職者に比べて熱心に取り組んでいることがわかる。大学編入者は、高専における教育内容を十分身につけていることが、高専卒業後さらに進学して勉学を続ける上で重要と感じており、それに向けて努力していることがうかがえる。
図表6-5 卒業後の進路別 活動への取り組みの熱心さ
 また、先に見た教育内容の質と量への評価と、取り組みの熱心さとの関係を検討すると、全般的に、個々の項目への取り組みが熱心である者ほど、その項目が内容的には充実しているが、時間的には少なすぎると感じる傾向が見出された。
 では、個々の活動の熱心さ相互の間にはどのような関係があるだろうか。図表6-6は、各活動の熱心さを、「とても熱心」=4点、「やや熱心」=3点、「あまり熱心でない」=2点、「全然熱心でない」=1点という形でスコア化し、項目間の相関係数を算出した結果である。人文・社会系一般教育と実験・実習や卒業研究との間、あるいは一般教育や座学とクラブ・サークル活動との間など、相関が比較的弱い対も見出されるが、全体として有意に正の相関が見出される。特に、理科系一般教育と専門科目、卒業研究の間には、取り組みの熱心さの相関が高い(注2)。このように、諸活動の熱心さは相互にあい反する性格のものではなく、連動し合っていることがわかる。そこでここでは、7つの活動項目の熱心さに関するスコアの平均値を「活動熱心度スコア」という新変数として、他の分析でも適宜用いることにする。
図表6-6 各活動の熱心さ間の相関係数

(3) 学校生活の諸側面

 では続いて、これら以外の学校生活の様々な側面についても、学生がどのように捉えていたかをみてみよう。図表6-7は、従来高専について指摘されてきたいくつかの点について、意見をたずねた結果である。9割近くともっとも多くの者が肯定しているのは、「受験勉強がないためのびのびと学校生活を送れた」という、ポジティブな内容の項目である。18歳時の大学受験に直面せずにすむことが、学校生活にゆとりをもたらしていることがうかがえる。しかしそれに次いで多くの者が肯定しているのは、「交際範囲が狭く閉ざされていた」「5年間のあいだに学業に中だるみが生じた」という、中卒後5年間の教育機関に伴うネガティブな側面、あるいは「設備や機器が古く、数も少ない」という、施設設備上の問題点である。技術系専門教育に不可欠な施設設備の不十分さを6割近くの者が指摘していることは問題であり、改善が期待される。また、肯定の度合いが少ないのは、「きめ細かい個人指導を受けられた」「過密な詰め込み教育が行われた」という教育指導上の項目である。高専の教育内容の密度が高すぎることへの懸念はそれほど必要なく、むしろ教授と学生との指導上のコミュニケーションの密度を高めることが必要であることが示唆されている。
図表6-7 学校生活の諸側面に対する評価
 これらの項目の中で、卒年によって有意差が見出されたものを図表6-8に示した。94年卒は87年卒と比べて、「受験勉強がないためのびのびと学生生活を送れた」という項目への肯定が増加しているが、同時に「5年間のあいだに学業に中だるみが生じた」という項目についても肯定の度合いが高まっている。「のびのび」と表裏一体の「中だるみ」傾向が、後の世代ほど強まっているおそれがある。
図表6-8 卒年別 学校生活の諸側面に対する評価
 また学科別では、「設備や機器が古く、数も少ない」という項目について、「そう思う」と「ややそう思う」を合わせた比率が情報系のみ約4割と、他の学科が6割前後であるのに比べて少ない。これは、情報系学科には新設の場合が多く、施設設備がまだ新しいことを反映していると思われる。
 そして卒業後の進路によっても、学校生活には違いがみられる(図表6-9)。高専卒業後に就職した者に比べ、大学に編入した者の中では、「中だるみ」の比率は少なく、代わりに「きめ細かい個人指導を受けられた」という比率が非常に多くなっている。大学への編入を希望する学生に対しては、教授が個別的に綿密な指導を行っていることが推察されるが、そのような指導が就職者に対しても行われることが本来は望ましいといえよう。
図表6-9 卒業後の進路別 学校生活の諸側面に対する評価

(4) 留年と進路変更希望

 高専では教育内容の専門性や水準が高いため、在学中にそのような教育内容についていけなくなったり、自分が向いていないと感じたりする者も出てくる可能性は大きい。この点を検討するため、まず在学中の留年経験についてみると、全サンプル2019人のうち、高専在学中に留年経験があるのは65人(3.2%)である。そのうち20名はどの学年で留年したかについては無回答であるが、それ以外の18名は第4学年で、14名は第3学年で留年している。今回のデータから見る限り、高専における留年率は大きくなく、もし留年するとすれば4年ないし3年が多いといえる。
 他方で高専では、在学中に進路変更を考えた者が、全体の25.1%存在している。この率には卒年による有意差はないが、性別および学科別に違いが見られる(図表6-10)。進路変更を考える者は女子で多く、学科では航空・商船系や情報系、科学系に多い。
図表6-10 性別・学科別 進路変更を考えた比率
 その進路変更をいつ頃考えたのか、そしてどのような進路変更先を考えたのかを、図表6-11および図表6-12に示した。時期については、半数近くが第3学年に他の進路を考えており、これには卒年、性別、学科等による有意差はみられない。考えた進路変更先は、約半数が大学である。
図表6-11 進路変更を考えた学年
図表6-12 考えた進路変更先
 図表6-13は、進路変更を考えた時期別の、考えた変更先である。高専の第1学年で進路変更を考えた場合、念頭に浮かぶ変更先は6割以上が普通高校である。この普通高校の比率は第2学年では3割以下に減少し、それ以降では非常に少なくなる。逆に大学という進路変更先を考えた比率は、学年が上がるに従って増大している。また、第3学年、第4学年では、就職や専修・各種学校という選択肢も一定の比率を占めている。高専第3学年の修了は、高校卒業と同年齢に当たることから、この時期に一般の高卒者と同様の進路に移ることを考える者が多くなっていると推測される。
図表6-13 進路変更を考えた学年と変更先の関係
 また図表6-14には、性別および卒業後の進路別に、考えた進路変更先を示した。女子は男子に比べて大学や就職の比率が小さく、代わりに専修・各種学校を考えた場合が約2割に達している。また卒業後の実際の進路別にみると、就職者では大学を考えた比率が少なく、就職ないし専修・各種学校を考えた比率が多いのに対し、大学編入者では大学および普通高校の比率が高くなっている。これは、就職あるいは大学編入の志望が早くから明確である者の中に、高専卒業を待たずに第3学年修了などの時点で、志望する進路に進むことを考えるケースがあることを表している。
図表6-14 性別・卒業後の進路別 考えた進路変更先
 今回の調査は高専卒業者を対象としているため、データに表れる人々は、実際に進路変更をするには至っていない。しかし第5章でも触れたように、高専では5年間に中退する者が約1割存在している。そして実際には行動に移さない学生の中にも、進路の転換をめぐる心の揺れがあることを踏まえて、必要な場合には進路変更を支援するような方策も必要であると思われる。

(5) 高専第5学年時の成績

 個々の学生の高専教育への適応や教育達成の度合いは、最終学年における学業成績に集約されていると考えてよいだろう。図表6-15は、高専第5学年時の学業成績を、学科内での5段階の位置づけという形で回顧してもらった結果である。高専入学者の中学3年時の成績は「上位」と「中の上」に集中していた(第5章参照)のに対して、高専5年時の成績は上位から下位までかなり分散している。これは学業成績を集団内の相対評価の形で答えてもらったことから生じる結果であり、回答結果が実際の成績を代替的に表す指標として信頼に足る指標であることを示している。
図表6-15 高専第5学年時の学業成績
 この学業成績の分布には、卒年や性別、学科による有意差は見られないが、卒業後の進路によって顕著な差が生じている(図表6-16)。就職者の中では学業成績が均等に分散しているのに対し、大学編入者の中では6割以上が成績上位に集中している。高専在学中の高い教育達成と、さらなる進学の間に密接な結びつきがあることが示されている。
図表6-16 卒業後の進路別 高専第5学年の学業成績
 この高専5学年時の学業成績がいかなる要因によって規定されるかについては、次の第3節で改めて検討しよう。

3. 学校生活と高専への適応

 すでに第5章では、「専門的知識の取得」「技術に興味」「大学に編入できる」などを理由として高専に入学した者において、高専第5学年時の学業成績が高いことを指摘した。本節では、高専在学中の学校生活に関する諸変数と、高専における最終的な教育達成との関係を中心に検討しよう。
 図表6-17は、在学中の諸活動への取り組みの熱心さと留年経験、在学中に進路変更を考えたことを説明変数、高専第5学年時の学業成績を被説明変数とする重回帰分析の結果である。「専門科目の実験・実習」の熱心さと、進路変更を考えた経験を除く、すべての説明変数が最終学年時の成績に有意な影響を及ぼしている。そして留年経験と「学生自治会や寮運営の活動」以外は、すべて正の影響である。中でも、「専門科目の座学」への取り組みの熱心さが、高専5年時の成績を強く規定している。実験・実習の影響力が弱いのは、先に見たように実験・実習への取り組みは全般的に熱心さの度合いが高く、分散が小さいことと関係していると思われる。専門科目の座学に次いで、理科系の一般教育の規定力も大きく、これら理論的な勉強にどれほど熱心に取り組んだかということが、最高学年での学業成績に反映されているといえる。留年者において学業成績が低いのは、やはり高専の教育内容の水準についていけない者が留年する傾向があることを意味している。また、進路変更を考えたことと学業成績との間には明確な関係がなく、他の進路への迷いは必ずしも教育達成の低さと直結していないということがわかる。
図表6-17 高専第5学年時の学業成績に関する重回帰分析結果(学校生活モデル)
 図表6-17は、高専在学中の学校生活に関わる変数のみを説明変数としたモデル(「学校生活モデル」)であった。それに加えて、高専入学前の経緯や高専卒業後の進路に関する変数をも説明変数として投入した「拡張モデル」により、同じく重回帰分析を行った結果を、図表6-18に示した。学校生活モデルと同じ変数に関しては、拡張モデルでも同様の結果が表れている。それ以外の説明変数の中では、まず高専卒業後の進路が大学編入であることの影響が顕著に大きい(卒業後の進路は高専5年時の成績よりも時間的に後に位置する変数であるが、進学することの意思決定そのものは高専最終学年の成績が明らかになる前に行われていると考えられるため、説明変数として用いてよいと判断した)。前節の(5)で述べたように、大学編入者の中には高専5年時成績上位者が占める比率が非常に高い。このような成績と進学との結びつきは、大学への編入を志望する者が努力して学業成績を向上させることの結果なのか、それとも逆に、成績が優れた者の中から事後的に大学編入へと動機付けられる者が出てくることの結果なのかを厳密に明らかにすることまでは、ここでの分析ではできていない。ただ、第8章の分析では、高専入学後数年してから大学編入を決意する者がかなり多いことが見出されている。いずれにせよ、高専での学業成績と進学との間に密接な関連があることは確かである。
図表6-18 高専第5学年時の学業成績に関する重回帰分析結果(拡張モデル)
 また、中学3年時の学業成績と高専5年時のそれとの間にも関連が見出される。さらに、「専門的知識の取得」を高専受験理由としていることが高専5年時の成績に正の影響を及ぼしており、第5章の分析結果が再確認されたが、高専在学中の学校生活に関する諸変数をコントロールした上でもその固有の影響力が存続しているということが、ここでの新しい知見である。さらに、「学費が安い」ために高専を受験した場合に、高専5年時の成績は低下するという傾向が、弱い連関ではあるが表れている。やはり、教育内容そのものへの関心で高専を選ぶ場合には最終的な教育達成が高くなるが、それ以外の外面的な理由で高専に進んだ場合、結局は教育内容を十分身につけられない結果に終わるということが示唆されている。

4. 学校生活と高専卒業後の進路

 では続いて、高専在学中の学校生活のあり方が、高専卒業後の動向にいかなる影響を及ぼしているかについても検討してみよう。すでに本章第2節でみたように、卒業後に就職した者と大学に編入した者との間では、学校生活の諸活動の熱心さや、高専5年時の学業成績に違いがあり、就職か、進学かという進路分化に関しては、これら在学中の諸変数が影響している。この進路分化を規定する要因に関しては、第8章でも改めて検討を加えるので、本節では、就職者内部、大学編入者内部における分化に対する学校生活の影響に限定した試論的な分析を行う。
 まず図表6-19は、高専卒業後に就職した者に関して、最初の就職先の従業員数を被説明変数、学校生活の諸側面を説明変数とする重回帰分析を行った結果である。就職先規模に対してもっとも強い影響を及ぼしているのは、やはり高専5年時成績である。それ以外の変数では、「クラブやサークル等の活動」および「理科系の一般教育」の熱心度が正の影響を、また「人文・社会系の一般教育」の熱心度と進路変更希望が負の影響を及ぼしている。すなわち、5年時成績が高い者ほど、そして理科系の一般教育に力を入れ、サークル等でも活発に活動した者ほど大企業に就職する傾向があり、逆に人文・社会系一般教育に関心が強かったり、在学中に他の進路への転換を迷ったりした者は、就職先規模が小さくなる傾向がある。ただ、ここでのモデルは学校生活の諸側面のみを説明変数としており、他の属性や変数を捨象しているため、就職先規模の決定要因に関しては、より総合的な分析が必要とされる。それについては第7章を参照されたい。
図表6-19 就職先企業規模に関する重回帰分析結果
 就職者について、就職先の規模以外に、最初に就いた職種が技術職か否かを被説明変数とする検討も行ったが、これに関しては学校生活の影響はみられなかった。
 上記のように、就職者の内部が、在学中の諸活動の熱心さや教育達成によってさらに分化していることが見出された。では、大学編入者の内部分化についてはどうだろうか。これについても詳しくは第8章で検討するので、ここでは在学中の活動熱心度や高専5年時の成績が、編入先の大学タイプとどのように関係しているかを概観するに留めておく。図表6-20には、編入先大学タイプ(分類の仕方については第8章参照)によって1%水準で差が見られた変数を示した。まず高専5年時成績(5段階評価)は、「旧帝大」編入者で最も高く、それに「工業系単科大」(ここには水産、商船等も含む)、「技術科学大」、「私立大」、「他の国公立大」、「その他」の順で続く。ほぼ同様の順位構造が、「理科系の一般教育」と「専門教育の座学」の熱心度についても当てはまるが、「専門科目の実験・実習」の熱心度については、むしろ「旧帝大」編入者では低く、「工業系単科大」や「技術科学大学」など、工業技術関連の教育に特化した大学への編入者で高い。このように、総合的な学業成績や、高専のカリキュラムの中でも理論的な部分への取り組みの熱心さは、社会一般での威信の高い大学への編入に結びつきがちであるが、高専のカリキュラムの中でも実践的性格の強い実験・実習に熱心に取り組んだ者は、技術科学大や工業大学などに編入する傾向がある。やはり大学編入者の内部分化に対しても、学校生活や教育達成が影響しているといえる。
図表6-20 編入先大学タイプ別 活動熱心度と高専5年次成績
 本節の締めくくりとして、卒業後に就職した者と大学に編入した者とを一括し、卒業後の就業キャリアへの満足度と学校生活との関係についてみておこう(図表6-21)。職業キャリア満足度に影響している変数は、「高専5年時成績」と、「専門科目の実験・実習」および「学生自治会や寮運営の活動」の熱心度である。高専卒業後の職業キャリア全般への満足という面についても、高専における教育達成が影響している。そしてこの点については、理論的な教育内容への取り組みはあまり関係しておらず、実験・実習や学生活動など、学校生活における行動面での活発さがむしろ影響している。ただ、この満足度は主観的な変数であり、しかもここでは具体的にどのような職業キャリアを歩んだかに関する変数などは捨象している。卒業後のキャリアに関するより詳しい分析は第I部、また満足度に関しては第9章も参照されたい。
図表6-21 職業キャリア満足度に関する重回帰分析結果

5. 企業実習の実態と機能

 近年、大学生のインターンシップが関心を集めているが、高専ではそれ以前から企業実習が広範に実施されている。高専での企業実習の実態と機能について報告しておくことは、今後インターンシップを実施しようとする他の教育機関にとっても参考となるだろう。
 企業実習に関する基礎的なデータを、図表6-22に示した。調査対象者全体の54%が企業実習を経験しており、その比率は87年卒より94年卒で増大している。企業実習が行われる学年は第4学年が多く、94年卒ではこの学年にいっそう集中している。企業実習の月は8月ないし7月が多く、夏休み中に実施される場合が多いようである。日数にはかなりばらつきがあり、経験者全体の中では10日以下が34%を占めるのに対して、20日以上の場合も21%存在している。卒年で比較すると、94年卒の方が20日以上の比率が減り、10日以下および11~19日の比率がいずれも増加している。実習先は、従業員数1,000人以上の民間企業が約半数を占めており、これには卒年による違いはあまりない。実習期間中には、交通費以外に報酬が払われるケースが8割以上に達している。実習内容と専攻分野の適合性は、「よく合致」している場合が35%、「少し合致」している場合が48%で、合わせて8割以上は何らかの程度合致していると答えている。また企業実習の役立ち方としては、75%ともっとも多くの者が挙げているのが「仕事の現場を体験するために役立った」という点である。それに続いて、「職業選択に役立った」は29%、「専門知識を深めるために役立った」は22%の者が挙げている。「実習先への就職につながった」ケースは4%と少ない。
図表6-22 企業実習の実態
 卒年以外の変数との関係もみてみよう。まず企業実習の経験率には、性別、学科別および高専の所在地域別に違いが見られる(図表6-23)。経験率は女子の方が男子よりも1割程度多い。またこの点と関係していると思われるが、情報系および電気・電子系で経験率が高くなっており、逆に航空・商船系では目立って少ない。情報系や電気・電子系など、比較的新しい分野の学科において企業実習が積極的に行われているようである。また地域別では、関東や近畿など大都市圏では企業実習経験率が2~3割と少ないのに対し、その他の地域では6~7割と多くなっている。このような現象の背景については今回の調査では十分に明らかにできないが、地域差そのものが知見として重要である。
図表6-23 性別・学科別・地域別 企業実習経験率
 また企業実習の中身に関しては、航空・商船系および土木・建築系で、それぞれ固有の特徴が見出される(図表は省略)。たとえば企業実習が実施される学年は、他の学科では大半が第4学年であるのに対して、航空・商船系では73.7%までが第5学年である。これは、商船高専では教育年限が5年6ヶ月であることと関係していると思われる。また、同じく航空・商船系では、企業実習の7月・8月への集中は見られず、9月や3月・4月にも各1~2割が分散している。他方で、土木・建築系に特徴的なのは実習先であり、この学科では民間の大企業、特に従業員5,000人以上の企業における実習が他の学科と比べて少ない代わりに、官公庁などで実習を行う場合が約3割を占めている。そして土木・建築系では実習中に報酬を得る比率が9割以上で他の学科より1割程度多い。逆に航空・商船系では報酬を得る比率は63%と少なく、交通費のみの場合が26%となっている。
 図表6-24には、上記以外の点で学科別に違いがみられた変数を示した。まず企業実習の日数については、20日以上と比較的長期に及ぶケースが航空・商船系では68%、土木・建築系では54%と、他の学科より顕著に多い。逆に情報系では、10日以下の短期間の実習が過半数を占めている。また、実習内容と専攻分野の合致度に関しては、やはり航空・商船系と土木・建築系で「よく合致」の比率が目立って高く、企業実習が「職業選択に役立った」と答えた比率もこの両学科で高い。こうしてみると、航空・商船系および土木・建築系では、企業実習の経験率そのものは他学科と比べて高くはないが、実施された場合には質・量ともに充実しており、有効性も高いようである。
図表6-24 学科別 企業実習の実態
 卒業後の進路別にも検討を行ったが、企業実習の経験率やその内容などに関しては、就職か大学編入かによる違いはほとんどみられなかった。言い換えれば、大学に編入する者も、就職する者と同様に企業実習を経験していることになる。進路による違いがみられたのは、役立ち方の中の「その後の勉強の動機づけになった」という項目である。この項目を挙げた者は就職者の中では9.2%にすぎないのに対し、大学編入者の中では21.2%までが挙げている。企業実習は、高専卒業後すぐに就職せずさらに大学に進む者にとっても、学習の内容が実際の仕事場面でどのように生かされるかを体験することにより、勉学意欲を高める効果があるといえる。

6. まとめ

 本章の知見を、以下に改めて整理しておこう。
1) 高専の教育内容の中では、人文・社会系の一般教育が、量的にも少なすぎ、内容的にも充実していないという声が強い。このような不満は、女子や大学編入者の間で特に大きい。逆に就職者の間では、専門科目の実験・実習が少なすぎたという意見が多い。
 2) 高専の学生は全般的に、専門科目、特に実験・実習に非常に熱心に取り組む傾向がみられる。他方で人文・社会系の一般教育や、学生自治会などインフォーマルな学校生活への積極性は低く、特に二時点間で比較すると、後者はいっそう低下している。卒業後大学に編入した者は、教育内容の諸側面に熱心に取り組む傾向がある。
 3) 高専の長所として、大学受験を気にせずのびのびと学校生活を送れるということを大半の者が挙げているが、同時に、交際範囲の狭さ、学業の中だるみ、施設設備の不備を指摘する声も過半数に達している。特に「のびのび」と「中だるみ」は、いずれも後の世代で増加している。大学編入者は、中だるみが少なく、個人指導を受ける機会にも恵まれているという点で、より良好な学校生活を送っている。
 4) 高専在学中に留年する比率は小さいが、学生の4人に1人は、主に高専の第3学年頃に、進路の変更を考えた経験がある。低学年では普通高校への転校を考える者が多く、学年が上がるに従って大学に移ることを考える者が増えており、これら同年代の若者にとって「一般的な」進路への変更に、高専学生の一部は誘引を感じている。
 5) 高専在学中の教育達成の度合いを示す指標である第5学年時の学業成績は、教育内容への取り組みの熱心さによって左右される。そして大学編入者の中には、高専5年時の学業成績が高い者が非常に多い。高専5年時の成績に対しては、在学中の学校生活だけでなく、高専入学の動機や中学時の成績も影響を及ぼしている。
 6) 学校生活への取り組みの熱心さや教育達成は、就職か大学編入かという進路分化だけでなく、就職者の内部での就職先企業規模、大学編入者の内部での編入先大学類型などの分化をも規定している。
 7) 高専では半数以上の学生が企業実習を経験しており、しかも二時点間で比較すると増加傾向にある。実習の経験率は情報系など新しいタイプの学科で高いが、実習の量的質的充実度は、むしろ航空・商船系や土木・建築系など伝統的な一部の学科で高い傾向がある。
 以上の知見から得られるインプリケーションとして、次の諸点が挙げられよう。
 第一に、高専のカリキュラムを再検討する必要性である。高専のカリキュラムの根幹をなす専門教育に関しては、全般的に学生からの評価が高く、取り組みも熱心であるが、人文・社会系の一般教育や卒業研究には、量的・質的に改善の余地があると思われる。「くさび型」のカリキュラムには、一般教育から専門教育に徐々に移行するという点で長所も大きいと思われる。しかし高学年では、一般教育、特に人文・社会系の科目の時間数は非常に少なくなっており、学生にとって興味関心を向けにくくなっている面もあると思われる。内容的にも、専門教育との関連を深くし、科学技術の歴史や社会的意味を考えさせる内容をより多く導入するなど、工夫の余地があるのではないだろうか。
 この点に関しては、本報告書の巻末に付属資料Cとして掲載した自由記述の中に、関連する指摘が多数見出されるので、一部の例を以下に提示しておこう。
 「低学年時に一般教養、高学年になるにつれ専門というカリキュラムが極端すぎると思う。もっと平滑化して、同じくらいの配分にした方がよいと思う。」<94年卒、男性>
 「技術教育はもちろん大切であるが、経済・政治や歴史等を学び、社会的に見た自分の立場や位置がある程度理解でき、それをもとに自分のライフスタイルや、ライフワークが確立できるように教育してもらいたかったし、今後はこのように対処してもらいたい」<87年卒、男性>
 高専教育は一般教養や語学の教育の点で問題があるという指摘は早くからなされているが(葉柳 1973)、今なお同じ課題が存続しているといえる。
 また5学年を通したカリキュラムの構造全体の改革は、「中だるみ」問題の改善にもつながると思われる。
 第二に、フォーマルなカリキュラム以外の側面を含む、学校生活全体のアメニティを高めると同時に、それを外部にアピールし、高専そのもののイメージを高めることの必要性である。「高専は田舎につくりすぎ、外の世界が見えない。閉鎖的、世間知らずになりがち。」<94年卒、男子>という自由記述にみられるように、高専には閉ざされて地味な教育機関という印象が伴っている。このようなイメージは、卒業生に対する企業からの評価、あるいはこれから進路選択を行う中学生の意識に対して、ネガティブな方向に働くおそれがある。この点を改善するには、クラスなど学生の組織編成の方法、外部の教育機関やいろいろな組織との交流、物質的条件の向上など、多様な側面からの方策が求められる。
 第三点目は、高専の学生内部の多様性の問題である。今回の分析では、卒業後に大学編入する者と就職する者との間に、学校生活に関する様々な点で違いがみられた。特に、カリキュラムに対する評価では、一般教育を志向するか実践的な実験・実習を重視するかに関して両者の間で相反する反応が見出された。自由記述の中にも、「大学への編入用のコースを開設すべき。他の就職者と進学者では、目的意識が違いすぎる。」<94年卒、男子>との指摘が見出される。進路別のコース分けの是非についてはより詳しい検討が必要であるが、学生の内部に分化が生じており、それぞれに異なった学習ニーズ等が発生していること自体は否定しがたい事実である。この点について、高専としての何らかの組織的対応が必要な段階に来ているのではないかと思われる。
 第四に、進路の転換に関する制度的柔軟性や組織的支援の必要性である。以下に示すような切実な意見に対して、有効な方策が講じられるべきであろう。
 「高専在学中に進路への迷いが生じた場合、その学生にもっと学校側が進学、就職への情報提供を活発に行って欲しい。」<87年卒、男子>
 「3年次修了の時点での進路変更が容易になるようにカリキュラムを組んでほしかった。入学時にすでに、自分はこの学校に向いていないことがわかったが、とりあえず卒業するほか道がなかった。浪人できなかったので、就職したが、ずっと大学で別の分野の勉強をしたいと思い続けていた。幸いにも、25歳で大学に編入学、その後修士まで進んだが、ずいぶん回り道したように感じる。」<87年卒、女子>
 最後に、企業実習の意義についても触れておきたい。高専学生の企業実習経験率は非常に高く、専攻分野との適合性もかなり高い上に、仕事現場を実際に体験する上で役立っているようである。特に高専のように専門性が高い教育機関の場合、職業の場と教育との有機的な統合が重要となるため、この企業実習が全体として有効に機能していることは注目される。
 なお、企業実習が具体的にどのような手続やプロセスで行われているかについて、巻末に付属資料Dとして掲載したヒアリング記録の中で若干の言及があるので参照されたい。しかし、企業側が実習学生にどのように対処しているかなど、詳しい点までは今回の調査では明らかにできていないので、別途さらなる検討が必要とされる。


(1) 高専における学年別科目構成の例としては、沖津(1997)、33頁を参照。
(2) 高専在学中の学業成績をデータとして、教育内容間の有機的統合の度合いを検討した沖津(1997)も、文科系一般教育と専門教育の統合性は弱いが、理科系一般教育と専門教育の統合性は強いことを見出している。

〔参考文献〕
 沖津由紀,1997,「工業高等専門学校における学業成績の類型と進路」『日本労働研究雑誌』No.444.
 葉柳 正,1973,「高専制度一○年の成果と展望」『教育社会学研究』第28集.


第7章 高専における就職先決定過程

1. 本章の分析課題

 今回の調査対象者全体の74.9%は、高専卒業後に就職している。図表7-1に示した通り、94年卒の就職率は87年卒よりも17.5%低下しており、性別では男子よりも女子でやや高く、学科別では化学系でやや低く、航空・商船系で高い。
図表7-1 卒年別・性別・学科別 就職率
 このように卒年や性別、学科などにより就職率にはやや違いがあるものの、やはり高専の学生の大半は、卒業後に就職という道を選んでいる。では、彼らはどのようなプロセスを経て就職してゆくのだろうか。高専卒業者の就職先はどのようにして決まるのだろうか。新規学卒者の就職-採用プロセスに関して、高校や大学については研究が蓄積されているが、高専からの就職プロセスについての研究はほとんど皆無といってよい。それゆえ、高専からの就職が、他のいずれの教育機関と類似しているのか、それとも固有の特徴をもつのか、それは職業キャリアにどのような帰結をもたらしているのかなどの問いについて、取り組む必要があると考える。今回の調査では、就職プロセスに関する質問は限られた数しか設定できなかったが、以下の第2節ではそこからわかる範囲で、高専からの就職プロセスの特質を検討してみたい。
 また、続く第3節では、就職プロセスと就職の結果についても分析を試みる。その際に、単に就職プロセスだけでなく、高専への入学経緯や高専在学中の活動など、過去に遡った変数をも考慮に入れ、それらの総合的な影響力を検討する。その理由は、すでに第5章、第6章でみてきたように、高専入学前に始まる一連の過程は、時間的に後に位置する諸変数に対して、かなり強い影響を及ぼしているからである。就職結果としては、就職先規模、職種、転職を取り上げる。

2. 高専における就職プロセス

(1) 就職および就職先の決定時期

 高専卒業後に就職することそのものについての意思決定はいつ頃なされているのだろうか。就職者全体でみると、39.8%は高専入学以前に就職を決意しているが、高専第4学年時に決めた者が19.6%、第5学年時に決めた者が28.0%おり、これら高専の高学年になってから就職することを決心した者も合計47.6%に達している。高専の第1学年から第3学年までの間に決めた者は、合計しても9.2%にすぎない。すなわち、就職についての意志決定は、高専入学前という早い時期になされる場合と、高専卒業が近くなってからなされる場合とに二極分化しているといえる。
 属性別の就職決定時期の分布をみると(図表7-2)、高専入学前にすでに決めていた比率は、94年卒より87年卒、男子より女子、航空・商船系など、就職率そのものが高いグループで多くなっている。また、高専5年時の成績別にみると、成績が高い者ほど就職することを決めた時期が遅くなっており、逆に成績が低い者は高専入学前や高専第1~第3学年など比較的早い時期に決めた率が高い。これは、成績が高い者は大学に編入することも可能であるため、就職の決心が遅れることを意味していると思われる。このことへの傍証となるのは、高専入学動機として「大学に編入できるから」という項目を選択している比率が、高専入学前に就職を決めていた者の中では1.7%にすぎないのに対し、高専4年になってから就職を決めた者の中では17.8%、高専5年になってから就職を決めた者の中では14.6%に達していることである。
図表7-2 卒年別・性別・学科別・高専5年次成績別 就職決定時期
 ここで皮肉なのは、就職決定時期別に就職先規模をみると、決定時期が遅いほど大企業に就職する可能性が高いという結果がみられることである。これは上述のように、成績が高い者ほど就職の決断が遅れ、かつ成績が高い者ほど就職先規模が大きくなることの結果であり、成績をコントロールすると、就職決定時期そのものの効果は消滅する。
 さてそれでは、具体的な就職先の希望はいつ頃決まってゆくのだろうか。図表7-3にみられるように、就職先の希望は、高専第5学年の4月頃から7月頃にかけて急速に決まっている。卒年別に比較すると、87年卒よりも94年卒の方が就職先希望の決定時期が早まっている(図表7-4)。また、学科別では、航空・商船系および土木・建築系において就職先決定が遅れ気味である(図表7-5)。なお、性別による違いはみられない。このような具体的な就職先希望の決定は、学校が組織的に行う就職指導・斡旋プロセスや、企業の採用活動とも連動しているはずである。これらの外的な働きかけを受けつつ、個々人の就職先希望は高専第5学年の春から初夏にかけて一気に具体化してゆくといえる。
図表7-3 具体的就職先の決定時期
図表7-4 卒年別 具体的就職先の決定時期
図表7-5 学科別 具体的就職先の決定時期

(2) 就職理由

 高専卒業後に就職した者は、どのような理由でそうしたのかをみてみよう。多くの者が挙げているのは、「経済的に自立したかったから」(59.4%)、「勉強よりも実際の仕事に関心があったから」(55.3%)など、仕事に就くことへの積極的な理由付けであるが、「進学するには成績が十分でなかったから」という消極的な理由も40.4%の者が挙げている(図表7-6)。卒年で比較すると、「経済的自立」という理由は87年卒より94年卒で約10%減少し、逆に「進学には成績が不十分」「進学より高専卒の方がよい就職先がある」など、進学の可能性やその得失に関する理由は94年卒の方が10%以上多い。高専の学生の間で、進学(大学編入)が意識される度合いが増大していることを示す結果である。
図表7-6 就職理由(複数回答)
 この就職理由については、学科や性別によって統計的に有意な差はみられないが、就職することを決めた時期や、高専5年時の成績に応じていくつかの項目で差がみられた。その結果を示したのが図表7-7および7-8である。就職決定時期別にみると(図表7-7)、高専入学前にすでに就職を決意していた者の中では、「経済的自立」や「実際の仕事に関心」など積極的な理由が多く、「進学には成績が不十分」という消極的な理由が少ないのに対し、高専の高学年、特に第5学年になってから就職を決めた者の間では逆の結果がみられる。進路決定の遅延は、結局、外的かつ消極的な理由での進路選択を生じさせていることがうかがえる。
図表7-7 就職決定時期別 就職理由
 また、高専5年時成績別にみると(図表7-8)、成績上位の者ほど「進学には成績が不十分」という理由が少なく、「高専で十分な専門知識を得られた」という理由が多い。逆に成績が「中の下」以下の者では「進学には成績が不十分」という理由を挙げる者が6割前後にまで達している。すなわち、高専における学業成績が下位の者は、そのことだけでほぼ自動的に進路が就職に限定される結果になっている。
図表7-8 高専5年時成績別 就職理由

(3) 就職先決定条件

 図表7-9は、具体的な就職先を決めた際に、様々な条件をどれほど重視したかを示したものである。提示した15項目の中で、もっとも重視されているのは「仕事自体の面白さ・やりがい」であり、過半数の者が「非常に重要」としている。それに続いて、「勤務地」「安定性」「給与」「私生活の充実」など、労働条件に関する項目も、「非常に重要」が3割前後、「やや重要」が4割前後でかなり重視されている。全体的に重要度が低いのは、「昇進の可能性」「卒業校とのつながり」「女性活用の方針」などである。
図表7-9 就職先決定条件
 この15項目を、より少数の変数に集約するために、主成分分析を行った結果が図表7-10である。固有値が1以上の主成分は4つ抽出された。バリマックス回転後の各項目の因子負荷量をみると、第1主成分では「労働時間」「休日・休暇の取りやすさ」「職場環境」「私生活の充実」「給与」などの項目で高くなっており、この主成分は「労働条件」に関するものであると解釈される。第2主成分では「仕事自体の面白さ・やりがい」「自分の専門知識・資格との関連」などの因子負荷量が高く、この主成分は「仕事内容」そのものに関する主成分であるといえる。第3主成分では「規模」「安定性」の因子負荷量が突出して高いため、そのまま「規摸・安定性」と名付けた。最後の第4主成分では、「卒業校とのつながり」の因子負荷量がもっとも高く、それ以外には「女性活用の方針」「昇進の可能性」「勤務地」など、相互にやや異質な内容の項目で因子負荷量が高くなっているが、包括的に「雇用管理」に関する主成分とみなすことにする。
図表7-10 就職先決定基準に関する主成分析結果
 これら4つの主成分の因子得点が、それぞれ属性によってどのように異なるかについて検討を加え、1%水準で有意な差が検出されたケースのみを図表7-11に示した。卒年別では、87年と比べて94年の方が「労働条件」をより重視しており、逆に「規模・安定性」は重視する度合いが小さくなっている。これは、すでに第I部第1章でみた通り、94年卒の方が最初の勤め先の従業員数が少なくなっていることと関連があると思われる。すなわち、94年卒は採用状況の変化によって従来のような大企業重視の就職先選択を行える余地が縮小した代わりに、労働時間や私生活の充実などがより重要な条件として浮かび上がってきたものと思われる。
図表7-11 就職先決定基準に関する因子得点
 性別でみると、女性は男子よりも「規模・安定性」を重視する度合いが低いが、「労働条件」や「雇用管理」を非常に重視している。「雇用管理」に関しては、「女性活用の方針」という項目の影響が大きく、この項目は男子では「非常に重要」が1.4%、「やや重要」が12.9%にすぎないのに対し、女子では「非常に重要」は28.2%、「やや重要」が43.1%に達している。女子は、将来の家庭生活などとの兼ね合いから「労働条件」を重視すると同時に、職場の中での実力発揮の可能性をも強く意識して就職先を選択している。
 また高専5年時の成績別にみると、成績が上位であるほど、いずれの条件をも重視して就職先を決めていることがわかる。これは、高専在学中の成績が高い者の方が、就職先の選択肢が広がることを意味している。
 以上で検討した諸条件は勤務先側の条件であったが、では高専の学生たちは、自分自身の側の条件としてどのような点を重視しているのだろうか。今回の調査では、就職先への応募に際して、「自分の学業成績」と「自分の適性(向き・不向き)」のそれぞれをどれほど考慮したかをたずねている。図表7-12に示した結果をみると、「自分の適性」については「とても考慮」と「やや考慮」を合わせて7割近くが考慮しているが、「自分の学業成績」については「とても」と「やや」を合わせても約4割で、考慮の度合いは少ない。しかしそれでも、約4割の者は自分の学業成績と照らし合わせながら就職先を決定していることがわかる。この両項目の考慮の度合いには、卒年、性別、学科別等による有意差はみられないが、高専5年時成績別にはいずれも1%水準で差が見出された。その結果が図表7-13である。全体として、実際の学業成績が高い者ほど、自分の成績と適正のいずれも考慮する度合いが高く、特にそれは成績について顕著である。すなわち、成績が高い者は、自分の学業成績に見合った就職先を選ぼうとする傾向がある。先の就職先決定条件についての検討と併せて考えても、高専における就職先の決定においては、在学中の学業成績という変数が色濃く影響しているともいえる。
図表7-12 就職先への応募の際に重視したこと
図表7-13 高5年時成績別 就職先への応募の際に重視したこと

(4) 就職プロセス

 続いて、高専からの就職が、どのようなプロセスで行われているのかを検討しよう。まず、最終的に就職が決まるまで何社の会社に応募したかを、図表7-14に示した。全体では「1社」が約7割を占めており、「2社」が2割、「3社」および「4社以上」は合計で約1割と少ない。高専から就職する場合、ほとんどが1社目ないし2社目の応募先で就職が決まっていることがわかるが、これは非常に高い決定率である。
図表7-14 応募会社数
 卒年別では、87年卒と比べて94年卒では1社しか応募していない者の比率が8%減少し、その分2社および3社の比率がやや上昇している。これは、94年卒の方が厳しい労働市場状況に直面していたことの結果と思われる。性別では、女子の方が1社の比率が少なく、2社の比率が高いことから、男子よりも女子の方が相対的に厳しい就職状況にあることが推測される。学科別では、1社しか応募していない比率が電気・電子系で高く、情報系で低い。これは、電気・電子系では学科の内容からおそらく特定の就職先との関係が緊密であること、他方で情報系では新設学科が多く、また女子比率が高いことなどと関係していると思われる。高専5年時成績別では、成績「上位」の者において、1社しか応募していない比率が約8割と顕著に高い。高専で高い教育達成をあげていることと、1社目の応募先で採用されることとの間に関連があることが示されている。ただ、このような関連は成績「上位」の者にのみ当てはまり、「中の上」以下では大きな差がない。
 なお、就職先への応募に際して高専からの推薦を得たか否か(これについて詳しくはすぐ後で検討する)による違いをみると、推薦を得た場合の方が、1社目で決定する比率が高くなっている。高専からの推薦が、就職に効力を発揮していることがうかがえる。
 次の図表7-15は、最終的に就職が決まった就職先に、どのような経緯で応募したかを示したものである。「高専に来た求人」「高専の教授の薦め」「企業ガイドブックや会社案内」のそれぞれを4~5割の者が挙げており、これら3項目が高専からの主たる就職経緯であることがわかる。「高専に来た求人」「高専の教授の薦め」などの比率が高いことから、高専における就職プロセスは、大学の理工系や、あるいは高校と同様に、学校が関与する度合いが高いことを特徴としているといえる。この応募経緯については、卒年や性別などによって統計的に有意な差は見出されなかった。しかし学科別では、土木・建築系で「公務員試験等の公募」の比率が15.7%と高いこと、また「家族・知人等の縁故」の比率が航空・商船系で24.1%、情報系で12.0%と高めであることなどが特徴的である。
図表7-15 就職先への応募経緯(複数回答)
 また、学業成績と「高専の教授の薦め」との間には、複雑な関係が見出される(図表7-16)。すなわち、「教授の薦め」で応募した比率は、成績「上位」から「中の下」までは、成績が下がるほど「教授の薦め」の比率も下がるという現象がみられるが、成績「下位」の者においては再び50.2%と「教授の薦め」の比率が高くなるのである。しかも、成績が「上位」から「中の下」までの場合は「教授の薦め」で就職した者の方がそれ以外の経路で就職した者よりも就職先規模が大きいのに対し、成績「下位」の場合は「教授の薦め」で就職した者の方がそうでない者よりも就職先規模が小さくなっている。ここから推測されるのは、教授が学生に特定の就職先を薦める場合、成績優秀な学生に大企業を薦めるケースと、成績が思わしくない学生に対して規模は小さくともおそらく長年の採用実績などがある企業を薦めるケースとの双方が含まれているということである。
図表7-16 高専5年時成績と「教授の薦め」の関係
 なお、就職者全体の77.0%は、最終的に就職を決めた就職先への応募に当たって、高専から推薦を得ている。この点でも、高専が就職に当たって学生個人と採用者の間を媒介する機能は強いことがわかる。推薦を得た比率には卒年や性別では違いがないが、学科および高専5年時成績別には違いがみられ、また先述の応募経緯によっても差がある(図表7-17)。電気・電子系、機械系、情報系などの学科、成績上位者、「高専に来た求人」や「教授の薦め」で応募した者において、推薦を得た比率が高い。また、図表は示さないが、就職先の特性別にみると、企業規模が大きいほど、また製造業や運輸業などの業種で、推薦を得た比率が高くなっている。このようにみると、高専にとって伝統的でかつ「優良な」就職-採用の場合において、学校推薦が行われる頻度が高くなっているといえよう。
図表7-17 応募に際して学校推薦を得た比率
 最後に、就職先で実施された採用試験の内容をみておこう(図表7-18)。もっとも多いのは「面接試験」であり、ほとんどすべての者が受けている。また「一般常識・学力試験」はほぼ6割、「適性検査」は4割の者が受けている。「専門分野の筆記試験」は約3割で、これらに比べると少ない。専門的な教育を特色とする高専の採用に際しても、専門分野の試験を行う企業はそれほど多くない。
 採用試験の内容は、企業の属性に左右されると考えられる。企業の規模別では、大企業ほど各種試験の実施比率が高い。また業種別では、公務はもちろん、運輸・通信・電気・ガスでも、「専門分野の筆記試験」を課す比率が相対的に高くなっている。また「適性検査」の実施はソフトウェア・情報処理の業種で多い。
図表7-18 就職先で行われた採用試験(複数回答)
 個人の側の諸変数によっても、受けた試験の種類に関していくつかの相違点がみられるが、その多くは上記のような就職先特性による違いを反映していると思われる。たとえば「専門分野の筆記試験」を受けた比率は87年卒よりも94年卒で減少しているが、これは大企業就職率の低下と関係している。そしてこの試験は高専5年時の成績上位者において受けた比率が高いが、これも成績上位者ほど大企業に就職しているためであろう。さらに、同試験は電気・電子系および土木・建築系でやや多く、また「適性検査」は情報系の学科で多いが、それは前者では運輸・通信・電気・ガスや公務への就職が、また後者ではソフトウェア・情報処理の業種への就職が多いことから生じていると考えられる。
(5) 就職への反省
 それでは、卒業後数年を経た高専卒業生は、自分の就職先の選び方についてどのような感想や反省を抱いているだろうか。図表7-19に示した結果をみると、もっとも多い反省点は「多くの企業情報を収集しておくべきだった」であり、約4割の者が挙げている。それに続くのは、「長期的な将来の見通しを持っておくべきだった」(36%)、「自分の適性についてもっと考えるべきだった」(28%)などである。
図表7-19 就職先の選び方についての反省点(複数回答)
 この反省点については、卒年や性別、学科、成績、就職経緯などによって統計的に有意な差は生じていないが、就職することをいつ頃決めたかによって、特定の項目にやや違いが見出された(図表7-20)。総じて、就職することを決めた時期が遅いほど、企業についての情報収集に関する反省の度合いが高くなっている。先にみたように、具体的な就職先の決定は高専5年の4月頃から7月頃にかけて集中的に行われるので、高専4年の後期や高専5年になってから就職すること自体を決めた者は、その直前にあわただしく就職先を決定していることになる。そのため、企業についてじっくりと調べないまま就職する結果になっており、そのことについての反省が上記の結果として表れているものと考えられる。進路に関する意志決定は、できるだけ早期に行われる方が望ましいことが示唆されている。
図表7-20 就職決定時期別 反省点

3. 就職結果の規定要因

(1) 企業規模の規定要因

 前節で検討してきた就職プロセスは、就職の結果にいかなる影響を及ぼしているだろうか。ここではまず就職結果の一つの側面として就職先規模をとりあげ、就職プロセスだけでなく、それに先行する諸変数をも加えて、パス解析による分析を行った。その結果が図表7-21である。応募に際して学校からの推薦を得ていること、企業ガイドブック・会社案内などを見たり、先輩の誘いで応募したことなどが、就職先規模を増大させる効果をもっている。逆に家族・知人の縁故で応募した場合には、就職先規模は小さくなる傾向がある。企業ガイドブック等の効果は、その種の媒体には知名度の高い大企業に関する情報が集中していることによるものであろう。そして先輩の誘いが効果をもっということは、大企業の場合に高専のOBをリクルーターとして活用していたことを意味すると考えられる。
図表7-21 就職先企業規模に関するパス解析結果
 また就職先決定条件として規模・安定性や雇用管理面での優遇を重視している場合に就職先規模は大きくなる傾向があるが、勤務地や労働時間などの労働条件を重視している場合には規模は小さくなる傾向がある。そして規模・安定性を重視させるように働いているのは専門科目の座学の熱心度や高専5年時成績であり、逆に卒業研究に熱心であるほど規模・安定性が重視されない。また、雇用管理を意識する度合いも高専5年時成績に影響されている。
 これら就職プロセスや就職先決定条件だけでなく、規模に対しては高専5年時の成績が直接に強い影響を及ぼしている。また、在学中にクラブ・サークル活動に熱心だった者は就職先企業規模が大きくなる傾向がある。
 なお、すでに第5章、第6章でも検討してきたことであるが、時間的にさらに遡ってみた場合、高専5年時の成績には一般教育や専門科目の座学への熱心さが影響しており、また専門知識の取得を目的として高専を受験したことや、中学3年時の学業成績の効果も残存している。そして高専在学中の諸活動に対しても、高専受験理由や経緯、中3時成績などが影響している。専門的知識の取得や技術への興味などを理由として高専を受験した者は諸活動に熱心であるのに対して、受験勉強をしなくても高等教育が受けられると考えて高専に入学した者は、理科系の一般教育への取り組みが積極的でない。
 パス解析ではダミー変数を因果関係の途中に挿入することは望ましくないとされているため、図表7-21では応募経緯や推薦の有無に向かう矢印は想定されていない。しかし本章2節の分析でみてきたように、学校推薦を得たかどうかについては、高専5年時成績など先行変数の影響がみられる。この点をも考慮に入れるならば、全体として、高専への入学前に始まって高専卒業後の就職先規模の決定に至る因果関係の流れは、かなり強固なものであるといえる。すなわち、高専教育の特性と自分の興味関心についての正確な理解に基づいて高専に入学した者は、在学中に諸活動に熱心に取り組んで高い教育達成をあげ、その成果に基づいて「優良な」就職先に就職することができるという、きわめて妥当な因果関係が存在している。しかし逆に言えば、高専入学前の時点で専門的知識や技術への関心が十分でなかった場合、高専在学中の生活や教育達成は不満足なものとなり、それは就職先規模にも反映されるということになる。やはり、高専入学前の中学3年の段階における適切な進路指導の必要性を物語る結果である。

(2) 職種・転職の規定要因

 就職結果を就職先規模のみで捉えるのは一面的であるため、最初に就いた職種(技術職か否か)、および最初の勤務先からその後転職したか否かという二点についても、多様な説明変数を投入した分析を行った。高専卒業後に就職した者全体の中で、技術職に就いた者は69.7%、また最初の勤務先から転職した者は28.6%である。これら被説明変数はダミー変数であるため、ロジスティック回帰分析の手法を採用した。その結果が図表7-22である。高専在学中の諸活動の熱心度については、まず個別の熱心度を投入したモデルで分析したが、いずれも有意な影響を及ぼしていなかったので、総合指標としての活動熱心度スコアを用いて再度分析を行った結果を提示してある。
図表7-22 職種(技術職)および転職に関するロジスティック回帰分析結果
 職種、転職のいずれについても、有意な影響力をもつ変数の数はあまり多くない。職種については、第一に、企業ガイドブックや会社案内を見て応募した場合には技術職に就く可能性が高くなるが、友人の誘いや新聞広告、公務員試験等を通じて就職した場合には技術職に就く確率が下がること、第二に、就職先決定条件として労働条件を重視している場合に技術職に就く確率が高まること、第三に、中3時の成績が高かったり、技術に興味を感じて高専に入学した場合には技術職に就く可能性が高いこと、第四に、就職先が大企業であるほど、技術職に就ける可能性は低くなることがわかる。
 また転職については、第一に、友人の誘いで就職したり、応募に際して学校推薦を得たりしていた場合には転職の確率が低くなること、第二に、就職先決定条件として仕事内容を重視していた場合には、転職の可能性が高まること、第三に、高専5年時の教育達成が高い場合にも転職率は低くなること、第四に、専門的知識の取得を目的として高専に入学した者は転職する傾向があるが、高専入学時に大学編入を念頭においていたにも関わらず就職した者はむしろ最初の勤務先に定着する傾向があること、第五に、就職先が大企業であるほど転職率は低いことなどが見出される。転職については、最初の勤務先の労働条件や、あるいはUターンなど家庭の諸条件に左右される面が大きいと考えられるが、それらを捨象した今回の分析においても、一部の変数の影響力が析出されたわけである。特に、第一点目にみられるように、就職先への応募に際して、個人的なつながりや学校推薦という組織間のつながりが存在していた場合に転職行動が抑制されるということ、また上記の第二点目や第四点目にみられるように、専門性へのこだわりはむしろ転職を促進する方向に働いていることが興味深い。言い換えれば、人的ネットワークは組織への定着を促し、逆に個人の専門的能力発揮の重視は外部労働市場における適職探索行動を促進するということになる。このように、就職以前の諸条件が、勤務先への定着/転職をも部分的に左右していることが見出された。

4. まとめ

 本章の知見を、改めてまとめておこう。
1) 高専卒業後に就職することを決めた時期は、高専入学前の場合と高専高学年になってからの場合とに二極分化している。後者の中には成績が高く、大学編入と就職との間で迷った結果として決心が遅れた者が含まれる。具体的な就職先の決定は、高専5年の春から初夏にかけて急速になされる。
 2) 多くの者は、経済的自立や仕事への関心など積極的理由で就職を決めているが、大学に編入するには成績が十分でないという消極的な理由で就職する場合も一部にみられる。早期から就職を決心していた者には前者の理由が、進路の決断が遅れた者には後者の理由が多く見られる。
 3) 就職先決定条件には、「労働条件」「仕事内容」「規模・安定性」「雇用管理」という四つの要素が含まれており、卒年や性別、高専5年時成績などにより、各要素の重視度が異なる。また就職先を選ぶ際には自分の適性や学業成績も考慮されており、実際の成績が高い者ほど、それに見合った就職先を選ぼうとする傾向がある。
 4) 高専からの就職においては、応募1社目で決定したケースが約7割を占めており、就職の成功率は高い。その背景となっているのは、多くの者が「高専に来た求人」や「高専の教授の薦め」で企業に応募しており、また8割近くは学校からの推薦を携えて応募していることなどにみられるように、就職-採用において学校が関与・仲介する度合いの高さである。これは大学の理工系学部や高校からの就職と類似の就職プロセスであるといえる。企業は採用に当たって専門分野の学力試験を課す場合は多くなく、面接や学力試験などにより一般的な能力を見るケースの方が多い。
 5) 進路決定が遅れた者ほど、就職に際して企業に関する情報をもっと集めておくべきだったとする反省が多い。
 6) 就職先企業規模は、就職経緯や就職先決定理由、高専5年時成績などの影響を強く受けており、これらの変数は、高専在学中の諸活動の熱心度や、さらに遡って高専入学理由などに規定されている。高専教育の内容的特徴を重視して入学してきた者ほど、在学中の生活や就職プロセスに関する諸変数を経由して、大企業に就職する可能性が高い。また最初に就いた職種や就職後の転職も、高専入学時、在学中、就職時の諸変数に影響されている。
 以上の諸知見から得られるインプリケーションとして重要な点は、高専からの就職プロセスが、学校-企業間の組織的ネットワーク・モデルに近いということである。そしてこのモデルにおいては、高専在学中の諸活動の積極性や学業成績が高い者が、企業規模を主たる指標とする、いわゆる「優良な」就職先の獲得において成功を収める傾向がある。ここには、学生自身が自分の成績に見合った企業に応募しがちであるという自己選抜の側面と、教授による就職の媒介や学校推薦が学業成績に応じてなされるという組織的選抜の側面との両方が機能している。さらに、就職に際してネットワークを利用した者ほど、最初の勤め先に定着する度合いが強い。このような、学校生活における教育達成と就職結果との連結の強さは、日本の高校からの就職の特徴として指摘されてきた諸点と類似性をもっている(苅谷 1991)。
 しかしながら、その過程を詳細に検討するならば、このモデルにはいくつかの矛盾ないし「ねじれ」のようなものが見出される。たとえばその一つは、高専における教育達成が高い者は、大学編入への迷いから、就職の決心が遅れるにも関わらず、結果としては大企業に就職するが、後から振り返ると、就職の際にもっと企業について調べておけばよかったという反省が生じているということである。またもう一つの矛盾は、企業規模や勤務先への定着という指標は、専門性の発揮とは時に対立する場合があるということである。本章第3節(2)でみたように、大規模な企業への就職は、他面では技術職に就ける可能性の低下にもつながり、高専入学時や高専からの就職時に自分の専門性を大事にしようとした者は、むしろ最初の就職先から転職することによって適職を求める傾向がある。
 このようにみると、[高い教育達成→大企業への就職]という一見正当かつ効率的な因果関係には、機械的・表面的な振り分けとしての性格が含まれているのではないかという疑念が生じてくる。近年の高専が大学編入の促進を明確な方針としていることから、高専入学前から高専卒業後の進路について明確な志望をもっている一部の者以外の高専学生にとっては、就職か編入かという二者択一が重要な問題とならざるをえない。それは進路決定の遅延をもたらし、最終的には就職を選択したとしても、職業や企業について十分な情報を収集するだけの時間的余裕はすでにない場合が多くなる。それゆえ、学業成績という明快な客観的基準と、企業の規模や知名度を対応させる形でのマッチングが多く行われる結果になっているものと思われる。しかしながら、高専教育の最大の特徴が高度な専門教育であるからには、卒業生の大半を占めている就職者個々人の専門能力や適性と、就職後の職場との質的な対応に対して、より綿密な配慮が払われる必要があるのではないだろうか。

〔参考文献〕
 苅谷剛彦,1991,『学校・職業・選抜の社会学』東京大学出版会.


第8章 大学編入者の増加に伴う諸変化

1. 本章の分析課題

 第I部第1章で統計データに基づいて検討したように、近年の高専における大きな変化の一つは、高専卒業後に大学に編入する者の増加である。高専教育をめぐっては、過去長い期間にわたり、「制度として袋小路になっているのではないかという強い閉塞感」(大学審議会答申『高等専門学校教育の改善について』1991年2月)が問題にされてきた。1976年に長岡と豊橋に2校の科学技術大学が設置され、3年次に高専卒業生の大幅な編入定員枠を設けたことは、高専卒業生の進学機会の拡大に大きく寄与した。その後1990年頃から、両技術大学以外の大学でも高専からの編入者の受け入れが拡大しはじめ、卒業者中の進学者比率は1990年の12%から97年3月卒業者では26%と2倍以上に大きく拡大した。
 このような卒業後の大学編入の拡大は、高専教育や学生の意識にどのような影響を及ぼしているのだろうか。また大学編入者は、どのような期待をもって進学という道を選び、その期待は大学でどの程度実現されているのだろうか。大学に進むか否か、さらにはどの大学に進むかということは、いかなる要因に規定されているのだろうか。そして、高専卒業後に就職した者と、大学に進んでから就職した者との間では、その後の職業キャリアにどのような違いが生じているのだろうか。
 本章は、大学編入の増加に関わる以上のような問いを検討することを課題とする。

2. 大学編入の増加に伴う諸変化

(1) 編入率の変化

 まず、今回の調査が対象としている87年卒業者と94年卒業者の間で、大学編入率にどのような変化があったかを確認しておこう。図表8-1には、この2時点における全体及び諸属性別の大学編入率を示した。調査サンプルの中では、87年卒の12.9%、94年卒の27.8%が大学に編入している。この比率は、高専卒業者の進路に関する文部省統計の数値(進学率87年卒9%、94年卒20%)を上回っており、調査サンプル内部での比重が大学編入者にやや偏っていることに注意する必要がある。しかし今回の調査結果でも、87年卒と94年卒との間で大学編入率が10%以上拡大していることは文部省統計と共通している。
図表8-1 大学編入率の変化
 大学編入率を性別にみると、両年とも男子の方が女子より編入率が高く、2時点の間で編入率の男女差は5%から13%へと拡大している。男子については94年卒の30%までが進学している。女子では進学が相対的に少ないとはいえ、女子の編入率そのものは9%から17%へと確実に増加している。
 学科別にみると、94年卒の場合、機械系、電気・電子系、化学系では編入率が約3割に達しているのに対し、情報系、土木・建築系、航空・商船系では2割前後と低めである。特に土木・建築系については、87年卒ではもっとも編入率が高かったにも関わらず、その率が94年卒でもほとんど変化していないため、94年卒では他学科よりも低くなっている。
 地域別では、87年卒については地域間の大学編入率の差はあまり大きくなかったが、94年卒では関東の編入率が突出している。これには編入学者を受け入れる大学が首都圏に多いことが関係していると思われる。
 そして高専5年時の成績別に大学編入率をみると、成績上位者の中では87年卒でもすでに4割が大学に編入していたが、94年卒に至っては7割近くまでが大学に編入している。そして87年卒では成績上位者に比べて成績「中の上」以下の者の編入率は顕著に低かったのに対して、94年卒では「中の上」の編入率が3割近くまで上昇している。しかしそれに比べて「中位」以下の編入率はやはり少ない。すなわち、87年卒では大学編入の機会はほぼ成績上位者のみに限られていたのに対し、94年卒では成績「中の上」レベルの者にまで機会が拡大するようになったが、それよりも成績が低い者にとってはやはり大学編入機会は限られたままであるといえる。
 この成績と編入の関係を別の角度から示したのが図表8-2である。これは、大学編入者の中での高専5年次成績の分布をみたものである。94年卒では87年卒と比べて成績上位者のシェアは70%から約60%へと減少し、成績「中の上」のシェアが17%から27%へと増大している。しかし「上位」と「中の上」を合わせた比率は2時点でほとんど変化しておらず、前述の動向が確認できる。
図表8-2 大学編入者中の成績分布の変化

(2) 編入先の変化

 大学編入率の拡大に伴って、編入先の大学や学部の構成はどのように変化したのだろうか。ここでは編入先の大学を、長岡と豊橋の「技術科学大学」、全国7校の「旧帝大」、工業大学を主とし、商船大や水産大なども含む国公立の「工業系単科大学」、これら以外の「他の国公立大」、そして「私立大」の5タイプに分類した。卒年別の各大学タイプの分布を、全体および諸属性別に示したものが図表8-3である。編入者全体を2時点で比較すると、「技術科学大学」のシェアの減少と、「工業系単科大」および「他の国公立大」の増大が著しい。この間の高専卒業者の受入枠拡大が、「工業系単科大」と「他の国公立大」で主に生じたことがわかる。「旧帝大」の比率もやや減少している。「技術科学大学」への編入者は実数では増加しているのだが、後二者の拡大が大きかったため比率としては減少している。このように、編入先大学は従来は技術科学大学に集中していたが、近年急速に多様化が進んでいるといえる。
図表8-3 編入先大学タイプの変化
 属性別にみると、男子よりも女子で、また化学系の学科で、技術科学大学以外への編入増加が著しい。機械系および土木・建築系ではまだ比較的多くの者が技術科学大学に編入している。地域別では、北海道・東北および信越・北陸・東海という、技術科学大学が所在している地域において、94年卒でも技術科学大学への編入率が比較的高い。
 以上は編入先の大学タイプであるが、では学部に関してはどうだろうか。図表8-4に示した通り、編入先学部としては工学部が大半を占めているが、工学部への編入率は87年卒と比べて94年卒で低下している。工学部編入率は女子では87年卒時点から男子と比べて低かったが、94年卒ではいっそう低下している。しかし男子の中でも工学部以外の学部への編入が増加している。学科別では、電気・電子系学科の卒業者において94年卒時点の工学部編入率が相対的に低い。なお、工学部以外の編入先学部もほとんどがいわゆる「理工系」の学部であり、人文科学や社会科学、あるいは芸術など「理工系」以外の学部への編入者はそれぞれ1%前後にすぎない。
図表8-4 工学部編入率の変化
 図表8-5には、編入先大学タイプと学部との関係を示した。工学部以外で一定の比率を占めているのは情報系学部と理工学部であるが、このうち情報系学部は94年卒の「工業系単科大学」への編入者の中で、また理工学部は94年卒の「私立大」への編入者の中で、それぞれかなりの比率を占めている。「旧帝大」および「他の国公立大」でも、工学部以外の学部への編入者が1~2割程度存在している。なお、技術科学大学には工学部のみが開設されている。
図表8-5 大学タイプ別 主な編入先学部
 このような編入先の大学タイプや学部が、高専在学中の教育達成とどのように関係しているかをみるため、図表8-6には大学タイプ別および学部別に高専5年時の成績スコアを示した。成績と編入先との関係は、卒年によって異なっている。まず大学タイプについては、87年卒では「私立大」、「工業系単科大学」や「技術科学大学」への編入者の方が「旧帝大」編入者よりもむしろ高専5年時成績が優秀であったのに対して、94年卒では「旧帝大」編入者がもっとも成績が高くなり、一般的な大学威信や選抜度と高専在学中の教育達成との対応がより明確になっている。学部については、87年卒では工学部よりも「その他の学部」の方が高専5年時成績が高かったのに対して、94年卒では逆の関係が表れている。
図表8-6 大学タイプ別・学部別 高専5年時成績

(3) 学生の意識

 大学編入の増加は、進路に関する高専の学生の意識にどのような影響を与えているだろうか。まず一つの変化は、高専への入学動機において見出される。すでに第5章で指摘したように、中学3年時に高専を受験することを決めた理由として「大学に編入できるから」という項目を挙げた比率は、87年卒では8.8%であるのに対して、94年卒では20.0%と2倍以上に増加している。高専から大学に編入できるということが中学生の間でも知られつつあり、その点を高専への進学動機とする者が増加しているのである。
 ただ、高専入学前から大学編入を動機としており、実際に卒業後に大学に進んだ者の比率は、87年卒業者全体の2.6%、94年卒の10.0%にすぎず、これらの比率と先に(1)で示した両年の大学編入率との差にあたる部分(87年卒の約10%、94年卒の約18%)は、高専に入学してから大学編入を決意した者であることになる。
 そこで図表8-7には、各年の大学編入者を母集団として、大学への編入を決意した時期を示した。87年卒では、高専第5学年になってから大学編入を決めた者が編入者の約3分の1を占めている。それに対して94年卒では、進学を決めた時期が全体に早期化している。しかし第7章でみたように高専卒業後に就職した者は約4割が高専入学前にすでに就職を決意していたことと比べると、大学編入者で高専入学前に進学を決めていた比率は2割未満と少なく、代わりに高専の第3~第4学年になってから決めた比率が多くなっている。すなわち、就職に比べて進学は、高専入学後数年してから決意される場合が多いのであり、高専在学中に進学志向がウォーム・アップされる度合いが高いといえる。なお、編入を決意した時期には、性別や学科などによる違いは小さい。
図表8-7 大学に編入することを決めた時期
 続く図表8-8には、大学編入者を対象として、卒年別の大学編入動機を示した。両年とも、もっとも多く約6割の者が挙げている項目は「高専よりも高度な専門知識を身につけたかったから」であり、それ以外の項目はそれぞれ3~4割ずつの者が挙げている。87年卒に比べて94年卒で減少した項目としては、「就職後のキャリアを有利にするため」、「高専での成績がよかったから」などがあり、逆に94年卒の方が増加した項目には「大学院に進学するため」、「高専とは異なる専門知識を身につけたかったから」、「高専の先生に勧められたから」などがある。注目されるのは、94年卒でやや減少したとはいえ、3割以上の者が「高専での成績がよかったから」という項目を選択していることである。先に述べた、高専在学中における進学志向のウォーム・アップを促進している要素の一つは、個々の学生の「成績」であることがわかる。むろん、「高専での成績がよかったから」という項目に該当する者は、「より高度な専門知識を身につけたかったから」、「大学院に進学するため」などの項目をも同時に選択する傾向があり、成績がよいことだけで自動的に編入を決意しているわけではない。しかし高専在学中の教育達成が高いことが、進学の前提となっていることは確かである。また「成績がよかった」者の場合、高専の教授に進学を勧められた比率も高くなっており、高専スタッフの間にも教育達成を進学と直結させる意識が存在していることがうかがえる。
図表8-8 大学編入動機(複数回答)
 この成績と進学との関連は、高専5年時の実際の成績と編入動機との関係からも読みとることができる。図表8-9には、1%水準で有意差がある動機項目のみを示した。実際の成績が高いほど「成績がよかったから」という項目を挙げる率が高く、また「高度な専門知識」や「高専の先生の勧め」などを挙げる者も多い。
図表8-9 高専5年時成績別 編入動機
 また図表8-10には、編入先の大学タイプによって統計的に有意な差がある編入動機を示した。「旧帝大」に編入した者は、「より高度な専門知識」や「より幅広い教養」を挙げる率が高く、「私立大」や「工業系単科大」に進んだ者は「異なる専門知識」を目的とする率が高い。後者の点は、この両タイプの大学では工学部以外の学部への編入率が高いことを反映している。実際に、編入先学部別に入学動機をみると、工学部編入者の中では「より高度な専門知識」を挙げる比率が高く、「異なる専門知識」を挙げる率は低い。同じ図表で「技術科学大学」編入者は、「より高度な専門知識」を挙げる率が高く、「より幅広い教養」に関しては目立って少ない。高専から技術科学大学への進学は、専門性を「深める」方向が主体であり、「広げる」方向性が弱いようである。
図表8-10 編入先大学タイプ別 編入動機
 この大学編入動機と、上記以外の諸変数との関係をさらに検討してみると、まず学科と一部の動機項目との間に関連が見出された。すなわち、機械系学科の94年卒では、「就職を有利にするため」という項目を挙げる率が52%と際立って高く、バブル経済崩壊後厳しくなった就職状況に対処するための進学が機械系学科で多く生じていたことがわかる。初職規模などの客観的指標で見る限り、94年卒業者の就職状況の逼迫は機械系学科に限られないが、上記のような進学行動の背景には、従来機械系学科からの主な就職先であった大手製造業技術職というポストへの採用対象が修士卒に切り替えられつつあることへの認識があったものと思われる。この機械系学科の94年卒では「高専の先生に勧められたから」という項目を挙げる比率も36%と他学科に比べて高くなっており、まず高専の教授の間で産業界の人材ニーズが高学歴化しているという認識が強まり、教授が学生に進学を勧めたケースもかなりあると推測される。
 変数間の関連として見出されたもう一つの点は、大学編入決定時期と「大学院に進学するため」という編入動機との結びつきである。大学院進学を動機とする比率は、高専入学前にすでに大学編入を決意していた者の中では62%にのぼり、進学決定時期が高専第1~第2学年である者の中では57%、第3学年の場合は41%、第4学年の場合は33%、第5学年の場合は18%と、進学を決意した時期が後であるほど大学院志望の率は低くなっている。実際の大学院進学率には大学編入決定時期による差はみられないが、意識の面では、早期に大学編入を決意した者ほど、大学院まで進んで高度な研究に携わりたいという志向が強いようである。

(4) 高専の対応

 大学編入の増加という事実から影響を受けているのは、高専の学生だけではない。高専の学校組織全体、もしくは高専の個々の教授陣も、進学の増加に対応せざるをえなくなっている。あるいは逆に、学生に対する高専や教授の働きかけが、近年の進学増加を促進してきたという側面も大きいと思われる。
 図表8-11には、大学に進学した者が、編入に際して高専から受けた援助(教授が個人的に行うものを含む)を、卒年別に示したものである。「編入案内パンフレットの配布」は、すでに87年卒において約6割の大学編入者が経験しており、その比率は94年卒でも大きく変化していない。しかし、「編入筆記試験のための補習」、「編入説明会・講習会」、「面接試験の練習」については、87年卒と比べて94年卒で経験率が大幅に増加しており、高専や教授が大学編入者に対してこれらの援助を積極的に実施するようになっていることがわかる。すなわち、高専という教育機関そのものが、進学準備機関としての性格を強めているといえる。
図表8-11 大学編入に際して高専から受けた援助(複数回答)
 このような編入への援助の積極性には、個々の高専によって違いがあるものと考えられる。今回の調査サンプルでは学校別に集計すると一校当たりのサンプル数が少なくなりすぎるため、地域別援助の実施率をみたものが図表8-12である。各項目の実施率を合計した指標でみると、大学編入への援助がもっとも積極的に行われているのは、九州地域に所在する高専においてであり、それに信越・北陸・東海、中国・四国が続いている。もっとも支援に消極的なのは近畿地域である。このような地域による積極性の違いは、本章のはじめにみた地域別の大学編入率の違いとは対応しておらず、それ以外の要因に規定されているようである。
図表8-12 高専所在地域別 大学編入への援助の実施率

(5) 大学編入後の適応状況

 では、大学編入者たちは、実際に大学教育を経験してみて、どのような感想を抱いているのだろうか。高専教育と大学教育とは、うまく接続しているのだろうか。この点に関する5つの質問項目への大学編入者の回答結果を、卒年別に示したものが図表8-13である。「専門教育の面でついていくのがたいへん」および「一般教育の面でついていくのがたいへん」という2項目については、「そう思わない」比率が「そう思う」比率を大きく上回っており、これらの点では高専と大学との接続に大きな問題はないようである。しかし、「語学教育の面でついていくのがたいへん」と「専門教育の内容が高専と重複」という二つの項目については、「そう思う」比率がいずれの卒年でも半数前後に達している。すなわち、高専教育と大学教育との間には、語学の点で大きなギャップがあり、逆に専門教育についてはすでに高専で学習したことを大学でも再度履修しなければならないという重複がある場合が多いのであり、これらの点について高専・大学双方の側からの改善が必要とされている。
図表8-13 大学生活への適応状況
 この二点については、調査の自由記述の中でも多くの言及がみられたので、いくつかの例を提示しておこう。
 「英語の能力がとても低いため大学に来てからかなり苦労をした。」<94年卒、男子>
 「高専卒業生は、大学受験をしていないためか、英語(特に文法や単語の知識)の力が弱いと実感しています。」<94年卒、女子>
 「私は卒業後進学しましたが、一番苦労したのは語学とプレゼンテーション、論文作成等の文系的な面でした。進学するにしても、就職するにしても、これらは一生ついてまわるもので、従来の授業の他に文系面を強化するカリキュラムも、取り入れる必要があると思います。」<94年卒、女子>
 「大学3年の授業内容は、高専の授業内容とかなり重複しており、高専で学んだものは大学の学部レベルまでは通用すると思う。」<94年卒、男子>
 「高専を卒業し大学に編入したが、専門の教育や知識は、高専に学んだことがすべてという気がする。大学においては内容に教授のかたよりがあるし、その専門の基礎的なことは、特に職においてすぐに役立つことは高専での教育がものをいう。編入は中途半端な感じで大学生活を楽しめるわけでもなく(そんな時間がまずない)授業内容においても、すでに高専で学んだことがほとんどである。」<94年卒、女子>
 特に専門教育の重複に関しては、すでに高専で学んだ科目が大学で単位として認定されない場合が多いことが、問題として自由記述の中で指摘されている。さらには、教育内容の重複を防ぐため、高専から大学院に「短期間もしくは直接」進むことができるような制度の必要性も提案されている。
 以下はそれらの記述の例である。
 「高専教育は大学と同等である。しかし、大学編入しても単位は認められず、同様のことを学ぶ。そのため、どの国立大学でも高専出身者が上位を独占している。」<94年卒、男子>
 「一般科目は普通の大学より弱いというのは、当てはまる場合もあるが、編入後の受講では語学以外はあまり問題がない。もっと自信をつけさせるべきだと思う。受け入れる大学側にも問題はある。特に単位認定では大学による差が大きすぎる。大部分の高専生はここに差があると知らされていない。」<94年卒、男子>
 「大学編入しても、学部は高専の時の復習が多く、有意義な期間ではない。従って飛び級で、大学院進学への道が開けたらよいと思う。」<94年卒、男子>
 「私は卒業後、博士課程まで進学しましたが、編入後の2年間は研究のスピードが下がりました。卒業後、短期間もしくは直接ドクター・マスターにいける仕組みがあった方がいい。編入の制度・人数は世間に発表すべきである。大検と同様に、大学卒業後検定試験で、院の入学資格がとれたらいいと思います。」<94年卒、男子>
 再び図表8-13に戻り、フォーマルなカリキュラム以外の学生文化的な面に関して設定した「大学の雰囲気や人間関係にとけ込みにくい」という項目への回答をみると、「そう思う」と答えた比率は両年とも多くはないが、87年卒と比べて94年卒で10%以上増加していることが注目される。このように、高専から大学に編入後における学生文化面での不適応が増加していることには、進学先の多様化が関係していると推測される。
 実際に、編入先の大学タイプによって、大学への適応状況には違いがみられる(図表8-14)。学生文化的な側面に関しては、従来から多くの高専卒業生を受け入れてきた技術科学大学の場合にはほとんど不適合がみられないのに対し、私立大に編入した者では4割以上がギャップを感じている。また、技術科学大学の特徴は教育内容面についてもみられ、他の大学タイプと比べて「専門教育の内容が高専と重複」している率は少ないが、逆に「専門教育の面でついていくのがたいへん」という回答が多くなっている。これは、技術科学大学では高専の専門教育内容に即して編入後の教育内容が編成されているため、無駄な重複がなく、高専よりも一層高度な専門教育が課されるために、編入者にとっては「たいへん」という感想が強くなっているものと思われる。それに対して、技術科学大学以外の大学では、高専との接続を念頭においたカリキュラム編成が行われていないため、重複が多い代わりに「たいへんさ」は少なくなっているようである。なお、この大学生活への適応状況には、性別や学科などによる差は全般的に小さい。
図表8-14 編入先大学タイプ別 大学生活への適応

(6) 大学院への進学状況

 本節の最後に、大学編入者の大学院への進学状況について、図表8-15でみておこう。卒年別でみると、87年卒の大学院進学率は72%であったのに対し、94年卒では66%とやや減少している。しかし『学校基本調査』によれば一般の大学工学部からの大学院進学率は1996年時点(高専を94年に卒業して大学に編入した者が通常は大学を卒業する年)で24%であることと比べると、高専から大学に編入した者がさらに大学院に進む確率は、依然として非常に高い。87年卒から94年卒にかけての大学院進学率の低下は、高専からの大学編入率がこの間に2倍以上に拡大したことにより、高専内での大学編入者の裾野が広がるとともに編入先大学・学部が多様化したことと関係していると考えられる。
図表8-15 大学院進学率の変化
 この点は、図表8-15に示した大学タイプ別、学部別の大学院進学率により確認できる。まず大学タイプ別では、大学院進学率がもっとも高いのは技術科学大学で、8割を超えており、技術科学大学では大学院進学を前提とした教育が行われていることがわかる。それに次いで、87年卒では「旧帝大」や「工業系単科大」でも大学院進学率が7割を超えていたが、「工業系単科大」の場合、94年卒になると大学院進学率がかなり低下している。これは、学部別の大学院進学率が工学部以外の学部で低く、94年卒の「工業系単科大」編入者の中では工学部以外の比率が高いことから生じている。
 また、大学院進学率には性別や高専での学科による差は小さいが、同図表に示したように、高専5年時の成績によって差がみられる。成績による大学院進学率の落差は、87年卒より94年卒において、高専5年時の成績が「中の上」以上の者と、それより下の者の間で顕在化している。すなわち、高専在学中に高い教育達成をあげた者は、大学だけでなく大学院にまで進んでさらに高度な勉学や研究に携わる傾向が強い。高専の教育内容を十分に習得することにより、さらに高度な学習や研究への適切な基盤が形成されるといえよう。
 さて、このように大学編入者の多くが大学院に進んでいることから、高専の学生にとって卒業後に就職するか、進学するかという選択は、事実上、自らの最終学歴を大卒未満にするか、それとも院卒にするかを選択することに等しい。しかもこの選択は、高専在学中の教育達成=学業成績によって左右される。いわば高専は、学業成績という指標を通じて、学生の卒業後の進路を、大きく異なる二極に分岐させる場となっているのである。

3. 大学編入、編入先の規定要因

(1) 大学編入の規定要因

 以上では、大学編入に関連する事柄を多面的に検討してきた。また、高専への入学動機を検討した第5章および高専在学中の学校生活を検討した第6章でも、それぞれの章で重点的に分析した諸変数が高専卒業後の進路にどれほど影響しているかをみてきた。
 これらの個別的な分析をふまえて、ここでは、大学編入という進路選択がどのような要因によって規定されているのかについて集約的に分析を行おう。
 図表8-16には、大学編入を被説明変数とし、高専入学時および高専在学中の意識や行動に関する変数を説明変数として投入したロジスティック回帰分析の結果を示した。いくつかの変数が大学編入に強い影響を及ぼしている。まず高専への入学動機の中では、「大学に編入できる」ことを理由として高専に入学した場合、実際に大学に進学する傾向が強いという結果が出ている。逆に、就職の有利さや、大学受験を経ずに高等教育を受けられること、学費が安いことなどを高専への入学理由としていた者は、大学には進まず、就職する傾向がある。また、高専在学中の諸活動の中では、専門教育の座学および卒業研究に熱心に取り組んでいた者が大学に編入する傾向があり、理論的な学習の熱心度や研究志向の強さと進学との間に関連があることがわかる。さらに、高専5年時の成績が進学に強く影響しているが、それに加えて中3時成績も弱いが直接の影響を及ぼしていることも見出される(注1)。
図表8-16 大学編入の規定要因(ロジスティック回帰分析)
 このように、高専卒業後に進学するかどうかは、高専入学前の進学意欲の強さや入学後の勉強の仕方、教育達成など、ほぼ妥当な諸要因の因果関係によって決定されているようである。むろんそれに加えて、本章第2節(1)で概観したように、性別や学科、地域などの変数によっても大学編入が促進/冷却される側面が存在する。なお、今回の分析は、学生の家庭背景や、個々の高専の進学への方針、高専入学前や在学中のミクロな対人的相互作用などの、より詳細なプロセスを捨象しているという限界をもつことはいうまでもない。

(2) 編入先の規定要因

 続いて、大学編入者の内部で、進学先の大学のタイプがどのようにして分化するのかについても分析を行った。その結果が図表8-17である(「私立大」については進学者のサンプル数が少なすぎるため省略した)。図表に示した分析では全体として諸変数の影響力やモデルの説明力が大きくなく、ここで投入した変数では大学タイプの分化は十分に説明しきれていない。それをふまえた上で、まず「技術科学大学」への編入についてみると、「大学に編入できる」ことを高専への入学動機としていたことがマイナスに働いている。すなわち、高専から技術科学大学に編入した者は、高専の入学当初から、大学への進学を高専の魅力として念頭においていたわけではない場合が多いといえる。逆に、「大学受験を経ずに高等教育を受けられる」ことを入学動機としていた場合に、むしろ技術科学大学への編入が促進されている。ここから、当初は高専のみで高等教育卒の資格を得ようとしていた者が、その後何らかの過程を経て進学する結果になった場合、技術科学大学が選択される傾向があるものと推察される。また、技術科学大学への編入者は、大学編入動機として「より高度な専門知識の取得」は目的としているが、「幅広い教養」は意図していない傾向がある。さらに、「高専での成績がよかった」ことが技術科学大学への進学に結びつく傾向があり、上記の点と考え合わせると、高専入学時には大学編入をあまり考えていなかったがその後高専で優秀な成績をあげたため進学する気持ちになった者が、進学先として技術科学大学を選択する傾向があると解釈できる。そして技科大進学者は、筆記試験のための補習を受ける場合が少ない代わりに、面接の練習は受けている場合が多いが、これは2つの技術科学大学では編入定員のほぼ半数を各高専からの推薦と書類審査、面接試験のみで受け入れていることを背景としていると思われる。
図表8-17 編入先大学タイプの規定要因(ロジスティック回帰分析)
 続いて「旧帝大」への編入については、高専在学中の諸活動の中で、実験や実習に熱心であったことがマイナス、専門科目の座学に熱心であったことがプラスの効果を及ぼしている。「旧帝大」進学者は、より理論志向が強いといえよう。また「旧帝大」進学者の中には、高専の先生に進学を勧められたり、編入筆記試験のための補習を受けたりした者も多く、進学に際して高専からのバックアップを比較的多く得ていたことがうかがわれる。
 「工業系単科大」進学者は、「異なる専門知識の取得」を目的としている傾向が強いが、これはこのタイプの大学では工学部以外の学部への編入者が多いことを背景としている。そして、「その他の国公立大」への進学者は、高専入学当初から大学への編入を意図していた傾向があり、また「より高度な専門知識の取得」への志向が弱く、高専5年時の成績も比較的低い傾向がある。一般の国公立大への編入者は、専門性の追求や研究の深化というよりも、学歴を一般的な「大卒」に書き換えることを目的として進学する傾向があることをうかがわせる。
 このように、大学編入者の中でも、個々人の志向や周囲からの働きかけによって、微妙に進学先が分化している。

4. 高専卒業後就職者と大学編入後就職者の職業キャリアの比較

 さて、以上に検討してきた様々な過程を経て、高専の学生の一部は大学に編入する。そして大卒、あるいは大学院進学者は大学院卒の学歴を得て職業に就くことになる。では、高専卒業後すぐに就職した者と、大学進学後に就職した者との間では、その職業キャリアにどのような違いが生じているのだろうか。図表8-18は、職業キャリアに関する主な項目について、高専卒業後就職者および大学編入後就職者それぞれのデータを卒年別に示したものである。なお、87年卒の大学編入後就職者96名の中では71名までが大学院に進学しているが、94年卒の大学編入後就職者については、卒年と調査実施時期との関係から大学院進学者の多くはいまだ在学中であり、院卒の就職者は98名中9名のみである。すなわち、87年卒の大学編入後就職者のサンプルは大学院修了後の就職者が主体であるのに対し、94年卒の大学編入後就職者のサンプルの中では学部卒就職者が主体となっていることに注意が必要である。87年卒の大学編入後就職者に関しては、学部卒と院卒を分けた集計も行ったが、いずれの項目についても両者の間で有意差が見出されなかったため、両者を分離せずに集計した結果を図表8-18に示した。また、同じ卒年の高専卒業後就職者と大学編入後就職者との間では、実際の就職年に少なくとも2年のずれがあるということも念頭においた上で、両者の職業キャリアの違いを検討してみよう。
図表8-18 高専卒業後就職者と大学編入後就職者の職業キャリアの概要
 最初の勤務先の業種は、いずれの卒年についても、高専卒業後すぐに就職した者の方が建設業、運輸・通信・電気・ガスが多く、大学進学者の方が教育および公務が多くなっている。
 最初の勤務先の規模については卒年によって傾向が異なり、87年卒では進学者の方が明確に大企業が多くなっているが、94年卒では高専卒業後すぐに就職した者の方がむしろ規模の大きい企業に就職している。これは、それぞれが就職した年の企業の採用状況を反映した結果であろう。87年に高専を卒業して大学に編入した者が大卒後ないし修士課程修了後に就職した1990年前後はバブルの絶頂期であり、大企業の大卒・院卒への採用意欲は非常に強かったため、進学者の多くが超大企業に就職する結果となっている。それに対して、94年に高専を卒業して進学した者の多くが就職した1996年は、大企業の新規大卒採用の手控えが顕著であったことから、2年前の高専卒の方が就職先規模が大きくなっているものと考えられる。
 最初に就いた職種についても、卒年によって動向が異なる。87年卒の場合は、技術職の比率にはほとんど差がなく、違いは高専卒業後就職者には技能職が12%含まれているのに対して大学編入後就職者では専門職が18%と多くなっている点にある。これが94年卒になると、技術職の比率は高専卒業者より大学進学者の方が約10%少なくなっており、その減少分は専門職、営業・販売職、その他などに分散している。94年卒の技能職比率には両者で大きな差がない。すなわち、87年卒では高専卒業後すぐ就職するよりも大学・大学院に進学してから就職した方が、技能職が少なく専門職が多い点でより良好な職が得られたのに対して、94年卒では就職者と進学者の格差は小さくなり、むしろ進学者(学部卒が主)の方が技術職が少なくなるという点で、より厳しい就職状況に直面する結果となっている。
 転退職回数については、87年卒では高専卒業後就職者の方が明確に回数が多くなっているが、これには職業経験年数に少なくとも2年の違いがあることを考慮する必要がある。94年卒については両者でほとんど差はない。
 現在の従業上の地位については、まず84年卒の場合、大学編入後就職者は高専卒業後就職者よりも職業経験年数が2年以上短いにも関わらず、「一般社員・職員」の比率がやや少なく、代わりに「係長・主任など」がやや多くなっている。職場での役職昇進にはやはり学歴が影響していることがわかる。94年卒については、むしろ大学編入後就職者の方が「パート、バイト、臨時」など非正規の就業形態が多くなっているが、これも就職市場の状況が反映された結果であると思われる。
 現職の規模は、84年の場合、初職規模と比べて高専卒業後就職者、大学編入後就職者のいずれもやや小さくなっているが、これは転職者が以前の勤め先よりも小規模な企業に移る傾向があることによる。全体として大学進学者の方が大規模企業に勤めていることには変わりがない。94年卒では、職業経験年数が短く転職者が比較的少ないためもあって、初職規模とほとんど変化がみられない。
 現在就いている職種を初職職種と比べると、まず84年卒で高専卒業後すぐに就職した者については、初職よりも技術職および技能職が減少し、事務、営業・販売、その他などがそれぞれ少しずつ増加している。しかし大学編入後就職者では、初職と現職の間で職種の変化はほとんどみられない。ここでも、職業経験年数の違いを考慮する必要がある。94年卒については、両者のいずれも初職と現職の間で技術職がやや減少するという変化がみられ、卒年によって職業キャリアのパターンも異なっていることがうかがえる。
 最後に現在の年収をみると、94年卒では職業経験年数が2年以上長い高専卒業後就職者の方が進学者(主に学部卒)よりも年収が高くなっているのに対して、高専卒業後約10年を経過した87年卒では、進学者(主に院卒)の方が年収が高くなっている。収入には勤務先企業規模や役職等の影響も考慮に入れる必要があるが、上記の結果は、職業キャリアの後になるほど学歴の効果が顕在化するということを示唆している。
 以上にみてきたように、高専卒業後すぐに就職するか、それとも大学に進学してから就職するかということが職業キャリアに及ぼす影響は、短期的なものと長期的なものに区別して考える必要がある。最初の勤め先や仕事については、就職した年の企業の採用状況等に影響される面が大きく、進学したことがむしろ裏目に出る場合さえある。しかし長期的な職業キャリアでみると、進学者の方に有利な面が表れてくることは否定できないようである。ただ今回のデータで長期的な効果をみることができる87年卒の場合、すでに初職からして進学者の方が恵まれている点が大きいため、長期的な学歴の効果をより厳密に検討するためには、初職の格差が小さい94年卒の今後の動向を検討する必要がある。また今回の調査サンプルについては明確な結果が表れなかったが、大学に編入後、学部卒で就職するか、院に進んでから就職するかによっても、短期的・長期的な職業キャリアには違いが生じてくると思われる。
 なお、大学編入後就職者の内部で、大学タイプによって職業キャリアの諸項目に違いがあるかどうかについても検討を加えたが、サンプル数が小さくなりすぎるためもあって、明確な違いはあまり見出されなかった。ある程度はっきりした結果が出た94年卒大学編入者の最初の勤務先規模に関するデータのみを、図表8-19に示しておこう。図表にみられるように、5000人以上の大企業への就職率は、「旧帝大」に次いで「技術科学大学」で多くなっている。しかし他方で500人未満の企業への就職率も、「工業系単科大学」に次いで「技術科学大学」で多い。ただ先述の通り、データのサンプル数が小さいことや、大学編入者の中で大学院に進学しない者はむしろ少数派であることを考えるならば、この結果を過度に一般化することは危険であろう。
図表8-19 編入先大学タイプ別 初職規模

5. まとめ

 本章で見出されたことを、以下にまとめておこう。
1) 高専から大学に編入する者は、87年卒時点では卒業者の約1割であったものが94年卒では2割を超えるまでに拡大している。大学編入増加の度合いは性別や学科、高専所在地域などによって異なっている。大学編入者の増加に伴って、高専5年時の成績が「上位」の者だけでなく「中の上」の者にまで進学機会の裾野が広がっているが、それ以下の層では拡大していない。
 2) 大学編入の増加により、編入先大学は技術科学大学だけでなく他の多様なタイプの大学へ、また編入先学部も工学部からそれ以外の理工系学部へと多様化を遂げている。特に、工業系の単科大や、一般の国公立大学で、高専からの編入者受け入れが大幅に拡大している。工業系単科大では工学部以外に情報系の学部が一定の比率を占めている。
 3) 高専からの進学機会が拡大したことは、中学生の間でも認識されるようになっており、この点を動機として高専に入学する者が増加している。しかし実際に大学に編入する者の中で、高専入学当初から大学への進学を目的としていた者は一部を占めるにすぎず、高専の第3~第5学年になって進学を決意した者が多い。進学の動機には、より高度な専門知識を取得することに加えて、高専在学中の成績がよかったことや教授に勧められたことなども含まれている。
 4) 学生の間での進学志望の増加に対して、高専側も大学編入への支援を積極的に提供するようになっている。その積極性には高専の所在地域などによっても違いがみられる。
 5) 大学編入後には、大学の一般教育や専門教育についていくのが困難であるという問題はあまりみられないが、高専と大学との間には語学の点で大きなギャップがあり、逆に専門教育は重複しているという点で、教育内容の不整合が存在する。この不整合は技術科学大学以外の大学で顕著にみられる。また編入先の多様化に伴って、学生文化面での不適応も増大する傾向にある。
 6) 高専から大学に編入した者の7割前後はさらに大学院に進学している。大学院進学率は技術科学大学でもっとも高く、また工学部で高い。さらに、高専在学中に高い教育達成をあげていた者ほど大学院に進学する傾向がある。
 7) 高専の学生が大学に編入するかどうかは、高専への入学動機や高専在学中の活動、教育達成などの要因によって規定されている。またどのようなタイプの大学に編入するかは、進学を決めた経緯や個々人の勉学・研究への志向に影響される。
 8) 高専卒業後すぐに就職した者と、大学・大学院に進学してから就職した者との間で職業キャリアを比較すると、最初の勤務先や仕事は就職した年の企業の採用状況に左右される面が大きいが、より長期的にみると、役職昇進や収入の点で進学者の方が有利になる傾向がある。
 本章が包括的に検討してきたように、「大学への編入」という選択肢は、高専の学生、スタッフ、高専への受験を希望する中学生などの間で、大きな重要性を持つようになっている。そして高専という教育機関は、5年間の教育期間を通じて、進学者と就職者とを徐々に分化させる機能を帯び始めている。そのような高専学生内の分化を強く規定する要因は、個々の学生の教育達成である。高専で高い教育達成をあげたことにより、当人自身が進学へと動機付けられると同時に、高専の教授など他からの働きかけも生じる。その結果、高専でもっとも優秀な学業成績を示した者のほぼ7割近くまでが、大学編入という道を選択するようになっている。
 高専という教育機関が進路として「袋小路」でなくなり、進学を希望する者にその機会が開かれること自体は望ましいことである。しかし、高専の教育成果のいわば「上澄み」にあたる学生層の大半が進学することにより、採用企業側が高専から直接に就職する者の水準の低下を認識するようなことがもし生じた場合、高専卒就職者のみならず、高専という教育機関そのものの威信や尊厳が損なわれることにつながるのではないかと危惧される。高専で高い学業成績をあげたことを卒業後の進学と直結させるのではなく、たとえば職業経験を経てから再度大学や大学院で勉学や研究を続けるといったルートをも確立してゆく試みや努力が、個々の高専、高専卒業生や企業にとってだけでなく、政策的にも必要であると思われる。


(1) 今回の調査票では高専5年時の成績のみをたずねているが、高専卒業後の進路が、高専のどの学年の時の成績に最も強く規定されるかについては、より慎重な研究が別途必要である。たとえば調査の自由記述の中にも、「第5学年の成績から就職や進学の割合を判断するのは間違っていると思います。なぜなら、進学者は第1~第4学年までの成績を重視しているからです。」<94年卒、男子>という指摘がみられる。また、沖津(1997)の分析でも、卒業後の進路別の差が大きいのは高専高学年よりもむしろ第1~第3学年の成績であることが指摘されている。これらの指摘から、高専の最高学年ではなく、低学年の成績が大学に編入するかどうかを左右している可能性も考えられる。

〔参考文献〕
 沖津由紀,1997,「工業高等専門学校における学業成績の類型と進路」『日本労働研究雑誌』No.444.


第9章 高専教育に対する卒業生の評価と意見

1. 本章の分析課題

 本章では、報告書全体の締めくくりとして、高専の卒業生が高専教育に対してどのような感想や意見を抱いているかを検討する。具体的な質問項目としては、一つは自分自身の進路選択や高専の教育内容、卒業後の職業キャリアに対する満足度、もう一つは高専の卒業生に対する社会的評価や高専の教育内容に関する多面的な意見を取り上げ、その全体的な傾向や、高専卒業生の内部における回答の違いを規定する要因について検討を加える。

2. 進路選択・高専教育・キャリアに対する満足度

(1) 満足度の布置

 図表9-1は、進路選択や高専の教育内容、卒業後の職業キャリアに対する満足度を、調査対象者全体について示したものである。もっとも満足度が高いのは「高専・学科の選択」であり、「満足」49.3%と「やや満足」35.1%を合わせると80%以上が、自らの行った選択に満足している。「高専の教育内容」および「高専卒業時の進路選択」についてもそれぞれ70%前後が満足と回答している。また「職業キャリア」の場合は満足度が相対的に低くなっているが、ここには在学中の者など職業を「経験していない」者が14.3%含まれているため、それを除いた者を母集団として計算し直すと「とても満足」20.8%、「やや満足」43.1%となり、60%以上が肯定的な回答を与えている。このように、過去の進路選択や高専の教育内容、職業キャリアなどに関する満足度は、全体としてはかなり高いといえる。
図表9-1 進路選択・高専教育・キャリアに対する満足度
 しかしこれらの項目に関する満足度は、個々人の属性によって異なっている。図表9-2には、もっとも基本的な属性変数である卒年別・性別・出身学科別に、各項目への回答を「とても満足」=4点、「やや満足」=3点、「やや不満」=2点、「不満」=1点として算出した「満足度スコア」の平均点を示した。まず卒年については、87年卒に比べて94年卒では「高専・学科の選択」への満足度は上昇しているものの、「職業キャリア」については満足度が低下している。これは94年卒の就職状況が、87年卒と比べて厳しかったことを反映していると考えられる。また性別でみると、女性の方が男性よりも全般的に満足度が低く、増加しているとはいえいまだ少数派である女性の高専卒業者の中には、自らのこれまでの経験に対して不満をもつ者が比較的大きな比重を占めている。さらに学科別に見ても、満足度にはかなり差がみられる。全体として満足度が高いのは電気・電子系および土木・建築系であり、逆に低いのは情報系および化学系である。情報系では、「高専・学科の選択」そのものは他学科と比べてそれほど低くないが、それ以外の項目では不満の度合いが高い。
図表9-2 卒年別・性別・学科別 満足度
 この満足度を大きく左右するもう一つの変数として考えられるのは、高専卒業後に彼らがどのような進路やキャリアをたどったかということである。ここではキャリア類型として、まず高専卒業後に就職した者を、次の4つに分類した。すなわち、転職経験がなく技術職のみを経験してきた「定着・技術のみ」、転職経験がないが技術職以外の職種も経験している「定着・非技術経験」、転職経験があるが職種は技術職のみを経験してきた「転職・技術のみ」、転職経験があり技術職以外も経験している「転職・非技術経験」の4類型である。そしてこれらに高専卒業後大学に編入した者を一類型として加えた5分類を、「キャリア類型」として用いる。この類型別に各項目の満足度スコアを示したものが図表9-3である。まず注目されるのは、いずれの満足度項目についても「大学編入」の満足度が高いことである。それは特に、「高専卒業後の進路選択」に関して顕著である。すなわち彼らは、高専を卒業してから大学に進学したことに非常に満足を示している。高専卒業後に就職した者の中では、「定着・技術のみ」の満足度が全般的に高い。「高専卒業時の進路選択」に関しては、定着組と転職組の間で満足度に明確に違いがあり、卒業時の就職先選択への不満が転職につながっていることがうかがえる。しかし「職業キャリア」に関しては定着者、転職者の間でほとんど違いがなく、転職者も転職経験を含む自らのキャリア全体については定着者と同程度の満足感を示している。
図表9-3 キャリア類型別 満足度

(2) 満足度の規定要因

 このように、満足度は全体としてかなり高く、またいくつかの変数によって異なっていることが確認されたが、満足度を規定する要因についてより総合的な検討を加えよう。図表9-4には、満足度の4項目のそれぞれに関して、上で検討した諸変数や職業キャリアの特徴に関する変数などを説明変数とする重回帰分析を行った結果を示した。なお、高専の学科を変数に含めたモデルでも分析をも行ったが、いずれの項目についても学科は統計的に有意な影響を及ぼしていなかったため、学科を省いたモデルの結果を提示する。
図表9-4 満足度の規定要因(重回帰分析)
 まず「高専・学科の選択」に関しては、87年卒であることがマイナスの影響を、高専5年時の成績が高いことが強いプラスの影響を及ぼしている。そして職業キャリア項目の中では、「学校時代の専門知識・技術を生かせる業務を経験」してきたことが強いプラスの影響を、逆に「特に学校での知識・技術を必要としない業務を経験」してきたことは強いマイナスの影響を与えている。すなわち、高専の教育内容を十分に習得し、それを職業キャリアの過程で活用してきた者ほど、高専や学科の選択に高い満足度を示すという、きわめて妥当な結果が表れている。
 次の「高専の教育内容」についても、高専5年時成績の正の影響および学校時代の知識・技術と職業キャリアの関係については同様の結果が表れている。それに加えて、「昇進の可能性が限定された業務を経験」および「先の見通しなく離職した経験」は負の、「転職しながら自分の専門分野を形成」は正の影響を及ぼしている。ここから、離転職の経験は、単に離転職という事実そのものではなく、どのような離転職であったかということが、学校教育内容の有効性に対する諸個人の評価を左右するといえる。すなわち、自己の専門分野の形成に役立つような離転職の経験は、むしろ教育内容の有効性に対する確信を高める結果をもたらすのである。
 続いて「高専卒業時の進路選択」に関しては、高専5年時の成績だけでなく、大学に編入したこと、現在の勤務先の従業員規模、現在の年収などが正の影響を及ぼしている。また転職経験や、現職が技術職であることが負の影響を及ぼしているが、後者については解釈が難しい。職業キャリアに関する変数の中では、やはり「特に学校での知識や技術を必要としない業務を経験」、「昇進の可能性が限定された業務を経験」、「先の見通しなく離職した経験」などが負の影響を及ぼしている。それに加えて、「最初の担当業務と同じ分野をずっと経験」および「幅広い業務を経験」という、互いに逆の職業キャリア項目がいずれも正の影響をおよぼしている。これは、前者は比較的狭い専門領域に特化したスペシャリスト的なキャリア、後者はよりジェネラリスト的なキャリアを意味しているが、個々人の能力発揮が可能でさえあれば広狭いずれのキャリアであっても満足度を高める方向に作用することを意味していると解釈される。
 「職業キャリア」への満足度についても、大学に編入したこと、現在年収、学校時代の知識・技術を生かせていること、転職による専門分野の形成などがプラスの効果を及ぼしているが、高専5年時成績の固有の効果は見られなくなっている。逆に昇進可能性の限定、キャリア形成に結びつかなかったり将来の見通しがないような離転職などはマイナスの効果を及ぼしており、やはり妥当な結果といえる。
 全体として、高専在学中の教育達成が高いこと、高専卒業後に大学に進学したか、あるいは職業キャリアの過程において高専で身につけた知識・技術を生かせ、専門性を形成できていることが、満足度の高さをもたらしているということができる。

3. 高専教育に対する評価と意見

(1) 評価と意見の布置

 満足度という切り口から見た場合、高専卒業生はこれまでの高専教育のあり方に対して全体としては高い評価を与えているといえる。しかし彼らは、そのような切り口からだけではくみ取ることはできない様々な感概や意見を、実際には抱いていると思われる。それに少しでも接近するために、高専教育への評価や意見に関する多様な内容の11項目を提示して、同意の度合いを答えてもらった。調査対象者全体について各項目への回答結果を示したものが図表9-5である。もっとも肯定度が高いのは、「高専では発表や論文の表現技法の教育にもっと力を入れるべきだ」という項目であり、「とてもそう思う」と「ややそう思う」がいずれも約4割と、合計8割以上が賛同している。これほど意見の一致がみられているこの項目に関しては、改善が早急に着手されるべきであろう。
図表9-5 高専教育に対する評価と意見
 これ以外の多くの項目については、ややばらつきはあるものの、総じて「とてもそう思う」が2割前後、「ややそう思う」が3~4割で、合わせて全体の5~6割が肯定する結果になっており、全体が同意と非同意に大きく分かれる傾向がある。ただ「高専の専門教育は企業現場に遅れており役に立たない」という項目に関しては、否定する者の方が6割を超えており、この項目はそれほど現実に当てはまっていないといえる。
 このように、高専教育に関する意見や評価は、一部の項目を除いてかなり回答に分散がみられる。すなわち、これらの項目に関しては、高専卒業生の中に意見の相違が存在するのであり、そのような意見の相違がいかなる要因によって生じているかを分析する必要がある。しかしその際、これら11個の項目のそれぞれについて他の諸変数との関連を検討すると分析が複雑になりすぎるため、まず11の項目をより少数の変数に集約しておくことが必要である。
 そこでこれらの項目に関して主成分分析を行った結果を、図表9-6に示した。固有値1以上の主成分は、4つ抽出された。まず第1主成分については、「高専卒業生は少数派であるため職場内での位置づけが不安定」、「高専卒業生は大卒に比べて不当に評価が低い」、「高専卒業後に大学や専攻科でさらに教育を受けることが不可欠」など、主に職場における高専卒業生への評価・処遇の低さ、高専の教育内容の不十分さに関する項目の因子負荷量が大きくなっている。それゆえこの第1主成分は、高専教育に対する「否定的評価」を意味する主成分と解釈できる。
図表9-6 高専教育への評価と意見に関する主成分分析結果
 それに対して第2主成分では、「高専卒業生に対する社会的ニーズは今後ますます高まる」、「高専の専門教育で得たものは他の領域にも柔軟に応用できる」などの、高専に対するポジティブなイメージを表す項目の因子負荷量が高く、逆に「高専での専門教育は企業現場に比べて遅れており役に立たない」というネガティブな項目に関しては因子負荷量が小さくなっているため、この主成分は高専教育に対する「肯定的評価」を表しているといえよう。
 そして第3主成分では、「高専では理論教育を通じて体系的な考え方を身につけさせるべきだ」、「高専では人文・社会科学の一般教育にもっと力を入れるべきだ」、「高専では発表や論文の表現技法の教育にもっと力を入れるべきだ」、「高専の教育は専門に分化しすぎない方が望ましい」など、高専の教育内容をより理論的・一般的な性格のものにすることを提唱する内容の項目の因子負荷量が高い。そこでこの主成分を「アカデミック」志向と名付けることにした。
 最後の第4主成分では、「高専では理論よりも、実務に役立つ実践的な教育を行うべきだ」という項目の因子負荷量が顕著に高くなっており、逆に「高専では理論教育を通じて体系的な考え方を身につけさせるべきだ」、「高専での専門教育は企業現場に比べて遅れており役に立たない」などでは因子負荷量が負で絶対値が大きい。それゆえこの主成分は、高専教育の実践性を現状でも高く評価しつつ、さらに教育内容を実践的なものにすることへの志向を表す主成分として、「実践性」志向と名付けられる。
 このように、今回の調査票で提示した高専教育への意見や評価に関する11の項目は、「否定的評価」、「肯定的評価」、「アカデミック」、「実践性」という4つの新たな項目へと集約することができる。それでは、これら4項目に関する反応は、他の諸変数によってどのように異なるだろうか。図表9-7は、基本変数である卒年別・性別・出身学科別に、上記4つの主成分の因子得点を示したものである。まず卒年による差はあまり大きくないが、87年卒の方が「否定的評価」の度合いが強く、94年卒の方が「実践性」への志向が強いという結果が表れている。これらの結果は、卒年に応じて職業経験の長さが異なることに部分的に由来しているものではないかと思われる。
図表9-7 卒年別・性別・学科別 評価と意見
 続いて性別でみると、女性は男性に比べて「肯定的評価」が低く、「アカデミック」志向と「実践性」志向がともに高いという結果になっている。先に満足度に関して、女性の方が全般的に低いことを指摘したが、ここでも、女性の高専出身者は高専教育や卒業生への社会的評価が低いと認識しており、教育内容を何らかの方向に改革すべきであると考える傾向が強いことが確認される。高専卒男性よりもさらに少数派であり、職場等での位置づけが不安定にならざるをえない高専卒女性の意識を示す結果である。
 そして出身学科によっても、意見や評価にはかなりの相違がみられる。機械系、電気・電子系、情報系では「肯定的評価」の度合いが高く「否定的評価」の度合いが相対的に低いのに対し、化学系では逆の反応がみられる。航空・商船系でも、「否定的評価」の強さが突出している。化学系における高専教育への評価の低さは、先の満足度の検討結果とも連動している。教育内容に関しては、情報系および化学系で「アカデミック」志向が強く、土木・建築系および航空・商船系で「実践性」志向が強い。
 図表9-8は、先に満足度の分析でも用いたキャリア類型別に、4つの主成分の因子得点をみたものである。目立つのは、「大学編入」者における「アカデミック」志向の強さと「実践性」志向の低さである。進学者には、高専の教育内容が大学でのさらなる勉学の基礎として適した理論的・一般的な性格を強めることを望む傾向が明確に見出される。反対に、高専卒業後すぐに就職した者で、かつ転職を経験している場合には、「実践性」を志向する度合いが強い。転職経験があり、技術職以外の職種も経験している者は、高専教育に対して「否定的評価」を与えがちで「肯定的評価」は弱いのに対して、転職を経験しておらず、一貫して技術職に留まっている者では「肯定的評価」が強い。このように、教育内容に関しては進学者と就職者の間で大きな相違がみられ、また高専教育全般に関する評価に関しては職業キャリアのパターンによる違いが大きい。
図表9-8 キャリア類型別 高専教育への評価と意見

(2) 評価と意見の規定要因

 以上で概観した評価や意見の分化を規定する要因について、より総合的な検討を加えよう。図表9-9は、上記4つの主成分の因子得点を被説明変数とし、先に満足度の規定要因分析で投入した諸変数に満足度項目自体を加えた変数群を説明変数として重回帰分析を行った結果である。
図表9-9 高等教育への評価と意見の規定要因(重回帰分析)
 「否定的評価」に関しては、87年卒であること、大学に編入していること、「次第に高度な専門知識・技術が必要な業務を経験」していること、「特に学校での知識や技術を必要としない業務を経験」していることがプラスの作用を及ぼしており、「高専卒業時の進路選択」や「職業キャリア」に満足していることがマイナスに作用している。大学編入や、次第に高度な専門知識・技術が必要な業務を経験するというキャリア、そして学校での知識・技術を必要としない業務を経験するというキャリアは、前者は有利な方に偏り、後者はどちらかといえば不利な方に偏るという点で方向性は逆であるが、いずれも高専の卒業者としては少数派に属するパターンである。これら非典型的なキャリアをたどった者は、高専の教育や卒業生の位置づけについて否定的な評価を下しやすいといえる。反対に、高専での専門的教育内容を生かせる典型的なキャリアをたどった者は、高専に対してネガティブな印象を抱きにくいようである。
 次に「肯定的評価」に関しては、現職が技術職であること、「幅広い業務」ないし「学校時代の専門知識・技術を生かせる業務」を経験していること、「高専・学科の選択」や「高専の教育内容」に満足していることがプラスに作用している。すなわち、高専卒業者の典型的な職業キャリアのパターンをたどった者において、「肯定的評価」の度合いが高いといえよう。
 そして「アカデミック」については、女性であること、大学に編入したことが強く影響しており、また高専5年時の成績や現在の勤務先規模もプラスの効果を及ぼしている。職業キャリアとしては、「次第に高度な専門知識・技術が必要な業務」に進んだことは正の影響を、「昇進の可能性が限定された業務を経験」したことが負の影響をもっている。そして「高専の教育内容」への不満が大きい者ほど、また「職業キャリア」に満足している者ほど、「アカデミック」志向の度合いが強い。これらを総合すると、現状の高専教育を十分マスターした上で、大学進学などを通じて、平均的な高専卒業者よりも職業生活において成功を収めている者が、高専の教育をより「アカデミック」な方向へと引き上げる必要性を強く感じているといえる。
 「実践性」については、現在の勤務先規模が小さい者ほどその志向が強く、87年卒業者や大学編入者では弱い。「学校時代の専門知識・技術を生かせる業務」や「いわゆる出世コースの業務」を経験していることはマイナスに影響している。また「高専の教育内容」に不満である者ほど「実践性」志向が強い。このように、先の「アカデミック」とは逆に、大企業で技術職として専門知識を生かすという典型的な高専卒業者の職業キャリアを、どちらかといえば不利な方向に外れるキャリアをたどった者が、より実践的な教育内容の必要性を感じる傾向がある。
 以上の検討から、高専卒業者の中には、その職業キャリアや高専教育に対する評価・意見のパターンに即して、大きく3つのグループが存在していることがうかがわれる。その一つは、いわば「典型的高専卒」といえるタイプであり、高専で学んだ知識・技術を生かせる職業キャリアを送りながら、高専教育や卒業生の社会的位置づけを非常に高く捉えていることを特徴とする。もう一つは、仮に名付ければ「超・高専卒」ともいえるタイプである。彼らの多くは大卒学歴を取得しており、より幅広い業務経験やそれを通じた業務内容の高度化を経験している。そして高専教育に対してアカデミックな面からの物足りなさを感じている。最後のタイプは、いわば「周縁的高専卒」と呼べるタイプであり、高専教育の内容とあまり関係のない職業経験をたどった者である。このタイプは、高専教育や卒業生の社会的位置づけに関してネガティブな印象を抱きがちであり、また教育内容に実践的有効性を求める傾向がある。
 高専教育に関する意見や評価について、高専卒業者の内部でこうした大きな分化がみられるのであり、これらの多様で異質な考え方に対していかに対応してゆくかということが、高専にとって今後大きな課題となると思われる。

4. まとめ

 本章の知見を、以下にまとめておこう。
1) 過去の進路選択や高専の教育内容、職業キャリアなどに対する満足度は、全般的にはかなり高い。この満足度には性別や学科などによる相違がみられるだけでなく、高専卒業後にどのようなキャリアをたどったかによっても左右されている。大学に編入した者ほど、また高専卒業後に一つの企業に定着している者ほど、高専教育などに対する満足度が高い。また職業キャリアを通じて、高専で身につけた知識・技術をどれほど生かせ、自分の専門性の形成や能力発揮をどれほど実現できているかということが、満足度に大きく影響している。
 2) 高専教育に対する意見や評価には、かなりばらつきが見られる。多様な意見や評価を集約すると、高専教育や卒業生の位置づけに対する「否定的評価」および「肯定的評価」、今後の高専教育の内容に関する「アカデミック」志向および「実践性」志向という4つの構成要素が抽出された。これらの4つの項目を感じる度合いは、やはり性別や出身学科によって違いがみられる他、卒業後のキャリアによっても異なっている。キャリアと意見の組み合わせから、高専卒業者の中には、高専で得た知識・技術を生かせる職業キャリアをたどっており現状肯定的な意見をもつ「典型的高専卒」、大学編入者を多く含みアカデミック志向の強い「超・高専卒」、高専教育と関連の薄い職業に就いた者や転職経験者を多く含み、実践性志向が強い「周縁的高専卒」という、大きく3つのグループが存在していることが推察される。
 なお、本章では満足度および評価・意見という2つの質問項目への回答結果を主に検討してきたが、本報告書巻末に付属資料として掲載している自由記述には、はるかに豊かな意見や提言が含まれているので、ぜひ参照されたい。
 以上に概括したように、高専卒業者は、彼ら自身が経験した高専教育そのものについてはかなり肯定的な印象をもっているものの、社会全般から高専がどう見られているか、また高専が今後どうあるべきかについての認識には、卒業者個々人の経歴によって分裂がみられる。特に近年の高専卒業者のキャリアにおいては、本報告書の第I部や第II部第8章で検討してきたように、従来のような大規模製造業技術職という典型的なポストが縮小するとともに第三次産業や小規模企業など従来は少なかった就業先が増加し、また他方では高専卒業後に大学に進学する者が増加するという大きな変化が生じている。このような現状のもとでは、卒業者のみならず、将来自らがたどると予測されるキャリアに即して、高専在学中の学生の間にも、意見やニーズの分析が強まることは不可避であると思われる。このようなニーズの分化に対して、現状の高専のようにシンプルな学校組織のままでどこまで対応してゆけるのか、しかし他方でコース分けなど組織的分化による対応をとった場合、高専が教育機関としての統合性をどこまで維持できるのかなど、検討と施策を要する課題は数多い。



付属資料A 調査票
調査票P1
調査票P2
調査票P3
調査票P4
調査票P5
調査票P6



付属資料B 基礎集計表
基礎集計表P1
基礎集計表P2
基礎集計表P3
基礎集計表P4
基礎集計表P5
基礎集計表P6
基礎集計表P7
基礎集計表P8
基礎集計表P9
基礎集計表P10
基礎集計表P11
基礎集計表P12



付属資料C 自由記述

◆高専教育で不満だったのは一般教育に関しても専門教育に関しても選択性がほとんどないこと。(これは、大学でもあまり変わらなかったが…)高専で受けた専門教育は、大学に比較すると非常にわかりやすくとても良いと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆私は他県の高専へ行ったので卒業した高専には、めったに足を運ぶことができません。身近にある高専を利用してOA等の勉強をすることが、簡単にできればと思います。〔87年卒、女性、就職〕
◆企業実習がなかったので経験としてあったほうがよかった。大学でもそうであるが、要するに個人のやる気が一番重要であり学生にやる気を与える環境が重要と考える。ex.実験教材装置の充実、進級を厳しくする等。卒業生のキャリアについては、私の経験では企業間で大きく考え方が違う。就職時のチェックポイントであると思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆今後、大卒と同等の扱いを企業に望む。一方、高専も大学と同等の内容だともっとアピールすべき。〔87年卒、男性、就職〕
◆大学受験がない分、外国語能力については、大学卒と比べ相対的に低いと思われます。語学等の「考えれば判る」ものではない教育については、もう少し力を入れても良いと思われます(時間及び教官の質的な問題)また「キャリア」については、学歴重視ではなくあくまで本人の能力重視の社会・職場を選択できるようにすれば良いと思われますので、その方面の情報収集を(生の声として)行うべきではないでしょうか。但し、長い人生を考えますと、やはり大学で「遊んできた」人間と比べどうしても「会社人間」や「仕事人間」になってしまいがちですので、高専制度そのものの見通しをすべき時期になってきたのではないかと感じています。〔87年卒、男性、就職〕
◆職場サイドにたった教育をもっとしてほしい。キャリアについては、職場によって違ってくると思うので何とも言えない。卒業生がもっと気軽に利用できるようになってほしい。〔87年卒、男性、就職〕
◆中学3年の段階で、将来を決めるのは難しいと思う。方向を変えようとしても受験に対応した学習をしていないため、(特に文系の大学には行けず)、そのまま流れにのってだらだらと就職して中途半端な人生を送っている人は少なくないと思う。自分で何とかするしかないと思うが、方向転換を考えさせるのも若い学生に対しては、学校の重要な責務ではないか、自分もそういう意味で人生失敗したかなと思う一人です。自分の勤務する会社で言えば、大学工学部卒→設計、高専卒→生技(生産技術)とうい図式があり、同じ土俵で勝負(大卒との)できず、高専卒の評価は高まらない。イコールやる気をなくす。私も5/1~Uターン就職が決まっています。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専在籍中にその場しのぎの勉強のやり方をしていたので、もっと内容重視した勉強の仕方をすればよかったと反省。多数の課目に対して平均的な勉強というより、得意な科目を探索し、伸ばす勉強のやり方をバックアップしてほしい。〔87年卒、男性、就職〕
◆私がいた会社では、高専卒の男子の下積みが長くかわいそうなくらいだった。(最低7~8年、長いと10年)、女子は比較的早く拾ってもらえたのが、結局いいように使われていたように思う(例外アリ)。私は最後の仕事が、ISO関係で元の開発にもどしてもらえる見通しが全くつかなかったので出産を機に退職した。〔94年卒、女性、就職〕
◆私は高専における修学生活を経験し社会に出ている立場とし、問題を感じていることは主に以下の2点です。高専卒業者に対する資格(学士、修士等)がないこと。高専卒業者に対して日本の社会が認めうる資格がないため、一般世間では専門学校、短大等と同一に見ざるを得ない。このことが高専の不人気、レベル低下を生んでいる。海外において、例えば台湾ではアカデミーと呼ばれる日本の高専教育に似た教育体系があり、国の評価を得ていたり、フランスでも、一般の大学(パリ大学等)よりもレベルが高いとされる少人数制の専門学校があるという。教材とカリキュラムの充実を計ること。専門科目と理数系課目の履修の順番、バランスが高校→大学の整理された教育体系に比べ調整が不充分である。カリキュラムに含まれる全科目が効率よく修得されるためにもっと工夫が必要。〔87年卒、男性、就職〕
◆企業では大学で教育を受けた学生と比較すると高専卒の学生は低い評価を受けがちなため、教育内容はあまり大学生と変わらないので、同じように評価するべきである。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専自体のレベルが最近低下しているように思えます。16~20歳と大人になる大切な時期を高専で送るわけですから、勉強どうのこうのよりも、1人の立派な人間を育てる事を期待します。学校で勉強したことはほとんど会社に入って役に立たないのが当たり前なのですから…〔94年卒、男性、就職〕
◆私の時代の高専生活は全てが充実していたと思うし、又そのような環境が整っていた。ある程度個人の自主性にまかせ、のびのびとしていた。本当に学びたいと思った人間だけが入ると言っても過言ではなかったと思う。本来、高等教育機関とはこのようなものであるべきだが、大学を頂点とする高等教育が現在においては全く正しく機能していないと思う。(大学生の何と無教養なことか…)高専においてはいつまでも本来あるべき高等教育機関であって欲しいと切に願ってやみません。(最後に大卒には負けないぞ…)〔87年卒、男性、就職〕
◆中学卒業時からの5年間を高卒という同一分野の中で過ごすことは、他の分野(理系以外)への好奇心を奪うことにもなっていると思う。3年次等でもっと他の分野への進路に道を開く対策も必要ではないだろうか、現在私は退職後、福祉系大学に通っています。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育の中で、知的所有権について取り上げる必要があると思う。工業でやっていく上で、これから絶対不可欠であると思うからだ。又、レポートの書き方は、文章のまとめかた等、技術的な文章を書くための技術も教育の中で、取り上げたほうがよいと思う。実際に業務を遂行していく上で、必要な技術だからである。〔94年卒、男性、就職〕
◆大企業では、高専卒社員と大卒社員との賃金・昇進格差が大きい。その割に仕事量・責任が同等で理解に苦しむ。〔87年卒、男性、就職〕
◆私の職場では出身校によってキャリアに差が出るという事はない。全般に実力主義であり、そうでなければ成り立たない仕事ではある。だから、こういう調査そのものにあまり意味があるとは思えない。〔94年卒、男性、就職〕
◆中学在学時に既に将来の進路を設定するような形になるので入学してからも、将来について不安を感じたり、卒業して就職した後も不安を感じる人達が出てくるのではと感じる。入学して最初の2年を一般教育についやし、3年次以降に各種分野を生徒自身に選択させたり、3年次で卒業後などの進路の選択などを、もっと対応させてもいいのではと思う。〔94年卒、男性、その他〕
◆大学受験がなかったため、高専時代は非常に楽しく、自分のしたいことができて有意義な時間が過ごせました。また、そのため他人とは違った考え方ができるようになったと思います。高専は教育の多様性という意味で、重要な役割を担っています。なくならないことを願います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆英語力をもっとつけておいたほうがよい。又、本を読むことも大切であると思っています。学生時代にこれだけは一生懸命やったということを一つでもいいから持っておいたほうがよいと思います。〔94年卒、女性、就職〕
◆就職後に、大学への編入がスムーズにできるように、各企業及び各大学に希望したい。資格試験について、高専でもっとバックアップすべきである。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生だけでは、皆実践的な仕事には取り組むことはできないでしょう。本人の社会へでてからのやる気次第でいくらでもなると思う。大卒、院卒だからといって仕事ができるとは限らない。高専卒だからと思う必要はない。学力社会は崩れ、実力社会となるはず。その時には高専卒は柔軟性があるのでいかなる社会にも対応できるでしょう。〔94年卒、男性、就職〕
◆私は、親の勧めで入学したため、自分のやりたいことが見つからなかった。しかし、3年次に獣医になることを決め、それに進学するのに非常に苦労をした。だから、途中で進路を変えるものにとっては、高専の環境は適していないと思う。又、高専に入るには、この先自分の進路のビジョンがしっかりしている人がいいと思う。〔94年卒、男性、大学へ編入〕
◆高専は工業系の基礎を築くという意味では充実した5年間だったと思う。ただ高専にいると外部からの情報に乏しくなる(特に寮)ように思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆私は機械工学科でしたが、今思うと、座学・実習共に狭い分野をわりと深くやっていますが、もう少し幅も広げてそれに関連する分野をもっと取り入れて欲しいです。〔94年卒、男性、就職〕
◆我国が、化学技術立国を目指す以上、高専教育が必要であり、社会基盤の上でも重要であり「縁の下の力持ち」的存在であると思われる。また、高専を卒業したものに対する「準学士」という中途半端な学士号ではなく、誇りが持てる「高専学士」号の称号に改めたほうがよい。更に、高専が短期高等機関という位置づけは本来おかしく、学生の立場では5年一貫教育機関のはず。最後に高専の差別化は、多様性を生みよい方向だと思う。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆大学への編入先の幅を広げる努力が必要。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専に入学してから専門的な事をやると思っていたが、3年までは高校と同じ教育が続き退屈であった。4年から2年間集中的に行うが、5年間という長いプランにより計画されているが学生たちは、もっと早くからそういった専門的知識の認識を持たすべきだと思う。中学卒業したての頃は純粋な心で入学するが3年生の頃からたるんでくるので3年目の区切りに何か目標が必要だと思う。そして4年から又新たな意識を持たして具体的に取り組んだほうがよい。学生には社会に出てどのように役立つか分からない。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専と大学を比べると大学のほうがいろんな面で又良かったと思われます。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専の卒業生は大卒並の知識を持っているが、企業内での評価が低いように友人などから聞いたことがある。企業は、安い給料で大卒並の人材を確保できるので、高専卒は就職率が高いのだと思う。これらのことは、もっと高専や卒業生などが社会に又は企業等に主張すべき問題だと思う。また、高専のレベルは全国の地域によって異なりすぎると思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆就職時のフォローがなかった。教授が行っていたので、情報も少ない。大学みたいに就職課が必要。〔87年卒、男性、就職〕
◆寮生活と学校生活が一つの場所で行われているので、社会から孤立した感じを受けていた。ある意味で刑務所にいるような思いをしたときもあった。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒社会人への評価は企業により違いがあれど、評価は低い。22歳の新卒社員と満2年を経た高専卒が全く同等の賃金であることは、やはり評価が低く、その後の昇給率が変われば数年後に差はあらわれてくる。高専卒が企業において技術的には劣っていないはずである。又高専教育側もこの実態を考慮し、社会的立場から考えていってほしいものである。〔87年卒、男性、就職〕
◆一般科目に対する教育の指導が弱い気がする。また、発表や論文の表現技法については、高専のうちに学んでおけば後々、大学でも企業でも役に立つ。専門分野を広く浅くではなく、一部でもよいから深く学びたいと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専入学後、15歳で就職までの5年間は非常に先のことと感じられ、勉強の動機付けを自ら失っていた。また、どの勉強が将来どんなときに役に立つかもっと授業で説明して欲しかった(例えば数学)。〔87年卒、男性、就職〕
◆学校にいるうちに卒業生の話が聞きたかった。それも卒業して5年くらいの人。〔94年卒、男性、就職〕
◆社会に出て、実際に役に立つ教育が必要(パソコン、実習、実験)。また、英語(英会話)が重要。〔87年卒、男性、就職〕
◆主な仕事に「サービスエンジニア」とあるが、一般的な言い方ではないと思われます。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育について:高専は少人数生で5年間同じ場所である意味でアットホーム的な雰囲気の様な気がした。その分同世代の高校生とは全く別の世界に居た、孤立的な時代だったように思える。教育的には5年間ほとんど授業で決められたときに机にいなくてはいけなく、時間的に厳しかった分、大学は自由に感じた。実験などは少人数の分だけ実力がつきやすいと思う。(実験器具にふれるから)また、大学入試がなかたことは幸せだったように思う。ただ酒の席、先輩の方と接することが少ない分、社会に出て最初はなじめない面もあるかも知れない。“学歴"という投資の分、キャリアがあって当然だと思うが、これからは実力社会なので、早く経験を積むことのできる高専生がキャリアをつかむ時代が来るかも知れませんね。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専は井のかわずです(学会の発表を通して痛切に感じました)。現実に仕事の中で使える工学理論は私に関して言えば、3年生までのレベルであり、本当の専門はエンジニアとしては必要でない。社会系科目が暗記物(一夜漬け科目)になり下がっていた。結局のところ、仕事は人間集団の中で行っていくので、1人で研究する場と共に、複数でないとできない通年授業があってもいいのではと思う。(某製造業勤務)〔94年卒、男性、就職〕
◆中学3年時に自分の将来を決定することは不可能。専門教育よりも幅広い教育をするべき。教育により、更に視野を狭くしている気がする。そのからを破るには、転職を含め、アルバイトも含め視野を広げる必要がある。転職なくしては、今の自分がないと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆どんな会社で仕事をしているのか知りたい。高専が、大学学部卒とどう違うか、どう特徴があるのか、はっきりとしているか?特徴を出して行くべきだと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆入社時には、大卒者に比べ給与面で差があったが、入社して10年も経つと、個人の査定も学歴から実績に変わり、逆転するケースも発生している。会社によっても差があると思うが、技術系の会社では、ある程度高専卒業者は認められていると思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆知識などは高専で充分だと思います。後は、実際社会に出て自分なりに応用を利かせればいいと思う。いきいきとやる気の出るような魅力的な教育をしていって頂ければ充分認めてもらえると思います。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専というところは、学生の志一つでいくらでも自分が身に付ける知識、技術というものが変わってくるところだと思う。高専教育は、基本的に「自由」を学生に提供した方がいいと思う。その代わり「評価」を厳しくしたほうが、高専のためにも、学生のためにもなると思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専は人数が少ないためか、就職後先輩・後輩とのつながりが薄く、その点を少しでも改善できるシステムに近づければ学閥らしきものがつくられると思います。私の就職先は役所のため、某大学の出身者が非常に多かったりといった傾向もあります。高専在学中は中だるみの時期があったり、中途退学者が出たり色々ありましたが、高専卒は大卒と何ら変わりない知識と学力が備わっていると思いますので、後輩も頑張っていただきたいものです。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専はクラス替えもなく、学科間の交流もない、又、他の同世代の人達との交流もほとんどない少し閉鎖的環境にある点が何か解決できないでしょうか。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆私は高専を出て、大学→就職と進んできた身であるが、こと大学では、高専で学んだことの復習で大半が終わった感がある。まあ大学院に進まないことには、あまり編入のメリットはないと思った。高専科を充実させて、大学とはまた違って技術者像を育む方が、高専という者のオリジナリティが出てきて地位も上がるのだと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆企業によって、高専を短大卒と同じと見るか、違うかが大きく違う。給料は同じで、扱いも同じなのに、高専も出てるのにといった評価をうけるのは辛い。大学卒といった肩書きがあった方が後々よいと思う。〔94年卒、女性、就職〕
◆賃金では、大卒にかなわないが、仕事では同レベルのことを求められる。高専での教育内容はすでに10年以上たっているので、改善が必要かどうかは分からない。〔87年卒、男性、就職〕
◆私の場合は、配属先での専門(化学、材料系)分野と専門学科(機械)が一致していなかった為、専門知識は就職後に自学自習した量の方がはるかに多い。論文・レポートの経験より報告書、実験・実習の経験より開発・試作というように部分的ではあるが役に立っている経験も多い。実力以上に会社よりの評価が高くプレッシャーを感じながら、辛くもあるが、実力次第で上にも下にも動いてしまうよい位置づけと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆現在の高専では、週5日になってから、実習時間が短縮されているようであるが、高専が大学と大きく異なるのは、より実践的な教育であるからもう少し実習を増やし、教師も幅広く一般企業から登用すべきである。また、専門教育も一般科目を削減して、2年生からもう少し沢山教育した方がよい。高専卒業生の評価は、短大卒と同程度と見なされているが、工場や現場、技術等では大卒、修士卒以上の能力を有しており、即戦力となり得る点で、給与その他の待遇面を改善すべきである。高専のキャリアを生かせる技科大をもう少し増やすべきだと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆どのような学校で教育を受けようとも、目的意識をはっきりと持つこと(持たせること)が重要ではないでしょうか?自分自身、目的意識を持って高専をうけたわけではなく、また就職先を選ぶときもありませんでした。会社にはいって11年、今思うことは高専時代の勉強をいかにムダに過ごしてきたかということです。もっと明確に自分の将来を見据えて勉強していれば、今とは違った人生が開けていたのではないかと思います。高専教育(に限らず)に対する意見は1つです。早い段階から目的意識を持たせること!高専の教育カリキュラムは、非常によく考えられており、レベルも決して低くありません。しかし、身についていなければダメです。学生のやる気があればもっと活躍できるのではないでしょうか。〔94年卒、男性、就職〕
◆自分は一期生として入ったため、授業内容も中途半端であった。現在専攻科があるが、まだまだだと思う。もっと学科にあった科目を教えるべきだと思うと共に、職場によって必要なもの(自分達では分からない)を少しは教えてもらいたい(基礎は大事です)。〔94年卒、男性、就職〕
◆就職先での評価等は、やはりその人のやる気によるでしょう。会社によるかもしれませんが、高専卒の方は、そのような会社(いわゆる学歴主義でない会社)を見極めるよう気をつけた方がよいと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆現在の私の職場では、特に大卒、修士との権限等には差異はないが、やはり、資金面での不満があります。教育にもっと実験を取り入れるべき!〔94年卒、男性、就職〕
◆私は、185人という大企業で採用担当をやっているが、ここ2・3年の流れとして、短大相当として入ってくる高専生が進学を積極的に行うが為に、レベルの低下(質的)が感じられる。専門学校卒の方は、確実に資格等を持って就職に挑むが、高専卒はそうではない。企業にとってみれば即戦力となる専門スキルに充ちた人物を求めているため、そもそも高専を進学目的とするものか、就職を目的にするものか分別の必要がある。共存してはいけないと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆実践教育中心になっていないため、企業の要求する人材となり得ていない。基礎として教えられたことが、実はあまり役立っていない。本当の基礎をわかっていないと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆私の場合には、入学して大学レベルの教材での授業についていけなくなり、落ちこぼれた方である。当時、女子学生も多くはなく、友人もできずに、精神的にまいったときもあった。それでも実験等は嫌いでなかったので、入社後も役立っているが、在学中の化学実験はハードな面もあった。不足している点は、学会発表等の参加等議論する場が少ない点である。入社後、高専でも学卒同等、力のある人は頑張っている。企業では昇進の時間差はあっても実力がものを言う。でも、企業内では同じ仕事をいつまでも続けているわけではなく、流動的であり、常に新しい事・物を勉強していかなければならない向上心が必要で「自分らしさ」を出し、活かせれば仕事はしていけると思う。実験のレポート等、大変苦労であったが、それがその後に役立っている。理論的な考え方ができるというのも五年間の教育のおかげと思っている。〔87年卒、女性、就職〕
◆教育内容、レベルは大学(千葉)の学部と同等であった。しかし、会社では昇進・賃金を決める最重要ポイントは学歴であり、高専卒で特に仕事のできる人は損をしている。(高卒も同じ)でも仕事の内容はだんだんと高度で重要なことが任されるようになる。ハンディはあるが、頑張れば何となかる。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専教育には卒業後の社会のニーズについてあまり考えられていないように思う。高専卒では先ず研究所に入ることはないので、実務に即した内容を充実すべきではないか。卒業生の立場は、優秀な人材を大卒より安く働かされているイメージがある。昇進・昇級は、大卒より遅いが、業務内容は、同等かその上を担当してる。私の部下の大卒は私より給与が多い。私より各付けが上だが、私の指示で仕事をしている。〔87年卒、男性、就職〕
◆大卒に比べて不当に評価が低いことを強く感じます。特に技術士補の試験など大卒は一般科目免除ですが、高専卒はうけなければなりません。学んできたことは決して大卒には劣っていないと自信を持っているのに、とても悔しいく思います。今度、このような内容が検討されることを願います。〔94年卒、女性、就職〕
◆専門科目の授業を増やした方がよい。就職情報をもう少しわかりやすくすべき。特に大きな企業では、仕事内容や職場環境など多種多様のため、入社してからわかることが多い。〔94年卒、男性、就職〕
◆大学編入の道が非常に少なく、自分自身就職し、自立したいと思う反面、大学にも行ければ良かったのではと思う。最近の学生は「編入が卒業生の半数」と恩師に聞いており、「大卒の多い」時代高専の存在が、薄らいでくるのではと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆企業によっては、大学学部卒と高専卒との間で、賃金や昇進に大きな差がある場合がある。周りの学部卒の者と比べ、高専卒の者が能力的に劣るとは思われない。高専卒の者たちのやる気がなくならないよう企業側の意識改革を望む。また、高専側、高専卒の者の側も自分達は大学卒と同等以上の能力があると自覚し、物事に望む必要があると考えます。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育のありがたみは学校卒業後に実感する。私は、在学中は学校を辞めることばかり考えていたが、今になって思えば卒業できて本当に良かったと思っている。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒と大卒の違いは一般教養知識の差があること。専門知識はほぼ同等と考える(但し修士とはかなり差がある)よって、文章表現力や一般教養さえ備われば評価も上がると思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専という学校は自由があり、あまり校則に縛られません。又、授業では進むスピードが速く、じっくりと教えません。つまり、生徒自身に任せているのでる。だから、伸びる人は伸びますが、勉強についていけない人は本当についていけません。つまり、差が大きいのです。〔94年卒、男性、就職〕
◆会社によって、高専卒業生の扱いが様々であると聞いています。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆私は卒業後進学しましたが、一番苦労したのは語学とプレゼンテーション、論文作成等の文系的な面でした。進学するにしても、就職するにしても、これらは一生ついてまわるもので、従来の授業の他に文系面を強化するカリキュラムも、取り入れる必要があると思います。また、近頃はいくらか緩和されたのかも知れませんが、日本はまだまだ学歴社会であるように思います。私自身はまだ社会に出ていないので何とも言えませんが、大学に編入して、四大卒と高専卒とは能力差は殆ど無く、あるのは語学力と年齢の差だけだと感じました。学歴ではなく、個人の能力で評価してくれる、世の中に早くなってくれたらと思います。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆大卒に比べて、専門知識で言えば殆ど変わりないにも関わらず、評価が低いのが不満である。〔94年卒、男性、就職〕
◆大学から就職するより、高専から就職した方がスムーズに職を得ることができると思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆建設業では、就職してしまえば学歴は全く関係なし!やる気と、熱意どんなに頭が良くても使えない者はいらない。強いて言えば自由な校風で学んだ高専生は、さぼる所と、力を入れる所が自然と身についているので、使える者は多い。〔94年卒、男性、就職〕
◆・高専では英語等、語学教育が不足している。さらなる充実(特に会話を重点的に)必要と思う。・プレゼンテーションの技術を教えた方がよい。特に卒業研究の充実を要すると考えられる。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆英語をもっと身につくような教育をしてほしかった。中途半端な英語の学力で、独語を習うため、両方とも身につかない結果となった。〔87年卒、女性、就職〕
◆もっと、専門分野に力をつけ、対応すればよかった。〔94年卒、男性、就職〕
◆昨今の人材ニーズが大学卒以上の傾向が強すぎる感じが受けられる。ここ1・2年での大手企業の求人状況は厳しいようだ。(求人するが実際には殆ど内定を受けられない)(採用されない)レベル的には大卒とは変わらないと思う(実践的な面では上ではないだろうか)。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆専門分野の歴史を学ぶことはとても重要であることを知りました。また、これからの専門分野の教育には、現在の技術的レベルもふまえて、常に先端技術を自ら生み出せるような体制を整えていってほしいです。まだまだ、社会的に高専というものが認められていないと感じています。もっと高専卒のキャリアに様々なビジネスチャンスを与えてもらいたいと思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆問18の第5学年の成績から就職や進学の割合を判断するのは間違っていると思います。なぜなら、進学者は第1~第4学年までの成績を重視しているからです。第5学年の成績のみで、学内推薦の順番は決められません。私は現在、大学院に在籍しており、今春から社会人となります。ここまで進学できたのも高専での基礎知識や寮生活の経験によるものが大きいと考えております。今後更に高専が発展すればと願っています。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒の企業の扱いは“プライドが余りなく、扱いやすく、そこそこ仕事ができ、賃金は低くてもよい"というイメージがあるような気がする。〔94年卒、男性、就職〕
◆とにかく中途半端である。高専を卒業した人のほとんどが社会における高専の不平等さを様々なところで感じていると思う。中学生で将来を決めてしまうのは、(本当に技術系に進みたいと思えば普通の高校に行ってから大学の工学部に行けばよい。)就職の時に高専枠の求人が限定されている。(昔よりも減っている。)採用後の待遇が高卒に近い。編入学を希望しても受け入れる大学、学部が少なすぎる。中途採用時に求人側はほとんど4年生の大学生を希望している。(採用条件が大学卒がほとんど)高専の地位が下がりすぎではないか。(4年生大学と同等にすべき。)資格試験を受ける場合も高専卒は条件が悪すぎる。高専そのものについて見直す時期は来ているのではないか。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専は今の学校教育の傍らにある。だから、立場は中途半端であり、職場によって認識が異なるので、一概に論じられない。私の勤め先では多くの先輩がおり、理解も得られているので、(母校に近いからでしょう)そのような高専卒の人達はあまり詰め込み教育をしていない為なのか、個性の豊かな人が多いと思います。硬直化した会社を活性化することが出来るような人材でありたいと思います。〔94年卒、男性、就職〕
◆現在勤務している会社では、ある意味で不思議なくらい学歴差による扱いの違いはない。そういった点で就職先の選択は間違っていなかった。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒は能力的にも実務的にも技術職として、即戦力になるようになってほしい。社会に出れば、仕事がどれだけできるかで判断されるのです。大卒、院卒だからといって高卒や高専卒より仕事ができるというものでもないと思います。でも、もっと教養を付けないと恥ずかしい思いをすることが多いはず。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆非常勤講師によって行われる授業については、後々講師のところへ講師の部屋がないため質問等に出向くことが困難である。〔94年卒、男性、その他〕
◆高専卒の人間は、企業にとって安い賃金で働く道具のように思えます。使い捨ての道具のようなものです。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専の1年~3年までの一般教科(数学、物理、化学)の教科書が難しすぎる。余りにも専門書タイプであるので高校と同程度の内容のものを使用してほしかった。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育について、5年間は長く、授業時間が8時間の時はかなり苦しく、「詰め込み」を感じた。人文社会科学の教育では、先生が専門分野だけを教えられる方が多く編入を考えている人には辛い時間だったのではないかと思う。また、国立でありながら、国会のことや国の仕組み、税金のことなど、教えてもらったことがない。これからの在校生には教えて上げてほしいと思う。キャリアについて、女子であるため職が少なかった。また少なかったためあまり分からないまま就職してしまったようだ。仕事内容に不満があり転職した。転職も女子の仕事内容(専門を生かせる職)は少なく困った。パソコン、ワープロは使えるようになっていた方がよい。(高専でフォートランなんて教えている場合ではない)英語というか英会話が出来た方がよい。しかし結局のところ子供を産み育て、再び就職となると誠に悲しいことにパートとなるであろう現実である。これでいいのか?一体どうなっているのだろう。何も高専入学前と変わっていない社会でした。〔87年卒、女性、就職〕
◆自分が今勤めている会社では、大学学部卒の2年遅れで昇級昇格が行われており、現在までは(約12時間勤務)あまり差を感じていない。しかし、ある一定以上の昇格には学閥などの影響は多少あるように感じられる。ただ、今の会社では、高専卒の人間が少なく、自分の先行きはよく分からないがあまり不安を感じたことがない。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生は、私の企業では高く評価され、事実実績を持たれる方々が沢山います。また、仕事内容も大卒、週士卒と同じもので、幸せな職場に入れたと思っています。ただ、高専卒は少数派であるため、企業間での地位の格差が広く思われます。また、これは私の職場の話ですが、仕事内容は、大卒、修士卒と同等以上であるに係わらず、給与は高卒と大卒の中間に位置し、仕事量と給与が見合わないように思われます。(同期比較ですが)。現在私の職場では新入社員のうち9割が修士という高学歴社会を迎えています。このような中で私のような高専卒が今までの職場でのキャリアと比較して彼らに技術的に負けていることはないと思っています。ただ、リストラ等で職場を解雇された際、再就職先を探す上で学歴が低いことが不利になるのではという心配はあります。(これからの大量解雇時代を見込んで)そう言った意味では職場に居ながらにして学資が取れる手段がないかと思うのですが。〔94年卒、男性、就職〕
◆初任給が低い割に仕事は大卒並に出来るので経営者にとっては使いやすいと思う。仕事ができすぎる人が他の人のプレッシャーになっている場合もあり、他の人が育たなくなる面もある。中高一貫がさけばれているのと同様に6334制に対する高専教育も面白いと個人的には思っています。〔87年卒、男性、就職〕
◆大学入試がない分、中だるみが生じられるので、もっとメリハリがつく高専教育を考えるべきだ。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育では、中だるみが生じやすいのでそれをなくす工夫が必要だと思う。例えば何か資格(危険物取扱者など)を取るための勉強を授業に取り入れて、実際に試験を受けるようにさせるとか、英検やTOEICなどを受けるように進めるとかしてやる気が出るような勉強を増やせばいいと思う。難しい専門分野の勉強を沢山したが、頭に残ったものは少ないし、無駄な気がして苦痛なものが多かった。今から考えると専門分野といっても基礎的なことをやっていたので、もう少し勉強すれば良かったと思うが、勉強していたときは、それを勉強する意義が分からなくて、興味が持てなかった。難しい専門分野の勉強ほど、わかりやすくその知識がどういうところで必要とされて、どんなに役立つものなのかなどを教えて、興味を持たせてから難しい理論に入って行くべきだと思う。〔94年卒、女性、その他〕
◆高専教育では一般教養がおろそかにされすぎたと思う。時間数だけの問題ではなくて、教える方にもやる気が感じられない人がいるし、習う側にもどうせテストの点が悪くても、一般教養で単位を落とすことはないだろうとタカをくくっている。もう少し単位数(専門を含めた全体の)を減らす変わりに、厳しくすべきだと思う。大学側は高専を過大評価していると思う。というか余りにも簡単に編入できてしまうことにおどろいてしまう。高専生の英語力を初めとした一般教養の程度はひどいものだ。編入試験も本当にいい加減なものだ。そのうちぼろが出ると思う。それにまともに大学受験するのがばかばかしくなる。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆高専教育について専門分野以外の授業が面白い割に、専門分野の教育内容、実験がつまらないい。職場環境、大学との能力差はあまり感じないのに、周囲の評価がそうでないことに不満を感じる。(キャリアが積めず、入社後に能力差が広がる。)〔94年卒、男性、就職〕
◆昔から高専卒を採用している企業は、高専卒の評価は高いと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育に対する意見としては、一般教養は必要ないと考えます。必要なのは数学、物理、材力、水力、熱力、実習、これさえあれば社会に出ても十分通用すると思います。他の一般教養は社会に出てからも自学で身に付けられますが、上記のものはなかなか出来ません。高専卒の位置づけは、大企業では高卒、中小企業では大卒扱いとなる場合が多いようです。中には大卒以上の評価をしてくれる企業もあると聞いています。要因として「大卒は表現力が上手で口で仕事をするが、高専卒は体で仕事をする」とのことです。この言葉は、中小企業の社長から本当によく聞きます。〔87年卒、男性、就職〕
◆今回の質問の中で、高専での寮生活についての質問がありませんでしたが、この「寮」というものが高専教育の中でも結構重要な役割を果たしていると思います。当時は、規律が厳しかったり不便なことが多いと感じましたが、今思うと寮生活も楽しかったと思えるし、一緒にバカやった仲間とは今でもつき合いがあるし、ですから、寮の存在をもっともっとクローズアップすべきだと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専での生活は受験が無く、その時間を自分の有効な時間として利用できる。しかし、その反面英語などの一般科目においてレベルが低くなってしまうという点もあり、長所、短所があると思う。しかし自分がしっかりしていれば有意義な時間となると思う。部活動は他の高校、大学よりレベルが低いものの、高専大会などが有り、全国大会等に気軽に行けてとても良いと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専の専門教育は理論がほとんどで、実際に製品等に用いられている具体的な技術、開発の過程や、工事、製造の現場における作業、仕組み等、実務的なものがないので、職場に配属され実際に仕事をするとき、学校の授業内容は全く役に立たない。仕事では、高専卒者が大卒者や工業高校卒者より劣る面が多いように感じた。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育を受けることは、将来の職業の方向付けを行う点で、大変大きな意味を持つと言える。この高専教育の専門分野を15歳の年齢で決定するのは少し早いと思う。高専に限ったことではないと思うが、学科の教育内容等の説明はなされるが、現実の仕事との対応が明確化されていないと思う。これは学科選定の上で必要な情報であるので改善してほしい。高専では教官、学生共に一般教育に対して、その必要性の認識が低い傾向がある。高専の進路指導は弱いと思う。現実の仕事を的確担具体的に分類し、専門との整合性を計れるようにしてほしい。(特に電気と電子の境界はあいまいである。)高専と大学卒での仕事上および知識での差はあまりないと思われるが、就職時に差別化されている例が多い。これは高専の理念と相反するのではないか。入学時に説明される高専の定義(高校、大学7年を効率化して5年で行うという考え方)に対して、卒業後の身分が大学卒と差別されるのはおかしい。身分の改善もしくは説明の改善が必要である。理工系全般に言えることだが、文化系のように就職試験の複数受験を出来るようにしてほしい。高専専攻科を修了して、学士試験受験資格を取得するという考え方は大学と比較してみてもおかしいと思う。不利である。〔94年卒、男性、就職〕
◆自分が高専を選んだ理由は、勉強が嫌い、大学に行かなくてよい、でも就職先はいい。で高専という不純な動機だったため、だらだら生活をしてしまい就職もいい加減に、今自分の生活には不満足です。しかし高専という場は、目標をしっかり持ってさえいればかなりプラスになるところだと、今でも思っています。でも、英語はもっと力を入れてもいいと思う。今のエンジニアは国内だけではダメだと強く思います。〔94年卒、男性、就職〕
◆岐阜高専に限った話しかできないが、高専での理系基礎科目、専門科目の教育はしっかりやっていれば大変役立つものです。大学生に引けを取りません。特に専門科目は(知識)が豊富です。文系科目は英語以外は問題ないと思います。また、その英語も英会話の時間が多かったので、それは役に立っている。(外国人とのディスカッション時など)実習実験も、非常に有用です。また、製図教育がしっかりしているのもよいです。(大部分の大学生は製図が出来ない)。唯一、高専にないものは研究の教育です。しかし、それは修士レベルの話であり、大学校工学部のレベルは(4年生)、高専の方が上です。もともと修士レベルの研究は、高専ですべきではない。というより、高専の存在意義はそこにないので「研究」をやりたい人が編入・大学院進学すべきです。高専でしっかりしていれば、大卒よりも力が十分あると思います。高専卒が唯一かなわないのは、しっかりやっている修士以上です。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆就職して感じるに、専門的な教育も大事だが、人文(特に英語)教育にもっと力を入れるべき。大学卒と比較し、能力では大差ないのに昇進では明らかに差を付けられて、高専卒の限界を感じる。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専とはどういう学校なのかを知らない人が多いと思います。企業の中にも高専について知らない企業があるのではないかと思います。企業の先輩に高専の人がいないと、高専卒業生の位置付けが不安定なのではないだろうかと予想する。〔94年卒、女性、就職〕
◆工場実習・見学等は年1回にし、企業社会の現状況をもっと認識させた方がはやく自分にあった方針を決められると思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆英語の能力がとても低いため大学に来てからかなり苦労をした。また、お情けで単位を出す教官がいるが、そのようなあいまい評価は、その学生が社会に出てからの苦労につながってしまう。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆私は高専卒業後、技術科学大学(全国の高専卒業者を対象として、募集している)に編入しましたが、そこで、感じたことは、全国の高専レベルがかなり異なっていることでした。特に、大学ではかなり理論的な考え方、手法を深く学びました。単位を取得するのもかなり大変でした。(現に物質工学では、約半数が、留年という状況でした)このため、精神的にはかなりつらいものでした。高専ではどちらかというと、専門知識を暗記していれば点数がそれなりに取れますが、大学ではNG.深い専門知識に対する応用動作が求められます。高専に対しては、知識を身に付けることは勿論、なぜそうなのかということに対する深い理解度と、語学力を期待します。語学力特に英会話は企業ではMUST。(苦労しています)〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専教育の特色は、他の高等学校→大学進学コースに比べ実習などの実務教育の充実にあると思う。また、15歳といういわゆる若年での専門教育も同様だと思う。これらの特色は、仕事をしていく上で技術センスを養うために必要である。これらの特色をなくしてしまい、大学同様に座学中心で教育してしまうと高専の特色がなくなり、その存在意義がなくなってしまうと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆現在、大学院に在籍しながら土地家屋調査士をしております。調査士業務に高専や大学(大学院)で学んだ専門科目を直接生かすことは出来ません。しかし、大学(大学院)へ進学したことにより「ものの考え方」や「人前での話し方」を学ぶことが出来たと思います。高専教育にもこのようなことが学びやすい環境をつくるべきだと思います。さらに人と接する機会をしやすくする方がよいと思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆昔からいわれている通り「学歴社会」は現在でも何ら変わっていない。高専卒を「大卒と同じ知識、またはそれ以上の能力」がある、もしくは可能性があると考えている企業はかなり少ないように思う。最初に入職した際、同じスタートラインには立っていない。しかし、同等の結果を求められる。このままの高専教育では、今後も何ら変化はないと思う。高専卒にしかできないこと(高専に入らなければ受けられない教育)を増やさないと高専そのものの存在が無意味になってくるような気がする。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専を卒業して、社会に出て高専卒者の配属や昇進に半ば絶望感を抱き、一年後退職し、大学へと進学しました。世間では大学を出ていない=能力がないといった認識が依然強く、高専生に対する評価もこれに準じていると感じています。実際に大学に進学してみて5年間みっちりと専門科目を修得してきた高専と比べて、高専の方が優れている点こそあれ、見劣りするところなどありませんでした。こうした高専生に対する不当な低い評価がなくならない以上、高専そのもの存在意義が疑問視されても仕方ないと思います。高専で青春を過ごした一人として、高専のよりよい認知を高めていただくよう切望します。〔87年卒、男性、就職〕
◆就職してからいろんな事を相談して頼りになるのは同期の高専卒の友人たち、非常にうれしく思っている。高専での授業、特に専門分野については、本当に理解力の優れた学生にしか全てを理解することは出来ないのではないでしょうかと思う。一年・二年のうちに理解する能力をもう少し高めておけば、僕のように落ちこぼれる人間はもう少し少なくできるのではないか。就職し仕事をしていても、学校で習ったはずのことがたくさん役に立ちそうなのだが、「習ったことがあるなあ」程度しか思い出せないのは理解できていなかったのだと思う。もっと楽しい魅力ある授業、体を使った実習・研究が出来たらよかったと思います。高専時代の友人とのつながりは、特にクラブの関係はとても深いものになっています。〔94年卒、男性、就職〕
◆うちの会社では、高専卒は高卒と同じ分類で、大卒とは180度扱いが違います。それでいて、中途半端な扱いしかしないため、よけい浮いてしまい自分の将来がとても不安なのと、仕事に対する意欲がなくなってきている自分に最近よく気づきます。〔94年卒、男性、就職〕
◆“高専"という学校を、もっともっと世の中にアピールするべきだと思います。実際、就職した時点ではあやふやな立場に立たされてしまいます。だから私はもっと実践的な教育をすべきだと考えます。〔94年卒、男性、就職〕
◆結局、大学へ行かないと高卒扱い(ほとんど)、仕事は大卒よりもできると思うが、会社は大卒を優遇する。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専は理科系、および外来語(英語、ドイツ語)が主となって1年時より教育される。そのため、理論等の基礎・応用は大学生にも負けず劣らぬ実力がつく。さらに、高専では、実習・実験の時間が大学に比べはるかに多く、頭だけでなく物事の起こり等を実際の体験を通して得ることが出来る。社会へ出てから感じたのだが、理論・理屈も大切だが、直感やひらめきは全てそのような経験から得た気がします。また、高専は卒業時の人数が科で多くて50人その人数に対し、大学並の企業数の募集があるため、だいたい名のある会社へ入れます。大学編入も3・4年時の基礎をしっかりやれば国立大学へはほぼ受かるので、将来理工系を目指すにはもってこいのシステムを持った学校だと思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒の人材は、企業側に有利な面が多く、働く側にとっては、給与の面で不利。卒業研究は、自由テーマ(個人または複数)の方が積極的に打ち込めると思う。(工法・材料の開発等)社会的に貢献度が高いと思われるテーマには、予算を与えてでも研究させてもよいのではないか。〔87年卒、男性、就職〕
◆一般的に、高専自体がマイナーな存在なので、社会内で評価がまちまちであり、高専自体のPRが必要なのではないかと考えます。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒業者は、よく短大・専門学校卒と一緒にされるが、短大・専門学校(特に専門学校)よりは、高度な教育を受けたのではないかという気がする。大卒のレベルまでは追いつけないと思うが、学歴を書く場合があるのなら(大卒)と(短大・専門学校卒)の中間に(高専卒)をつくった方がよいと思う。(ただしそこまでやっても、一般的にはあまり差がわからないと思うし、高専卒者もそれほど多くはないので、具体化は?であると思う)高専卒は、工高卒よりは使える便利屋的な見方があるのではないかと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆語学力、特に英語力をもっとつけるような、カリキュラムを設置してほしい。(在学中に全員に英検2級を取得させる等)〔87年卒、男性、就職〕
◆高専で学んだことは役に立っているし、社会の評価もよい。しかし、たまに三流大学より下に見られるのが悔しい。しかし、私は高専卒に誇りを持っているし、高専に行って本当に良かったと思う。出来れば将来、高専の教師または講師になりたい。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育について、資格取得にもっと目を向けさせるような、方向付けが必要ではないかと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆英語教育に力を入れるべきだと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆質問が多すぎつかれた。〔87年卒、男性、就職〕
◆よく耳にすることなのですが、高専卒の人は英語および国語など語学が弱いそうです。また、物事の考え方を理論づけることも多いそうです。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専に行っていて良かったと思っています。会社での位置づけも悪くないと思います。しかし、大学(大学院)に行っていればと思うこともあります。今後、世の中に高専卒という位置づけを明確にして、よりよい評価をされるよう願っています。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生は、大学受験をしていないためか、英語(特に文法や単語の知識)の力が弱いと実感しています。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆もっと、専門系の学科に重点を置くべきと思う。人文などは、確かに大事だが、やはり専門知識有っての高専だと思います。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒と大卒との差が大きいと思われているため、重要な仕事を任せてもらえない。学歴によってずっと給料差がある。〔94年卒、女性、就職〕
◆会社の中での高専卒の位置づけが不安定であり、教育内容もあいまいである。高卒よりは知識・学力共に上に見られており、高卒は入社後、1年間の専門教育を受けるが、高専卒は大卒同様に扱われるのだが、大卒よりも昇格しない。このような実態があることを高専生は知っておくべきである。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専生の扱いとして私の友人の話も含めると、中には配属からずっと製造におかれ、設計に配属されると言う話だけで終わってしまっている例や、大卒・院卒の人と同じ設計業務につきながらも、後から入社してきた同年齢の大卒生よりも職能等級や給与が低かったりする例があります。いずれも入社以前および入社当初は高専生は大卒の人と同じ扱いをするという話があったのですが、実際は全く違いかなり低い扱いでした。他の会社はどうなのかを知らないので、はっきりと言いきれないのですが、企業の中での高専生の扱い、位置づけをもう少し見直される方がよいのではないかと思います。〔94年卒、男性、就職〕
◆私の会社では、大学卒業生と高専卒業生を同等として扱っているため、高専卒というキャリア不満は全くない。若さを活かしてこれからも頑張りたい。〔94年卒、男性、就職〕
◆大学卒の人と同じ入社の人と、同じ仕事をしても給料が低い。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育の宿命ではあるが、やはり教育の守備範囲が広すぎると思う。5年間に高×3+大×4の7年間分の知識を身につけることはやはり難しいので、もう少し割愛してもよい部分があるのではないかと思う。但し、英語力は今や常識と考え、英語力を身につけさせるよう努めた方がよいと思う。英語は単語力が第一なので、頭が柔らかいうちに覚えるのが一番だと思う。日本社会に残る学歴社会というのは依然ゆるぎないものだなとも痛感しています。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生は英語の語学力が低いという社会的評価があるが、もっと英語等の外国語教育に力を入れるべきだ。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆統計学(実務において、使用頻度高く、多くの業種で応用範囲も広い)にもっと力を入れるべきだ。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専という名前が世間で中途半端な存在である。特に各種専修専門学校と混同されている。現在の5年教育ではなく7年(これは現在専攻科というものがあるが)または9年とし、よりスペシャリスト(エキスパート)を育てる教育としたことがよいのではないか。上記教育期間を満足することにより、飛び級制度等の活用ができるのではないか。大学受験がないという事は、メリットでありデメリットでもあるが、それをメリットとした教育が出来ると思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆社会における高専卒業者の位置づけが確立されていないように思われます。〔94年卒、男性、就職〕
◆現在の仕事が、電気だけでなく、機械・通信という広い分野にわたっていて、それに伴って様々な資格が必要となっている。卒業後の経験で取得できるものもあるが、在学中に取得できていたらと思う。逆に、資格取得を学生主体に任せるのではなく、中学や工業高校のように、義務的(強制的)に取得させるような面もあってもよいのではないか。〔94年卒、男性、就職〕
◆私が在学していたときの高専は、現在のように情報の流れが速くなく、コンピューターや機器もそれほど普及していなかったので、実験や座学に集中できた。当時の高専に対する社会的評価はかなり高く、バブルの最中でもあって求人はかなりの倍率だった。しかし、就職してみると私の会社での高専生に対する処遇は決して高くなく、やはり学歴重視の傾向がある。地元等の中小企業では、会社の中心として活躍できることも多いが、大企業では難しい今はバブルが終わり、企業の求人数も低いので、どうしても大学院・博士を採用する傾向があり、そうした中でこれからの高専教育としては、もっと対外的な研究発表や企業との共同発表を盛んに行い、各高専のレベルを積極的にアピールしていく必要があると思う。会社に入ると高専での専攻はほとんど役に立たず、むしろ、高専での経験を土台にして、自分でいかに創造的に仕事ができるかが求められている。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆専門知識はやはり不可欠だと思われるが、理論よりも、実務に役立つ実践的な教育を行っていく方が、現場(社会)に出ると役立つのでは。〔87年卒、女性、就職〕
◆高専と大卒では、自分の目から見てかなり差があると感じられる。自分は公務員試験を受けて大卒の人と変わらない給与・仕事内容で働いている。高専生自体がもっと自分の置かれている立場を理解し、大学への編入など、キャリアアップについて考えるべきだと思う。〔94年卒、男性、その他〕
◆国際化といわれている時代において、あまりにも高専英語はひどかった。もっと力を入れても良いと思う。特に一般的な英語はおろそかだ。理数に力を入れるのも、高専として基本であるが、これからは英語ももっと必要となり基本にすべきではないだろうか。とは言え、受験も比較的楽で大学に編入することができ、普通の高校生とは違う5年間を過ごせた。この高専のシステムはすばらしいと思う。学生が高専の枠の中だけではなく、大学や企業との交流を活発にさせれば、素晴らしい後輩がもっと出て来るであろう。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆中学校を卒業したばかりの学生に、自主性ばかりを問うのはどうかと思う。特に、経済学・社会学・語学に至っては5年間で通常の授業が開かれた回数は少ないと思われる。教員ばかり問題があるとは言えないが、もっと熱心に教育しょうとする姿勢があっても良かったと思う。“高専生は使いやすい"が世間一般の見方であると思う。高卒よりは頭がきれ、大学生のように鼻にかけることもない。そのくせ出世コースには乗れない。牛馬のごとく働かされ、給料は高卒より1万円程度高いくらい。〔94年卒、女性、就職〕
◆語学(特に英語)にもっと力を入れるべき。→海外で通用しない!〔94年卒、男性、就職〕
◆私の会社では、’97から高専卒者を技術職として入社させることはなくなった。’94入社の私は、仕事内容は大卒者と同じ業務についている。今後、語学等一般教育を身につけていなければ、高専卒者が大卒者と同じに扱われることはないと思う。給料の面を除けば、大卒者と変わらない仕事の経験ができると思う。不当に高専卒者が低く見られることはないと考える。〔94年卒、男性、就職〕
◆個人的には大学に編入したが、これは望ましいと思う。16~20歳の5年はとても重要な時期で、その間だらだら生活することとなるよりは、3年→4年の高校→大学は今では良かったと思う。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専において、後に役に立つことを学ぶ充分な時間と機会が与えられています。しかし、本人がそれを活かせるかどうかという問題があります。私のクラスの90%は、寮または下宿でした。だから、寮生は共同生活と対人関係、下宿生は経済問題や食事の問題がありました。高専は留年が多かったのですが、大体、本人の実力以前の生活の問題で留年した人が多かったように思います。(高専の進級規定は高校に比して厳しいのですが、決して落とすつもりはないものでした)1・2年生は詳細な個人カウンセリング、上級生は生活支援が必要ではないかと思います。
〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専は、5年間という受験にとらわれない教育がよい人材を育てていると思われる。しかし、企業の技術系では、評価が高いが、人事関係では、必ずしも正当な評価がされているとは思われない。もっと高専の独自性をアピールすべきだし、卒業生も頑張る必要がある。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆少人数教育制度というメリットを生かして、個人研究や企業との協業研究を低学年のうちから経験し、研究及び企業人として何が必要かを自覚させるカリキュラムを導入すべきだ。中学生に対して、もっと高専教育のメリットをアピールすべき。入学時の第二希望制度は見直すべきでは。十分な意味を理解して入学することは、中学生は無理。第一希望に対し自分のやりたい分野を目指し、試験を受けるものの、畑違いの科目(第2希望)の勉強はとまどい多い。大学入学のカリキュラムは全く違うため、やり直しのリスク大きすぎると思う。上記問題を理解させて、自分の子供も高専に入れたいと思う魅力ある教育システムだと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆5年も在学するのは長すぎると思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆質問が答えにくかった。というのも、内容が民間会社に入った人を基本的に書かれているために、公務員の私には適しないものだと思った。(例)問38主な仕事でも事務職以外の公務員は誰でもどれを選んでよいかわからないと思う。最も「その他」を選ぶしかないのでしょうが。公務員試験の採用試験(I種、II種、III種)により、出世等が決まるので、高専を出ているからといって、役職に関係することはあまりない。だから人によって、高卒扱いになったり、大卒以上の扱いを受けることになる。という事を補足しておきます。〔94年卒、男性、就職〕
◆技術的なことを座学で学んでもあまり役立たない。現場で扱うセンサーやシーケンサは実践でないと理解は難しい。〔94年卒、男性、就職〕
◆私は卒業して専門分野と関係のない職業に就いたので、他の人と全く違う答えになってます。参考になるかどうか心配です。一般的な目で見ると高専卒がいいとは思いません。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専卒は、大卒・高卒と違い企業中での位置づけが明確にされない場合が多々あると思います。〔94年卒、男性、就職〕
◆昇級について言えばはっきり言って大卒との差は大きく、就職して3年程立つと、業務内容は全く変わらないのに、大きく金額差が開いた。(もちろん高専の方が低い)業務内容に関わらず高専というだけで昇級ペースが異なるため、頑張っても頑張っても無意味。また、高専という存在自体がどのようなものか認知されておらず、専門学校と全く同じの、もしくはその数というふうにしか認識されていない。そのため、教育されてきたこと、経験についても高専と同程度にしか思われず、扱いも同じ。就職先で、卒業入社時はまだ高卒の開発職も採用されていたが、今は高卒の採用もなくなった。そのため、「すぐ使えて安い働きでOK」のコンビニエンスで便利な学歴というさらに不当な状況を形成している。存在自体(方針・教育内容)を強くアピールすると共に“高専"という名称自体も再考すべきではないかと考えている。〔87年卒、女性、就職〕
◆中小企業では、高卒とか専門学校と思っているところが多いと思われています。もう少し、高専をアピールしたらよいのでは。〔87年卒、男性、就職〕
◆本調査を行って実際に成果を上げた結果の資料がほしいものです。〔87年卒、男性、就職〕
◆語学力(英語)にもっと力を入れるべきと思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆完全に学歴に関係ない会社なので、なかなか答えにくい問が多かったです。そういう会社に勤めている人の場合は、やはり中途半端な扱いが多いようなので、困っているらしい。中学卒業時で、自分の将来を固めるのは、結果として失敗だったのかも知れないと思える。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専に求められているものが時代の変化と共に変わってきているので、何を求められているのかを明確にしていく必要があると感じています。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆就職を考えるときは慎重に採用を見据えて自分に合っているもの、望むものが手に入りやすい環境を選んだ方がよいと思う。(例)時間にゆとりがほしいとか、お金を沢山稼ぎたいとか。〔94年卒、男性、就職〕
◆学校自体の名前でなく、入社してから本人が、どれだけできる人間であるかが重要だと思う。また、学歴を重視しない会社を選ぶのも大切だと思う。〔94年卒、女性、就職〕
◆卒業して、大卒と比較されることが多いことを知りました。高専卒と専門学校卒も扱いとしてあまり変わらないことを知りました。やはり、出世は一流大学、便利屋は高専卒という感じはあります。ただ、上司によってはいろいろ考えてくれる人もいます。結局は、上司がすべてのように感じています。高専卒にとっては、これからもよき時代は難しいような気がします。自分に自信を持って頑張ることが一番だと最近思っています。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専生は英語力が弱いとよく言われるので、英語教育を強化してほしい。また、卒業生でも受けられる英語セミナーを開設してほしい。〔94年卒、男性、就職〕
◆現在、企業が求める人材は、修士課程(号)を必要条件としています。そういった時代背景の中で、高専程度の教育のみで、競争していくことは無理でしょう。今後、今以上に高専卒業後の大学編入ケースが促進されていくと思います。だからといって高専の存在を否定するわけではありません。ただ、高専での生活は、受験勉強に縛られることもなく、その分人間的に様々な体験ができ、一番感受性の強い時期に、一番充実した生活ができる場であると思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆英語力の養成を強く望みます。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒業者は仕事のこなせる人が多いという会社での評判がありますが、一方で言われたことはよくできるがそれ以上のことを進んでしたがらないと評されています。確かに高専教育は、学ぶことが多いのですが、創造性に欠け卒論も大学からすればレベルが低いのではと思います。また、教授陣(教師)の方々は研究に対しては立派な人が多いものの、学生への教え方、指導は手抜きも多い。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆独断かも知れませんが、大部分の業務では高専卒と大卒で業務内容が配置に違いはないと思います(しかし給与待遇などは2年分不利)。多くの人が、20歳過ぎてまで就職のため勉強して(させて)いるのは無駄のように思えます。高専ぐらいまでの教育機関がちょうどいいのでは?〔94年卒、男性、就職〕
◆特に長岡高専出身者は皆頭がよい。他の高専の人よりも平均的レベルが高いと大学在学中に感じた。また、普通大学卒の人と高専卒の人を比べると高専の人の方が専門知識を多く持っている。それはやはり、高校時代からそういう授業を受けてきたからだと思う。普通高校出身者と比較するとよくわかる。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆私の場合就職して11年ですが、現在までは仕事の実力で評価されていると思います。また、学卒・院卒と比較しても昇進は早かったと思います(年齢で)。現在では学歴が採用試験にかなり影響していると思います。学生時代には、研究的な視点からの専門知識を高めておきたかったと就職してから思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆キャリアについての意見というわけではないが、ここにあげられた質問では、高専の教育内容や、高専の問題点、また高専で学ぶ学生たちの気持ちetcを知ることは不可能であると思われるので、僕自身の学生時代の思いや状況を思いつくまま書いてみたいと思う。僕は福島高専を卒業して数年たつが、未だに学生気分が抜けないというか、学生の頃を思い出すと、深いノスタルジーというか何も言えない気分になる。それは、それだけ学生時代が素晴らしかったからではないかと思う。それは単に受験の勉強もなく楽しかったというものではなく、苦しみ悲しみの加わった、深い意味でのすばらしさである。世の中にはいろいろあり、教育機関(高校・大学等)があると思われるが、みなの学校が、その人間形成の核となりうる学校は少ないように思う。僕という人間を分析してみると(性格やものの考え方等)高専時代に形成されたものが大きいような気がしてならない。つまり僕が高専で獲得した一番大きなものは個性だったように思う。それは、15歳~20歳という人生で一番多感な時期を一つの高専という組織で過ごすことができたからではないかと思う。友達のことなど考えてみても、生涯の友となりえる人は、中学時代ではなく、高校時代の友達だ。これが普通の高校であったら受験の勉強も忙しいし、3年という期間は、あっという間に終わる。又クラスメイトは競争相手である場合が多いのではないか?大学のことはよく知らない。このように友と語り合い自分を深め、自分を成長させるために、15歳~20歳という繊細な時間を有効に使えることが高専の最大の美点だと思われる。自我の目覚めとは一体何歳位で始まるのかよく知らないが、多分15歳位だと思う。僕自身15歳から20歳の間にいろいろなものと出会った。その一つに文学というものがあった。三島由紀夫や村上春樹などの本をかなり熱中して読んだ。その他、映画や音楽など、哲学書なども読んだりした。高専2年生の時であったので文学部を受験しようかとちらりと考えたが結局やめた。これは僕自身の例であるが、他に3年で中退して進路変更した人が結構いた。僕は中学時代理科系の勉強が好きで高専に入学したが、3年生の時にはほとんど全く工学というものに興味がなかった。人生や恋愛や芸術などに無関心で、ロボットをつくり、パソコンをいじり化学などの実験などに熱中したりしている奴を軽蔑したりもした。僕がここでいいたいことは、15歳では、なかなか自分の将来について判断するのは難しいのではないかということである。つまり高専は、大学に進学する人にくらべて早く専門教育が始まるので、可能性を狭くしてしまうのではないかということである。そのかわり、もし向いている人が入学した場合、その才能はかなり伸びる学校であると思う。実際大学に編入した人のほとんどは、マスター、ドクターコースと進学している人がほとんどだと思う。又高専で専門教育を受けているので、もっと時間をかけて、この科目を勉強したいとか、目的意識を持って進学できるのがよい所である。現在の大学生に多い大学卒のレッテルがほしいから、ただ大学に進学している人は、高専からの進学組は大きく違うと思う。かなり即興的に書いたので、わかりずらい点や矛盾する点、など色々あったかもしれませんが、忙しく時間がないのでこのくらいで終わりにしたいと思います。少しでもこの調査の役に立てば幸いです。〔94年卒、男性、その他〕
◆今になって思うことは、高専時代の教育は現在の仕事には、ほとんど役に立っていないと思う。でも、高専生だったということ今でも誇りを持っているし、高専時代に学んだことは、自分でも感じていないところで、今の社会生活で活かされているような気がする。できれば自分の息子も高専に進めたいと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆就職してからの社員区分が、男と女で異なるのはおかしいと思う。〔94年卒、女性、就職〕
◆設計製図等は、実務に役立つ教育(例えば、同じ品物を設計するときでも、加工方法〔指示〕によりコストが大きく異なること等をしっかり教えるべきである)航専生は、大学卒よりも人間的にバイタリティーがあり、人間的な強さを持っている。このことを強く企業にアピールして欲しい。数学の授業で統計・確率も力を入れてほしかった。〔87年卒、男性、就職〕
◆最近の高専は、普通の高校化しつつあるような気がする。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専(電気工学科)での、専門教科の内容は、技術者としての基礎を身につけるのに必要十分なもので、真面目に勉強すれば大卒に劣ることはない。成績優秀者は積極的に進学すべき。また、国立大学は編入枠を増やすべき。高専生には母子家庭等経済的に苦しい者が多く、それらの人達に、大学進学の機会を与えるべき。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒は大卒に比べ、学力知識は全く引けを取らないと思うが、これを受け入れる会社側が、不当に学歴差別を行っていると思う(我が社だけかも知れないが)。このため、希望職種(部門)に配属されず、退社する者も多い。このようなことは、学生時には判別がつかず、先輩等の情報を収集し、不利益のない会社に就職すべきである。又、学校や国が、世間に対し、高専というものをもっとPRしても良いのではないかと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆英語教育について英検だけでなく、TOEICやTOEFLの取得も推薦してほしい。〔94年卒、男性、就職〕
◆在学時、卒業後の社会的地位や就職先での位置づけがわからず、不安が強かった。卒業した先輩の話から、女性の高専卒は研究職・専門職に就くことができても、単純作業が多く昇進も少なく、魅力を感じることはなかった。早い時期に進路変更(医療職)して良かったと思う。〔87年卒、女性、その他〕
◆3年次終了の時点での進路変更が容易になるようにカリキュラムを組んでほしかった。入学時にすでに、自分はこの学校に向いていないことがわかったが、とりあえず卒業するほか道がなかった。浪人できなかったので、就職したが、ずっと大学で別の分野の勉強をしたいと思い続けていた。幸いにも、25歳で大学に編入学、その後修士まで進んだが、ずいぶん回り道したように感じる。ただ、実験レポートを毎週作成していたおかげで、大学・大学院でのレポート・論文の作成はずいぶん楽に感じた。高専教育は研究者として役に立つことも多いが、実践の場ではあまり役立たないというのが実感。〔87年卒、女性、就職〕
◆私は、大学編入後大卒学生として就職2年目であることから、今回設問の多くにそのまま当てはまらず、あまり参考にならないかと思います。高専卒業者のキャリアといっても今後はより能力主義化が進み個人の能力が重視されてきます。故に、「高専卒」と「大卒」と単に比較しても難しいですが、少なくとも高専卒はステレオタイプな大学生(大学生活)の色に染まらず、独自性を持っているのではないでしょうか。良くも悪くもですが。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒が配属されるのは、ほとんど技術系となり、当然その現場での仕事と立場は大卒と同じであるため、その現場内での仕事上の差は受けないが、人事担当からの評価は極めて低いと感じます。これは、高校卒の人もそう感じながら業務に当たられていると思います。高専の教育方針の中に「実践的教育」と有りますが、昨今の技術革新、及び仕事のやり方で、上司より必ず「社会のニーズ」がどの程度、どの場所で何を求められているのか、いま一度確認しておかないと、とても不幸なことが学歴の差だけで生まれ続けると考えます。実務上は大卒と差はなく高専卒の方が優れていると思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆企業にとって便利屋的立場が多いと感じる。(技術的知識があって給与が安い為)(大卒と同じ仕事をやらせるが給与は大卒に近い企業が多い)機械系でももっと幅広く専門教育をやったほうがよかった。(電気・情報・パソコン等)卒研も時間的余裕がなく、ただ“こなしている"感があった。〔87年卒、男性、就職〕
◆学歴の有無に関係無しに、仕事について優秀な人材は出世したり、自分の方向性について職場がみとめてくれている。ただ、教養の面では、どうしてもカリキュラムを濃密にしていることから身についていないのが現状ではないか?私にとっては昔と違って放送大学のような教育機関もあることから、自分の不足している能力については、気づいた時点で計画を持って修得していくことで、将来の可能性の基礎を確立していけると思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆就職してから「高専でもっと勉強しておけばよかった」と、思った。今なら実践で使う学ぶべき教科の範囲がわかる。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生のキャリアという考え方、アンケートの内容が非常に都市部的であり、地方で生活している者に対しては、あまり正確な情報を得ることができないのではないかと思われる。また、高専卒業者の扱いが会社の中で中途半端になっているのは卒業生の少なさと、高専という教育制度が初めからそのように設定されているもので、大卒との差は仕方ないと思う。就業時に2年間の人生経験の差があるのは個人に対する会社のイメージが悪くなっても仕方がないのではないでしょうか。〔87年卒、男性、就職〕
◆入社後4年たつが、いまいち経験が少ないためかピンとこない質問が多いように思われる。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育では、理論がどのような形で現在会社の中で応用され必要となっているか、教育すべきである。理論的知識を身につけていても、設計・開発・製造業に携わる職種の場合、理論と実務の結びつけが難しい。〔94年卒、男性、就職〕
◆土木工学科に在学していましたが、とにかく機械・機具が古い。卒業してすぐに役立つ知識、技能を修得するにはもっと実習を多く、かつどんどん新しいものを入れなければ実際社会に出て、すぐに活躍できるようにはならないと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専だけに限らず、大学でも学習したことが、直接仕事に結びつくことは少ないと思う。ただ、その基礎は仕事をしていく上で必要だと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆はっきり言って、高専では大切な語学等に力を入れずに、あまり必要ない専門を詰め込み教育で、ただ先生たちのノルマを達成するため授業をしているように感じる。その結果、何も頭に残らずに何を勉強してきたのかわからないといった自体におちいる。専門は本当の基礎数科目でいい。後は最新の技術、学生のアイディアを発表する等役立つ授業が必要だと思う。それと、実験をもっともっとすべきであると思う。極端にいうと、1・2年で基礎をある程度して、3・4・5年はほとんど実験にして、その実験からいろいろのことを学ぶというのがBestだと思う。そして、英語は1~5年ずっと多くの時間を使って勉強すべきだと思う。英検○級とらなければ卒業できないといった目標をつくるのもいいと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆自分の会社に高専の先輩が数人しかいないせいか、高専卒業生の扱いが悪い。又社会的にも高専というのがあまり評価されていないように思う。これから高専に入学される方には、是非大学編入を考えて入学してほしい(編入しやすいと思う)。就職される方は、高専卒の方の実績のある会社を選んでほしい。〔87年卒、男性、就職〕
◆企業から講師を招いてもよいと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆企業によって高専卒の扱いにかなりのひらきがある。〔94年卒、男性、就職〕
◆私の高専では、5年生で研究室に配属され、そこから卒業研究が始まるわけですが、実際授業が多くて研究に費やすことのできる時間が大変少なかったと思います。私は現在大学院に在学中ですが、大学4年の時も修士2年の今でも講義を受けておらず、研究にかなり集中できる環境にあります。高専での5年間の集大成の卒業研究にもっと時間をくれてもよいではないでしょうか。それと、語学力の低さを痛感しています。普通高校で受験勉強を経験している学生は、英語の基礎力が高いと感じました。高専で、定期テストの為だけに英語を勉強していた僕等の語学力は中学から成長していないと思いました。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆大学3年の授業内容は、高専の授業内容とかなり重複しており、高専で学んだものは大学の学部レベルまでは通用すると思う。高専にもよるだろうが、卒業研究はもっと充実したものになってほしい。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専は素晴らしい役立つことを身につけさせてくれるところ。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒を誇りに働いている。社員50,000人の会社だが、大卒に負けないと自負している。〔87年卒、男性、就職〕
◆技術系であるため、文章作成能力が低い。今後は、表現技法に力を入れ、社会に対して高専をアピールすべきである。〔87年卒、男性、就職〕
◆私自身高専で受けた教育は勉学のみならず、あらゆる方向で大変充実していると思っている。大学に編入した後は卒業研究以外は、あまり自分の為にならなかった。しかし、社会を知るという意味では、勉強になったと思う。会社で2年過ごしたが、充実した気持ちを味わう時間があまりない。何か原因は自分でも解らないが、会社自体に不満があることも確かではある。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専教育は、様々な分野をある程度の深さまで行うため、結局身につかないという人が大多数と思う。卒業生を即戦力として社会へ送り出すという目的ならば、2~3年頃から一般の会社・企業の情報を多く流し、4年生頃からは、将来の自分の進むべき道をしっかりと自覚させ、極端とも思えるほどの専門教育を行うべきだと思う。専門以外の一般科目の時間数は思い切って減らす方向でいった方がよい(3年生で週10時間以下)。〔94年卒、男性、就職〕
◆専門科目の実験・実習をもっと多く取り入れるべきだと思います。〔94年卒、男性、就職〕
◆大学に編入して初めて自分がいかに恵まれた環境で学習し、生活できたかを知ることができた。実習・実験等は、大学では器材が足りないため、満足のゆく講義ではなかった。パソコンが1人1台というのも高専だからこそという感じがした。学生の自主性に任せると言った雰囲気もとてもよかったと思う。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆当社では高専卒の海外出向が非常に多く、私も24~29歳の間にアメリカに出向となった。在学中はエンジニアとして専門教育をじっくり受けていればよいと考えていたが、語学等一般教養も非常に必要であった。私と同じ考えで専門バカになっている学生の方向修正が常に必要と思う。しかしながら大学(工学部)と対等に仕事ができるのは、教育カリキュラムがそれほど間違っていないことの実証だと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専は、自分にとっては素晴らしいところでした。私の卒業した高専は、自由な校風であり、のびのびと学生生活を送れましたが、就職してからはもっと勉強しておけばよかったと感じています。やる気を起こさせる要因のない授業が多々あったように思います。中学を卒業して明確な将来の希望がない中で、高専に入学している学生にもっとやる気を起こさせる授業をお願いしたい。先生方には、学生が理解できない所はどんな所かをもっと理解してほしい。〔94年卒、男性、就職〕
◆社会の役に立つように理論優先の教育をやめて、もっと体験学習を行うべきである。実践に即した教育をすべきである。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専創立当初(約20年前)に比べ、位置づけが中途半端で、社会の評価もそれを裏付けているように強く感じる。特に会社内での昇給・昇進では悩むケースが多い。納得できないことが多い。個人的にはただ半面自分も含め高専卒には何か足りない点も認める。それを一言でいえば社会に対する柔軟性だろうか?要領が悪いのだろうか?高専に限ったことではないが、これから先を見据えた新たな位置づけで学校運営に取り組むべきではないだろうか。〔87年卒、男性、就職〕
◆同僚を見ても、友人と話をしていても学生時代勉強をした内容をそのまま仕事に生かしている人はほとんどいない。勉強する方法を学んだという意味で、大卒より高専卒の方が色々な仕事に柔軟に対応していると思う。高専から大学へ編入した人は特に昇進している。あまり、専門性にとらわれない方が就職してから役に立つ。〔94年卒、女性、就職〕
◆社会全般に言えることだが、実力主義にもう少しよってほしい気がする。学歴社会(これはよくない)→いい学校を出ていると、仕事が対してできなくても扱いがよい。仕事の出来がよければ、それを評価してくれればよいが…。例えば、初任給が低いため、×何%UPをいってもよほどのことがない限り、給料の伸びが期待できない(大卒と比べて)。又、同程度の仕事の内容、成果、人望等でも出世するのは必ず大卒の人になる!私の今までいた会社はそうだった(他の全てそうだとは思わないが、社会に出たとき、高専卒の人の扱いの中途半端なところや、学歴社会というのを実感した。もっと「専門分野に進みたい」という意志のある人を入学させるようにして、それに見合う大学並びにあるいはそれ以上の教育を受けられる環境作りをして欲しい。〔87年卒、男性、就職〕
◆私は高専卒業後、全く畑違いの専攻の大学へと進学したが、入学してから大変だと思ったのは、語学だけでその他については大して不自由しなかった。人からはよく「高専で5年も工学を学んできたのに、ここへ来て専攻換えするなんてもったいない」といわれるが、自分はそうは思わない。かえって理系と文系と経験できたことが、自分のなかではかなりプラスとなっているし、高専で学んだことを誇りに思っている。おかげで、就職活動も有利に展開した。茨城高専では、このような畑違いの大学へ編入するといった前例はなく、実質私が初めてだったが、私の卒業後後輩たちの中にも関係なく留学したり、自分で好きな道を選択する様々な人が出てきている。これからの高専はこのような多様な道を歩もうとする人に対してもっと寛容に、積極的に、柔軟に対応すべきだ。高専の本来の設置目的と多少ズレが生ずるかも知れないが、決して例外として扱ってほしくない。高専関係者のこれからの柔軟な対応に期待する次第である。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆現在は解りませんが、私たちの時は実験設備は古く、貧弱だったように感じます。企業で扱う製品はどんどん進歩してきているので、それについていけるような設備があれば現実的な実感を持った研究も教育期間の中でできると思います。又、キャリアについてはベンチャー企業ではないので、ある程度引かれたレールに沿って落ちついていっているように感じます。〔87年卒、男性、就職〕
◆全国の高専生は仲間意識が強く、非常によいと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆入社後、数年たってから大学工学部卒と高専卒の差を様々な面で感じた。やはり、日本の社会は年功序列、学歴編重であることを認識しました。しかしながら、技術的に見て高専卒と大卒では必ずしも高専卒が劣っているとは思わないし、同レベルだと重う。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生は、個性的だあるといわれる。社会の人材ニーズは、学歴云々ではなく、教育云々でもない。「皆が大学に行くから自分も行く」というような、主体性のない人間が高専卒業生には非常に少ないのが「モテル」理由である。企業内で即戦力になる技術を学校で教えるのは、とうてい無理なので、人間教育に力を入れていただきたい。〔87年卒、男性、就職〕
◆私は、工業高校→高専4年へ編入しましたが、理論教育をした高専よりも、実践的な技能・技術知識を得ることの出来た工業高校での教育の方が、入社して現場に回されたときとても役立った。高専という肩書きでは、仕事をしていけない。社内の人間は、高専卒だと何でもできる?できるだろうと言う目で見ている。だから資格試験も人の2~3倍勉強しないと行けなかった。そういう周りから受けるプレッシャーは大きい。大学卒は、全員大卒の中で仕事をしているのでそれはないと思う(本社など)一部限られた職場〔94年卒、男性、就職〕
◆高専には、有望な人材が集まるにも関わらず、社会的にはその地位が不当に低く扱われているように思う。残念だが、今の日本に高専という学校形態はそぐわないものになっているように思われてならない。〔87年卒、女性、就職〕
◆私の会社では、数年以内に高専卒の採用をやめようとする動きがあります。それは私たちを含めた最近の高専卒社員が、高卒と同じ程度の仕事しかできていないと会社が考えているからです。最近の高専は、かなりレベルが下がったといわれています。私もそういわれるとつらいので、頑張ろうと思いますが、高専の教官の方も、学生にしっかりと技術を身につけさせてください。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専の5年間は、人生にとって大切な時期なので、中だるみしないように生活しなければいけないと思います。自分はもっと頑張っていればよかったと思います。高専から大学へ入学するクラスをつくってもいいと思います。又、企業についても高専卒者が大学へ入学しやすい環境が進めばいいと思います。〔94年卒、男性、就職〕
◆会社での評価、昇進は大卒に比べ、まだまだ低位にある。高専に入学、あるいは就職する時にこの実体を正確に伝える必要がある。〔87年卒、男性、就職〕
◆英語と独語を高4より学習できたのは非常に後々役に立った。3年修了までに、理工系から人文社会系へ進路を変更することが難しい。又、3年修了までに進路決定をクラスの担任と話し合う機会がない。高専の教育メリットとなる教育方針がはっきり明示されておらず、又実現されていない。数理的な考え方や、方法論を若いときに身につける絶好の機会を持った教育機関なのに、本当にもったいない。(実践的な教育という中身のない教育よりは、理論と方法論、研究方法習得等を方針の中心にしてはどうかと思われる)〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒の人は、大学卒業している人と比べると、以外と企業からすれば使い易い。専門科目に分化するのはいいが、英語(工業英語)等の語学系の選択肢をもっと増やすべきだ。在学中に、工業系より別の勉強をしたいと考えるかもしれないですし。たいがいはやめるでしょうけど。高専は田舎につくりすぎ、外の世界が見えない。閉鎖的、世間知らずになりがち。マレーシアから留学生が来ていましたが、日本の高専からも海外へ行く機会を設けるべきだ。〔94年卒、男性、就職〕
◆行政的な施策とありますが。具体的にはどの様なものがありますか?このアンケートは基礎資料になるそうですが。いつ頃開花するのでしょうか?〔94年卒、男性、就職〕
◆問62の2番目の設問について。高専卒は評価が高いがそれが給料に反映されないように感じます。〔94年卒、男性、就職〕
◆自分のものの考え方次第で良くも悪くもなるものです。高専ではものの考え方(技術者として)が身につけばいいと考えます。大学と同じではダメと思います。今の大学生は、レベルが低い人が多い。学問だけでない何かを高専生が身につけることができれば幸いです。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒生の社会での中の立場は、高卒生とあまり変わりなく、大卒生との間には大きな差がある。又、一般教育が少ない分、高卒と比べて劣る部分もある。会社の規模、内容にもよるだろうが、昔と違い高専卒業の意味はなくなってきている。高卒者に対する現場での早くからの教育や、大卒者との職場内容の差を考えると「高専」に会社が求めるものは、もはやなくなっている。〔87年卒、男性、就職〕
◆あまり専門教科を必要とする職場ばかりに目を向けないで、幅広い分野で就職先を紹介したほうがよいと思いました。地元の企業への就職にも力を入れてほしいと思いました。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専における語学教育(特に上級生での)の方針をもっと変えなければならない。企業の語学研修を見習ってもよいと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆社会人としての就職やマナー、面接についての態度、心得等就職に即役立つ就職関連の課外授業の時間があればいいと思う。学生として好ましい人柄と、職業人として好ましい人柄と違う点がある。専門知識を持ち、人柄も社会人として期待される人(外面と内面とともに)となる必要があると思う。この競争社会でよりたくましく生き残って行く体と頭・考え方と気力をつちかえるように。〔87年卒、女性、就職〕
◆これから先、海外で仕事をする者や海外に対しての仕事をする者の、割合は増えていく傾向にあると思われます。自分は工業高専卒だが、もっと工業英語を教える側・受講する側共に強化していくべきだと思う。(工業系以外はよくわからない)〔94年卒、男性、就職〕
◆英語の力をもっとつけるべき。受験勉強をしないので英語の力が全くない。大卒や院卒と同じ仕事を行っていても、評価が低い。特に給与面。寮生活の強制を復活し、礼儀をつけさせるべき。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専というもの自体が、社会の中であまり知られていないため、かなりあいまいな評価しかされずにいると思う。又、高専卒の者から見て、あまり大したことはない大学卒の人より、評価されないのはかなり納得がいかない。最近話題になっている跳び級の制度があるが、我々高専卒の者から見ると、すでに自分達は専門の分野では大学卒の人と変わらないと思っている。これからはそのことをもっとアピールしてほしいと思う。又、世の中で認知されるような広報活動が必要だと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専と違う専門教育を大学で学んでいて、それほどの苦労は無かった。理論中心の高専時代で、物理・数学は他でも通用する者だと実感した。しかし、大学でも専門性(力)があまり身についた気がしない。「こんなの誰でもできる」と思えることばかりで、高専時代よりも一層つまらない。来年就職を控え不安である。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆5年間の一貫教育は、受験勉強などなく、よい面もあるが、3年生~4年生の時は中だるみを感じ、一時期勉強意欲が薄れる。これをうまく乗り越えるよう3年→4年進学時に少し区切った型を作るとよいような気がする。〔87年卒、女性、大学編入〕
◆私は高専卒業後、大学編入し、そして大学院へ進学し、もうすぐ学生生活を終えますが、高専から大学へ行けたことに感謝しています。それはセンター試験等を受験していたら現在の大学へは、たぶん行けなかっただろうし、さらに、高専での勉強が役立ち、普通の入学者と比べて劣っていると感じたことはないし、むしろ自分の方が専門科目ならば、勝っていると自負しています。(最近は多くの人が編入するので、その程度は知りませんが)高専の卒業者はその能力を、地元の企業は認めてくれるようですが、全国的規模の企業では、あまり認められていないようです。私は大学を出るので大卒と扱われるでしょうが、高専卒業生の能力を認めていきたいと思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆私の会社では、学歴に関わらない能力重視の評価体系が整っており、大卒・院卒との格差はあまり感じてはいない。又、会社の高専卒の社員に対する評価も悪いものではなく、先輩方も重要ポストで活躍されている。能力主義に移行する中で、高専生に対する世の中の期待は高まってゆくと思っている。ただ、今後特に英語教育には力を入れるべきである。〔94年卒、男性、就職〕
◆職場内に高専卒の人はあまりいないためか、仲間意識が他の卒業生に比べて強いと思う。身びいきかも知れないが、自分の先輩たちを見ていると、大卒の人達より仕事ができるような気がする。〔94年卒、男性、就職〕
◆最終的には個人の問題だと思うので、高専だからということには意見はない。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専の専門教育は、丁寧で、大卒以上に十分な教育が受けられる。したがって、一般業務は高専卒でも十分であって、年齢が若いうちから仕事ができるメリットがあり、自分から5~10年前入社の先輩は大学卒と同等に仕事を行っている。しかし、近年、高学歴化が進み大学院卒が大幅に増え、今は大学卒と大学院卒が同等(以前の大学卒、高専卒のように)という感じで、高専卒を本社採用することがなくなっている。高専卒は今は高校卒の兄貴分という感じで、大学卒と高校卒の中間、専門学校卒と同等といったところで、研究・開発・設計といった職種に就くのは難しいだろう。また、高専卒は語学力が非常に弱い。これからますます国際化が進む中、この点は大きなデメリットになりかねない。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆採用前、入社時に人事関係は「高専卒の社員に期待している」という風にはいうが、実際の所キャリアコースに乗っている人を私は知らない。〔94年卒、男性、就職〕
◆私としては高専というシステムは非常によいものだと思います。受験勉強だけに縛られず、クラブ活動や友人の交流など、自由な環境で大変楽しく学生生活を送ることができました。大学院に進学した今でも当時身につけた、基礎的な理論に助けられることもあり、就職、進学どちらの場合でも技術系においては、基本的なものの考え方、理論というものは大切だなと実感しています。ただ、大学に進学して思ったことは、他の高専卒業者も同じですが、英語の力が一般的な大学生に比べ低く、英語の必要性はとても強く感じました。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆単なる詰め込み教育ではなく、学生自身にもっと考えさせる方向に、高専教育は進むべきである。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒の方は、大卒に比べ、英語が弱い。背伸びせず、主任止まりでやることが最適と思う。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆私は結婚退職のため、5年間ほどしか仕事についていないが、研究開発部門での仕事のため学会発表の機会を与えられたりと、非常に充実していた。残念ながら仕事がきつかったため続けることができなかったが、私個人としてはまあまあ満足であった。但し、私の場合上司や周りの人の理解があったためで、同じ会社の高専卒業生の(特に男性)ほとんどが歯がゆい思いをしている人が多かったと思う。技術者としての技術は大卒、マスター卒と同等に求められ、同じように仕事をこなさなければいけないが、給与、昇進はかなり差をつけられる。もちろん社内研修などもである。能力給の採用など新しいシステムを期待したい。高専教育については、技術的な面はおおむね満足しているが、社会に出て苦労したことは1つに英語力(特に会話力)それから人前で発表したり、ディスカッションしたりという表現である。高専でも他の高専、大学と積極的に交流を持ってそのような力をもっともっとつけてほしいと思う。〔87年卒、女性、就職〕
◆高専生時代に、どれだけ技術者としての自覚を持てるかで、社会人のスタートが決まってくると思う。そのために、企業におもむくインターシップ制度をどんどん取り入れて、有能ではなく有用な技術者として育ってきてほしい。〔94年卒、男性、就職〕
◆機械工学科から製造業に就職した場合、設計部門に配属されるケースが多い。ここでは、プラスチックや、金型に関する基礎知識が必要であるが、私が在学中の高専教育の中に、金型やプラスチックに関する科目(成形加工学)は存在しなかった。今後は早急に成形加工に関する学問を、取り入れていただきたい。〔87年卒、男性、就職〕
◆施設が古すぎると思った(県立工業高校よりも悪い)。又、入試倍率が低いため、学生の質も低くなっている。先生達の考え方も改めないと、大学との差が余計に開いてしまう。会社は大卒の人間と同等に扱ってくれているので、一人一人の意識が大切だと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆大学同様の中だるみになる傾向があり、5年という長い年月を用意しておきながら、社会に出ても役立つようになっていない人が多い。本人の強い意志を持っている者は、会社で役に立つ人間になれるが、そうでもないものは社会に出て苦労する。その厳しさを学生によく教え込まないといけない。〔94年卒、女性、就職〕
◆希望職種が、専攻学科と異なったため選択に苦労した。第3学年に学科の再選択制度が欲しい(建設業は土木建築が有利)。〔94年卒、男性、就職〕
◆一般的に見て、高専は認知度が低く、企業においても大卒に比べ評価は低い。今後、企業では大卒は当たり前で、社会情勢からも、修士卒を採用するようになっている。従って高専は大学編入を前提とした教育を実施してほしい。又、実践的な教育よりも、理論的な教育に力を入れて欲しい。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育の提案 最低月1度くらいで、高専OBの仕事内容を学生に教える時間を作る。(ポイント・質問コーナーを設けて後々本人より回答をもらう。)〔94年卒、男性、就職〕
◆企業内で、高専生は大卒というより、高卒に近い扱い方のような気がする。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専は古くさい理論教育だけでなく、企業内短期実習とか、現実を体験し、考えさせるようなプログラムを導入すべきである。〔87年卒、男性、就職〕
◆現存では、いろいろな企業が実力主義に変わってきているとはいえ、ほとんどはやはり学歴主義で、どうしても大卒より技術を持っていて、それを企業が認めていても位置づけはやはり大卒より下扱いである。もっと高専教育の内容などが広く企業に理解され、高専卒の技術を高く評価していただきたい。又、そのためにはもっと実務に役立つ教育を高専側も積極的に取り組んでいく必要があると思う。〔87年卒、女性、就職〕
◆英語教育〔94年卒、男性、大学編入〕
◆私は高専へ行ったことは、とても自分にとってよかったと思っています。幸い就職先では自分の性にあった業務をやっていますし、高専で学んだことも大変役立っています。しかし、学科が詰め込みすぎのように思い、内容もただ、本を読むだけというものもありましたので、もっと内容の濃い、学生が参加できるような授業をしてほしかったと思います。〔94年卒、女性、就職〕
◆即戦力として高専卒は十分対応できます。しかし、学歴社会の中では社内の立場、および資金等に差がある。資格試験等でも、大卒と高専卒では差がある。上記の理由により、高専卒の社会での評価は、あまり高いものではないと思われる。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専生は他の2~3流の大学生よりもレベルが高いのに、卒業するとその大学生よりも学歴、地位も下になる。高専の中で成績が中間ぐらいにいても高専からの進学は編入なので定員数が少ないので成績のトップの2~3人しか進学のチャンスが無く、高専で止むをえず終わるしかない。高専のスポーツは高専会等限られているが、大会が各地(全国)に開かれるので、とても良い思い出ができた。〔94年卒、男性、就職〕
◆鶴岡高専の教育に関してはいろんな面で充実していて良かった。(機材、実験、教育の専門性)しかし資格取得にもっと力を入れても良いのではと思う。(英検はあるが、その他は学校側からなし、普通工業生の方が専門資格を持っている。)しかし、就職活動については、あまり活発ではなかった。大学のようにもっと幅広い情報収集、OB訪問などがあった方が確実だと思う。(自分の会社のことをほとんど知らず、思いつきで就職してしまった。)〔94年卒、男性、就職〕
◆高専と専攻科での単位が教員免許に対応できた方がよい。(教科に関する科目)又、地方自治体の方に直接申請できるようにしたい。=教員免許法の改善。大学と高専専攻科を同じ位置づけにして欲しい。同じ学士でも差別がある。〔94年卒、男性、その他〕
◆高専卒であるなしに関わらず、本人によるところが大きい。(会社にもよるが)〔87年卒、女性、就職〕
◆大学卒と比較して、2年の差があるので、その2年間を入社してからでも遅くないから、何かを学んで欲しい。(自己啓発の勧め)。専門的にはやはり大学卒と差があるのでその分若さでカバーして欲しい。(実行力)〔87年卒、男性、就職〕
◆高専という学校名称からか、折角苦労して卒業しても大学と比べると程度が低いという印象があり、私も含めて多くの同級生は何某かのコンプレックスを持っていると感じられる。中学卒当時の成績はトップクラスの者が多く、非常に優秀で下手な大卒よりも仕事ができる者が多く自分は高専を出たことを誇りに思っている。以前専科大学という名称があったが、是非再検討して欲しい。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専というのは確かに他の工業高校と比較すると、専門的な技能の取得には有利であると考えられる。又、その考えは現在も変わっていない。ただし、専門分野、例えば在学中の在籍学科の知識を100%フルに生かせる職種が世の中にどのくらい有るのであろうか。確かに就職率は高いというのは一般人の見方ではあろうが、それ以外に在学中に私たちの得たものは会社にとりあえず入ったことだけが全てではないと思っている。専門知識はほんの少しであり、それ以外のものはもっと多かったはず。〔87年卒、男性、就職〕
◆語学にもう少し力を入れたほうが良い。専門では大卒と比較しても劣るとは思わないので、語学で差をつけたい。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆教育制度上のユニークなバラエティとして存続していって欲しい。5年に及ぶ専門教育で養われた仕事上の専門知識の受け入れやすさが企業に高く評価されていると思う。制度上の教育が、実践性を失われない最新技術の反映が遅れているのは避けられない事実であり、各専門分野における一般的、基本的知識の教育に力を入れるべきと考える。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専の教育カリキュラムについては、語学に力を注ぐべきだと思います。これには多少専門座学が犠牲になったとしても、大きな成果が得られるものと考えられます。語学を習得することによって将来の進路選択の幅は拡大するのではないでしょうか。エンジニアとしてのポリシーを強く学生に根付かせる教育が必要ではないでしょうか。例えば技術者は社会にどのようなことを養成されているかなどを徹底してたたき込むなど。高専卒と大卒の住み分けがあってはならないと思う。私の大学には、大卒との不当な差別が不満で会社をやめてまで大学に再入学する方が結構おります。高専の教官自身のレベルアップを図ってほしい。例えば、学位取得や学会発表、ジャーナル投稿など。学校にスター的存在の先生がいれば、学生は自然とやる気が起こり、強いては、学校全体のレベルアップにつながるのではないでしょうか。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆もっと進級を厳しくすべき。高専卒の確固たる地位を築くべき。卒業生は若干減っても良いから、優秀な人材を社会に輩出したほうがよい。高専卒業生のレベルが低下したとの話がある。これが非常に心配である。会社での仕事量は、高専卒も大卒も全く同じである。又、同じようにこなしている。ただし昇進面で差をつけている企業が多い。昇進については2年の差ぐらいでよいのではないだろうか。2年以上の差をつけている企業が多いと思う。これでは高専生のやる気がなくなってしまう。〔87年卒、男性、就職〕
◆収入面での評価を追跡調査して欲しい。新卒就職では、高専は短大、専門学校卒と同等に扱われるので、一般の大卒と比べ低く扱われる。そこで、1.大学新卒(22歳くらい)と同じ年齢になった高専卒の収入面での比較。2.10年後、20年後の収入面、地位面での評価比較(大卒との)について知りたい。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専では英語にあまり力を入れていない気がする。今後少なくても英語くらいは出来なければ出世も厳しくなると思われる。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生の評価は、各企業間でかなり差異が見られるように感じる。大企業の場合は、30年近くの間である程度の卒業生が入社し活躍してきているので、ある程度の正当な評価をされてきていると思う。又、ある程度大きい会社でも保守的なところは、採用枠が少なく、その結果、正当な評価が少ないように思われる。しかし、自分の場合は、2社ともに大学卒と同等の扱いを受けてきたと思う。しかしながら非技術系の一般社会人の中での高専卒の認識は低いことは依然変わらない。そのためだけにおいて、大学進学すればよかったと考えることは多い。専門技術教育においては、センス、技術力ともに大学学部卒に劣る部分は全く感じられない。いずれにせよ民間企業での評価は充分となってきた半面、役所、官公庁からは、高卒+αでしかない事実がある。〔87年卒、男性、就職〕
◆高度成長期の日本では、中卒就労者を金の卵といってもてはやし、また大学と同程度の能力があって、2年も早く就労できる高専出身者を非常に重要視していたが、現在はどうであろうか。国公立を含め、私学の教育機関が充実し大部分のものが大学出身者である今日、高専の立場はいかほどか。あいまいで、知名度も低く、「高専」=「専門学校」(単なる専門学校、料理学校か何かの)ぐらくの認識しかないのが実状。又、社会での給与体系も中途半端で、経営者としては何も高専卒を雇わなくても大学卒を雇えばよいわけで、高専出身の優位性は全くないと言ってもよい。又、何か資格試験の機会があっても、学士は1次試験免除等の恩恵がある場合が多いが、高専卒はどうか。高等教育の声高らかにするのはいいが、社会がそれを認知しなければ、自己満足だけだろう。今になって思うが、高専を一つの通過点としてとらえた、大学の編入学をすべきだったと。高専の先生方も今ではかなりの取り組みをしていると聞き及んでいるが、もっと学生に編入学を勧め、その対策を取るべきだろう。中学3年生で将来を決めるのは非常に難しい。5年間で軌道修正する機会の大学編入を私はすすめたい。〔87年卒、男性、就職〕
◆学歴に関係なく使用する教科書は似たようなものであるから、後は、指導者の手腕と生徒のやる気の問題であると思います。基礎を正しく理解していれば、あらゆる分野に応用可と考えます。〔94年卒、男性、就職〕
◆就職のための工業高専の役割は終わりつつあると思う。もっと進学に力を入れても良いのではないか。一般科目は普通の大学より弱いというのは、当てはまる場合もあるが、編入後の受講では語学以外はあまり問題はない。もっと自信をつけさせるべきだと思う。受け入れる大学側にも問題はある。特に単位認定では大学による差が大きすぎる。大部分の高専卒の編入生はここに差があると知らされていない。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆一番大切な教育は自分自身で学ぶことが出来るようにしてあげることだと思う。これは習ったからわかるけれど、これは習っていないからわからないでは社会では生きていけない。〔87年卒、男性、就職〕
◆週休2日になったから時間が減ったが、設計製図や実験、実習は就職後かなり色々な場面で必要となるので、重要である。コンピュータや測量機械など最新の技術も必要である。古い機械を使うことは就職後はまず無い。私にとって、高専での5年間は大変有意義であった。〔94年卒、男性、就職〕
◆自分が高専卒なのには誇りを持っているが、会社では高専卒の人間の扱いを持て余しているように思われ、適材適所の法則から言えば、はずれていると思われる人も多々あるように見える。〔94年卒、男性、就職〕
◆私の入った学科は新しくできたばかりだったので、どのような教育方針か良くわからないままに進められて、学年毎に習ったことも違っていて、とても不満だった。4年生から週休2日制になり、8限まで授業を受けたのがつらかった。高校生に比べるとのんびりした学生生活だったが、やはり交際範囲は狭かった。不満なこともあったけれど、安い学費でこれだけの専門知識が学べるのは素晴らしいと思っている。行ってよかったと思っています。〔94年卒、女性、その他〕
◆高専で専攻していた学科がそのまま将来の職種になる、という風潮があるみたいだが、自分はあえてそれをはずれて違った方向へと進み続けている。高専への進路を決めるのは中学校。中学生では将来の職種なんか決められるわけがないと思う。高専に限らず、いろんな方向へと自分を試していけばいいと思うし、その課程の中で自分にあった、又は気に入ったものがあればそちらに進めばいいと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆問12,問62に関して、人文社会科学の講義に対する評価が低すぎる。大学では単位認定に高専4,5年での講義を可、3年までのものは不可としている。学年にとらわれず人文社会も体系的に取り組むという高専の姿勢は評価されていないと感ずる。高専では100分間、週1回通年の講義(現在は90分間)を「2単位」とする。大学では90分間、週1回通年で「4単位」である。(半期で2単位)、その結果大学編入学の際、専門は限度近くまで単位認定されるが、人文社会は不足し、大学3年次は週5日間とも朝9:00~夕方5:45分まで全て講義を受ける必要がある。(半分は人文社会である。講義数は他の3年生の3~4倍。)改善を希望する。大学の2単位を高専の2単位の質的差があるとは思えない。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆私が入学したとき、カリキュラムの大改編があって、学生の余暇が増大した。学校側のねらいはそのあいた時間で自主的に勉強させようと言うものだったらしいが、学生達は暇を持て余し、何をして良いかわからない時間を過ごすうち、やる気にあふれていた優秀な人達がどんどんだらけていった。だらけたのが学校の責任とは言いたくないが、それまで与えられたことだけをこなすだけの教育しか受けてこなかった子供が、突然時間だけを与えられて、それを上手に使えるわけがない。我々の学校は“史上最悪"という枕詞をつけられて呼ばれた。先生方も留年を出すのをおそれて、事前にテストに出す問題を全て教えるなどはちみつ付けの教育だった。もっと厳しく鍛えあげたほうがよい。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専の社会的位置付けを確立すべきである。知名度を上げて欲しい。(アピール→社会にして欲しい。)〔94年卒、男性、就職〕
◆高専の教育は工学的な教養を身につける点ではとても良いと思う。しかし専門的な理論が少し弱いため、卒業後すぐに実用出来ない。特に、実験や卒業研究は、前年度の繰り返しではなく、個人の興味を最大に行えるものにして欲しい。〔94年卒、男性、就職〕
◆私自身現在の専門分野の知識の大半は高専で得たものと思う。高専での専門分野は1年の測量学から始まり、5年の卒業研究まで5年もの間勉強しているため、大学生には絶対負けない自信はあった。しかし、4年の時の企業での実習の中で、現場での高専卒業の人達の仕事が大卒の人に比べて下働き的な面が多く見受けられた。これを機に私は大学進学を決めた。現在の仕事の中では高専の時の知識が役に立っていると思う。私自身の考えとしては、専門分野に進む気があるのであれば、高専で学び、大学に編入することがよいと思う。(大学受験という感じが普通高校から進学する場合よりもないように思う。又、受験日さえ違えば何校でも受験できるのは編入学の良さであるとおもう。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆計算問題よりも記述式の試験を多く取り入れる。又、人前でのプレゼンテーション力を身につける機会を多くしたり、文章による表現力を付けさせる教育を多くしてほしい。自分も文章が下手で卒業後苦労をしている。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専に入学する人達は、もともと理数系に強いこともあり、就職後も教育時間を増やして欲しかった。又、第2外語はあまり必要ないのでは?と感じる。自分は機械工学科卒ですが、現在の職について(生産技術)、電気知識の少なさに苦労しました。機械工学も機械中心ではなく、メカトロ中心の教育に移行して行くべきと感じます。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専内で他学科の講義を受けられる制度をとるべきと思う。理由:企業内では専門分野以外の知識を持った人材が必要だと思うから。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒と大学卒を比べた場合、一部の大学よりはおとるかもしれないが、ほとんどの大学よりは上だと思う。技術に関する技術的な知識を身につけるには高専はとても良いと思う。ほとんどの大学は無駄だと思う。高専にしたほうがよい。〔87年卒、男性、就職〕
◆私の職場(国家公務員)は試験制であって、あまり大卒、高専卒等の区別はされない。むしろ1流大学以外の大卒の人達よりも一目置かれる現状にあります。(実際にそういう人達より仕事はできる)しかし、キャリア組と呼ばれる国家I種試験合格者の中では極少数派であるため、全くの問題外になってしまいます。〔94年卒、男性、就職〕
◆学卒との給与の差はある程度仕方がないと思う。上司がよほど学歴を気にする人でなければ、ある程度の昇進も見込めると思う。就職先を決める際には、大きな企業のほうが上記の点でよいと思った。後は本人次第ではないか。誰とでもコミュニケーションを取れる人(人見知りしない人)のほうが知識がある人よりも、企業は求めるのではないかと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆特に当社においては高専生の処遇があまり定まっておらず、大卒と能力的にも差異がないにも拘わらず、評価が低いと思われる。今後の少子化の傾向より、より個性を出さないと多くの大学の中に埋没する可能性を有すると思われる。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専での実験研究は、大学-大学院進学において非常に役立った。(広義の意味で)〔94年卒、男性、大学編入〕
◆工業高校、高専、大学、大学院と進んできて、高専にいた頃の方が一番充実していた。授業はとてもわかりやすく、それでいて校則はなく、とても伸び伸びと勉強に遊びにenjoyできた。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専では、普通高校と比べ、一般教養が全くレベルが低く、又軽視する傾向がある。実際就職して一般的な知識が少なく困ることが多々あった。もっと、文系の授業にも力を入れて欲しい。会社では、高専卒は同期入社の女性しか(又は、後輩)いないため。昇進・待遇等についてはわからない。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆高専卒業生は、社会的に見て、企業内の地位が思ったほど低い。現状の学歴社会では、無名の大学を出ているものの方が、将来の見通しが利くように思う。やはり一般企業で第一線で仕事をしていくためには最低限大学卒の学歴が必要。卒業して、すぐ就職せず、大学に編入すべきであったと大変後悔している。〔87年卒、男性、就職〕
◆結局は、本人の意志と能力にかかっていると思います。自由な選択を長い目で行えるのは、高専の大きな特徴であり、有利な点でもある。自分の本心を貫くことがとても大切なことだと思うし、高専生(卒業生)の姿だと感じます。〔94年卒、男性、就職〕
◆寮生活が役に立った。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆企業の高専に対する評価には、大変ばらつきがあり、待遇はてんでばらばら。働き手にとっては、はっきりいって当たりはずれが就職してから知ることになるので、時としてその評価のばらつきが、やる気を失う原因になるようです。私は、自営になってしまったので、特に関係しませんが。同級生の話です。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専教育は、専門教育一本に集中できて、とてもよいところです。あまり社会・人文学は必要なかった。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専生全体的に視野の狭さを感じられる。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生の自会社内の位置づけは、大学工学部卒より上である。私としては満足している。しかし、結局の所、自分自身がどれだけ頑張って上司に認めてもらえるかだと感じている。自分自身の能力以上の役職を与えられても、それをこなせなければ高専卒と言えど高卒より劣る。〔87年卒、男性、就職〕
◆語学力(特に英語)教育が必要(もちろん国語力も)。理論の必要性を、実験等の経験から認識させるよう指導を願う。知的成熟度の遅れを感じる。(世間を知らない、理解できない)もっと社会との接点(学外実習など)を、増やすべき。情報処理の知識は必須である。教育科目に加えるべき(学科に関係なく)。一般→専門へのハードル(進学)を、もっと高くすべき。(5年の学業にメリハリをつける)。高専教育と大学教育を比較すると(私自身の知的成熟度未発達が原因かもしれないが)考える力が得られたのは、後者であった。高専は記憶力のみに頼ったように思う。〔87年卒、男性、その他〕
◆高専は技術教育(実践)を重視しており、それについては、今後も継続して欲しいと思う。ただ、大学課程と同様な目的および技術力を養成するためには、論文、研究の手法等、技術的判断ができるような教育体系とし、各種学会等で意見できるような学習ができると、さらに「高専」というものの社会的地位が確立されていくと考えられる。全体的に、自己責任の原則を重視し、尊重している現在の教育方針は継続すべきである。〔94年卒、男性、就職〕
◆大学への編入用のコースを開設すべき。他の就職者と進学者では、目的意識が違いすぎる。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆社会では頭がよいと思っている人が多いので、レベルは落として欲しくない。〔87年卒、男性、就職〕
◆自分が入学したとき、学科の設備も古く、先生方も年齢の高い方が大かったため、専門教育については、やや疑問に思うところがなくはなかった。(大ざっぱに流された感じ)健康上のトラブルで、専門分野への進路を断念せざるを得なくなったときも、取り立ててフォローされることもなく、「さわらぬ神に祟りなし」という感じで放っておかれた。そんな時は、どんなにやる気を示しても受け入れられないものがあるのだと思い知らされた。(今は先生方も若い世代に代わってきて、かなり雰囲気も変わったらしい)結果的には、入って失敗したかなという気もしなくはない。現在は学校とのつながりを一切絶って、派遣社員として働いている。職業の内容も、専門教科で習ったこととは離れているが(機械工作関係)仕事の資料探しをするときは、概論として習い覚えた知識が、多少なりとも役に立っている。スペシャリストとしてのキャリアを積むには高専教育も無駄にはならないと思う。(但しゼネラリストとしては疑問も多い)〔87年卒、女性、就職〕
◆指導方法の悪い教官を勉強させる(教えるのが下手な教官はクビ)。企業の求める人材などの情報をもっと学生の教育に生かす。高専卒業生の受け入れ企業が卒業生の処遇についてどう感じているのか興味がある。〔87年卒、男性、就職〕
◆・学校として(教官)の学生に対する要求、会社からのニーズに対する取り組みができていない。・学校(教官の個人の考え方に任されている)全体として取り組む姿勢が認められない。→高専が学校として高専における教育について考えていない。考えている人が少なすぎる。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆私は大学に進学しましたが、それは学歴の為だけであり、また大学での教育内容も高専以上のものはなく、まさに学歴の為だけでした。でも、会社に入るといくら能力のある高専卒の人間でも、どうしても人事面で、大学卒の人間に落ちて待遇されています。高専はもうなくてもいいと思う。今の高専は、全て大学卒と同じ年数までの一貫教育にして、大学出と同じにした方が、正しく評価されると思う。そう言う意味で学歴の為だけの大学進学は、私はやってよかったと思っています。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆学士の資格がないと受験できない資格(弁理士等)があり困る。高専卒者も学士相当として認めてもらいたい。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒業、大学への編入を必ず義務づけるようであって欲しかった。(大学へ編入すればよかった)〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育を受けたこと自体が今の職業に生かされているとは思いませんが、人生の中ではその教育を受けたことが生きているな、と思うことが、年月を経ることにより増えています。〔87年卒、男性、就職〕
◆大学編入しても、学部は高専の時の復習が多く、有意義な期間ではない。従って飛び級で、大学院進学への道が開けたらよいと思う。*自分は高専卒業と大学編入に一年間あきができてしまい、その間工場でアルバイトをしたので、今回のアンケートの設問に必ずしも合致するような答えがなかったことを注として付しておきます。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆当時の高専の学生はとても真面目でよく勉強していたと思います。数学・物理といった専門の基礎となる勉強が早くからしっかりできたのはとてもよかったと思います。専門の座学は少なくてもよく、実習を中心に基本のみでもよいのではと考えます(詰め込みの面があったかもしれません)。語学は充実をはかるとよいと思います。5年は長く、人間関係が固定化するのでよくないかもしれません。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆就職組と進学組に、早めに決めておくことが必要だと思う。就職活動は4年生から会社選びをさせるべき。就職担当の先生は頑固な人はダメ。(私は、そのせいで希望していた会社に連絡すら取ってもらえなかった)。しかし、今のところには満足している現在です。学生の時にもっと社会の厳しさを勉強しててもいいと思う。あと、マネージメントなど。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専卒の企業評価は、往々にして低いものがあると思います。これは高専卒者のニーズが低い事、現高専生の低いレベル化が原因と思われます。結果給与体系も高卒の延長上にあり、仕事に対する正当な報酬を得ることができません。また、先の見通しも決して明るいと言えず、評価を得るには通常の大卒以上の努力を要します。つまり、高専を卒業した意味があったのか?と問わざるを得ないのが現状です。〔94年卒、男性、就職〕
◆基礎理論は、現在の所不変であるので、徹底的に教育すべき。応用は、現場もしくは、自分自身で学びましょう。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専設立時とは、時代が変わっているので、見直しの時期に来ているのではないかと思う。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆CADの教育、設計の進め方等、企業で実際に行われている業務を取り入れると、もっと社会に適した教育内容になると思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育には、人文・社会科学の教育が少なすぎると思う。それ故に、一般の教養が大卒に比べ身についていない。低学年で、もっと教育して欲しかった。技術教育はもちろん大切であるが、経済・政治や歴史等を学び、社会的に見た自分の立場や位置がある程度理解でき、それをもとに自分のライフスタイルや、ライフワークが確立できるように教育してもらいたかったし、今後はこのように対処してもらいたい。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専出身生が、大卒生と対等にやるには、考える力と語学力が必要と思う。そのために、下に示すことが不可欠だと考えている。答えの用意されていない課題を与え、自分で答えを見つける教育が必要。→5年次の卒研の枠を拡大し、5年次の授業を減らす必要あり。また、先生方にも研究をやって成果を求める姿勢が必要。→先生がやる気がないと学生はついてこない。高校生並の受験英語教育が必要。(大学の授業のやり方ではダメ!)→文法と単語の習得が社会へ出て、ビジネスをやる中で要求が高まる。低学年次に徹底した特訓が必要(若年時は、記憶力がよく時間が豊富にあるため)高専の設備の充実を!→30年前の計器を大切に使っており、又数も少ないため、卒研や実験がやりにくい。又、世間に取り残されているような感じがする。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆専門知識や実習等、もっと時代の流れに沿った柔軟の教育をした方がよいと思います。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育は、専門教育を長い期間集中して学べるよい機会であった。現在でも、その時に使った教科書が役に立っている。もっと、進学の機会を増やすか、あるいは専門の道を開くべきであるが、卒業後、就職して感じたことは、早い時期に会社のノウハウを吸収でき、かつ、大卒と比べて専門知識を幅広く持っていることは、非常にプラスであると考えるが、専門知識に深さがないことも事実である。高専を軸に教育の幅を持たせ、いろいろなケースで学べる機会を作っていただきたい。〔87年卒、男性、就職〕
◆企業に入ってから、自分自身がどのようになりたいかが重要であって、高専卒だからといって、今後のキャリアが制限されることはないと感じている。今から思えば5年間の教育は、とても有意義であったと思っている。〔94年卒、男性、就職〕
◆英語力をしっかり身につけるべき(論文等を読むことをすすめる)。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆自分は工業化学を卒業したが、専門科目の種類は多いが、中身は浅いので、専門を選択(生物、有機、無機など)して、その分野に力をいれて、プロフェッショナルを目指すべきだと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育内の実習内容、設備とも、卒業後に就職を考えているものにとっては、少々古くなっているのではないかと思われる。(自分はそう感じた)時代のニーズに対応するため、設備等は計画を立て、3・4年おきくらいで買い換えていった方がよいと思われる。キャリアについては、最終的にそのもの、本人次第であると思う。専門教科は、広く、浅く行い、会社に入って必要なものをさらに追求すればよいと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆社会全体が高専卒業生の配属先をもう少し考えるべきであり、ラインよりスタッフ待遇を希望する。あまりにも、社会の目が高専に対しての評価が高いのか、低いのかわからないというか見えてこない。又、高専という教育機関に対しての知識不足を感じる。高専は、高校・大学とは異なるということをもっと訴えるべきである。さらに、高専は社会での即戦力となる養成期間とも思われる。〔94年卒、男性、就職〕
◆要求される成果は大卒以上のレベルであるが、それに対する評価は大卒に比べると一律天引きされる気がした。〔87年卒、男性、就職〕
◆僕は宮城高専の機械工学科に入学し、5年で卒業、その後建築学科の4年編入(二専門履修コース)しました。全国の高専でも宮城が初めてで、僕は3期生でした。全国的にも全然知られていない制度なので、会社によっては大卒扱い(給料が)でとるところもあれば、高専卒は高専卒という会社もあるようです。僕は大卒扱いの給料でもらっているのでラッキーでした。しかし、来年主任試験(大卒扱いだから)があるのですが、今年整備士と一級管工事士の資格をとると、かなり有利になるのですが、私はその受験資格があるのかどうかがわからない。高専卒はキャリア5年、大卒は3年だったと思うので、願書を出した時点で「高専卒だからダメ」とかいわれるかもしれない。そうなると建築学科の2年はもったいない。早く就職してキャリアを積んだほうがよかった。あるいは大学へ編入して建築を学べばよかったという事になってしまう。当時のこの制度の発起人で「大卒と同じ扱いになる」とかいってましたが、かなり心配です。大臣は知っているんでしょうか。〔94年卒、男性、就職〕
◆パソコン関係をどの学科でも力を入れておいた方がよいと思う。パソコンを使うことがとても多く、とても便利である。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒の企業内での立場は、決して有利とは言えない。それは、やはり知識不足によることが原因であり、大卒に対する引け目も少なからず感じるところがある。今後、高専の教育は卒業後すぐに就職させるよりも、専攻科で、より深い勉強をさせるこをと推し進め、工学系の大卒よりも知識・経験共に上を行くような人材を育成するべきではないかと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育では、英語力の向上が図れない。卒業後多くのキャリアに進んで行くが、専門的知識については、高専で学んだ基礎があるので、ある程度対応出来るが、英語については、あきらかに高専は、レベルが低い。〔94年卒、男性、就職〕
◆私は高専卒業後、民間企業→公務員(大学の研究室で実験していた)→民間会社という経歴ですが、最初の民間企業と公務員で、給与で不当な立場にありました。知識については、公務員の時が大学院の研究室であったため、専門知識を身につけましたが、給与面および博士号取得で不利であったため。エンジニアになるべく再度転職しましたが、希望が叶わず現在営業職についています。30歳を過ぎてから大学院等で勉強したいと思うのですが、高専卒では大学の教養課程から始めなければならない上、会社では大学に行かせてもらえず、現在その将来をどうするか考えています。高専卒業だけでは、一度就職した後の進学は不利です。又、大手メーカーは高専卒は不利です。高専卒だけでは中途半端であると思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育は果たして誰のニーズで行われているのか?〔87年卒、男性、就職〕
◆高専での教育でとても役に立っている。学校での教育がすべてではなく、社会人としての生き方にも学ぶところが多くあると思う。在学中には、仲間同志のふれあいを大切にして学生時代を過ごした人は社会に出ても伸び伸びと仕事している。〔87年卒、男性、就職〕
◆これからの社会が求める人材は、専門的知識はもちろんですが、それよりも人間的魅力ですとか、職場マナー、強固な精神力が求められてくる(きている)のではないかと最近感じております。不況により、建設業界でも倒産、リストラが相次いでいる中、生き残る者は、超一流の技術者及び、一人3役、4役をこなせる者だと思います。高専の卒業生は、どちらかといえば、前者多数かと思いますがもっと当人に会わせた選択ができる教育方針があれば…と感じています。〔94年卒、男性、就職〕
◆とにかく語学が弱い。専門の基礎知識は、大学と同等かもしくは、それ以上あるが応力できない。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆私の現在の職業は、ゲームソフトの開発であり、在学中より絵を活かした職業を希望しておりましたが、希望も挫折したため、前職の商社に就きました。しかし、将来へ期待されすぎもあり、かねてより希望していた職業に運良く合格したため、現在の職業に就いております。私のような者もいれば、同期に社長も2人いるし、ようは好きなことをやることが大切ですね。高専卒でも、よい目で見られていたのでその点満足しています。寮生活が一番今役に立っているでしょうかね。〔94年卒、男性、就職〕
◆専門知識が現況の技術の状況よりも古いこともあるので、2~3年おきに最新の技術(土木ならI法)を教えるべき。土木工学(建設業・発注者両方に役立つから)で、施工管理をもっと重点的にやるべき(工程・品質等)。〔87年卒、男性、就職〕
◆私が今まで何をしても生き残り、はい上がってこれたのは、高専教育のおかげです。あまやかさず、泣き言を許さなかった試験で、落第者を容赦なく何人も出す厳しさが、社会の現実をいち早くたたき込むことになったと思います。いつまでも変わらずにいてほしいと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専を卒業して思うことといえば、一般教育(特に英語{英会話}の力のなさである。)現在の職場では、専門知識は大変役立っているが、他の学歴の人(特に大学生以上)に比べ、劣っていると見受けられる。また、在学中は実験・実習を他の学校の人より多くの時間費やしていたため職場では役立っているが、ただ単に大学卒の人達の手足となっているだけのような気もする。また、高専の存在というもの自体が、あまり知られていないため、他人には学業内容などが理解しにくいのではないかと思う。結論として、もっと高専の存在をアピールするべきだと思う。又、大学と高校の中間という非常に半端な立場にあるので、学力も人間性も一般教育も、もっと力を入れるべきだと思う。〔94年卒、女性、就職〕
◆他の会社のことはよくわかりませんが、少なくとも大学工学部卒の方よりは、低い評価が私どもの行っている会社では当たり前です。最初の頃は苦しかったですが、学歴社会ですのでと思う今日この頃です。高専卒の方々の絶対数が少なすぎるのも、良くもあり悪くもあります。〔94年卒、男性、就職〕
◆私が卒業後思ったことを書きます。高専の教育は専門的に見て大変有意義に思えますが、他業種の知識があまり身につかないように思います。(例えば機械、電気等)実際に社会人になってみて他の業種との関連が非常に重要になってきましたので、基礎から学ぶものも多くありました。今思うと、学生の時にさわりの部分だけでも学んでおけばよかったと思います。要するにつぶしのきく教育というのも現場におけるニーズとなっているのではないかと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専の教育では、語学教育(特に英語)が少なすぎると思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専の女というのは立場が中途半端で働きにくい。〔94年卒、女性、就職〕
◆大学編入希望者に対して、もっと積極的に指導すべきだ。(勉強会など)〔94年卒、男性、就職〕
◆今年2月に、以前から実家に戻ってきて働きたいという思いがあり、25歳までにと考え会社を退社、現在は4月ぐらいに再就職を目指し、活動中です。やはり、以前やっていたような機械の製造あるいは開発的な仕事をしていきたいと思います。やはり、再就職となると以前やっていた仕事ももちろんですが、同時に学歴が重要になってきます。大学工学部系の方と比べ、どのように会社側が評価するか解りませんが、新卒で入社するときよりは、はっきり見られるのではないかと思います。〔94年卒、男性、就職〕
◆在校生へ 私は中学3年生の時、某工業高校への進学を考えていたのですが、成績等を考慮し、又担任の薦めもあり、高専に入学しました。卒業後の進路について明確な目標を持ったのは4年生の冬だったのですが、それは高専の教育内容と全くかけ離れたものであり、思い悩んだものです。しかし、どのような「道」に進むにせよ、結局決断を下すのは自分自身なのです。大学に編入する人は別として、特に就職する人の中に、はっきりとした自分の「道」を見いだせないまま決断を下す人がいたのでは?との思いがあります。(社会的風潮なのかもしれませんが…)高専の施設そのものは非常に充実していると思います。あとは学生の意識付けだけなのです。「高校生」でも「短大生」でもない、「高専生」としてのプライドを持って、様々なこと(もちろん専門分野以外のことでも…)について熱く語ることのできる学生に、そして社会人になって下さい。〔94年卒、男性、就職〕
◆まだまだ社会的に高専卒だけでは通用する会社が極めて少ない。よほど本人が意欲的に知識を広めないと消えてしまいがちになるのが現実だと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆より充実した、学生がやる気を持って勉強できる教育を期待する。教官もがんばってほしい。〔94年卒、男性、就職〕
◆当社での高専卒業生の評価は低いと思う。当社だけでなく、社会全体を見ても給与面、昇進面で低く評価されている。在学時代は“君たちは高校3年間と、大学4年間を高専の5年間の圧縮して教育されており、若くして大学卒業の資格を得る"と教えられてきたが、実際社会に出てみれば、納得行できない部分が多かった。レベルの低い大学でも、大卒は大卒の評価を、高専卒は高専卒なのである。企業の中で、基本的にはその人の実力が尊重されるが、高専卒は大卒に比べ昇進を望むなら大卒以上の努力が必要である。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生については、大学の工学部卒業生と同等のレベルの専門知識と能力があると思う。その能力が活かされ評価される企業・職場に入社・配属された人は幸いであるが、学歴重視の企業では、その実力を過小評価されている(短大卒と同等の待遇)のではないかと思うところもある。この評価・待遇の改善のためには、今以上高専のステータスを高める必要があると思う(例えば、企業との共同研究、専門学会での発表などに、更に力を入れるとよいと思う。あとアイディアロボットコンテストを鳥人間コンテストのようにもっと面白く、ポピュラーにすることも必要でしょう)。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆授業の選択範囲を広げた方がよいと思う。生徒が先生を評価した結果をもっと取り入れるべき。生徒の希望をよく聞き、それにこたえる。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆一般教養が、大学に比べて内容が薄い。例えば語学力が大卒者より劣る(私だけかもしれませんが・・)。今時英語も話せないのは私ぐらい(私も含め他の高専卒生)会社で肩身が狭いです。ほとんど皆(大卒・院卒者は)英語は話せます。もう少し学生時代真剣に取り組み、ボキャブラリーを増やすべきでした。現在努めている会社は、短卒・高専卒が一番低い学歴なので、賃金も一番安いし、仕事の内容・昇進などは、大卒者に比べてやはり劣ります。某大学などに比べれば、高専の学力的レベルの方が高いと思われるような大学卒の人の方が、大卒というだけで何かにつけて有利です。悔しい思いはたくさんしています。やはり、社会は学歴重視、学力のある高専生より、学力がなくても4大卒、又は上司と同じ大学卒の方が出世はします。〔87年卒、女性、就職〕
◆習ったことを、すべて生かすのは難しいが、専門教科はどれもまんべんなくこなし、柔軟な思考力を養っていけば、仕事をこなせると思った。学生時代もその後も、力を養っていくことができるとも思った。設計・開発・生産技術等新しいものを早く取り入れていく業務に関わってきて、一つのものを世に送り出せたときの喜びは、苦労した分大きいので、自分だけしかわからない。専門知識を持てたことは、これからも自慢できる財産です。〔94年卒、男性、就職〕
◆報告書・論文の書き方については力を入れるべき。他の科目についても、出来ない者は「不可」をつけるべき。ただし、一科目でも「不可B」があると留年になるのはよくないと思う。だから、単位制を導入してもよいと思う。〔94年卒、男性、その他〕
◆今は全く違う業種の仕事をしていますが、高専生活が経験できて、とてもよかったと思っています。〔87年卒、男性、就職〕
◆企業等に就職する際、現場等の職務についての知識や実践方法を、もっと学ばせてから就職さすべきであると思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専という学歴に対する評価が高い。〔87年卒、男性、就職〕
◆全寮で人間関係の勉強になった。親から早く自立できる。〔87年卒、男性、就職〕
◆もっと実習時間を増やし、体で覚える教育をした方がよい。〔87年卒、男性、就職〕
◆教育について、もっと有能な教員を派遣して欲しかった。又、就職活動においては、一部の人間が有利になるようなシステムがあるように思われた。実際にある地区の就職担当教官がそのようなことを行っていた。就職活動のフォローが少なかったと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆卒業した高専の専門分野を採用する職(船舶職員)には、英会話が不可欠であるが、在学中の当該教育の内容に非常に不満があり、他の卒業生もそう思っている。中学卒業時の学力では高専入学者はかなりの高いレベルであると思うが、社会一般で実社会に出てみると、やはり大学卒との扱いに不当な差別を感ずる。〔87年卒、男性、就職〕
◆在学中に専門分野の学校教育を基本的に見直して、充実した専門分野の教育を考えて欲しい。実習課程においても決して職業の専門分野に役立つ内容ではないと感じた。高専ならば高専名に恥じない教育を実施して、社会で役立つ人材になれればよいと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育は大学と同等である。しかし、大学編入しても単位は認められず、同様のことを学ぶ。そのため、どの国立大学でも高専出身者が上位を独占している。高専卒者は、大卒と知識・学力が同等であるにも関わらず、年齢差から給料・職場に差がつけられている。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆語学にはもっと力を入れるべきだと考えています。特に会話については、実習を取り入れるなどしていただきたいと思います。私は非常によいクラスメイトに恵まれたため、5年間で人間的にも成長することができました。しかし、これは単に長所を見ているだけであり、受験がないことのゆとりが、どのような方向に向いていくかは、ある意味で運によるところが多く、人為的にもっとよい方向(自由な考えを伸ばす方向)に持ってゆけたらと思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専時代に学んだことが、今の仕事そのものなので、もっと勉強しておけばよかった。〔94年卒、女性、就職〕
◆大学での経験から考えると、高専の教育は無理に専門化していると思う。専門的な知識は、大学・企業でも充分に得られると思う。もっと専門教育の基礎的な部分(例えば、科学の分野ならば大学生と同等と物理化学や有機・無機化学)について教えるべきであり、細かい部分(材料化学や媒体化学)について、教える必要はない。また、私の周囲を見ても、中だるみをして進学をする人が多かった。才能ある人間が、高専に来たために将来を失う姿を見るのはつらかった。対策が必要と思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆私は高専卒業後、進路変更をし、教員を目指し大学に入りました。今、中学校の教員をしております。高専で学んだことはあまり役に立ちませんが、あの5年間仲間と過ごした時間は大変貴重で、今の私をつくったもとであると思っています。〔87年卒、男性、その他〕
◆私は卒業後、博士課程まで進学しましたが、編入後の2年間は研究のスピードが下がりました。卒業後、短期間もしくは直接マスター・ドクターにいける仕組みがあった方がいい。編入の制度・人数は世間に発表すべきでる。大検と同様に、大学卒業検定試験で、院の入学資格が取れたらいいと思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒の企業内においての位置づけは不安定(大卒寄り、高卒寄り)であり、就職を考える際、その社内においてどのような位置づけをされるのか考えておく必要がある。また、各専門分野における法令の教育をした方がよいと考える(就職後、その分野における法令知識は必ず必要になる)。〔94年卒、男性、就職〕
◆大企業で特に歴史の古い企業(鉄鋼・造船等)では、学卒との格差が大きく昇進も難しい。上昇志向が強い人は比較的新しい企業(前進的な企業…ソニー等)か、中小企業の方が力を生かせると思われる。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育の内容はハイレベルであり、その内容を理解することができれば、社会で十分通用することができますが、中学校卒業後親元を離れるため、自分にしっかりとした目標や興味を持って取り組まなければ怠けてしまい、せっかくの知識を得ることができないというところが自由な校風の難しいところだと考えます。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専時代の同級生と話をしていて感じることは、企業によって高専卒の扱いに差があるという点である。(問50は2~4に集中すると思います)〔87年卒、男性、就職〕
◆第1学年から専門科目の実験を行うことが、非常に役に立つのではないか。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専を卒業し、大学に編入できたことを誇りに思います。大学でも十分に通用する能力を有している高専生が、社会(企業)では重用されるべきだと思います。言い方は悪いですが、大学院生でも高専生よりも実力等が伴っていない人間、やる気がない人間がほとんどだと思います。国公立大学、大学院へのルートとしては最適(高専は)だと思います(現在は)。今後高専は、専門的な知識を身につけさせるための場となって、企業からの正当な扱いを受けられるようになればいいと思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆低学年の時から、専門分野の選択制を取り入れるべきだと思う。浅く幅広くではなく、深く専門知識を学べる体制の方がよいと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専は5年間在学するだけで工学的な考え方を身につけられる。大学に比較したら、高専の方が専門課程を学ぶ期間は長いので、学士に劣ることはないと思う。高専の教育内容は、専門科目の基礎をしっかりやればよい。応用などは、就職してからでも充分学習できるし、業務との関連についての理解も基礎が大切である。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒者は社会で、大学卒者よりも評価が低いように思う。特に私は就職・退職・大学院と進んできたため、いろいろ体験してきたが、専攻科生の評価が低すぎる。学位を取るのに大学よりも何倍も苦労しているのに高専卒並の扱いをされている。高専卒業後、進学するのであれば、大学へ編入するのが一番よいのではないでしょうか。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専を卒業し大学に編入したが、専門の教育や知識や、高専に学んだことがすべてという気がする。大学においては内容に教授のかたよりがあるし、その専門の基礎的なことは、特に職においてすぐ役立つことは高専での教育がものをいう。編入は中途半端な感じで大学生活を楽しめるわけでもなく(そんな時間がまずない)授業内容においても、すでに高専で学んだことがほとんどである。せっかく高専を卒業したなら、早く実社会でキャリアを積んだ方がいいと感じたが、就職すると何も知らない大学卒とすべてにおいて下に見られてしまう社会はやっぱり学歴社会だと改めて感じた。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆高専での専門教育は大学の工学部と同程度であると思うが、一般教養については、はやり2年のハンデがあるので知らないことが多いと思う。特に、これからは英語力が必要とされるので、英語の授業はもっと力を入れるべきだと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専教育の中で、国家資格をできるだけ多く取得させるべき。これを単位として認定するぐらいでもいいのでは?すなわち、学内評価のみにとどまらず、学外からの第3者による評価が必要ではないかと思う。TOEICやFEの上記理由から積極的に高専教育として導入して行くべきではないかと考える。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専教育は予算的に難しいと思うが、設備(分析機器や測定器、実験機器が古すぎると思う)の充実が望まれる。会社に入って一番違いを感じた部分である。〔87年卒、男性、就職〕
◆社会に出て、必要と感じるのは広く様々な分野での基礎知識であり、最新の技術や、深く専門的な知識は初めのうちは、必要ないと思う。グローバルな視野を持ち、大きな流れの中で、自分の仕事の方向性を感じ取り、判断できる確かな技術が必要です。高専は高校から大学までの教育を短い期間で受けますが、自ずと広く浅く学ぶこととなり、結果的には各分野の基礎知識程度で終わりますが、社会に出て大変役に立っています。また、実技と共に学んだおかげで実務に結び付いています。〔87年卒、男性、就職〕
◆大企業でない限り、大卒との差は生じないと考える。但し、給与等の差はあり得る。技術的な専門知識については、大卒と同様と考えている。〔94年卒、男性、就職〕
◆未だ学歴社会である。高専の仕事上の権限、責任は大学卒と同等であるにもかかわらず昇進の可能性は全く別のものある。〔87年卒、男性、就職〕
◆大学が当たり前の今では「5年で大学レベルの教養」だけでは企業もあまり興味なさそうなので、もっと高専ならではと言わしめるくらいのことを教えるべき。機材が古くいまいち物足りなかった。〔94年卒、男性、就職〕
◆私が卒業した機械2学科に関しては、専門分野の科目が非常に幅広いと思う。これは、いい面もあるが、逆の面では知識が非常に浅く、企業での実用面については不満がある。5年間という時間の中では限界があるのかもしれないが、専門分野を深く教育する必要があると思う。現在の企業側の感覚としては高専は高卒寄り少し専門性があるという程度と思われ、もっと、実力のつく教育をすべき。また専攻科については、私は受講していないのでわからないが、大卒レベルを目指すのではなくマスターレベルをめざすべきと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専の教育は、仕事の中で役に立っているのだが、今改めてその必要性を感じることがよくある。高専での教育の時にもっと真剣に取り組んでいればと・・・。もっと興味を持てるような教育を実施してほしい。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育について 高専のように専門的な学校では、その科目それぞれにとても奥が深く、そのために全般的な講義になってしまっているように思う。実際に就職してみると、学生の時にはなかった仕事のおもしろさは、やはり現場に近い為に得られるものではないだろうか。現在の状況では、学生の時に優秀だった者が会社で仕事ができるとは言い難く、むしろその逆だった者の方が、会社で通用する者が多い。〔94年卒、男性、就職〕
◆私の夫は高専から大学3年に編入し、大学院を出て同期入社しました。給料がものすごーく差があってずいぶんショックでした。高専の同期入社は少なく、また配属先にもあまりおられず、特に女性は初めてで上司も、とまどったようです。結局出産退職してただの主婦やってます。3人の子供を預けて働けるほど世間は甘くない。私にもらう給料など保育料でパーです。〔87年卒、女性、就職〕
◆中学卒業直後から専門教育を行う高専のシステムは、とてもよいと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆大学に編入学して、英語力のなさを認識しました。自分の問題もあるかと思いますが、高専の英語の授業は何か物足りなかったように思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆実力社会などとよく言うが、結局高専は、会社で重要度、給与とも大卒以下、高卒以上で実力は関係ない。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育への要望 <1>語学力の向上(英語及び、第2外国語、第3外国語)<2>プレゼンテーッション能力の向上 キャリアについて <1>入社1~5年間の給与の格差(大卒と比較して)が大きい。<2>5年目以降は、学歴は関係なく、自分の実力次第で昇進・給与が決まる。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専の位置づけが、現在とても厳しい立場にあると思います。ある意味抜本的見直し(推薦も含めて)が必要だと思います。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒業者の高就職率は過去のものとなりつつある。卒業後に学業を志す者、就職する者等それぞれである為、高専の教育システムもこれらに合わせていく必要性もあるのでは…?一度見直す機会を作ってはどうか。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専での教育は、高校の延長みたいな感じがするが、大学のようにすべての学科に対して単位という形にしてはどうかと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆就職先を選択するときに、あまり何も考えずに決めたのが失敗でした。最初に配属されたところは、特に専門分野を必要としないところでした。1ヶ月後、社内に高専と関係する方がいて、あるプロジェクトに引っ張ってくれたおかげで、現在では高専での専攻と対応した仕事をしています。研究・開発部門ですが、給与は一般職と同じなので、こんな事なら高専から大学に編入すればよかったと後悔しています。そうすれば総合職の給与体系になるからです。今後、よりよく評価してもらえる会社に転職するつもりです。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専卒者の昇進・昇格は、学歴でなくその人の努力や成果による所が大きい。高専も大学もあくまでも研究機関であり、会社は利益を追求するところである。よって、高専や大学を卒業しても、そのまま会社に入って、そのままの専門性で通用しないことの方が多い。会社で必要とする専門性の方が幅広い。会社に入って必要な専門性は(大学・高専で学ぶべき事は)、a)つめこみ型ではなく、また古典的な専門性ではなく、実態にあった専門分野。b)受身的な授業ではなく、自らが考えることのできる授業。c)幅広い専門分野〔87年卒、男性、大学編入〕
◆安い給料で、大卒並の仕事ができる高専卒は、会社の望む人材だ。女子の総合職への拡大は今後増えると思う(自分自身そうだから)。高専教育は内容がよいが、カリキュラムの組み方がまずい(微積を習う前に、微積の必要な科目を習うetc)。基礎をしっかり習うことが一番大切なので、基本や理論・実証・実験に力を入れて欲しい(応用的学習は会社でも十分可能)。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専卒業生は、大卒と同等もしくはそれ以上の専門知識を身につけていると思うが、全体的に高専の校風が閉ざされた環境にあり、個人個人の会社及び社会に対してのアピール性が大卒生に対して乏しく思えます。高専生活においては、個人の性格を開放的に生かす環境が必要と思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専生は大卒生に比べ、知らない人と話す能力が、大幅に欠けていると感じました。卒研などで、もっと企業の人と接する場があればと思います。技術的教育では、大卒の人と同等と感じています。高専卒生は、企業で更に勉強できるケースが多いので、それをフルに利用した方がよいと感じますし、高専卒生の利点と感じています。〔94年卒、男性、就職〕
◆「技術的な考え方」について 卒業研究を通して教えて欲しい。技術屋としての夢を持つような教育をしてほしい。キャリアは学卒と比較して、実力はあまりかわらないが、会社での地位は少し低い。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専化学科を卒業したにもかかわらず、一般的な(普通校の)数学や化学についてよくわかっていない。他の工業高校のように、国家資格等の指導が必要だと思う。高専という学歴は身につけられても世間的な資格がないようでは、高卒よりも使えない。学生生活としては、受験もなく楽しく優雅で最高だった。テストも少ないし、規則も厳しくなく。〔94年卒、女性、就職〕
◆体育でゴルフをやらせるべきだ。もっと個人の能力向上方法を考えて欲しい。〔94年卒、男性、就職〕
◆英語の時間が少なすぎる。一般高校の半分以下ではないか?高専の卒業生の多くが、英語力で企業内で苦しんでいる。つまらない材料学や概論などはやめて、すべて英語にするべき。教授のレベルも低く、この時点で高専選択の間違いに気がついたが、すでに遅かった。それと、高専によってレベルが違う。ロボットの大会などに常に顔をだしている学校もあれば、全く出場しないところもある。卒業研究も毎年同じものをうつすだけで、全く意味なし。もっと興味を引く〔題材〕を用意するべき。〔87年卒、男性、就職〕
◆社会では高専卒者は即戦力と期待されている。職種にもよるが、理論よりも技術の最新の動向をもっと教育する方がよいと思う。学生にも何を学ぶべきかを意識付けする必要がある。会社でテブナン、マクスウェルの名前を聞いたことがない。〔87年卒、男性、就職〕
◆教育内容が古い。やる気が感じられなかった。柔軟性に乏しかった。理論も実践も全くできてなかった。身につかなかった。〔94年卒、女性、就職〕
◆前に働いていた会社では、高専卒者の前例がなかった為「専門学校卒」という扱いを受けた。高専を知らない上司もいて「学力の不足した者が行く学校」という事を、いわれたこともある(現在の会社では、そういったことはないが)。能力に関係なく、四年大学を卒業した人と、昇格・給与の面で差をつけられたこともある。あくまでも前例がなかったことが原因だと思うが、位置づけが不安定だと思う。高専教育は、もっと自主性を生かしたかったと思う。先生がいつまでも手を貸してくれることに甘えてしまう。大学のように、もっと突き放した教育も必要に感じる。ただ、雑学といった知識については、豊富だと言われることがよくあり、大学その他の専門学校との違いだと思う。〔94年卒、女性、就職〕
◆給与面や出世面。同期でも大卒にはかなわない。たとえ技術力がこちらの方が優れているので論文(レポート)提出となると大卒は慣れているせもあるのか、評価されてしまう。エンジニアなのになぜレポートばかり必要とするのか、不思議でならない会社だが、現実はそうなので、現場の仕事より苦痛である。社会もどんどんシステム等変化しているので、流れについていって欲しい(学校での勉強)。〔94年卒、男性、就職〕
◆国際社会に応じてもっと英語教育を増す方がいい。現状の会社では英語を要求されており、かなり苦労している。大卒と同じ扱いをされるとあまりにもギャップが大きい(なかなか追いつけない)。〔94年卒、男性、就職〕
◆私が高専に入学できたのはラッキーでした。元々工業系を希望していた私ですが、先生の勧めで受験し、第1,2希望の学科こそ落ちましたが、第4希望学科を合格し、内心悩みましたが、留まることを決めました。(当時ブランド校だった為)最初2年間は親から離れ寮生活をしていて「いやでした」が終わってみて(卒業)就職すると、やはり当時体得した共同生活での規則・マナー・言葉使い(先輩)など、既実践で役に立ったと思われます。現在の会社で技術系を担当していますが、高専で勉強してきた一般科目から専門まで、浅く広い知識で、いろいろな部門でも柔軟に対応できている。しかし、やはり末々学歴社会が強く大卒連中よりも低く(年齢もそうでしたが)見られ悔しい思いもしました。(大学で何を学んできたかわからない人もいるのに)最近の高専は、経営方針を変えたのか?寮生活を任意にしたりして生徒確保しているように思える。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専で最もよいと思うのは、5年間の一貫教育です。5年間の間にいろいろな分野の教育(化学科にもかかわらず、電工理論や、フライス版加工等)を、まんべんなく受けることができ、卒業時に専攻と異なる分野に、就職したにもかかわらず、学んだことが十分応用できました。高専で最もよくないと思うのは、閉鎖的であることです。もっと外部と交流し、世界を広げるべきと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆大学の受験がない分、人文・社会科学等の一般教育の力が大卒の人より落ちる。高専から大学への編入の枠をもっともっと増すべきである。また編入試験に向けた教育をもっと取り組んで行くべきだ。大学卒と高専卒では社会の評価が違う。短大卒と同レベル。大企業からの求人が少なすぎる。中学を卒業してからすぐの寮生活は周りの影響を受けやすく、また親の目からも離れるため、自己管理ができなくなることがある。今までの生活スタイルからはずれることがある。高専卒は地方上級(公務員)を受けられるようにすべきだ。国家II種に向けた対策をもっと取るべきだ(合格者を増やす)。〔87年卒、男性、就職〕
◆入社当時はそれほど感じなかったが、5年目ともなると、新入社員が大学卒or大学院卒の人と同年齢となるわけですが、給料の差がなく、逆に新入社員の方が多いということが多々あります。今までの経験は、何だったのかと感じさせられることがあります。高専卒の人は、人前で発表することが全くないので、会社でのグループ会議等でなかなか発表がうまくいかなかった経験がある。〔94年卒、男性、就職〕
◆一般教養の授業の内容の充実と、専門科目の基礎を充分に身につけられるような授業の仕方をすべきだ。特に専門科目について基礎的な知識の修得にしぼってもいいと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆自分で物事を考えられるようになったのは、高専へ入ってからだと思うが、それが教育のおかげか・寮生活のおかげかと思うと、寮生活のおかげだと思う。実際、学校へは勉強以外には期待していなかったが(今の学生もそうだろうと思う)ただ、授業の方法としては、自分で発想が次から次へと浮かんでくるようなものが望ましい。〔87年卒、男性、就職〕
◆大企業にはいると、あまりいいポジションにはつけない。(例えば、資材管理とか誰にでも?できそうな職)しかし、中小企業に入ると、必要以上な程どんどん仕事をさせてくれた。もっと中小企業の求人をとるべし(そのようなことを助言すればよいかも?)。材料学について、もっと実務レベルの教育をするべし(とても苦労している)。CAD教育がなかったことに不満(とても苦労している)。教官のエゴ的教育があったことに不満(力学関係)。女性が少なかったことに不満(10代に学生生活で女性がいないのは淋しい)。社会ニーズの適応性のない教育に不満(内容が古すぎるところあり)。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒業時には、どんなことをやってみたいかが、わかっていない学生が、多いと思われる。結局、自分にしても最初の就職先で、ある程度のキャリアを積むことで、どんなことをやってみたいかということが見えてくる。〔94年卒、男性、就職〕
◆現在英語を使用する職場にいるが、大卒やに比べ英語力がかなり低い。〔94年卒、男性、就職〕
◆現在は公務員として働いているので、そう関係はないですが、前の会社(情報処理・SE)に所属しているときは、大卒に比べて評価が低いと思いました。仕事内容的にも全然わからなかったのですが、(私たちの方が複雑な仕事を任されていた)給与面が悪かったと思います。今後は、高専卒も大卒と同等の評価がされれば(実力主義)よいと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆必修と選択科目を大学並にしてはどうか(特に専門科目)。語学力をもっと重要視してはいいのでは。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒だからといって現在の会社では、特に問題はなく、会社に入ってからの本人の実績で決まっている。ただし、卒業生に言いたいのは大卒や院卒に気兼ねせず、のびのびとやって欲しい。そうすれば10年も立つと、やりたいことができている。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専卒は私も含めて大学卒に比べて、知識が足りないと感じた。卒業生のレベルをあげることを考え、高専では単位取得のレベルをあげるべきだと思う。高専での教育を受けていたときは理論が多く、「理論→実践」という形があまりなかったように思えた。教育期間が長いのだから、もう少し実践的な授業を増やした方がよい(卒研は良かった)。大卒との差別は仕事上全くない。〔87年卒、男性、就職〕
◆英会話を専門分野なみに充実させた方がよい(文法はいらない)。自己表現能力を付けさせるべき、一貫して集中教育も良いが、勉強はできても社会的に子供が多い(大卒に比べ萎縮している)。会社側は「即戦力」として雇うなら、給料も大卒なみにすべきである。〔94年卒、女性、就職〕
◆英語教育に力を入れるべき。さらに上の教育機会をもっと広げるべき。〔87年卒、男性、就職〕
◆この調査について、学校の範囲として、高校・大学・高専しかありませんでしたが、短大・専門学校等についてもふれた方がよかったのではないでしょうか。特に、専門学校の卒業生と同等に扱われ、あまり良い思いをしていない同級生が多くいました。(卒業当時ですが…)。〔87年卒、女性、就職〕
◆学生時代に、社会人としての自分を全くイメージできなかった。個人の適性・長所を把握した上での、総合的な指導・教育が望まれる。工場見学だけでなく、座学(講義)にも、主たる企業の営業活動がわかるものを取り入れるべき。ここで初めて、将来のイメージを、各人が持てるのではないだろうか。点数をとるための学習ではなく、各人が将来を見据えた上での選択的・自発的学習が、「即戦力」と言われる高専卒者のあるべき姿であると思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆最近の高専卒業生はレベルが落ちている。(人間的にも、専門的にも)このままでは、高専卒への評価がもっと下がり、その必要性がなくなると思われる。教育内容に大学との差別化をはかるべきと思われる。〔87年卒、男性、就職〕
◆最近、各高専対抗のロボットコンテストやソーラーカーレース参加等、また在学生が、パソコンソフトを開発した記事が、新聞に掲載される等いろんな分野にチャレンジする学生の姿が見受けられる。自分達の時代にはそういう機会にめぐまれなかったのでうらやましい限りです。スポーツの面でも高体連への参加が認められ、今の学生は恵まれていると思う。自分自身、留年だけは避けたかったので、それなりに学業に励み無事卒業・就職でき、詰め込み教育と言われた中にも充実感があったと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆同年齢の後輩(大学卒)よりも給料が低いのは大いに不満です。しかしながら、仕事に関しては、高専生の方が有利だと思います。私は、電器メーカーにて、開発業務を行っていますが、必要な知識は基本的なものであり、これについては、大卒と差がないです。特に大学では、実験が少ないようで、高専生の方が即戦力と言った感じで期待されています。実際、先輩方は実践的な技術者として活躍しています。〔94年卒、男性、就職〕
◆編入した際の高専卒の学生の専門知識は、大学生より優れていると実感した。それは、自信となり非常に満足している。しかし、それと同時に高専の独特な雰囲気は、社会への対応に少々ハンデを与えるような気がする。また、校則の自由さに、自分の愚かさに気づいていない学生もいることが少々心配である。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆在学中に積極的に色々と学ぶべきで、結果個人のやる気がすべてで、それに対応できる学業環境を整えておく必要がある。〔94年卒、男性、就職〕
◆一年生からすべて選択制にし、科の区別がほとんどないほうがmore betterなのでは。(ほぼ大学制)卒業研究が、就職・進学などで、実質半年もなかったので、4・5年生の2年間でやった方が、良かったかも。1つの研究テーマに、同じ科の人ではなく、他の科の人達と組んで多方面にせめてみるのはどうでしょう。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆自分の実力がすべてなので、高専卒のキャリアについて、なんて全く気にしたこともないし、気にするつもりも今後ない。高専教育は、もっと世間の現状に合わせた内容を充実すべきだと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒のみでは、専門は問題なくても、人間の幅について物足りなさを感じる。専攻を利用して、大卒と対等に活躍して欲しい。さらに、専攻科の通信教育を実施して、他の専門分野の大卒資格が取得できるようにして欲しい(高専卒時の共通学科免除による有効活用)。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆数学・外国語(英語・ドイツ語)は、基本をじっくり確実に教育する。専門は、基礎と先端技術の両立(基礎には実習含む)哲学・地理・歴史・国語・古文などは、減らすか、社会で必要な内容を充実させる。〔87年卒、男性、就職〕
◆現在の仕事はLSIの設計をしていて、学校での教育はあまり役に立たず、2・3年前の知識はどんどん変化する環境についていけなく、使えない場合が多くなってきていると思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育に対しての意見、語学教育(英語)の時間が少ない。専門科目の内容が古い。(基礎も大事だが、現在使われていない物を教えるのはどうかと思う)学会発表等の教育もするべき。高専の教官に対しての意見、研究に力を入れている教官が少ない。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専でもっと問題解決能力を養うべき。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒の男子と、大学卒では会社側の見方に大差ないが、高専卒の女子となると、時々差別を感じることがある。〔94年卒、男性、就職〕
◆私は、現在放送局に就職していますが、同じ高専の全身である高校時代の卒業生が、系列局、同県・他局に多数おり、常務取締役~ライン部長まで…しかし、最近では高専卒の採用は全くなく、すべて四大卒以上…民間放送局はキャリア以前に最終学歴が4大以上でないと採用0。・・結局会社を運用する総務人事部門に高専卒が配属されるケースが少ないため、今後も高専卒はよほど先輩がその会社に評価されることをしない限り、後輩の採用は乏しかろうと思われますし、昇進も難しいのではないか!後はいかに多くの資格を身につけるか!(つけさせるか)〔87年卒、男性、就職〕
◆もっと考える時間や、学問選択の幅を広げて欲しい。あと、ほとんどすべて必修科目はやめて3年次ぐらいからは、学生が自主的に選べるようにして欲しい。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専の一貫した専門教育には価値があると思います。ただ、高専は中途半端なので、7年間の専科大学?に移行することを望みます。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆周囲は大卒ばかりで、派閥(同大学の先輩)をつくり、学生生活の延長かと言いたくなる。数少ない高専卒は、孤独を感じる時がある。が、仕事に対する誠実さでは、いつも誇りを持っている。〔87年卒、男性、就職〕
◆私のいる会社は、私が、初の(新卒では)社員だったので、その期待はとても大きなもので、プレッシャーがすごくきつかった。会社に入ってから、必至で勉強した。最近、勉強の方が面白くて、大学に行ってさらに専門性を高めてみたいと思うが、将来の見通しや、経済的な理由で踏み切れない。社会に通じる技術的専門性は、とても五年じゃ得られないと思う。〔94年卒、女性、就職〕
◆職場に就職すれば、結局また勉強しなければならないが、学生時代にある程度、基本知識を身につけることができれば、応用がきくと思う。また、このコンピュータだらけの時代なので、どの学科を卒業しても、ブラインドタッチくらいは出来るようにしたいものだ。今、私は公務員で、全く専門外のことをしているが、コンピュータはどこでも必要だから。そして、非常に個人的な意見だが、女子の人数が増えてきた今、体育の時間3時間(週に)あるとすれば、1時間くらい「家庭科」が欲しいところです。社会に出れば「女性」としてみられるのですから。〔94年卒、女性、就職〕
◆学科をひとまとまりにしたものは(電子機械)一つの分野がおろそかになる(どちらかが)。〔94年卒、男性、就職〕
◆工業系の高専であっても、少しは商業のことも勉強した方がよいと思います。高専の情報工学科を卒業して、会社に入り、今はプログラマーをやっていますが、入社した当初は、高卒(商業高校)の女の子に、どうしてもついていけませんでした。一般教養やパソコンの知識は、商業高校の方が、はるかに勉強していることがわかりました。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専卒は、大卒以上に実践的知識があり、かつ技術的には柔軟に対応でき、決して劣ることはないが、社会的(学歴社会の中で)には、大卒以外として扱われることが大半で、企業に入社しても、現場の方に回されることが多い。専攻科、又は大学編入etcにもっと力を入れる必要があるのかも知れない。商船の場合、最終に航海実習がある為、神経がそちらに集中し、又下船してすぐ就職となるため、就職情報なども他校に比べ少なく、時間的余裕がないように思った。〔87年卒、男性、就職〕
◆現在一般行政職の技術吏員だが、高卒と同レベルに見られている。昇進は事務職と違って試験制度がないので、先は見えている。でも、結婚しているので転職もできず、定年まで頑張りたい。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒は、企業においては大卒より低い賃金で、大卒以上の短期研究で、即戦力となることを望まれている。スキルアップの機会は、あまり与えられず、自己努力により、自分を武装していかないと、実務に精通した便利屋にされて昇進や昇級がともなわないことが多い。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専在学中に、何一つ資格の収得をすることがありませんでした。案内などはあったものの、自発的に資格をとるものもいませんでした。高専のカラーをもっと出すためにも、資格をもっと収得させるべきだと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆技術学習だけではなく、国の動向(政・経等)も、学生時代から意識を持ち、発想エリアの幅広い社会人となるべきと考えます。「技術オタク」人間も世の中必要であるが、高専卒人間はそういう人物になるのは私も、おすすめできない。〔87年卒、男性、就職〕
◆私の会社では、取締役以外での出世に学歴の差はなく、むしろ差異をつけて欲しいと思ったくらいである。学歴は、大学であれば研究・開発、高専は技術、高校は技能職という感じで職場によるところが大きい。高専出身者は、開発・製造を結ぶ立場におかれ、文学的教養含め、幅広い教養を求められる。又、高専の実習等は、現場・基礎知識を知る点では役立つが、最新技術(特に電気関係)が伴わなかった。〔87年卒、男性、就職〕
◆教育について、専門教科については、大学よりも密度が濃く、十分だと思う。一般教科は劣っていると思うし、大手のゼネコン等はそういう見方をしているようなので、一般教科が強くなれば、まだまだ評価が上がると思うが、5年間の中での限られた時間内では、少し厳しいような気がする。最後に、高専へ行ってよかったと思う。親の負担も少なかったと思うし優秀な人間も多かったし、環境も良かった。卒業後はやはり、個人の能力次第ではと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆中学生の親の理解を得るために、もっともっとアピールすべき、中学の先生は、面倒がって、生徒にすすめたがらない。国立で授業料が安いので、頭のある子供は、普通科へいかず、5年で国立大学へ進められる…と、PRすればいいと思う。高専のいいところは、学生扱いとなり、すぐさま自立心が生まれる。責任も自分自身となり、親が出る幕がなく、広々した校庭で、思う存分スポーツができ、とりかたによっては、有意義な学生生活を送ることができる。社会に出るとそのありがたさが十分わかりうる。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専での教育は、外部との接点があまりない為、即戦力を求められる現在において、不十分な面が多い。専門的な分野だけでなく、一般常識・マナーの教育をカリキュラムに含め、さらに企業との交流をもっと深めて行くべきと思う。企業との共同研究は是非とも推進していただきたい。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専での教育は、社会人になったとき、技術者として広い分野において、柔軟に対応できる人間になるような教育を望みます。そして、卒業後に専門分野に特化する者、オールマイティーな者等に進むのがよいと思います。そのためにも高専の地位は、高いところにおいて欲しい。そして、優秀な学生が入学するよう保って欲しい。〔87年卒、男性、就職〕
◆現在、自営で喫茶業を営んでおります。高専の専門分野では、多くの実験・実習のレポートが苦痛に感じられましたが、今振り返ると、自らの手で、実習を行い、具体的数値を確認・検証をするという癖が体得されており、大変役に立っているように感じます。座学よりも実習、大学・他校との交流、企業との現実レベルで交流をもっと重視した方が、より卒業生が社会にでて活躍できると感じます。国語・英語・(英会話)も、もっと勉強していればと思っています。〔87年卒、男性、就職〕
◆私の場合、現在の仕事と高専の分野は全くかけ離れており、特殊な部類ですが、自分にあったもの、好きなものを見つけることはなかなか難しいものです。何が一番正しい方法というものはないと思います。社会に役立つ仕事ができるような勉学の場となることを期待します。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専には途中の受験がない分、非常に効率の良い専門教育が可能であり、今後もこれを最大限活用し、特に時代にあった専門技術の習得に力を入れて頂きたい。(今の企業は即戦力を必要としています)これには、最先端技術を持つ企業との共同研究を可能にするための教育方針や、設備の整備など、企業から見てメリットがある魅力的な学校(人材)、環境づくりが必要と思われる。これに関連し、卒業研究を専門に2年加えることで、大学+αの学位と能力を持たせることで、本人の学歴とキャリアは名実ともに確かなものとなることでしょう。(高専の大学課程)〔87年卒、男性、就職〕
◆英語の単位数が非常に少ない。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆現在は退社しましたが、私が就職した会社は、実力主義の会社でしたので、高専卒や女性ということで、苦労も差別もありませんでした。しかし、会社によっては、資金面や昇格などで、大卒者との差別があるところもあるようです。就職する際には、企業のブランド性よりも高専卒業者の待遇を調べた方がよいと思います。〔87年卒、女性、就職〕
◆一般大学の工学部とは違った、国立の高専としての特色を明確にするべき。昨今専門学校という教育機関が多くあり、勘違いされるケースが(レベルが低いと思われる)が良くあるので、呼称を変更して欲しい「専科国立大学」etc。もっと工科を細分化し、理論よりも、実践重視の教育を行い、「超即戦力技術者養成」を目指して欲しい(例)生産設計科、電子回路科、電力科、メガトロニクス科etc。実際の現場を体験し、学ぶことに対する同機付けのため、インターン制度の導入を検討して欲しい。〔87年卒、男性、就職〕
◆就職活動の最中に、初めて自分がどういう進路に進むか見つめた。実際には、遅く、やはり同機も不明であり、結果的にはその場しのぎで、目の前の職に就いた結果、3年持たなかった。5年間の間に、進路に対して自覚していくような方向付けがあっても良さそうだ。でも、高専という教育機関は認めている。是非わが子にも勧めたい。福岡市内にも学校を設立して欲しい。建築分野がよい。でも、あくまでも学校での善し悪しでは決まらない。その会社に入ってからのスタートであると思う。高専でも第1には、人間関係が1番。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育について、専門、詰め込みすぎる。実務に役立つ教育に。実習を増やして。一般はとにかく英語を。英読ばかりではなく、TOEICなど参考にして。その他、クラブ活動は充分やった方がよい。(人生のために)卒業生のキャリアについて、大卒と高専卒とでは処遇が異なる。不当に評価が低いのではなく、高専卒のレベルが低い場合が多い。大学の進学を増やした方がよい。その他の大学も技科大ではなく、他の1流国立大学へ。技科大は、同じ種類の人間が集まって、高専の延長の雰囲気の中、井の中の蛙状態。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒は大学卒と比べて専門分野では同等か、むしろそれ以上のものを持っている。しかし一般教養の語学力(英語)においては低い。よって専門性の高い職場では大卒と同等以上の能力を出すことができるが、営業等の場合は疑問である。〔87年卒、男性、就職〕
◆発表及び論文の表現技法に力を入れてほしいと思う。私の経験では、高専卒だから、発表やレポートの技法を学ぶよう注意される者が大卒者と比べ多い。又、学校教育内容を世にアピールしていただきたい。在学中には良く大学と変わらないカリキュラムであると説明を受けたが、世間一般では専門学校又は短大卒者と同等の扱いを受け勝ちである。特に外資系では学歴志向が強いので、英語でのアピールが必要です。例えばThis college same caliculam to Japanese Universal Collegeの様な。〔87年卒、男性、就職〕
◆私どもの会社では高専卒業生自身が少数であるためか、入社後の立場が確立していないように感じられた。さらに私どもの会社は小さく少人数であるため、学閥等がなく、個人の資質、能力によるキャリアアップとなっている。一口に言ってしまうと、「高専卒業生」という学歴については認識度が低いのではないかと考えている。〔87年卒、男性、就職〕
◆社会的評価の割に給与等の待遇が悪い。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専を短大レベルと同等に思っている人は、高専を知らない人であり、高専の5年間のカリキュラムから見ても、高専と大学工学部卒とは同等か、専門分野では高専の方がレベルが高い。しかしながら、高専は高度成長期時代にできた、技術者養成コースであり、企業の中では「働きあり」のような存在であり、うまく使われている感じである。ボロの大学を卒業しても、それは大卒として扱われ、学歴社会、学歴重視の日本では高専は給料も安く、その上出世もできないので、損である。高専の歴史も浅いため、仲間が少ない点でも肩身が狭い。「高専」という名前も「専科大学」に改名すべきだ。〔87年卒、男性、就職〕
◆私が高専教育を受けた印象は、殻に閉じこめて座学ばかりで専門知識を詰め込もうとしている。例えば、企業との共同研究などを通し、自分達で行った実験や実習が、自分の身の回りにある色々な工業製品のどの部分に生かされるかが実感できるような実習を増やすべきと思う。例えば、今更鍛造工場で焼けた鋼をカンカンとたたく必要もなかろう。(それを専門職とする人間の育成には必要であるが)。高専の設備では限界もあろうから、企業実習を制度化したり、他機関を積極的に利用すべきではないか。又、高専生は本やジャーナルを読まない。高専を卒業するまでには、少なくても、あるテーマに関して、世界最先端の技術を文献で調査できる程度の力はほしい。どこの国の誰が、いつ、どういう手法で何を製作した…と具体的に言えるといいのではないか。又、高専の専門科目は中途半端に多いため、少ない時間数で定められた分量を詰め込むような教育になりがちである。ある科目の単位を取ったら、その翌日からはその科目は必要ない、という考えを持っている学生も多いのではないか。つまり、現代の技術開発には、応用的発想が非常に重要でにもかかわらず、工学的センスを養っていない。応用的発想に不可欠な基礎的な専門知識を、詰め込み暗記方式で教育しているのではないか。演習の時間を講義と同時間程度設け、教師とのディスカッションが必要。講義で教科書の説明を受けただけで、演習問題が解けるはずがない。特に高学年で学ぶ専門科目に関しては、演習書を探すのも一苦労。教官が適切な演習を用意し、授業科目に取り組むべき。例えば週に1時間、熱力学の講義があるなら、私が高専生だった頃から、解き方がわからない、のではなく、問題の意味がわからない、という学生は沢山いた。特に熱力学や電磁気学など、日常では目にしない物理量を扱う科目で、そのような学生は多くいた。いったん、そのような学生が現れれば、さらに高度な専門科目の教育が出来ず、教師も困るであろう。そうすれば、無難な教育をする教師も現れ、勉強を一生懸命やっている学生が一番気の毒な状況になる。高専の教育は、現代の先端技術に無理に追いつこうとしている気がする。そうすれば自然に専門科目数が増え、その結果高専が細分化される。しかし細分化して深く専門教育を受けた学生が社会に出て、高専にて学んだ専門知識がどれぐらいの割合で役に立っているのだろうか。私は高専教育において、専門性の高すぎる専門科目は不要と思う。例えば、機械設計法の知識は全く必要ないが、熱力学はもっと勉強しておけば良かった、などほとんどの高専OBは思っているだろう。(科目名はあくまでも例)。そのような、「もっと勉強していれば良かった」と思われる科目のみを時間をかけて徹底的に教育する方がいいのではないだろうか。機械工学科で言えば数学、物理、熱力学、液体力学、材料力学、材料学等、時間をかけてじっくり習得すべき。やや専門性の高い教科書などは、就職して、ある仕事に携わったとき、嫌でも読まなければならなくなる。その時に化学工学科出身の人でも電子工学、情報関係、化学、材料など他の専門書を読む場合は必ずある。その時になって、蕁麻疹が出るとか拒絶反応を示さないためにも、中途半端に専門教育をするのではなく、しっかりとした基礎を植え付けるべきと思う。極端に言えば、高専の最初の三年間は専攻の区別ない教育をし、四年生から専攻別に教育するのでもいいと思う。今の高専の教育では、柔軟な10代の若者に、(使えもしない)専門知識だけを植え付け、他分野に対しては拒絶反応を示すようにしていると思う。機械、電気、情報、建設、化学、生物と専門に関心を持ち始めるのは、今時の中学生にないのではないか?各専門に関連深い先端技術、又複合技術を的確に若い学生に紹介し、いっそう「高度な興味」を持たせ、その上で本人がある専攻を志望するに至るようにし向けるのも、高専教育の義務と感じる。最後に、私は個人的にこう思う。工学の教育においてもっとも重要なことは、柔軟な発想により自然科学を生かすことであると思う。先端技術に必要な化学といえども、必要な基本概念は少ないと思う。(力学、電磁学、熱力学、化学、、量子力学等)。少ない基本概念をきちんと理解した上で、それらの「相互の関連を体系的に理解すること」が重要であると思う。そうすれば色々な専門用語が入り交じった高度な専門書なども簡単に読める気がするし、新しい技術の「創造」の大きな助けになると思う。細分化された専攻内で優等生であっても、新しい技術の「創造」は出来ないのではないか。1,身の回りの工業製品との関連が実感できる実習=企業実習の制度化等。2,あるテーマに関してジャーナル等を調査できる能力が必要。3,講義よりも演習の時間を多く設ければ 4,専攻を細分化した深い専門教育には意味がない=工学の基礎概念(物理、数学、化学、英語他)を徹底教育。最初の3年間は専攻の区別不要。5,先端複合技術に対して学生に高度は興味を持たせるのも高専の義務。6,教官の個人差が学生のやる気をかなり低減させる。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆企業との共同研究を行う等して、研究のレベルアップを図るべき。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆今の日本社会では、もう少し一般教養を身につけた方がいいと思う。(モラルも含む)〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒の場合、男性はそれなりの位置づけをされるが、女性はまだ難しい。どちらかと言えば、一般職扱いとなり、同時に入社したとしても、その時点で差がついてしまっている場合が多い。これは、会社でのその後にも大きく影響していると思う。〔94年卒、女性、就職〕
◆自分の場合高専選択については家庭事情と自分自身の将来の進むべき方向が見えていなかったところから決めた。5年間(短大卒と同等)と学費が安い。高専生活5年間の内に何か自分が目指すものを見つけようと思っていたが、特になかった。クラブ活動、アルバイトetcいろんな経験を積んだ。在学中に頼りであった母親が亡くなりとにかく卒業せねばと感じた。近くに就職するよう親戚のアドバイスもあり、現在の仕事を最初からやっているが、専門分野へ対し、徐々に興味が出てきており、今となってはやや満足している。しかし、もっと高専卒を大学並に扱って欲しい。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専在学中に進路への迷いが生じた場合、その学生にもっと学校側が進学、就職への情報提供を活発に行って欲しい。又、5年間の一貫教育というものにも疑問を覚える。やはり大学在学年数と同一にして7年間にし、又3年間、4年間とに分け、3年終了時に4年への進学は自由選択すると良いと思う。又教育内容も今の社会のニーズに考えるとより実践的な教育が必要だと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆私の職場では、高専卒の人に対する評価が高い。大卒の人と比べると固いというイメージがあるが、仕事に関しては積極的、真面目に取り組んでいる。編入したので、2年間在籍した。大学に当てはめると3年間の専門教育を2年間に凝縮した感じを受け大変だった。しかし就職に関しては大卒の人と比べると比べものにならない程良く、今は満足している。高専卒ということで、不満はほとんど無い。〔94年卒、男性、就職〕
◆学歴社会の中、例えよい仕事をしても評価されない。大卒、院卒との給料差が大きすぎる。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専を卒業して、4年ほどになりますが、一般化学等、在学中の初期に学んだことは自分のベースとして役に立っていると思う。しかし、語学力や発表(表現)方法については極度に不安を感じるほどに不充分であることを痛感しております。やはり偏って教育受けていたように思われます。是非、今度高専で学ばれる方々がそのように感じていないですむような教育を行っていただきたいと存じます。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆人文、社会科学の充実を望みます。後、専門は専門として、その道のスペシャリストとなるべくより一層専門教育も必要。分化はしない方がよいのでは。ただし、学校での勉強には限度と本人の意義(自覚)が伴わないと言った点から、一度社会に出て勉強をし直す体制があれば良いなと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専とは「技術屋」を育成する機関であると思う。階層で言うならば、中間。技術をもって生産に携わる人材を育てる場であると思う。そんな人材に必要なのは詰め込まれた知識や機械的な魅力ではなく、上とも下とも接し、調和の保たれる人間性と、あらゆる局面に対応し得るだけの知識を備えていると言うことではないか。このような人材を育てるためには、育てる側以上に育つ側も責任の自覚が必要と思われる。〔94年卒、男性、就職〕
◆時代に対応した最新の技術をもっと教育すべきである。コンピュータによる設計(CAD)などの教育はこれから必要であると思われる。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育で最も今後力を入れるべきは、創造力・アイディア・物理的な企画力・個性の表現力などで、激変していく世界の技術、経済情勢をもっと厳しく教え、認識させるべきだ。その独創性をもっと伸長、発展させれば、高専生とその卒業生の評価はさらに高くなるであろう。〔94年卒、男性、就職〕
◆専門知識、実習体験において、高専卒は大卒より優れている。ただし、実験機器が古い、高価な機器が大学と比べて少ない。研究室の予算なども高専は少ないと思う。特に化学の分野については、実際の現場は機器分析が主であるが、高専には機器が不足していて、十分な自習ができなかった。又、高専は情報化に対して遅れていると言える。高専は学生数が少ないこともあるが、教授陣の層が薄いと思う。付近の大学から出向してもらえたらよいと思う。卒業後、社会からの評価が低いと感じるが、現在無意味な高校教育を省略して興味ある専門分野を若い内から学べる高専のスタイルは非常に有意義である。教育環境を充実させれば大学院卒に等しい専門知識・能力を身につけることも可能であると思う。その他、大学編入学について言えば、3~4年の大学授業は高専と重複しており、全く意味がない。高専から即大学院には入れるような仕組みにすべきだ。高専の評価がもっと高くなることを願う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆専門知識においては、大卒に比べて、それほど劣るとは思わないが、語学力が、圧倒的に劣ると思われる。(英語、独語、文章を書く能力も)〔94年卒、男性、就職〕
◆仕事内容については、大学、修士と変わらないが、給与、昇進の評価が低い。(その分甘いところもありますが、)高専教育の中で1番役に立ったのは人間関係だと思います。高専教育の中で1番役に立たなかったものは一般教育で特に英語です。〔87年卒、男性、就職〕
◆技術系の職場につく場合、高専生は入学当初から専門学科に分別されて教育を受けるが、もう少し他学科の基礎学科について、体験しておく必要があると思う。例えば、2年生が終わるくらいまで共通理化科目について充実していること、学習をすることなどである。このままでは高専生が職に就くとき、高専で学んだ学科とは異業種につく場合、決定的には不利になるからだ。高専卒業当時に決めた会社から退社せざるを得ないとき、高専卒は得てして警察とか消防に行くきらいがある。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆今後、高専の教育として、パソコン教育の充実、設計手法の収得、上、下級生との交流をして欲しいです。〔87年卒、男性、就職〕
◆とても満足しています。卒業後数少ない女性の技術者という事で最初の会社では重宝がられ、色々な仕事を経験させてもらいました。給与も大卒男子とほぼ同等にもらっていました。ただ、結婚し、子供ができたのでこの仕事と子育てを両立することは無理(残業が多かったし、通勤に1時間半かっかていた)と考え自宅近くの会社へ移りました。〔87年卒、女性、就職〕
◆高専卒はそれなりの評価をもらっているが、期待過剰な面がある。〔94年卒、男性、就職〕
◆3年の頃から急に専門分野が増えすぎたと思う。もっと早い内から専門分野に慣れさせるべきだと思う。専門ばかりやりすぎると一般的なことが身につかない。科目の半分くらいは学習分野を選べるようになっていれば良かった。ソフトウェアを学びたかったが、「教える人間」がいなかったという理由で授業には取り入れられていなかった。〔94年卒、男性、就職〕
◆都立とはいえ、都民しか入学できないというのは、あまりのも馬鹿げている。海外から留学生を受け入れるくらいはやるべきである。工場等での実習がないのも…。専攻科すらない。早急につくるべきである。旧式の設備を残すのも悪くはないが、最新のものも取り入れるべきだ。実力は四大卒にも引けを取らないが、資格試験で差がつくのは納得しかねる。実力にあった評価をすべきではないか。高専と4大の差が異常なまでにありすぎる。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育についての意見として、大学に編入したものから言わせてもらえば、語学と一般教養の少なさを痛感した。語学と教養は増やすべきであり、減らすべきではない。又、5年間通して高校と同じような雰囲気、授業内容をやめて、4年から上の学年は、大学と同様に単位制にすべき(高等教育機関を名乗っているんだから)〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専教育は、次の就職を考えるカリキュラムに随時変化していくことを望む。卒業生は、後輩が入ってきたいと考えを持てる職場作りを心掛けて下さることを切に望みます。専門化を目指す人には向かず、技術屋を育てる環境作りをして欲しい。私としては、一期であるためよくわからないが、卒業してから考えると、1・2年で理論を、3・4年で実習及び実験などの実践を、5年で次に就く研究をさせて欲しかったと感じています。できることなら、もう少し高専数を増やしてもらいたかった。手に職を持てる資格に関し、手をさしのべて欲しい。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専教育では、もっと一般教養に力を入れるべきだと思う。又、実践で役立つ企業への研修をもっと多くやるべきだと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆基礎知識が、実際にどのような利用(使用)されているのか、体験実習のような応用をさせるべきだと常々思っている。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専では、5年間充実した教育を受けることができると思う。しかし、一方では一般教養は専門科目に押され、幅広い教養を持つことができない。特に、語学にはもっと力を入れるべき。教科書の上の英語ではなく、使える英語を。専門科目については、与えられたものを勉強するのではなく、方向性のあるコース別の科目を自ら選択していく形の方がよいと思う。(米国の大学ではこのシステムが用いられている)〔94年卒、女性、就職〕
◆学科ごとにコンセプトをはっきりさせ、その教育は一流レベルまで引き上げるべきだと思う。又、社会的地位を得るためには、学会等も積極的に参加すべきだと思う。大学編入制度の活用は、一つの考えとして大いにするべきだと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆今日、社会の変化に伴い、高専の位置づけは非常に難しい状況に置かれていると思います。今後は、学生・学校ともに柔軟な対応が必要だと考えます。〔94年卒、男性、その他〕
◆今や高専は不要〔87年卒、男性、就職〕
◆語学教育(特に英語)に力を入れるべきである。基本的な技術ばかり教わった感じがあり、今後は最先端の技術についても教える必要があると思う。それには、教授や先生達がそのような情報をいかにてに入れるかだと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆専門的知識は、大学卒業程度身につけられると思う。企業での扱いは、大学卒に比べて低いと思われるので、学校のPRがもう少し必要だと思われる。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育には、何の興味も無いが、高専生活は僕達にとって大変貴重な財産となった。あの5年間がなければ、今の僕が存在しないと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育において、生徒にある程度早い時期に就職を意識させた上で、勉強させて方がよいと思う。又、授業についても何の役に立つのか、就職後(職場)でどのように活用するのかを、生徒に理解させることが大切だと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専について世間では、認知度・理解度は低いと思う。個人の仕事の評価で、決まっていると思う。〔94年卒、女性、就職〕
◆現場では、仕事内容についてとても任されたりするが、昇進では何も結果を出していない大卒の方が早い。4月から、専攻科に進学するが、会社にやめるといってから授業料や給与について考えてくれる有様でも自分の会社では、発表したり賞をもらうのは、ほとんど高専卒です。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専では、専門的な知識が身につけられたが、外国語(特に英語)の教育が不足していると思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専教育の内容よりも、卒業してからの学歴が問題。学歴社会の中で大卒者ばかりが優遇されている。高専卒者の多くは、二流・三流大卒者よりも明らかに能力があると思うが、学歴だけで不当に評価されている。高専卒者の発展には、学歴社会の見直しが必要であると思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専は5年間と長いので、どうしても中だるみがあります。これを解決すれば高専レベルがさらに上がるのではないでしょうか。具体的な解決策は思いつきません。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆新しい設備が望まれる。基本的な技術を修得でき非常に満足している。〔94年卒、男性、就職〕
◆現在の日本企業では(特に製造部門)現場の技術職のスタッフが不足している。大卒は、給料が高くもったいないし、高卒では能力不足も間々ある。最近は製造設備の近代化も進んでいるし、昔からの経験だけではついていけなくなっている。そこで、経験+能力(この場合の能力とは、新たな事を一から覚えて理解し、応用できる力)が、必要となり、そういうところには高専卒がうってつけとなる。特に最近の工業高校は、大学進学できそうもない(三~四流大学は別だが)人達が就職有利の為に進んでいる傾向が強く、昔の工業高校でも質より劣っていると思われる。それ故少数精鋭主義で、製造現場を維持管理使用すると高専卒の比率を上げる必要が出てくる。ホワイトカラーとブルーカラーの中間のブルーホワイトカラーのニーズは今後益々高まると思われるので。大学進学の裏街道化している現在の高専のあり方を正してほしいと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆企業などからの高専の評価はわりと高い方だとは思う。しかし、中学生はそういう部分があまり見えていないような気がする。又、大学編入制度などもあまり知られていないのではないかと思う。(私の中学校からは、2人しか受験しなかった)〔94年卒、男性、大学編入〕
◆特定の企業(高専卒業生を毎年受け入れているような企業)を除いて高専の認知度は非常に短く、今後そのような状況が続いていくものと思われる。よく言われることであるが、高専生を採用するメリットとは、一般的な大学学部卒生に比べ、即戦力となり安く真面目で若いという多大なメリットがある割に、年齢が低いため低賃金で雇用できるということではないかと思える。ある企業では、大卒と高卒の2つの賃金体系しかないため、高卒の賃金でスタートさせられたということも聞いたことがある。現在の大学は、みっちり通えば4年制の所を3年で終了できるような単位数が設定されている。高専を6年制にして、大卒と同等の資格を与えてみたらどうであろうか?〔94年卒、男性、その他〕
◆高専卒は大卒と比較し、特定専門分野の知識には差があるものの、大卒程度の知識では、実際の業務では役に立たない。これは、高専卒もそうだが、大卒に比べ広範な知識を体系づけて持っているため応用がきくと思われる。キャリア面では、同年齢の学卒との差はほとんど無いが、同期の大学卒とは、賃金面で差がある。〔87年卒、男性、就職〕
◆これから先、商船高専の必要性は皆無である。〔94年卒、男性、就職〕
◆今回のアンケートとは少し意味合いが異なりますが、商船高専が一番落ち目の時に入学したので、自分の意志・目的なく入学した学生が多く、私のように目的を持って入学したものから見れば、大変迷惑な存在だった。学校の存続という観点から見ると仕方ないかもしれないが、長期的に見ると失敗だったように思う。しかし、規則に縛られず伸び伸びできたことは大変良かった。〔87年卒、男性、就職〕
◆私のいる会社(職場)は、大学院卒が多数いるため全然昇進できそうにありません。しかし、他の職場では、大学院(マスター)卒が少ないと早く昇進するようです。すごく、はがゆいですが、仕方ないのかしら・・?〔94年卒、女性、就職〕
◆高専卒業生は、学部卒業生に相当する専門知識を有しています。しかし、現在では大学へ編入しないと大学院への進学は困難であり、企業へ就職しても高専卒ということで、大学院への社会人入学への道が遠く感じられています。専門知識と学位取得を志す意欲を持ちながら、学士を有していない事への劣等感を抱かせないためにも、放送大学等が、高専卒業者に対してパンフレットを送付する等、卒業後の勉学意欲を人材育成に役立てる対策が必要だと感じます。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆大学に編入すると、どの高専から来た人も、やはりレベルが高いという実感がする。だから、そのレベルが下がるような教育はしてほしくない。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆今の会社は、学歴を意識しないで(但し、配属先はある程度専門性重視)仕事ができ、又昇格等も同様のことがいえる。前の会社は、大卒との差が明確であり、満足できなかった。高専卒は現場での生産技術系、大卒は本社部門の技術系というのが一般的であると思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆専門科目に関しては、大学の授業より進むスピードがゆっくりで、丁寧なので、大学より力がつくと思う。応用知識は、どんどん変化していくので、応用知識より、数学などの基礎知識を身につけるようにした方がよいと思う。高専教育は、基礎教育が充実しており、企業への実習もでき、また大学受験もない環境で、のびのびと学習できる点がよい。寮生活を通して共同生活も学ぶことができる。高専の人間としか交わらない傾向があるので、他の世界の人との交流をもっと盛んにするべきだと思う。企業実習は、2週間で職場を体験できて良かったが、学習の動機を持たせるまでには期間が短すぎた。大学では4ヶ月企業実習を体験したが、研究室の内容とも一致し、学習の方向性を持たせる有意義な体験となった。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆専門科目によっては、非常に古い内容を学生に教えていることがある。教官は、学会活動や研究活動をもっと積極的に展開させ、新しい技術や、学問を学生に教授すべき(ややもすれば、老教授が権威をふるいすぎ)。高専はもっと社会に向かって、もっと情報発信すべき。高専生は、大卒生に比べ業界の動向や、社会の動きにうといように思う。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆理工分野に力を入れている教育体制は、良いと思うが、語学、特に英語も重視すべきだと思う。工学書等、英語で書かれているものが多いし、規格など横文字が大半を占めている。実際、働いてみて苦労するのが英訳。単語は多少知っていても文となるとやっかいである。実践的な基礎英語力を、身につけるのは若い内に限られると思うので、是非カリキュラムにもっと取り入れるべきだと考えます。又、経営・経済についても、社会常識として学んでおくと役に立つと思われます。〔94年卒、女性、就職〕
◆人間形成にクラブ活動は重要。技術教育に注力するあまり、大学に多い優秀で技術しか知らない人間的に偏っている世間知らずの人材を教授陣に集めることは危険。例えば、企業就職経験者を一定割合以上にするべき。15~20歳の学生には、人間的に優れた教育者が必要。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆中間管理職としての教育を充実すべきだ。1.分析能力、2.表現能力、3.統制能力〔94年卒、男性、就職〕
◆エンジニアとして仕事をする上で、高専卒は中途半端であり、大学へ行けば良かった。今後、高専はプラス2年をして(total7年)もっと高度な教育をすべき。学内の実験機器が古すぎ、世の中の流れに全く追いついていない。〔87年卒、男性、就職〕
◆低学年時に一般教養、高学年になるにつれ専門というカリキュラムが極端すぎると思う。もっと平滑化して、同じくらいの配分にした方がよいと思う。卒業後の会社における扱いは、悪いとは言えないが、決して良いとも断言できない。給与面にしても、人事面にしてもである。かといって、大学へ編入すれば、企業のランクが下がる…。もっと高専卒者に対して高い評価をして欲しい。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専の5年間の教育を職場で生かせる人というのは、数限られていると思う。学生時代は、学業も大切だと思うが、社会人としてやっていける人間性を育成するのも、とても重要に思う。私はサークルを通し、人間と人間のつきあい方を、多々学んだと思う。今、とても役に立っている。〔94年卒、男性、就職〕
◆土木工学科で得た知識は、現在の業務において役立っている。しかし、学生時代はあまり力を入れて勉強した方ではないので、ほとんど忘れており、教科書を職場へ持ち込んで、時折見ることがある。数字と専門分野の教科書は、非常に役立っている。土木業界では、学歴・年功が最優先されており、高専卒は、大卒と比べると評価が低い。しかし、専門分野では、大卒よりも上だと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専では、基礎的なことを学べればよいと思う。(理論や考え方)実務に役立つ実践的教育は、現場(会社の中)でしか学べない。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆私は、いろいろ就職先を選びたかったが、担当の先生が入社試験を受けさせてもらえなかった。今考えると、中学の時やりたかったコンピュータの世界へ入っていれば、どこの会社でも通用すると思う。ただ、あの当時覚えたベーシックや、フォートランなどは、全然役に立たないし、一時はコンピュータなど、さわりたくもなかったが、現在これ無しでは仕事はできないと思う。当社でも、2年ほど前に、やっとパソコンを導入(それまでは、お客様の収納情報だけのスーパーコンピュータだった)仕事上、昨年の8月まで、パソコンを使用することはなかったが、今では表計算、ワープロ、CADなどなどを使いこなせるようになった。パソコンに関しては自己流だが、会社では1・2を争うほどの知識があり、上司も私には頭が上がらないようになってしまった。学歴などは全く関係ない。仕事ができるかどうか、又上司にすがれるかどうかで、人生など変わってしまうと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆教育はどこの学校でも特別にどうこうするというより、どこであっても個人のレベルを上げやすく、且つ自分が身に付けた技術・技能を発揮できる場をつくればよい。だから、高専は5年もあるので、それが可能であると考える。〔87年卒、男性、就職〕
◆15歳という未熟な年齢で入学し、そのまま5年がたって何となく就職してしまった私は、次のように思います。1年生の時から、将来の進路を明確にし、シュミレーションを行うようにすればどうでしょうか。自分の将来の姿を想像させ、そのためには、どうすればよいかを考えさせます。3年生では、大学に編入するとか、学科変更するとか、又は5年生で大学へ編入するとか。こういう仕事をするには、この進路が最適だよということを明確に指示し、学生自身に意識づけることが大切なのではないかと思います。年に1度ぐらいでよいから、そういう時間を設けてみてはどうでしょうか。自分の将来をしっかりと考えている学生は少ないものです。だらだらと5年が過ぎて、仕方なく就職というのでは高校と大差ありません。〔87年卒、男性、就職〕
◆卒業後、就職した会社で、大学卒と比べて、不当な差別を受けた。今その会社は退職してしまったが、この春から大学に進学することとなった(実費で)。だから、大学卒業後は、郷里に帰って再就職するつもりではいるが、業種を変えて、就職するつもりです。大学では、その後のことも考えて将来独立できるように、精一杯専門の勉強をしようと思っている。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専の就学年次を伸ばし、大学と同等の資格を与えるべきだと思う。概して、我々は短大卒の方々より下と見られることがある。〔87年卒、男性、就職〕
◆5年教育を7年にして、余裕のある学生生活を送れるようにすべき。就職後、専門分野でのみ活躍できるのは一部の人だけなので中学を卒業したばかりの子供に専門知識ばかりを詰め込むのは良くないと思う。幅広い知識(遊びも含めて)では、高学歴者(特に大学文系卒)には負けている。又、3学年終了時に(あるいは2学年)本人の希望を取り直して、その後専門分野に進ませるようにすべき。〔87年卒、男性、就職〕
◆経営・経済などビジネスマンとして仕事を運営する能力を開発するプログラムをカリキュラムに取り入れるべきと思います。又、長期海外留学制度を持ち、外国人社会の中でも発言力を持てる人材を育成するプログラムを持つべきと思います。有料でもかまわないのでしょうか?若いうちにいろいろな経験を積ませるべきと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆実習を4年の時、行っているが大手企業をできるだけ経験した方がよい。語学の単位は理系の科目と同等の単位数でも足りない。今は英語無しでは仕事にならない。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆旧体制の(1996年に現体制へ移行)寮生活は、批判すべき所も多かったが、今、振り返ってみると、私の精神面を大きく成長させてくれたと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆自分の卒業研究について、十分な発表練習の場を設ける。詰め込み主義ではなく、自分の頭で考えさせる教育を望む。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆英会話をもっと重点的にやるべきである。特に高専ならば、大学受験を意識させずにやれるはずである。〔87年卒、男性、就職〕
◆企業方針では、高専卒業生を(というより、学歴に対して)差をつけないといっても、日本人の心理には「大学も出ていない」と感じる人がかなりおり、評価に影響しているのが現状です。〔87年卒、男性、就職〕
◆卒業して就職した後、一般大学3年次へ編入を容易にできるようにしていけばよいと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆学生のやる気を、教員に削がれてしまうことが多々あった。特に教授クラスは、研究もせず、教員にも感心があるとは思えない。教育者としての自覚がたらなすぎる。〔94年卒、男性、就職〕
◆今後、高専の数を増やして、高専の知名度を高めて欲しい。〔87年卒、男性、就職〕
◆最近、入社してくる後輩はどこか自信なさそうに来る。若い分周りより可能性があるのだと考え、自信を持って元気に頑張って欲しい。〔87年卒、男性、就職〕
◆文章の表現力(論文的な)を強化すべきと思う。実際の工事施工基準を講習すべきと思う。校内で資格取得できる環境をつくるべきと思う。特に測量士補は厳しく、卒業時に資格がついてくるようにすべきと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆年度ごと、又は何年か毎でいいので、企業、社会の状況(ニーズ、景気等)を詳細に把握することが必要だと思います。(既に行っているとは思いますが)機械的に処理するだけでは最近社会問題となっている事件もおきかねません。又、他の分野への働きかけをしてみてはいかがでしょうか。学生はいろいろな道を模索しているはずです。私は一度挫折しているので偉そうなことは言えませんが、いくら勉強ができても一般社会に対応できてこそだと思います。なるべく実務に役立つ形ですすめ、早い内から企業等の研修を行って考える期間を与えてやるのもいいと思います。よりよい人材をこれからの輩出されることを期待しています。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆大中規模のメーカーのエンジニアは、修士が標準になってきている。そして高専卒は昇進で大卒以下の扱いを受ける。この構図は当面変わらない。高専卒者はその中で学歴、学校歴コンプレックスに負けているように見える。私には解決策はないと思える。理科系の知識を体系的に修得するには高専5年間では足りず、大卒にどうしても問題解決能力の幅で負けてしまう。これも深刻だが、それよりもいわゆる余裕が足りないように思える。私は自分の息子を高専に進ませたいとは思わない。高専卒者は大学に進学するか、そうでなければ大中メーカーに入社しない方がよいと思う。コンプレックスを克服するのは大変である。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆教育内容は大学にひけを取らないレベルだと思うが、受験の心配がないため、高専生はどうしても中だるみが生じる。企業から見れば高専時代に身につけた教養よりも高専に入学できたということにしか期待していないのが現状である。幸い私会社では、高専卒は大学院卒と同等に扱ってくれている。私の場合、勉強をし始めたのは入社してからです。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生の良い点は、実践的であり、応用ができる点だと思っていた。しかし、大学、大学院(北海道大学、院)に進んで気がついたのだが、機器的な面で少々遅れていると思う。実際に使われているような機器での実験などが行えればよいのではないでしょうか。しかし、化学で用いられている分析機器などは高価であるのでなかなか難しい問題なのでしょうが。〔94年卒、女性、大学編入〕
◆現在働いてる会社は、配管設備施工業であり、業務のほとんどが現場施工管理にある。その中で高専の機械工学卒としては生かされていないが、このような現場仕事の中では大卒よりも高専卒のほうが柔軟性に富んでいると思う。高専教育方針としては細分化、専門化よりも基礎原理を理解させ、自力でそれを発展できるように育んで欲しい。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専を受験するとき、一般の工業高校における機械化と高専の機械工学科の区別が付かなかった。中学の時は高専へはいると具体的にどんな勉強をするかなど、教えてくれる人もなく、何となく決めてしまった。今後、受験する人達にはわかってもらいたい。そうすれば、受験する人も増えるかも知れない。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専はその立地環境から、寮生活が必要不可欠であるが、その寮生活が社会へ出てからの柔軟性等に非常に役立っていると感じます。〔87年卒、男性、就職〕
◆大学まで卒業したが、自分の履歴に「高専卒」「大学編入」の肩書きがつくのが不愉快である。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆教員の人材交流を図り、民間の新しい技術をもっと取り入れるべき。卒業後訪問しにくい雰囲気がある。文系の教育が中途半端。国語は必要ない。地理、歴史をやめて英数理に力を入れ独自性を出すべき。高体連にすべての部活は参加できるようにすべき。施設が古い。4年生から別の高専に移れる制度があってもいい。〔87年、男性、就職〕
◆高専は5年間という変則的な学業期間であるが、長すぎず、短すぎない非常にゆとりのある教育ができるため、人間形成に対しての大きな可能性がある。専門分野の教育は充分すぎるが、秋田工業高専の場合、理論が専攻しすぎる面があり、やや実践に弱い。高専全体としては、一般教科、人文社会の教育があまりに貧弱すぎる。いずれにしても、ゆとりと自由はあるので、本人の意志により充分補うこともできる。このような教育機関の持つ意義は大きいと思われる。5年間という年月は非常に貴い年月であったと私は実感している。〔94年卒、男性、就職〕
◆時代は常に変動(進化)している。情報処理技術もインターネット等常に進歩している。そうした時代に見合った教育・学習をするべきだと思う。又、専門的な分野は充実していると思うが、社会、経済等、一般的な知識も社会に出てからは重要である。(自分自身、もっと社会を勉強するべきだったと思った。)いずれにしても社会に柔軟に適応できる人間を形成できるよう、高専の教育を望みます。(労働組合、労働問題等、実際社会に出て、やらなければならないことは沢山あります。)〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒の企業での評価は高専側が宣伝するよりも低いと思える。今後、高進学率により高専卒のニーズは低くなると思われる。何らかの変化が必要と思う。又、高専での講義では、工学であるにも関わらず、経済的な部分が少なすぎる。これを増やす必要がある。それと高専卒への学士を与えることをもう一度考えるべきだ。大卒との差はない。〔94年卒、男性、就職〕
◆企業現場に役に立つ、実践に沿った教育は非常によいと思う。特に実験時間が多く、体で技術を学ぶことができたし、実験のレポートも1年生の頃から週1回の頻度で提出してきたため(5年間)、得られたデータから考察する力が付いたと思う。高専で修得した技術は企業でも即戦力になると思うし、大学へ進学した場合でも実験を中心とした研究を行うことが多い工学系の分野でも極めて有利だと考えており実感している。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆現場において大卒者は数理に強いがイメージ(電流を川の流れに例えるとか)的に身についていないため、開発設計で役に立たない。その点高専卒者は実践的教育を積んでおり役立つ。高専の人文、社会科学は高卒以下である。一関高専の場合教授の専門分野である朝鮮史を1年間学ばされる。世界史ではなく。又、大卒者と比べて英語力が弱い。大学編入が困難である。〔87年卒、男性、就職〕
◆私は転職後外資系の研究所に入り、高専卒のレベルの学力では追いつかないと思うようになり大学に26で編入試験を受け、27から29まで自費で会社と大学生活を両立、次の年、バブル後リストラでクビになり結婚後は職に恵まれず、現在は公務員で非常勤で働いていましたが、女性ということで不当な差別をいろいろな場所で受けるため辞表を出しました。高専卒も女性であることも社会では不利です。〔87年卒、女性、就職〕
◆今改めて振り返ってみると高等教育は素晴らしいものであったと実感しています。残念ながら当事業部には母校出身者は私一人なので、是非後輩に入ってきてもらい力を発揮してもらいたいと願っております。〔87年卒、男性、就職〕
◆大企業に比べ、私が就職したような中小企業では高専卒の女子の扱いについて持て余しているというような気がすることが多い。どっちつかずという扱い、仕事の内容が多い。そういうことでのなやみが今までの中で一番多かった。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専では受験がないため、中だるみになり勝ち。これを何とかすればもっと良くなると思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生として誇りを持っている。しかし最近のニーズ不足等から生徒自身の質の低下に心配している。又、在学中には自由な校風の中、ロボット、イベント等に参加させて頂けたことに改めて感謝したいと思います。〔94年卒、男性、その他〕
◆給料が中途半端だ(位置づけが)〔94年卒、男性、就職〕
◆専門分野の基礎知識も必要だが、社会に出ると頭の回転の良さ、切れが重要だと思います。技術分野だけの教育ではなく幅広い選択項目の多い教育を望みます。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒に限らないが、実践的な知識に乏しい。ex.どうすれば効率よく加工できる図面が描けるか。物の加工方法を知らない。図面が描けない。電気系の学生にも機会加工の実習が必要。語学力が乏しい。受験がない分、本来の英語を身につけるような教育が必要。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育で、人との接し方を学ぶ機会をもっと持つべきではないでしょうか。せっかく専門教育を受けても、それを生かせる職場に着かないと、高専を卒業した気持ちと今の仕事の内容の間で気持ちの切替ができず、会社からの評価もあまり良くない。〔94年卒、女性、就職〕
◆年功序列型の社内制度、又社内に形成された派閥による評価の面では、現状としては多少不利な傾向にあるが、時代の風潮から行くと改善されていくものと思われる。〔87年卒、男性、就職〕
◆英語教育にもっと力を。大卒とは先ず英語力で大きく差がついてしまう。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専教育は専門分野においては大学並に受けていると思う。しかし、理数系一般分野をもっと力を入れて欲しい。又英語の教育も充実すべきだと思う。高専卒は中途半端な位置であるような気がする。企業により差が大きいと思う。〔94年卒、女性、就職〕
◆大卒並の技術力がありながら、会社での扱いは短大生とほぼ同じというところが多いのがとても残念に思うことが多かったです。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒と大卒とで差がある会社とない会社があるので、一概には言えないが、時々大学に行ってても良かったかなと思うときがある。自分の今の会社は短大卒よりも良い扱いだが、大卒にははるかに及ばない。その点を気にする方は、ある程度下調べをして会社(就職先)を選んだ方がよいと思われる。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専卒業生は比較的大卒者との差(会社内での待遇等)があると思う。高専は高校と大学との間に位置しているが実際会社では高校卒とあまり変わらないと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆もっとコンピュータによるデータ処理等を取り入れるべきだと思います。私たちはフォートランを少しやりましたが、職場ではwindowsやExcel、word等が使えないと仕事になりませんでした。英語教育で文法はもちろんですが、英会話等もっと実践的なものの方が職場では必要とされていました。〔94年卒、女性、就職〕
◆高専は3年で中退しても高校卒業とは認められず、結局中卒になってしまう。在学中進路を変更したくなって悩む場合もあるが、そのようなとき普通高校への編入や高専3年修了時、高卒と認め大学の受験資格を与えるなど、進路変更のチャンスがあったら良い。中学3年次自分が一体どの分野に向いているのかよくわからないまま成績などで振り分けられ高専に進学した者には、再度自分を見つめ直す機会があったらより幅の広い人生の選択ができると思う。〔94年、男性、その他〕
◆基本的には個人の向上心だとは思うが、中学卒業後に専門領域にしぼった教育だけでは人間としての視野を狭めてしまう。学歴として非常に中途半端な(というよりはほぼ高卒と同じ扱いだろう。)〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高専教育について専門教育内容を実際どのように利用されているかを関連づけて講義をすすめればよいと思う。理論だけではわかりにくい。又、一般教養にて、倫理社会があったが思想を問うより心理学的な分野があっても良いのでは。このような専門的な知識が必要なのかを改めて学生に教える意味でも是非導入をお願いしたい。これからの設計、開発には人間の感性をいかに定量化できるかが、鍵になると思われる。〔87年卒、男性、就職〕
◆職業キャリア制度は企業、高専、お互いにもっと取り入れていく方がよいと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆在学中に資格を取得できるような体制を確立すべきだと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆高卒と大卒の中間で中途半端だとも思えるが、それはそれで十分必要だと思う。大卒に比べて余分なプライドがない分吸収する力はあるし、適合性についても柔軟だと思う。私にとっては大学も出たので、高専の時、何が不足していたのか、よくわかった。知識の不足分は心がけ次第で取り戻せます。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆現在職場では高専卒と大学工学部卒の待遇に大きな差を感じています。他企業での現状を知りたいです。(特に賃金について)〔94年卒、男性、就職〕
◆高専は大学入試が(一般的には)無いため、全般的に自由なゆったりとした生活が送れ、良いと思うが、今後このままでは高専卒の就職はより厳しくなっていくのではないかと思う。高専教育は論文の表現技法の教育が少ない様に感じる。〔94年卒、男性、就職〕
◆大学に編入してみて、大学にもよるが、大学の専門レベルが低いのでがっかりした。高専の専門課程は充実しているが、教養は手抜きである。〔87年卒、女性、大学編入〕
◆高専5年生を6~7年制にするべきだ。1~3年で一般教育を取得し、4~6年以上で専門教育プラス卒業研究等を修得する教育方針がよいのでは。専門性が低すぎいると思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専での一般教養ですが、やはりもっと必要だと思います。特に英語です。会社に入ってからTOEICなどを受けて実力の程を思い知らされました。文法も大切ですが、日常会話などは外国人講師などをもっと活用して身につくものにしてもらいたい。就職してからの研修なども、大卒生が優先で、私たちは実習に行かせてもらえませんでした。他社の現状はわかりませんが、企業全体にそのような体制がとられていると思います。もっともっと高専卒を誇りに思えるような、現場で活躍できるようなそんな教育を目指してほしいと思っています。〔87年卒、女性、就職〕
◆対人能力や英語など本当に必要とされているものが欠けていると思う。もっと力を入れて欲しいが、学生のやる気にも問題がある。〔94年卒、男性、就職〕
◆パソコンなどの基礎知識も学べればよい。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専での寮体験は貴重。数学の特訓は良かった。大学への編入で力を伸ばすことができた。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆就職しての経験より高専卒の弱点を以下のように感じました。1.英語学力の不足。2.論文発表、研究開発に対する経験不足及び表現技術の不足。3.人間関係に不慣れなものが多い。1に関しては高専卒の語学レベルでは会社では役に立たぬといわざるを得ないレベルと考えます。3に関しては限られた範囲内での人間関係で育った者が多く、大卒者、院卒者にくらべその比率が多いように思われます。近年、高専卒就職者のレベルが低下しているように思われます。想像される要因を以下に記します。高学歴志向、高専の社会認識度の低さ。によりすぐれた人材が入らなくなってきているのでは。専門科目の教育内容は大卒、院卒と比べ遜色がないが、高学歴志向のためそれらを充分身につけたものが進学し、充分に身につけていない者が就職をするケースが増えているのでは。〔94年卒、男性、就職〕
◆まわりの同期卒業の友人のその後はいろいろで入社間もなく転職したり、といた話を聞くと高専の5年間一貫教育というのは教育方針としては素晴らしいがよっぽどのことがなければちゃんと卒業できてしまう(そこが大学と違う感じだが)ので、その5年の間で個人の性格的なものが骨抜き、というかこらえ性が無くなって行くような感じを受けた、又院卒の人のレベルの差がすごい。という話は聞いたことがある。〔94年卒、男性、その他〕
◆欧米の動きでも倫理、哲学に力を入れて技術者育成しているし、これから日本でも重要なことだと思う。これから人の上に立っていける人材を高専卒業者に育成していくのであれば、それに対応した教育が必要だと思う。高専1年から3年の間に専攻の中である分野に絞り(選択)深く掘り下げて社会に出て即戦力となる教育を高専4,5年と行ったほうがよいと思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆防衛大学と同じように国費で勉強するのだから工業関係に進まない者はまずいと思う。受験のとき不合格だった人に申し訳ないのでは。はっきりとした卒業後の意志がある者のみの入学したらどうか。企業に早くから研修に行かせて就職へと結びつけるべき。入社後は即戦力として使ってもらいたい。〔87年卒、女性、就職〕
◆キャリアについてといわれても明確な答えはないが、高専という特殊な環境で生活することが社会に出て胸が張れるように専門分野での教育を強化すべきであり特殊性の中から生む何かを気づいていってほしいと思う。私事だが高専を卒業して良かったと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆10年ほど役所で働いているが、高専で習ったり経験したことは直接役に立たないものの、自分のやるべき業務の礎になっていると思う。「土木工学」における種々の理論も大切だし最重要とは思うが、少しでも「土木行政」「土木業界」等の仕組み、からくり、悪い部分などにもふれていても良いと思う。(夢ばっかりで役所に入ったらショックも多かった。)〔87年卒、男性、就職〕
◆社会からの高専卒業生の知名度が低く不当に評価が低すぎる。〔94年卒、男性、就職〕
◆高専での工場での実習はあまり役に立たない。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆高専の若い即戦力になる人材というのは、未だ需要があると思うが、近頃は終身雇用制度が現実にはなくなっているので卒業してすぐの就職にはメリットが少ない。4年生大学の卒業生とはやはり将来的な見通しは暗いと感じた。又、高専の教育にはもっとコンピュータに関する授業を取り入れるべきだと思う。〔94年卒、男性、その他〕
◆大学卒業生と明らかに差があると思われるのは世間が狭く、個人の性格がおとなしく、皆似かよっている。(個性がない)学生時代にやった勉強などは民間企業に入るとそれほど大したことではなくやはりもっと学生時代には遊んで対人関係、多くの人との接触が大切だとおもいます。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒業者の処遇が悪いと考えたり、大卒、修士卒よりも待遇が悪いと思っている者は、自己の能力のなさに気づいていないだけであると思う。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専教育を受けたからといって、専門職につかなければならないということではない。自分でやりたいことをやるのが1番大事なこと。しかし、高専教育が無駄になるようなことはないはず。どこかで役立つことがあるのでとても重要。私はラーメン店(自営)で、高専教育は何の役にも立たないが、高専を卒業して、とても満足しているし、とてもいい学校だと思っている。〔87年卒、男性、就職〕
◆個人的な意見では、企業で活かせる専門能力を在学中だけで身につけるのは不可能に近いと思うので、専門分野の基礎知識をしっかり勉強して、企業で学ぶ応用の下地を作れれば充分だと思う。〔94年卒、男性、就職〕
◆社会に出てから、もっと役立つ勉強をした方がよいと思います。あまり、高度な専門知識ばかりでなく、実際に、例えば製造業に入社する人が大半ですので、現場の生産ラインとか、自動機、ロボット、プレス機等そのようなものを見せてくれるとか、少しでも勉強の中にあればよいと思います。今、現在学歴で差をつける企業はないと思います。〔87年卒、男性、就職〕
◆社会に出れば学歴は関係なし。以下に学生時代にあらゆる能力を備えておくかが重要。大いに学び、大いに学べ。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専の教育は、学校の位置づけから専門分野に深くあることはもちろんだが、それと合わせて一般教養についても充実してもらいたい。専門に詳しくとも常識がなければ、人としての評価(高専卒業生の評価と云ってもよいかも知れない)が高まらず重用されない。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専卒業生は、大学工学部卒業生に比べて専門教育を早い時期から受けているため、実務に関するセンスは優れていると感じます。確かに理論的な考え方は大学卒業生に比べて多少劣る部分があるかと思いますが、実務に生かせる技術の修得という面では、高専教育は素晴らしいと思います。ただ、交際範囲が狭くなり勝ちなので、視野を広げるという観点からも近接大学や企業と連携して幅広い知識を身につけられる環境が必要だと思います。又、全体的に語学力が弱いので受験がないという利点を生かして、より実践的な語学教育を行う必要があると思います。〔94年卒、男性、大学編入〕
◆語学力にもっと力を入れるべき。高専に入ったため、語学力が著しく低下したため、現職場でも苦労している。日本だけを視野に入れた教育(専門知識も含めて)では、通用しなくなってきている。〔87年卒、男性、就職〕
◆高専制度の一般社会の理解不足がある。企業により社内での処遇が異なる。企業に入るつもりならば企業選択が重要。高等教育の選択肢として重要と思うが途中での進路変更がきつい。大学への編入可能性が広がっているが、高等教育はそれに安易に対応する必要はない。「各都道府県に国立校1校」を早急に実現し、高等教育の平等な機会提供をすすめる。レジャーランドと化している1部私立大学への助成金を回してでも。〔87年卒、男性、大学編入〕
◆高等教育を受けた者の地位向上が今後の課題。学生時代に学ぶもの。一般的な高等教育、一般社会で生きていくための社会的通念、他は企業内で入社後高度な専門教育をOJTで教育を受ければよい。高専卒は大卒にくらべて学力的な見劣りは無いが一般社会で生きていくための社会的通念が不足している(世間知らず)。高専という教育機関の位置づけが明確ではないのでは。〔87年、男性、就職〕
◆高専では大学のようにあまり各専門に偏らずに、基礎をしっかり教育し、且つ実践的な教育をしていくべきだと思う。そのことを入学する前の中学生、両親、中学の先生に教えておくのが望ましいと思う。〔94年卒、男性、大学編入〕



付属資料D 3高専のヒアリング調査結果

(1) A高等専門学校

1. 概要

 A高専は1962年に創立された、国立の工業高等専門学校である。現在は機械工学科、電気工学科、電子制御工学科、制御情報工学科、物質工学科の5学科を開設しており、各学科の定員は40名である。学生数は1,058名で、うち179名が女子。1996年に修学年限2年、学生定員20名の専攻科を開設した。教員は、校長1名、教授32名、助教授24名、講師17名、助手11名の合計85名であり、事務職員は60名である。

2. 入学者の特性

 学生の中には近隣他県の出身者が5~6%を占める。海外からの留学生が8名。昭和42年に第一期生が卒業しており、近年は卒業生の子弟が遠方の県から入学してくる場合も出てきている。
 入学倍率は、1994年度までの約10年間は2.1倍程度で推移していたが、95年度に2.7倍に上昇し、96年度2.6倍、97年度2.5倍である。95年度に倍率が上がった原因の一つは、この年に新しい寮が完成し、その人気が高かったためと思われる。本校では人格教育のため、発足当初から1・2年生は原則全寮制(女子も含む。7棟の寮のうち2棟が女子寮)としており、このような体制を維持しているのは高専の中でおそらく唯一である。3年以降は希望制であるが、希望者が寮定員を超えているため、学業成績や生活態度などの審査を行って入寮者を選抜している。
 本校は中学からの推薦入学を実施していないが、これは高専の中でおそらく唯一である。推薦を実施しない理由は、県内には約300校の中学があり、仮に各中学から最も優秀な1名ずつの推薦があったとして、その中から入学者を選抜する際に公平性の問題があるからである。また、複数合格制ではない(高専の合格者には入学の確約を取るため県立高校の入試日に出頭させており、他の県立高校を受験できない)にも関わらず、他高専と比べて入学倍率が比較的高いということも、推薦入学を実施しない理由になっている。複数合格制を採用している他高専の中には、本校よりも入学倍率が高い場合がある。
5学科の中では制御情報工学科や電子制御工学科の入学倍率が高い。
 入学判定は、以下の4項目の結果に基づいて行われる。
 A. 筆記試験:英・数・理・国-数学200点満点、他は100点満点→500点
 B. 内申書:9科目×10点×4倍→360点
 C. 加算点:中学時代の顕著な実績→20点
 D. 面接:点数化はしない。評価者3名がABCで評価。技術への関心度や適応性、高専の「地味な」教育に向いた性格かどうかなどをみる。Cが3つ、Aが3つの場合(いずれも人数は少ない)のみ考慮する。
 志望者、入学者のレベルはかなり高い。中学時代の内申点の科目平均で8あたりにピークがくる。しかし高専発足当初に入学倍率が20数倍であった頃に比べるとレベルが低下し、抜きんでた学生が志望しなくなっていることは否めない。
 中学卒業時の内申点が6~7とあまりよくなかった学生でも、高専の教育は工学系、理数系に限定されているので、それに興味をもてれば優秀な成績をあげて卒業してゆく場合もある。
 県内の4~5ヶ所および近隣の数県で進学説明会を毎年実施している。説明の際には、まず本校のプラス面として、進学が可能で、就職も100%であることをアピールしている。逆に、5年間は長いこと、授業時間数が多く、課されるレポートも多くて厳しいことなども率直に話している。入学志望者はこれらのことを承知の上で志望してくる。
 女子は増加傾向にある。

3. 編入・退学・留年

 入学後1年ほどして文科系に転換したい者が毎年1名ほどおり、その場合は県内の単位制高校とコンタクトを取って編入を支援している。
 在学生の中で退学者は年間22~28名程度である。密度の高い教育についていけず、就職に変更したりする者が多い。退学者の半数は3年修了時(この時点で高卒の資格が得られる)に発生する。3年修了時に大学に入学する者は少ない。
 1976年以降、4年次に約20名の高卒者の編入を受け入れている(この制度は本校が最初に開始)。今年度は42名が応募し、19名が編入試験に合格した。19名のうち16名が工業高校卒、他3名は普通高校卒(うち1人は、各地の高専への編入を奨励している広島の高校から)である。編入試験は英・数・専門(物理か化学)および面接である。高専は高校より3年までの教育のレベルが高いので、編入者はついていくのが大変なため、各学科の先生がボランティアで夏休みなどに補習授業を行っている。編入者の中には、中学卒業時に高専を受験していたが合格できず、高校卒業時に再挑戦した者が8割ほどを占めている。
 留年者は今春全校で19名であった。3年から4年への進級を内々に「関所」としているため、やはりこの段階で留年する者が多い。

4. 大学への編入

 大学編入者は増加傾向で、97年度には卒業者212名中89名(42%)が大学に編入した(高専全体での大学編入率は平均約2割)。本校で大学編入者の比率が高いのは、県民の高学歴志向が強いためかもしれない。
 志願者・入学者の多く(今年度合格者213名中147名(60%))は、高専受験時にすでに、高専卒業後に大学に編入学することを希望している。また、本校が実施したアンケート調査で「本校のよいところ」として最も多く挙げられているのは、「卒業後、大学に編入学もできる」ことである(この資料は進学説明会の際に配布する)。
 大学編入者のうち、推薦で受験した者は10名足らずである。
 学生は4年の中頃に就職か編入かの志望を決定し、5年のGW明けの父兄面談でほぼ決定する。学業成績が上位でない学生にも大学編入を希望する者はおり、地方大学などに編入している。
 完成教育が高専本来の目的であるため、大学編入を促進するような進路指導や編入試験の準備教育は行っていない。ただ、3月の学年末試験の最終日の午後に進学説明会を設けており、そこでは『進学のためのガイドブック』を配布する。説明会には3年以上で進学に興味を持つ者が任意に出席できる。
 高専からは複数の大学を受験することが可能である(大学間で試験日を同一にしている場合はある)。編入を志望する者のほとんどは、いずれかの大学への編入に成功している。専攻科ができる前は、編入浪人も年に5~6名程いた。
 編入試験は大学によって異なるが、通常は英・数・物理・専門の試験と面接、高専在学中の成績で判定する。面接での受け答えが学生にとっては「キツイ」らしい。
 編入先大学には旧帝大も多い(97年度には東京大5名、名古屋大5名、東北大4名、大阪大2名)。東大の場合は2年への編入となる。多い年には東大に8名合格したときもあり、他の高専のスタッフに会うと「あんたのところでは受験勉強やってるんじゃないのか」と言われる。
 募集大学の中には、文部省から編入定員枠を得ている場合と、そうでない場合がある。
 編入先学部はほとんど工学部だが、理学部や農学部の場合もある。
 編入後の大学生活でもっとも困るのは英語力である。その理由は、大学受験のための英語の丸暗記の勉強を経験していないためである。英語力の不足は企業からも指摘されている。数学や物理はむしろ大学よりも高専の方が水準が高く、すでに高専で学んだことを大学でも重複して学ばなければならない場合もある。

5. 専攻科について

 1996年に3専攻を開設した。定員は機械・電気システム工学専攻(機械工学科・電気工学科に対応)8名、制御・情報システム工学専攻(電子制御工学科・制御情報工学科に対応)8名、応用物質工学専攻(物質工学科に対応)4名である。
 94年から専攻科設置の申請を出しており、3年目でやっと認可された。認可が遅れたのは、本校が大学編入者が多いため、あえて専攻科を設置する必要があるかどうかを問われたためという説もある。専攻科設置の意向はトップから下りてきたものだが、校内で審議した際には教授の大部分が賛成していた。
 96年度の第1期生の中では、本校の現役卒業者が10名、他は7~8年前の卒業生と他高専卒業者であった。今年度の第2期生は、20名が本校の現役卒業者である。
 専攻科からさらに修士課程に進む者は少数である。本校の専攻科は設置されたばかりで、学士認定への対策が十分にできていないことが今後の課題である。
 大学編入に失敗した者が専攻科に進む傾向は否定できない。

6. 就職先と初期キャリアについて

 就職も編入と同様に5年のGW開けの面談で志望を決める。企業の選定は、学校当てに企業から募集要項が送られてくるのでそれを各学科で掲示し、それを見て学生自身が選ぶ。企業の選び方に迷った学生に対しては学級担任か学科主任が相談相手になるが、教授の方から「この企業にしたらどうか」と勧めることはあまりなく、学生自身で選ぶことを基本としている。企業からの求人は学科を指定してくる場合とそうでない場合があり(たとえば薬品会社が物質工学科を指定してくるなど)、後者の場合は「1学科から1企業に1名」という原則がある。同学科から複数の学生が同じ企業を志望した場合は調整するが、最近は就職が厳しくなったので先の原則にはあまりこだわらなくなっている。
 学生が継続的に就職している「実績企業」はあるが、実績関係を維持するための企業まわりなどは特に行う必要を感じていない。企業の方から挨拶に来ることはある。
 6~7年前の学生は給料と休日を就職先の選択条件にする傾向があったが、最近は一人っ子が増えているためもあり、地元志向が強くなっている。バブル後は中堅企業への就職が圧倒的に多くなっており、採用を手控える超一流企業の中には実績関係が切れたりする例も出てきている。しかし工業地帯であるため、他高専より就職先は恵まれている。
 求人数・求人会社数は機械工学科・電気工学科で多い。
 就職先での処遇は大卒と同じ資格枠だが、同期と比べて入社年齢の違いからくる差はある。一流企業で部長になっている者もいるなど、昇進の面でも大卒と差はない。
 就職後の転職の例はかなり多く、多い年次では同期卒業生の4割程度が転職している。
 卒業者の仕事内容は、半数が設計・開発(製品及び工場設備の)、半数がサービス関連で、いわゆる「技術者」といえる(「テクニシャン」というカテゴリーにはあまり馴染みがない)。現場監督者の業務はむしろ苦手ではないかと思われる。
 技術人材としての学歴別の違いは、次のように考えられる。
 ・院卒:自分から研究ができ、新しい製品や概念をクリエイトする。
 ・大学学部卒=高専卒:クリエイトされた概念を実物の形にもっていく。寸法を考え、図面を引き、材料を決めるなど、いわゆる設計を担当する。こつこつやる地味な性格が向いており、奇想天外な発想をする者は向かない。
 ・工業高校卒:設計図に基づいて作業を行う。
 これはソフトウエアに関しても同様に当てはまる。

7. 教育課程について

 近年の学科改組としては、まず1985年に電子制御学科を新設した。文部省の認可を得る際には、県内の高等教育機関の設置率が少ないことを理由としてアピールした。また1992年に機械工学科の定員を半数移して制御情報学科を設置した。これは設置基準大綱化を受けた改組である。
 カリキュラムにおける「くさび形」の科目編成は、上級学年の一般科目を教えにくくなるという難点がある。
 文章力などを養う点ではやはり一般科目は不可欠である。教養を広める点でも必要であると学生には話している。
 実験・実習は全体の25~30%程度を占める。この比率については卒業生から特に問題を指摘されていない。
 近年の科目改革として、次のことを実施した。
 ・1990年から3年間、文部省の教育課程改善プロジェクトの一環として、本校が中心となって数校の高専が連携し、「オーラル・コミュニケーションを中心とした英語教育の改革」の研究を実施し、その研究成果に基づいて英語科目が分化した。
 ・1993年から「国際理解」を5年に導入した。その目的は、上級学年生の一般科目に対する興味を喚起するためである。
 卒業研究は、「研究の仕方の手ほどき」程度のものであり、テーマは教授が与え、実験の進め方など全体の段取り、資料の参照の仕方、機器の使い方も逐一指導する。教官1人当たり平均で学生4人の卒研を指導する。卒業研究では、学生自身が新しい成果をクリエイトするというわけではない。
 10年ほど前に卒業生にアンケートをとった結果では、英語力と一般教養の不十分さ、視野の狭さが教育課程の問題点として指摘されていた。企業も同様の意見をもっている。
 自己点検・自己評価の一環として、シラバスの作成に着手している。

8. 夏期実習について

 夏期工場実習は1985年頃から始まった。4年の夏休みに実施され、選択科目扱い(1週間で1単位)で義務ではない。給料は出ず、交通費(1日1,000~1,500円程度)のみ支給される。
 近年の実施人数は、1992年は60人、1993年は44人、1994年は13人、1995年は6人、1996年は10人で、減少傾向にある。その理由は、景気の後退と、進学志望の増加である。
 実習先の応募に際しては、企業が4月頃に募集要項を送ってくるので、それを張り出して学生が見て希望を出し、担任のチェックを経て応募する。
 実習先に就職する例は少ない。実習には採用選抜の機能は少なく、学生が「見聞を広める」という程度である。
 担当職務と教育内容は(おそらく)一致している。

9. 地域との連携、生涯学習への貢献

 地域の他の技術教育機関との連携組織は特にない。高専はこれまでどちらかといえば孤立してきた。ただ近辺に工業試験場の分室があり、そことは計測機器の貸し借りなど実質的な交流はある。
 聴講生の例としては、地元の工業高校の教師が半年間、研修として参加したケースや、一流企業の研究員が一年間聴講していたケースなどがある。
 夏期に3日間程度、公開講座を開設している。内容は一般市民や中学生を対象とするものが主である。公開講座へのニーズ調査などは特に行っていない。定員はオーバー気味である。
 受託研究や、奨学寄付金は実施している。
 地域の企業を対象として開設している技術相談室には年間3~4件の相談がある。

10. 今後の課題

 女子や機器が増加したため、施設・設備に余裕がないことが最大の問題である。

(2) B高等専門学校

1. 概要

 B高専は1963年に創立された国立の工業高等専門学校である。現在、機械工学科、電気工学科、制御情報工学科、物質化学科の4学科を開設しており、各学科の一学年あたり定員は40名である。学生数は5学年全体で787名で、うち66名が女子である。
 専攻科は現在まだ開設されていない。
 教官数は校長1名、教授21名、助教授16名、講師17名、助手9名の合計64名である。
 また、地域との交流窓口として地域協力教育研究センターが設置されている。

2. 入学者の特性

 入学者の出身地は、県内、特にB高専の所在地方の出身者が多く、県内出身者が96%、そのうち所在地方出身者が62.2%を占めている。他県出身者は3%弱であり、そのほとんどがこの地域に接した隣接県である。他地域からの入学者はやや減少傾向にある。留学生はマレーシアなどから計9名が在学している。
 このような他地域からの学生がB高専に通学するのは不便であるため、他高専に比べると寮生の数が多く、全校生徒787名中、約450名が寮生である。その他に寮生が多い理由としては、雪が多く冬場の通学が大変であることや、市街地から離れているため夜遅くまで行う部活に支障をきたさないためなどが挙げられる。なお、1996年から、1,2学年の男子学生は、基本的には全寮制であるが、教育上の総合的な見地から保護者からの通学を希望する学生には、入寮を免除している。しかし、女子学生は入寮できないのが現状である。
 女子学生は概要にも示したように全体の8%程度である。このように女子が少ない理由としては、工科系では評判が高いため、女子で授業についていけるかどうか不安であること、女子向きの学科が少ないこと、現在女子寮がないことなどが挙げられる。
 入学者の選抜方法は、推薦と学力試験の2本立てである。合格者数に占める推薦の比率は30%程度である。これはB高専所在県の高校の推薦枠の40%に準じて推薦枠を設定しているためである。
 推薦入試を実施する理由は、高専入学後にリーダーになる人を得たいからである。また、公立高校との複数合格制をとっていないため、高専合格者には入学確約書を出してもらっている。推薦選抜の合否判定は、調査書と健康診断書、面接による。
 学力試験の合否判定は、4教科(国、英、数、理)と面接、調査書に基づいて行われる。

3. 編入・退学・留年

 4年次への編入学は工業系高校、普通高校の2コースから受け入れている。ただし、普通高校からの編入学はこれまで2名しか受け入れていない。なお、97年度の編入学者数は5名である。
 編入試験は、工業系高校が英語・数学・専門、普通高校が英語・数学・物理となっている。ただし、物質工学科については、化学と一部生物を含む科目の選択である。高校からの編入学者は、高校と高専との授業の進度が違うため、特に数学などでは高専のペースに慣れるまで半年くらいかかることもある。
 留年者は、1997年度では12名であった。ただし、留年者がそれを理由に即退学するというわけではない。
 退学者は20名程度である。特に退学者が多いのは4年次である。それは、ひとつには4年次からカリキュラムが過密になるため、授業についていけなくなるからである。退学者の進路については、専門学校や就職など、様々であるが、進学する場合でも工学とは異なる分野が多い。
 なお、中卒後に高専に入学するのは早期の進路決定であるため、高専の教育に適応できない人も出てくる可能性があるが、それを避けるため、中学生相手に1日体験入学、中学校教員への入試概要説明会、保護者に対して学校説明会を開いており、中学校主催の高校説明会でも高専についての説明を行っている。これらにより、高専に適応できないという学生はほとんどいなくなっていると考えている。

4. 大学への編入

 大学編入希望者は1997年度には30名(うちヒアリング時点で29名が既に進学先内定済み)であった。このように大学編入希望者が少ない理由としては、進学しても高専並みの大企業に就職できるかどうか不確定であるという理由を挙げることができる。例えばB高専に求人を送ってくる大企業に就職しようとした場合、編入大学からでもその企業に就職できるとは限らない。そのため、成績優秀者の中には、求人企業ならどこにでも就職できるのであえて進学することはせず、就職を選択する人もいるのである。
 なお、進学を希望する学生に対しては、教官が適宜個別指導で対処している。また、大学への推薦入学を希望する学生に対しては、校長面接を行い志望理由や研究意欲などを確認している。この他、各教室に編入可能な大学と実際に編入学した大学について掲示している。

5. 専攻科について

 専攻科については、現在設置希望を出しているところである。

6. 就職先と初期キャリアについて

 卒業予定者の進路希望を把握するため、4年生を対象に10月中旬に各学科ごとに進路指導を行う。本格的な進路指導はこのときからはじまる。
5年次の4月半ばにリクルートの人を招き、学生の前で進路についてのガイダンスを行ってもらう。
 卒業後に進学するか、就職するかの選択は、4年次の終わりくらいにはほぼ決まっている。その後、進学希望者が就職希望に進路変更することはない。
 就職のプロセスは、B高専にきた求人の中から、学生本人が希望を出し、まず親子間で希望を一致させる。その後、指導教官が就職を斡旋するが、同一求人に希望が集中した場合、学科内外で調整が行われる。その調整を行う場合には、学業成績が優先される。もっとも、学科間での調整には主事がかかわることになるが、主事が実際にそのようなことに携わることはほとんどなかった。そうなる前に、学生の間で自己選抜をしているかもしれない。なお、1997年度は、7割が第一希望の会社に内定し、第三希望までまわされたものはまれであった。
 就職後の配属はテクニシャンではなく、技術者としての配属が多い。就職者については、だいたい高専で習ったことを生かせているのではないかと考えている。
 勤務地については、近年、県内就職者の割合が減少している。県外では、関東や隣県の地方中枢都市など東日本が多く、遠くとも中部地方までである。

7. 教育課程について

 近年の学科改組としては、平成2年に機械工学科2学級のうち1学級を制御情報工学科に改組し、平成5年に工業化学科を物質工学科に改組した。物質工学科への改組は、従来の学科に生物系を入れる形で改組が行われたものである。
 カリキュラムの見直しについては頻繁に行っている。近年では、共通選択科目の中に専門科目だけの組合せを入れた。これにより、結果として専門の単位数を増やした。
 なお、高専では、一般科目と専門科目の配分が問題になることが多いが、これについては学生層の多様化によりどれがベストとは言えなくなっている。例えば大学編入学者にとっては、5年次に一般科目を増やした方が大学編入後の単位の振り替えなどからメリットが大きくなる。実際に編入学した学生に話を聞いてみると、専門は苦労なくついていけるが一般科目を取らないといけないので大変であるなどの感想を聞くこともある。だからといって、一般科目を4,5年次に持っていった場合、3年次で高専を中退して進学する人には高卒に準じた単位認定が難しいという問題もある。最近では、なるべく専門を2年から行うようにして、2年から3年への進級の際の専門比率のギャップをゆるめようとしている。科目の配置については、これで十分とは考えておらず、現在でも科目数の削減や前後期制の導入などを検討している。
 卒業研究には12単位をあてている。これは他高専の卒業研究の単位数が8~10単位なのに比べると多くなっている。これによって、B高専が卒業研究を重視しているという姿勢を示している。卒業研究は、各教官がそれぞれ4~5人の学生を指導し、それぞれにテーマを与え、そのテーマにそって研究を行っている。そのレベルは成果を学会発表できる程度であり、先端レベルの研究をやらせているわけではない。

8. 夏期実習について

 夏期工場実習は4年次の夏休みに行う。現在、工場実習は選択制となっており、全体の3/4程度が参加している。また、工場実習は、修得単位としても認定されている。最近での工場実習先は県外が多くなっている。内容についても、専門と関連したところがある一方で専門と関連しないところもある。実習先の決定は、掲示をみて学生が希望を出し、許可している。学生が工場実習先に就職したというケースはそれほど多くない。

9. 地域との連携、生涯学習への貢献

 B高専は、地域との連携にかなり積極的である。地域とB高専との連携組織として、地域の側と高専の側にそれぞれ窓口の組織が設けられている。
 地域の側の組織として設けられているのは、まず、1985年に設立されたB高専協力会である。このような性格の組織はB高専が全国で初めてであり、その後、全国に類似の組織が広まっていった。このB高専協力会とは、地元企業が主体になって高専をバックアップするためにつくられた組織であり、各企業がB高専に資金協力を行っている。もともとこの協力会は、1985年頃の求人難の時に、優秀な地元就職者を得たいとの考えからつくられたものである。また、B高専の側で、地域との連携との窓口として、1994年に地域協力教育研究センターを設立した。1995年にそれを支援するため自治体が中心となり、同センターの振興会もつくられた。地域社会から高専に対する窓口はこのような2本立てになっている。これによって、学生の学会参加費やロボコンの旅費、教官の出張費などを捻出している。もっとも、この組織を通して研究生を取っているわけではない。というのは、それでは授業料を取ることになってしまい問題があるからである。技術相談などは教官が個別に行っている。地元では技術相談を担える組織としては高専以外に職業訓練校などもあるが、受け入れ組織同士の連携は行っていない。

10. 今後の課題

 今後のB高専の方向性としては「環境に優しい」「創造性の育成」「国際、マルチメディアへの対応」の3点を挙げている。新学科設置については今のところ踏み切れるかどうかまだ問題があり、それより専攻科設置を優先させたい。

(3) C高等専門学校

1. 概要

 C高専は1965年に設置された、国立の工業高等専門学校である。現在は機械工学科、電気工学科、電子工学科、情報工学科、物質工学科の5学科を開設している。学生定員は各学科40名であり、全学生の現員数は974名である。うち女子は約120名で、その半数が物質工学科に在学している。
 物質工学科は工業化学科に生物学の要素を加えて1993年に改組した学科である。生物を入れることによってコース制(「環境生物系」と「材料系」)をとることができた。コース分けは4年からだが、環境生物系コースの学生も材料系の授業を選択できるようにしている。各コースの人数は半数ずつになることが望ましいが、希望を尊重している。
 教員は78名、職員は57名である。

2. 入学者の特性

 入学倍率は約2倍で、県内出身者が65%である。
 入学動機としては、親・兄弟の勧めや、ロボコンのテレビ放映の影響などが多い。大学への編入制度があることを知って入学してきた者が8割以上を占めており、そのうち大学に行きたいと何となく思っている者が5~6割、強く思っている者が2~3割という印象である。1年の前期末の試験結果をみて、編入志望が減少する。
 中学校対象の学校説明会等で、高専の教育に関する理解は広がっているが、まだ不十分である。
 入試については、高専の学力試験は全国統一であり、最近試験科目に理科が追加された。また、内申書と面接の総合判定による推薦入学を開始したが、推薦による入学者数は全定員の3割以下とするよう定めている。推薦の場合の内申点の基準は5点満点の4.0以上としている。C高専には工業高校ではなく普通高校に進学する水準の生徒が入学してきており、学年が進むにつれて推薦入学者を一般入学者が学業達成の面で追い抜く傾向がある。
 高校との併願は認めている。試験の時期は公立高校より早い。合格後に入学先を変更することはしないよう求めているが、数名は現れる。

3. 編入・退学・留年

 近年は入学者のうち卒業に至るのは約85%である。10年ほど前は、90%以上が卒業していた。
 以前は2年で自主退学して大検を受ける者がしばしばみられた。最近は、3年を終えてから予備校を経て大学に入学したり、あるいは専修学校に進むケースも増えてきた。
 中退者が増加した理由の一つは、遊びに専念してしまう学生が出てきたことである。工学系の教育では毎日新しいことを習うため、いったん休み始めるとついていけなくなる。
 工業高校から高専への編入は制度としてはあるが、編入者が高専のカリキュラムに追いついていくことは難しいので、現在は足踏みしている。以前に編入した者も留年等になる例が多かった。この高専では微積分を3年で教えている(他の高専では4年の場合もある)ので、工業高校でほとんど微積を習っていない者が4年に編入しても無理である。編入が難しいのは、工業高校のレベルが低いことが問題というよりも、専門教育の必要性から高専のカリキュラム(主に数学)が前倒しになっているためである。来年は工業高校から高専の3年への編入希望者があるので、テストケースとして実施する。これがうまくいけば、普通高校から3年への編入を実施することも考えている。
 留年者は毎年40名前後であり、2年や3年に多い。留年者のうち翌年進級できるのは3分の1程度である。留年後に改めて進級できるかどうかは、どの学年で留年するかによっても異なり、1年か2年で留年した場合は回復力がある。
 入学後の学科間の転科は学則では認めているが、実際には行われていない。1、2年の頃から専門科目が入っているので、後の学年で学科を変わることが難しい。他の高専でも転科は少ないはずである。

4. 進路指導について

 進路指導のコーナーはあるが、専用の部屋はない。具体的な指導は学科別に実施している。
 早い学生では1年の頃から卒業後の進路(進学か就職か)を決めているが、多くは5年の4月の面談で決心する。それ以前には、進路に関する指導は特に行っていない。
 4月の半ば(面談の前)に、5年生全員を対象にガイダンスを実施している。ここでは手続きや心構えを教えたり、最近の就職状況に関する就職アナリストの講演などを行う。
 今年は就職協定が廃止されたこともあり、求人票は早いものでは3月頃からどんどん届いていた。求人票が来るピークは4月であり、おそらく大学の理系よりも早い。求人は各学科でファイルし、学生に提示する。求人のほとんどは学科を指定している。学科によってやり方は異なるが、たとえば電子工学科では昨年の求人票を学生が閲覧できるようにしている。
 学生は先輩や卒論の指導教官の話を参考にして就職先を決める場合が多い。卒業した先輩との接触は、クラブや寮関係などインフォーマルな場合が多い。
 一つの企業に学生の希望が重複する場合もときどきあるが、そのときは当人同士で話し合って決めさせている。学校が関わると成績中心で選ぶことになってしまうので、それは避けている。しかし学生数が多くないため、誰がどの企業を希望しているかについての情報が事前に学生間で流れており、自然に調整されているようである。
 教授が個人的に関係をもっている企業に学生を推薦したりすることはないようにしている。
 高専に来た求人以外のルートで就職する場合もたまにあるが、そのような場合は就職担当の教官が間に入り、最終的には学校への求人という形にする。

5. 大学への編入

 1997年度の大学編入者は41名である。98年度は、97年10月段階で31%が大学編入を予定している。他の高専では編入者が4割を超えている場合もあり、大学編入を売り物にしている高専もある。地域によっては就職が厳しい高専もあり、そのような高専では編入させる方が容易なこともある。
 成績がいいから進学するということはなく、成績下位の学生でも進学する場合もある。本人が就職を希望していても、たとえば母親がどうしても大学を出て欲しいという例もある。
 編入先の学部はほとんど工学部で、学科も同じ場合が8割程度を占める。
 C高専が所在する地域には大学が多いため、多様な大学に編入しており、技科大からはもっと多く受験してほしいと要望されている。特定の大学に多数の編入者が集中しているが、その大学からはもっと多く編入してほしいという希望が来ている。大学に編入した高専卒業生に対する大学からの評判は非常によい。本校から大学に編入する者はトップクラスの優秀な学生なので、学部だけでなく修士課程・博士課程に進む者がほとんどである。
 推薦編入を実施している大学は少ない。
 高専での専門科目は通常は大学で認定科目になっているので、編入後は一般教養科目を多く受講させられる。高専の専門科目45単位、一般科目25単位を認定する大学が多い。大学の3年では一般科目に追われ、4年では修士の受験勉強に追われるため、修士課程に進んでやっと大学人として落ち着き、大学の味がわかるようだ。
 高専から大学への移行にそれほど問題はないようだが、編入後に語学の勉強に時間的に追われる場合は多いらしい。

6. 就職先と初期キャリアについて

 C高専は大都市圏にあるため求人倍率が19.3倍と高く、就職面では恵まれている。一時期は求人倍率が50倍にも達していた。バブル崩壊時には求人倍率が急減したが、それでも5倍はあった。
 大手企業の場合、前年度に学生が就職していないと次の年に求人が来なくなることがあるが、こちらから就職希望の学生がいることを連絡すると求人を出してくれたりする。
 就職先企業の特性を集計した資料は作成していない。企業規模よりも、高専卒業生を活かしてくれる企業かどうかを重視している。そういう企業は、長年の採用実績がある企業に多い。しかし、学生の希望が基本なので、特定企業への採用が途切れないように配慮したりは特にしていない。たとえば、今年は電気工学科にNTTから3名の求人があったが、2名しか希望が出なかったので、1名分を断った。
 電子工学科では、成績が何点以上であれば電子関係の一流企業に推薦し、何点以下なら電子関係以外の企業に推薦するということを学生に事前に明示しているので、学生は自分の成績がどの辺に位置しているのかを見極めた上で就職希望先を決めているようだ。
 求人に来る企業の話を聞いていると、その企業がどのような人材を求めているかの傾向がほぼわかるので、それを学生に伝えて、自分に合うかどうかを判断させている。
 企業が実施する試験は面接のみの場合が多く、高専の推薦状を持参すれば、ほぼ100%採用される。ほとんど全員の学生が推薦状を携えて企業を訪問する。
 企業は表向きは男女を指定していなくても、実際に話を聞くと男子を求めている場合が多い。女子は早く辞めるなど問題がある場合も多く、男子に比べて一般的に就職が難しい。
 就職する職種は、現場の生産技術、すなわち設計や開発など研究と製造をつなぐ仕事がもっとも多い。研究所に配属された場合、本当に研究を担当する場合とその補助の場合とがあり、後者の方が多い。
 企業の内部では、出身の専門にこだわっていては、よいものが作れないので、担当している仕事の専門分野が機械か、電気か、電子かというふうには区別できない。企業では専門以外のこともどんどん担当させられるし、キャリアを積んで偉くなっていくとどのような分野でもすべて網羅的にわかる必要がある。技術者の仕事には、現場の製造に携わる人々を管理することも含まれるため、非常に多様な能力が求められる。工学の中でいずれかの分野を学んで自分のものにするというプロセスを一度経験すると、それは他の分野にも適用できるので、最低一つ自分の専門を持っておくことが必要である。ただ、たとえば電子工学科を出て半導体関係の職場に入ったような場合は、ずっと電子だけを専門にすることになる。
 C高専の初期の卒業生の中には、部門の長に達している者も多い。むしろ大卒よりも昇進している。高専の卒業生の間には、「大卒に負けるな」という悲願があるので、企業では非常に評判がいい。「学卒を採るなら高専を採れ」と会社の間では言われている。大学は教育目的がはっきりしていないので、企業としては高専か修士卒を選びがちになる。
 卒業後に自分で語学などを勉強して、社内英検などを受けている者が多い。海外に出ている者も多い。

7. 専攻科について

 卒業後10年程度企業に勤めたあとに、リフレッシュとして1、2年再び勉強するという場合には、専攻科が非常にうまく機能すると思われる。

8. 地域との連携、生涯学習への貢献について

 地元企業との間に「技術懇談会」を組織している。専攻科ができれば、技術懇談会における企業との共同研究の場としても活用できると思われる。
 公開講座や社会人のリフレッシュ教育も実施している。その多くは短期のものである。企業は高専に対して、たとえば何かの測定など速攻性の協力を期待しており、長期にわたって社員を研修生として派遣するほど余裕がある場合は少ない。
 卒業生の中には「技術懇談会」に参加している者もあるが、卒業生と母校との関係はあまり強くはない。
 大学との連携は、組織的にではなく、必要に応じて個人レベルで行っている。

9. 今後の課題

 電気工学科を従来の強電中心から弱電まで含むものに改組してゆくことを考えている。他高専の場合は電気を電子に改組する動きがある。
 また、教育と研究をどのように両立させるかということが高専教官特有の課題である。教官の研究成果は、高専の活動を評価する一つの指標となっている。
 大学に入学するまでは受験勉強に追われ、大学教育は問題が多いという現状の中で、高専のような教育機関の重要性は今後ますます高まると考えている。

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